kr_ryo 徒然日誌 <2003年9月14日分>

三國志製作記32〜シミュレーションゲームはシミュレーションするゲーム〜

いやあ、いい天気でしたね〜(´▽`)台風の時は蒸し暑かったですが、すぎさるとすっきりさわやかな秋晴れです(^O^)ところが我が三國志製作はどうもイマイチすっきりしない(T-T)相変わらずルール固めが滞っています(*_*)いつもの内政です。

シミュレーションゲームは、シミュレートの対象となる現物に似ているほど面白い場合と、面白くない場合があります。たとえば明日9月15日は関ヶ原の合戦のあった日ですが、これをゲーム化したとします。その時史実がそうだったからといって常に小早川秀秋が裏切る設定だと、多分つまらないでしょう。逆にほとんど裏切らないというのも、史実と異なりすぎてつまらない。小早川の裏切りをルール化して、ある条件にいたった場合裏切ったり、裏切らなかったりするというようなことがゲームに広がりをもたせます。もちろん、他の合戦ルールがちゃんとできていることがゲームとして面白い大前提ですけども(^^;単に合戦ルールだけちゃんとできてたとしても、シミュレーションゲームとしては小早川の裏切りというものが特別ルールとして表現されていなければつまらないものになるでしょう。

関ヶ原の合戦のように、一つの戦場や戦闘だけをシミュレートする場合、小早川の裏切りのように当時の戦闘の色々なことを特別ルール化することができます。ところが戦略級ゲームだと、一般ルールが大まかすぎて、もともと細かい特別ルールを乗せることができなくなり、できたとしても単なるイベントとなってしまいます。koeiのゲームはよくイベントで特別な雰囲気を味あわせてくれますが、一般ルールに乗っているわけでないのでイベントですね。

いつも例としてよくあげるボーテックの銀英伝4のように、反乱がコマンドとして存在し、さらに反乱の後、帝国の内乱軍の提督の誰か(メルカッツに固定されていないのがみそ(^-^))が同盟に亡命してくるというのは、イベントでなく特別ルールです。このゲーム、反乱する人物も固定ではありませんし、こういったルールのおかげでかなり銀英伝のストーリーをシミュレートしているいいゲームなんですが、惜しむらくはバグが多すぎてまともにプレイできないこと!(T-T)koeiのゲームも最近は反乱や下克上がコマンドとして上げられたりしますが、それによって史実を表しているとはいまいち言い難い(^^;先程の関ヶ原の合戦ゲームでも、徳川方が誰かに狙いを絞って指示を出すという形であって、必ずしも小早川が裏切るわけではない、とすると、もっと幅が広がるでしょうね(^-^)信長の野望でも、信長でなくともある条件であれば、本能寺の変が生じる…いやあ、それじゃあ単なる下克上か謀反ですね(^^;やっぱり本能寺の変は信長と光秀がからまないと…(^^;Aけれども、これをヒントに、最も勢力の大きい英雄が、誰か配下に討たれ、他の配下ともども三つ巴になって争うという特別ルールがあれば、戦国時代のゲームとして面白いかもしれません(^^;A

ここまでで、だいたいシミュレーションゲームはどういう点が魅力で何がないとつまらないかが分かってきたような気がしてきました(^^;つまり一般ルールにせよ特別ルールにせよ、そのシミュレートの対象となるものをどこまで忠実に表現できるか、そして表現した上で、どこまで変えることができるか=ありえる行動とその結果を表現できるかという点によるものが大事だということです。

いわゆる戦略シミュレーションゲームという分野では、同じルール下にあって、登場人物や国などのパラメータだけが異なり、全土を統一する、みたいなものがそれと思われています(--;この手のゲームでは、表現される対象が少なければ少ないほど、たとえば軍隊を表すのに兵士数だけだったりすると、舞台や背景だけが異なってるように見えるけれど、どの人物、いや、どの舞台でプレイしても結局最後は統一して終わりであり、ほとんど差が見えず、どれをやっても同じことをしているように見えます。知らない人へのシミュレーションゲームの説明として陣取りゲームと言うことがありますが、まさしくちょっと複雑な陣取りゲームです(^^;

しかし、シミュレーションゲームの本来の魅力は、舞台を忠実に表現し、なおかつプレイヤーの判断でありうる可能性のあった行動により、違った結果も表現できないかということを追及するものです。このため、一度本来の筋なりシーンを離れた行動は、どこまでも結果を異ならせることはありえるため、その先で無限のバリエーションが生じてもおかしくはありません。しかし、そんな仮定の仮定がどうなるかなんて、ありえるように表現することなんて不可能です(--;

関ヶ原の合戦ゲームのように、一つの戦闘や戦場が舞台のゲームでは、史実と異なる作戦による結果の違いをシミュレートしようとしても、結果の行き着く先が限定されているため、表現することが比較的容易でしょう。別のゲーム、たとえば大阪夏の陣というゲームでも、その舞台に応じた特別ルールを作れば、一般ルールは共通でも違うゲームをプレイしているという感じはします。

これに対し、三國志のように何十年に及ぶ時代が舞台であれば、史実と異なる行動がもたらす未来への効果なんて、無限のパターンがありえてきちんと表現することなんてできません(^^;Aそのため特殊の事情に対する特別ルールを表現することがなかなかできず、一般ルールが適用されるだけで誰でプレイしても同じという状況に陥りやすくなります。

それを避けるため、違いを表現するために考えつく限り細かくルールパラメータを設定したところで、それがその舞台の特徴を表していなければ、単に細かいだけで、プレイしていてその舞台にいる!となんら感じることはできません。もちろん、大まかすぎると、その舞台が別の舞台であっても違いが生じず、登場人物の名前などが異なる以外は同じゲームと言われることになってしまいます(^^;A

結局、面白いシミュレーションゲームで必要なコマンドは、シミュレートする舞台を忠実に再現することもでき、違った結果を生じさせることもできるようなものであればよいということがわかります。つまりシミュレーションゲームは、ゲームである以前にシミュレーションである必要があるということです。とすると、内政も、ゲームだからといってただ単にコマンドを実行させるためだけに数値を上げさせるというのではなく、登場人物や時代が行った、もしくは行いうる行動を表現できるものであればよい。みんな同じことをするためのコマンドは極力廃し、普段のコマンドが史実にも沿い、また、史実から外れるようなものであればよい。まあ、内政を行わない奴、ということを表現するために内政数値と内政コマンドがあってもよいんでしょうが(--;以前お話した兵糧パラメータと同じくプレイヤーが準備を忘れるということだけが重要な数値やコマンドは、ゲームとしてならともかくあまり意味がありません。プレイヤーのコマンドがプレイヤーの志向を表現できる、これが大事なはずです(^-^)

さらに以前もお話したように、登場武将は重要人物であるべきです。とすると、その行動も細かい事務ではなく、大きな方針決定や重要もしくは大規模活動の決定といったところになりましょう。では、その上にたつプレイヤーはどうしましょうか。領土全域に対して内政方針決定を行うのは当然として、重要もしくは大規模活動を決定する…個々の城を超えた内政活動というのがやはりいまいちイメージがわきません。そういえばこれは州でも同じですね。今までからここで考えが固まってました(T-T)個別の城ではたとえば城壁修築や市場設置といった大規模活動が思い浮かぶけれども、州刺史や君主が具体的に州や領土全体に指示する具体的なことが思い浮かばない。むむ、しかし、一都市の太守としての君主ならともかく、複数の城をまとめあげる君主や刺史が、一都市の内政に積極的に関わるというのはかえっておかしい。首都州都であっても、刺史や君主とは別に太守がいてもおかしくはないでしょうし、彼が実際の内政の指揮をとっていれば、刺史や君主は直接手を出すことはない…

とすると、ほとんどそういう状態はすぐ終わるはずの、一太守としての君主のためだけの細かい内政コマンドをわざわざ作成する必要はありませんね。これに引っ張られるからかえって複数城を対象とした際に設定するコマンドが困るのであって、一太守の時期から複数の城を対象としたコマンド体系であるべきでしょう。う〜ん、実は色々細かく作ってたのでややもったいない気が…(T-T)まあ、仕方ないですね(^^;

さて、直接市場をつくるといった個別の城にかかるある意味細かい内政コマンドは取りやめるとして、この時代の内政の特徴はなんだったんでしょう。まず、以前も書いたことがありますが、後漢末は、貨幣がなかなか流通しないのに税負担があまりに重く、人民が籍も土地も捨て、豪族の荘園に逃げ込むことが多かったとされています。ローマ帝国でも、日本でもあったように、自由民の零落と荘園の発達という状態です。貨幣流通が滞るというのはデフレ状態ですが、現在の日本でも銀行も庶民も金を出さずにため込むことで生じているように、後漢末でも貨幣が豪族達の蔵に死蔵されていたことが多かったようです。

現在の日本のように紙幣をどんどん増刷してもお金が動かなければデフレになるのに、後漢末は貨幣量が金や銅といった鉱物資源に委ねられる上、シルクロード経由で徐々に西アジアに流れていって、とうとうお金が足りなくなっていったという事情のようです。しかも税が銭納であったため、農産物を安い価格でたたき売って銭に換え、とうとう行きづまると夜逃げし、夜逃げが続くと税収確保のためますます税率が上がっていく、という事態。夜逃げした人民は豪族の荘園に匿われ、そこで働くことになります。その結果豪族は財力が上がり、自らを守る私兵も有することができます。さらに豪族はその豊富な財力を背景に、地方や中央の官職を要求したり、私兵ともども軍務につくこともできます。

税を負担したり兵となるはずの自由民は荘園に逃げ込まれているため、太守も豪族を味方につけなければ税も兵も十分には得られなくなります。曹操はそんな時代の豪族出身で、やがては国家規模の荘園である屯田を行い始めます。孫権は江南の豪族達の頭として中央と対立し、劉備はその出自が豪族達には気に入られなかったのか、頭としてはなかなか認めてもらえずさすらうことになりますが、諸葛亮を得てようやく荊州益州を手に入れることができました。

豪族といえば田舎くさいですが(^^;、もともと宦官に党錮の禁で押さえつけられるまでは中央の貴族名士達であり、すでに地方において無視できない力を持ち、お互いネットワークで結びついていた豪族=名士を配下にしているか否かで統治能力に大きく差異が生じることになります。公孫瓚や呂布や初期の劉備は名士豪族をを無視する軍閥的統治であったため、統治領域がなかなか広がらず、またすぐに名士豪族が敵に寝返るため領内も安定せず、結局早期に滅びました。本来自らが名士の袁術は、不用意に皇帝を称してしまったため、朝廷に対する忠という儒教道徳中心の名士豪族の総反発を受けて滅亡しましたね。

これに対し、袁紹や劉表、劉璋は自らも名士で、名士豪族を重視したため、領土は安定し、向こうから味方についてくるために勢力範囲も広がりやすかったものの、名士達に左右されるあまりリーダーシップに欠ける面もありました。よくよく考えると、弱腰とされる劉表が、孫堅孫策孫権と3代に渡ってあれだけ戦えたというのも、豪族が劉表を余程もり立てていたのでしょう。しかし劉表が死ねば、朝廷の権威をもって攻め寄せた曹操にいともあっさり降伏するのも、これまた名士達の仕業といえます。そうそう、孫権も張昭はじめ、国内の名士達の不戦論に悩まされていましたねえ。

ここまで見てきたように、この時代では、内政で経済活性化を行えば町の価値が上がるというような単純な話にはなりません。購買力のある豪族は商品の多くを自給自足し、人民は金がないため、結局市場を建てたからといっても商品流通が活発化しません。公共投資をしても、豪族が取り込んでしまい、人民にはまわってこないでしょう。そうすると相変わらず景気は悪いままです。こんな風に景気が悪いのに戦争が続くので、必要な税を取り立てるために税率を上げないといけませんが、人民は税が上げれば上げるほど脱落し、豪族はあの手この手で逃れようとし、手心を加えるよう圧力をかけるでしょう。しまいには離反して敵方に寝返るかもしれません。豪族が荘園ごと敵領に移れば、戦わずして領土が減ります(T-T)税を下げ、取り立てをゆるやかにすれば、人民は逃亡することがなくなりますが、もちろん収入が減ります。戦争でもあれば悲惨です。そんな中、荀ケや張昭などの名士出身の文官達がいれば、なんとか豪族達に協力を得ることができるでしょう。もちろん志を説く、結束して戦う、といったことだけでなく、子弟を役人にさせるといった実利も与えての話でしょう。また、正しく官吏の不正を糺せば、下級役人による中間搾取も減り、税収も上がるでしょう。豪族に協力を求めることといい、官吏の不正を糺すことといい、コマンドとしてプレイヤーが実行するというよりも、その方針を聞いた太守や刺史達の普段の内政の中身のようですね。太守や刺史は自分達なりの行動を行うかもしれませんし、君主の言う通りにしたからといって、能力が伴わずうまくいかないかもしれません(^^;

さて、そうすると、内政コマンドとしうる内容は、税率、領内の豪族の支持、官吏の汚職の摘発、治安の維持、城壁の修改築といったところでしょうか。どれを、ということではなく、どれも、というところでしょうね。もちろん豪族ばかり目がいっていると、人民が不信感を募らせるでしょう。逆に人民にばかり気に入らる統治を行えば、豪族が不信を抱くでしょう。役人をどの階層の出身者からとりたてているということだけで、太守がどちらを見ているのかわかるものです。人民出身の役人は豪族から搾り取ろうとするでしょうし、豪族出身の役人は豪族には手心を加え、人民にはつらくあたってもおかしくありません。

こういった内容を人民/豪族比率ごとに税率、支持率、汚職や誣告割合等細かくわければ内政はまさしく色んな事をすることができる場になります。しかし、いかにも細かい(~_~;あまりに細かいとかえってみんな同じことをするだけになって、本来のシミュレーションではなくなってきかねません。やはり、どちらを重視するのか、方針を決める程度で十分な気がします。

てな感じの時代背景を意識した方針の決定後自動処理という内政が、実際にもマッチしてそうでよい感じはします(^^;君主は…出した方針に従わない者をどうするか、というものであれば面白そうです(^-^)む、しかし、この面白そうです、という表現で、結局ぼつった内容もこれまで多かったような気が…(~_~;しかし、三国時代をシミュレーションしたゲームとしてはなんとなくいけそうな感じですね(^-^)

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