kr_ryo 徒然日誌 <2002年7月7日分>

戦争芸術リプレイ記その9…コサックス体験記その12

いよいよ本リプレイも敵本土決戦です。コサックスで敵国を攻める戦術には、奇襲、波状攻撃、集中攻撃の3つが有効であると考えられます。

奇襲は、足の早いコサック騎兵の傭兵で、まだ防備の整っていない敵国を蹂躙する戦術です。敵中心地に向かうよう指示をすれば、ありとあらゆる敵を無慈悲に襲ってくれます。序盤で敵地がわかっている場合に非常に有効です。反対に、自国の建物や住民に警備兵を配置していないとコサック傭兵に蹂躙されてしまうので、護衛兵は必ず配置してください。中盤以降は敵防衛隊も強力になっているため、コサック傭兵はあわれ槍兵の餌食になってしまいます。

波状攻撃は、安い射手や擲弾兵などの傭兵の小部隊を次々と多方面から侵攻させ、敵の建物を破壊していく方法です。敵防衛隊の薄いところを狙っていくのがコツです。もちろん正規兵部隊を分散して襲撃させてもよいのですが、わざわざ味方の主力の戦力を分散させるのはもったいない場合が多いと思います。コンピュータの得意技ですが、今回のリプレイでもありましたように、侵攻ルート上に竜騎兵傭兵やマスケット銃兵、カノン砲、もっとも効果の高い複銃身カノン砲を配置すれば恐るにたりません。逆に、敵侵攻ルート上にこういった部隊を配置できないと、いちいち主力軍を動かして撃退することになり、手薄なところから侵入されてしまいます。プレイヤーがこの戦術を取るには、コサックスのシステム上結構しんどいかもしれません。

集中攻撃は、戦力を1点に集中させ、敵地まで堂々侵攻していく戦術です。進軍途中で迎撃してくる敵主力部隊との決戦となって戦力を消耗してしまう場合が多いので、途中で集結&補給地点を設けるのが効果的です。今回のリプレイ中、補給拠点と呼んでいる場面がそれです。海戦においてはとにかく上陸して大至急軍事施設を建設し、それまで守備部隊が敵の攻撃を耐えるという橋頭堡建築作戦が常道ですが、進軍中の部隊が途中で集結して、陣形を整えて後続を待つというのもこの橋頭堡に似ていますね。進軍中は大砲や歩兵といった足の遅い部隊と足の早い騎兵などと隊伍がばらばらになりやすいので、敵が接近してきた場合、大砲を前に、次に銃隊、その後に槍兵隊、最後に騎兵隊という隊伍で、敵を待ち受けるというのが損害がもっとも少ないと思います。大砲が前は当然として、騎兵を最初に突撃させると騎兵の損害が 大きくなりすぎると思うので、銃兵や槍兵と戦っている敵が弱ったところを騎兵で叩き潰すというのがお勧めですね。敵地では、迫撃砲やカノン砲で、要塞塔や軍事施設を破壊した後、全軍を突撃させるというのが最上です。自軍が大軍ならば、各方面から波状集中攻撃をかけるのもよいでしょう。

今回のリプレイでは、バイエルン攻略戦で集中攻撃をセオリーどおり行っていました。ウィーンではどうでしょうか…?

それでは、つづきを始めます……

ウィーン侵攻戦 前編

ファルツ軍のウィーン北方からの遊撃戦は、オーストリア軍総司令官ワレンシュタインが全軍でファルツ別働隊を撃破することで終了した。ワレンシュタインが全軍を移動させたため、バイエルン方面に駐屯していたファルツのバイエルン公マンスフェルト率いる主力部隊による各個撃破はかなわなかった。ワレンシュタイン軍は再びマンスフェルトに対峙したため、マンスフェルトは一度軍を引いた。マンスフェルトはワレンシュタインが打ち捨てた大砲を鹵獲したが、遊撃部隊と指揮官オットーをあっさり失ったのが痛かった。

「もう少し時間がかかると思ったが…やはりワレンシュタインには小細工は通じないな」

マンスフェルトはバイエルンの陣営で地図を眺めながらつぶやいた。ボヘミア陥落後、ボヘミア方面(マップ右上)から旅団規模(100人)のオーストリアの擲弾兵隊がバイエルン(マップ中央)やファルツ(マップ左上)に向けて進軍しているという。ボヘミアとバイエルンの間には、ボヘミアバルトと呼ばれる山脈が走っているが、この全てに防衛隊を配置することはできない。やや拠点を築きづらいため、自軍の防御ラインを超えて進軍され、慌てて後を追って損害を出すこともあった。複銃身カノン砲を主力とする防衛部隊を多数配置しなければならないな、と考えているところ、再びボヘミアバルトを突破されたとの報告が入った。その後の続報によれば、バイエルンの首都ミュンヘンで編成中のファルツ擲弾兵隊と銃撃戦になり、ファルツ軍の損害が大きくなってきたところに、複銃身カノン砲隊が到着、一網打尽に討ち果たしたという。

マンスフェルトは舌打ちした。まだまだオーストリア軍の方が戦力的には上のようだな。

マンスフェルトは、主君であるファルツ選帝侯フリードリヒに書簡を送った。擲弾兵の訓練の強化と、新兵器新技術の開発を急いでもらうことである。バイエルンを完全に抑えたファルツには金も資源も豊富にあった。火薬技術や薬莢や銃剣などの新兵器を開発し、擲弾兵の戦力戦術も強化した。擲弾兵の新兵器手榴弾の威力は数十発でほとんどの建物を破壊できるほどになった。後は擲弾兵と胸甲騎兵の数を揃えるばかりだ。

軍事改革に取り組んでいる間、マンスフェルトはボヘミアバルトの山頂に要塞塔を建築した。この高さならば要塞塔は強力な戦力になると思ったのだが…

「申し上げます!敵迫撃砲の砲撃により、塔を失いました!」

伝令の報告を聞き、マンスフェルトは耳を疑った。作成したばかりではないか!ところが、ワレンシュタイン軍の数十門の迫撃砲が、一斉に要塞塔を砲撃したらしい。塔破壊後はなりを潜めたが、さすがにあれだけの大砲がミュンヘンやファルツに及ぶと国力はがた落ちになる。マンスフェルトは兵士の養成だけでなく、大砲の作成も急がせた。

その後、戦力の充実したファルツ軍を手に入れたマンスフェルトは、いよいよ本格的にウィーン侵攻を考えた。侵攻隊が全滅しても、十分防備がとれるだけの戦力は整った。侵攻部隊は、擲弾兵師団(300人)胸甲騎兵3個連隊(90人×3)、竜騎兵部隊(40人)、カノン砲5門、迫撃砲15門、榴弾砲2門、複銃身カノン砲2門、さらにはコサック騎兵が20騎といった戦力である。とうとう編成から槍兵隊を外した。もはや擲弾兵と槍兵の戦力が離れすぎ、槍兵が擲弾兵の護衛というレベルではなくなってきたからである。

「いよいよウィーンを攻略する。手始めにワレンシュタインを討ち取る!」マンスフェルトが全軍に命じると大きな歓声があがった。

バイエルン領を超えて進軍するファルツ軍に、ワレンシュタイン軍は大砲で応えた。擲弾兵隊に命中するが大きな損害を与えない。カノン砲は接近戦でぶどう弾(散弾)をまきちらして広範囲に大きな損害を与えるが、通常弾ではまともに命中する以外は大きな損害を与えない。このとき、旅団規模(120人)のワレンシュタイン軍は戦力の増強を受けていたものの、明らかにファルツの比ではない。ウィーンの宮廷では、先のウィーン遊撃部隊による攻撃を未然に防げなかったとして、ワレンシュタインに対する風当たりが強いらしい。新たな部隊がワレンシュタイン隊に廻されずに、他の将軍のもとに配置されているという。オットーのおかげだなとマンスフェルトは思った。

擲弾兵のマスケット銃の弾頃にいたった。マンスフェルトは銃撃命令を出した。同じころ、ワレンシュタイン軍からも銃撃が始まった。ワレンシュタイン軍からは騎兵も飛びだしてきた。途中で撃ち殺される者もいたが、ファルツ軍に到達した騎兵も擲弾兵の銃剣にさされ、あるいは後方から狙撃され、打撃を与えられぬまま打ち倒されていく。敵の大砲を封じるために、マンスフェルトは敵大砲隊に向けて騎兵を突撃させた。大軍内に榴弾砲弾を打ち込まれると被害が大きくなる。胸甲騎兵隊は横に伸びていたオーストリアの大砲隊を破壊していく。消耗戦になると戦力が5倍以上あるファルツ軍が圧倒的に強力である。オーストリアの大砲隊が効果を発揮できない間に、マンスフェルトは全軍に突撃命令を出した。

圧勝であった。踏みにじられた双頭の鷲の旗を拾い上げ、将兵達が再び歓声を上げる。ワレンシュタイン軍は全滅、こちらの損害は擲弾兵が50人程度、コサック騎兵が10騎程度であった。逆にオーストリアの迫撃砲数門やカノン砲2門を鹵獲した。しかしワレンシュタインは取り逃がしたようだ。

そのまま進軍できると思いきや、敵の新手の部隊が接近してくる。マンスフェルトは隊伍を組み直し迎え撃った。これは簡単に撃破できたものの、次から次へとオーストリアの小部隊が接近する。マンスフェルトは迎撃を命じると、後方の迫撃砲を敵の要塞塔、軍事施設に向けて砲撃開始を命じた。ウィーンの前門、リンツ攻略戦が開始された。

リンツ中心部の要塞塔を破壊すると、続いて擲弾兵隊をリンツ市街に突入させる。護衛のため胸甲騎兵隊も突入させる。すさまじい市街戦の始まりであった。

次回、いよいよ最終回につづく

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