kr_ryo 徒然日誌 <2006年2月19日分>

三國志製作記129〜寡をもって多を撃つ〜

南海からの湿った空気で妙にあったかくなって雨になるかと思えば、シベリアからの乾いた寒気が気温を下げる、まさに三寒四温、花粉も飛び出し、いよいよ体調がおかしくなってくしゃみ連発&洟々のkr_ryoでございます(~□~;)この時期の前だれははなたればっかりです(ToT)

と、話が毎週繰り返しになるのでさっそく本題に(^^;;いよいよもって戦場ルーチンをげしげしつくっているんですけども、どうもわからないことがあって止まります。何が止まるって、三国時代の戦闘って、やあやあ我こそは…!ではないですけども、個々の武将が部隊を率いて陣から飛び出すと、相手の陣からも何をこしゃくな!とばかり飛び出して一騎討ちしたり、部隊同士が激突したりします。ほんでからに、……???なんです(~_~;)

たとえば、若かりしときの関羽なんかが飛び出したとして、相手の武将がかかってきた途端青龍偃月刀の錆になって終わりだったりします。ほんでそれから??奴は仇とばかり、2人ほどつっかかっていって、相変わらずすこんすこん!と青龍偃月刀が頸をはねとばしでもすれば、まあ、3人程やっつけて終わりです。粛然として相手の陣はしんとする、と。そこに劉備が突撃を命じたら…少数のくせにとりあえず敵陣に突入するわけです。たいてい劉備軍は兵が少ないわけですから、相手が烏合の黄巾賊だったりすれば蹴散らせるんでしょうけども、袁術軍だったりの多少はまともな兵団相手だと、敵陣に突撃するのは結構無謀です。せっかく初戦は勝ってるのに、これじゃあちっとも有利になりません。

物語イメージでいけば、一騎討ちで恐れ入った敵陣にそのまま突撃して、ひるんだ敵が逃げ出して勝利、というところでしょうか。そうそううまくいけば劉備軍とか呂布軍は無敵です。しかし現実は、曹操とか袁紹とか、大軍を擁する勢力が勝ち残ったわけです。劉備だって徐州で曹操軍を蹴散らしただろう?まあ劉岱だとかの三下将軍に2万程の兵力では、単に牽制させただけ、という感じでしかありません。実際劉備も、これで曹操に勝てると思ったわけではなかったから、捕らえた敵将を送り返しましたよね。

何が言いたいのかというと、数が少ない側が有力な将軍を擁し、初戦の部隊戦や一騎討ちに勝った場合、その後の展開がよくわからないのです。数が多い側が初戦に勝てば、いや、勝てなくともそのまま数を頼みに総攻撃をすれば、まあ、相変わらずの有利さであることには変わりありません。後は将軍が数の多さという有利さをぶっ飛ばすほどの無能さでない限り、勝てます。ところが数が少ない側が初戦に勝ったら、はて、次はどうしよう?

数が少なく、攻めこまれているんであれば、まあ、陣を構えるにせよ籠城するにせよ、数が多い攻め手が主導権を取ることになります。攻めなきゃどうしようもないわけですからね。ところが、数が少なく、攻めこんでいる場合で、しかも初戦で勝った場合。数が多い守り手が初戦の結果にびびって陣にこもっちゃうと、やりづらくありませんか?

と、こう書いていて、数が少ないのに攻めこんでいる、という状況に???と思いました、が、例があるんです。諸葛亮の北伐です。で、実際問題として攻めてるくせに対陣して、結局退却する結果になります。曹操なんかの場合、多分ポーズだった董卓攻めの際の追撃戦とか、相手が烏合の衆に近いと知っていた青州黄巾賊攻めとか、袁紹が攻めてきた際の防衛戦など、比較少数で合戦に挑んだこと自体が少ないわけです。だからこそ勝ち抜いたわけですけどね。劉備の場合はほとんど常に弱小勢力ですし、その性格(ポーズ?)からして攻め込むことは少なく、守り手だったり、防衛側援軍だったりして、やっぱり少数の守り手側です。益州攻めや漢中攻めなど、少数側で攻めていることもありますけど、これはそうしないと滅亡するに等しいからですね。

それに対し、諸葛亮北伐は、結果から見なくとも作戦的にはかなり不利な方法です。兵が少ない、将も見劣りする、補給は厳しい…諸葛亮の戦争能力は怪しい、ということは以前もお話しましたけども、北伐自体が、まあ、蜀の国是であって、やらなしゃあない、という面はありつつも、うむー、勝機が見だせない(*_*)別に北伐に限らず、少数の攻め手で、初戦に勝って、で、どうやって最終的に勝つ、か。です。

守り手が怒りにまかせて総攻撃をかけてくれたら、攻め手は兵は少ないものの優秀な将が縦横無尽に暴れ回る余地は出てきます。しかし、司馬懿もそうでしたけど、数が多く、かつ、じーっと守ってしまったら、攻め手はやや不利な敵陣攻撃を敢行せざるを得なくなります。諸葛亮が司馬懿をおびき出そうとしたのはそのためです。それでも出てこなければ、不利を承知で攻めこむか、補給がつきる前に退却するしかなくなります。それ位なら、魏延が最初に進言したように、少数の部隊で奇襲している方がまだましです。どっちにせよ少数の攻め手であるなら、陣を構えた大軍を相手にするより、敵の不意を突いて援軍が来るまで守りきった方がまだましでしょう。

ところで、我が国でも同じような例があります。長篠の合戦ですね。個々の将が優秀な武田軍は少数の攻め手、数が多いものの弱兵弱将の誉れの高い織田軍が多数の守り手です。三千丁の鉄砲の三段撃ちばっかりが有名ですけどそんな戦術レベルの内容以前に、大軍で陣を守っているところに突っ込む攻め手、というものの末路がどうなるか、見えすぎるほど見えすぎます。武田の諸将は無謀であることを知りながら、勝頼の下知の元突撃した、と言われますが、もはや徳川に仕官した頃ならばなんとでもいえます。京を抑え、膨張する織田軍に対し、山国で逼塞する武田軍。状況的には魏と蜀とそっくりじゃあありませんか。いずれにしても、諸葛亮軍に関羽や張飛並の将がいたとしても、司馬懿の陣に突っ込むことは武田軍とそっくりな状況になりかねませんね。

そう考えていくと、やっぱり兵力が少数の勢力はどうやっても天下を取れないことになります……って、ふんふんうなずいてはいけませんよ(^^;;;曹操は袁紹に対し比較少数の上四方皆敵でした。それでも最後は勝ったのです。少数の勢力による多数の撃滅。曹操はできて諸葛亮はできなかったのは、まあ、相手が悪かった、という面もあるんでしょうけども、主将の能力の差……いやいや(^^;;そうそう、織田軍だって比較多数の今川軍を打ち破った桶狭間の合戦がありましたね。まあ、あれは攻めこまれて…………ん!!!

そうですね、袁紹も今川軍も攻めこんで負けています。少数の場合、多数に打ちかかってはいかんのです。守って守って、敵が出てきたところを決戦で蹴散らす。不利な少数という状況を、守ることで挽回し、敵の突出を待って叩く、これです。諸葛亮にせよ、武田勝頼にせよ、少数で攻めこんでも残念ながらなかなか勝てません。どちらもやむを得ぬ出撃に見えますが、やむを得ぬ状況に追い込まれていること自体、残念ながら勝機が薄いと言わざるを得ません。少数で勝つためには、敵に油断して攻めこんでもらわないといかんのです。とはいえ北条家のように、秀吉軍に万全の構えで攻め込まれ、しかも決戦を避けられては勝てませんが…(^^;

そうこう考えていくと、多数だろうが少数だろうが、攻め込む、というのは不利になりやすいんです。それを覆せるだけの兵の量や将の質、そういうもんが必要になってくるでしょう。逆に、守り手も、ただ守っているだけではそのうち他の要素で守りの有利を挽回されてしまいます。守りの有利を今のうちに使えるように、敵に油断してもらい、攻めこんでもらわないといけないのです。そう考えると、あえて少数精鋭で対陣した曹操や、弱兵弱将という評判のまま、しかも長篠城の後詰めに出てるくせに陣にこもったままの織田軍、これは相手の油断を誘って攻めこませようとしている作戦のうちに見えてきますね(^-^)

少数の兵力ながら、優秀な将が縦横無尽に駆け回って勝利をもぎ取る。または、神の如き智謀の将がすさまじい策で相手を翻弄する。これが受けに受けたのが三国志という物語なのです。けれども実際は、やっぱり多数になった方が勝ってしまうのです。多数でなければ、油断を誘い、攻めこませて決戦で勝つ。歴史はこれしか認めていないようですね(~_~;)だから最初の疑問、少数の攻め手が初戦の一騎討ちで勝っても、相手が陣を守っちゃえば…そうなっちゃあ攻め手はどうやっても勝てないんです。次の展開がなくなります。多数の守り手があほうな将軍で、恐怖のあまり青くなって逃げ出すとか、怒りのあまり赤くなって総攻撃するとか、そうしてもらえればまだチャンスはあります。ところが女物の服を贈っても、罵っても、陣から出てこなければ勝てません。相手が青くなったり赤くなったりする程度の将ならチャンスはあります。逆に、そうでなければ攻めちゃあいかんのです。諸葛亮といえど、武田騎馬軍といえど、少数で攻めるのは不利なのです。いわんや……をや(^^;;

と、これが結論ですね。SWGのような単純兵力差が勝敗に明らかに直結するようなゲームであれば、少数の兵力で多数を攻めるなんてことはあんまり考えないため、兵力差だけがものを言う、と言われておしまいなんですけども、武将や提督が出ようとも、やっぱり優秀な将と多数の兵がいる方が圧倒的に有利なんです。それでも、初期の曹操軍や織田軍のように、少数の兵、優秀な将という状況で、守りを駆使して決戦で勝つなり、多数の兵、無能な将という状況で、とにかく押し出す。って、それだけ戦略の幅が広がったら、確かに兵力差だけがものをいうわけじゃあありませんね(^^;;兵力差だけがものをいっても、将才だけがものをいっても、どちらもおもしろくない、両者がうまくミックスして戦略の幅が広がってこそ、おもしろくなるというもんですね〜(^O^)

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