kr_ryo 徒然日誌 <2006年4月2日分>

三國志製作記134〜さあ一騎討ち!腕が鳴るわい〜

さて、前回までなんだか難し〜い話が続きましたが、要はお金という要素はやっぱり使えない時代が三国時代だったということなのです。お金が使えていれば、魏はもっと簡単に天下統一ができたでしょう。いや、戦乱が生じず、後漢が続いていたかもしれません。そういう意味では、後漢という統一王朝は、時代に終焉させられたともいえましょうか。

と、また難し〜〜い話に舞い戻りそうなので(^^;;より簡単な話、戦争戦闘について検討したいと思います。こないだ李世民(小前亮著、講談社)という本を読み、とってもおもしろかったところです(^-^)で、その戦闘シーン、結構たくさん出てくるんですけども、武将の能力が非常に重視されていました。それも、一騎討ちの能力です。戦闘はまず一騎討ちから始まるんです。それで思ったのが、鎌倉武士(^^;;

三國志では、最初は一騎討ち重視、その後すぐに、曹操や周瑜や諸葛亮や司馬懿などの智謀重視になっていきます。連中はたいてい一騎討ちしません。まあ、李世民も一騎討ちせずに逃げまくったりしますけども、戦に強い最強の将ということになっています。そういう意味では、一騎討ちから始まるとはいえ、やっぱり最後は智謀の将がいる方が勝つ、と。

だいたい総大将は一騎討ちする必要がない、といえばないですわな。配下の武将が豪傑であればいいんです。そういう意味では、豪傑に惚れられる劉備、豪傑を集めようとする曹操、と、智謀の将ばかりが大事にされたわけではありません。

で、その一騎討ちの行方でその後の戦闘が左右されることもあるわけです。逃げる敵を追って敵陣まで混乱させたり、逆に追ってる最中に味方の指揮がおろそかになっている隙を突かれたり、などです。必ずしも討ち取ることだけが大事なのではなく、戦ってる最中にいつのまにか乱戦になったり、全軍が見とれて、結局戦闘が始まらなかったりすることもあるわけです。

ここからわかることは、いきなり兵隊同士がぶつかったりすることがない、ということです。とりあえず将が前に出ているんですね。指揮官が後の方で行け〜進め〜と言ったって、兵隊はなかなか前には進んだりしません。指揮官が突っ込むのにつられていくわけです。で、指揮官が前に出てるからこそ、一騎討ちが生じるのです。

で、一騎討ちで負けそうになった場合、副官でもいたら、援護のため兵隊に突っ込ませるわけです。これがいなかったら、背中を見せて逃げ出すことになり、敵に追いかけられて、さらにそこに突っ込まれて壊乱状態になる、と。他の敵兵も将が一騎討ちで優勢だと見たら、準備万端、将を追っかけていくでしょう。逃げた方の将は、配下の兵がまともで将の人望があれば、負けそうな時にちゃんと助けようとするでしょうが、そうでなかったら一緒になって逃げるかもしれません。

特に徴兵された兵が多い場合、将の素質でこんな風な感じの初戦になるはずです。いきなり兵だけが前に行くことはどうやらなさそうなんです。こう考えると、武将の質だけでなく量も非常に重要になります。余ってる、なんてとんでもない(^^;;

たとえば武将が総大将が1人だったりします。敵と相対してつっこめ〜進め〜!と後の本営で言っても、前線の兵は顔を見合わせるばかりかもしれません。指揮官がいないといかんのです。いくらなんでもばらばらにやみくもに進んでも仕方ないと、誰でも思うでしょう。で、仕方がないので総大将が先頭に立ちます。敵方から敵将が一騎討ちをしかけてきます。勝てばともかく、負けそうになって陣に逃げ込んだら、それこそ兵隊もばらばらになって逃げ出すに違いありません。逃げるので必死で、兵をまとめることなんてやってるひまがないのです。やっぱり、三下武将でも他に将がいた方がよいのです。

逆に、つっこめ〜進め〜と総大将が命じて、兵がちゃんと進んだとします。しかし指揮官が前線にいないと、そこかしこで無秩序な乱戦になっていきます。将がいるからこそそこを中心にまとまるのです。兵隊ばかりだと、まとまりがなくなるのです。さらに逆に、前線で将が奮闘していたら、全体を見ている余裕がなくなります。将がいない場所で乱戦になっていくと、部隊全体としての攻撃力がなくなります。前線の将と総大将、やはり将は複数、多ければ多いほど、単なる兵の集団よりも強くなると考えられます。

それから、李世民でも何度か言及され、またボードゲームの戦国大名やファミコンの不如帰で表現されていた予備兵と陣のまとまりも、戦場で大事な概念です。数万の部隊も、現に前線で戦っている兵士は数千のはずです。横一直線で相対しない限り、全兵が一度に接敵するはずがありません。後の方の兵は前の兵が倒されたら前に出る、というのが普通でしょうが、最前線の兵も、疲れたりけがをしたりしたら、後退して交代するでしょう。

そうやって個々の兵がばらばらに戦っているんでなく、お互い助け合いながら戦っていく部隊は強力で長く戦えます。乱戦はそれがなくなり、ここかしこで勝手にばらばらに戦っている状態ですね。乱戦になっているところに、新手のまとまった部隊がぶつかったら、あっという間に蹴散らすことができるでしょう。個々の兵がいくらがんばっても、集団にはかないません。だから、将はできるだけ部隊がまとまった状態を維持するようにしなければなりません。

とはいえ、兵も傷つき倒されていけば、戦線に穴があくこともあります。そんな穴に部隊が突っ込まれたら、連絡がたたれて、ひとつの部隊として戦えなくなります。そういう穴に総大将が手持ちの予備部隊を派遣するわけです。ここでも、最初から全兵が全部、戦っているわけではないということがわかりますね。そうして予備部隊がなくなれば、後退して戦線を縮小させなければ、穴は広がっていくでしょう。この辺が兵の量が戦闘に影響するところです。で、予備兵がなくなったのに穴があいたり、穴があいているのに放っておいたりしていると、部隊のまとまりがなくなります。兵がまとまらなくなると、前線で疲れても後退もままならなくなり、援護もされず、一方的にやられたりします。兵の損失が急に増えるという状態でしょう。

こんな風に、予備部隊は必ず武将が率いる別の部隊、というわけではなく、ひとつの部隊であっても予備部隊の概念はあってもおかしくないでしょう。もちろん、各部隊全部を通してみて、総大将の持つ武将つきの予備部隊という概念もあります。戦国大名や不如帰では、先鋒から戦い始め、後詰め部隊を送り込んで士気を上げます。で、後詰めが全部登場せず、途中だろうがなんだろうが、士気がなくなった方が負けです。だから相手が大軍でも勝てる可能性があります。

で、先程の一騎討ちと相まって、呂布みたいな奴が先鋒であっと言う間に敵の武将を血祭りにあげ、混乱した部隊を蹴散らし、総大将部隊のところまで駆け抜けてくる。側近武将がなんとか相対し、「総大将、お逃げくだされっ!」「邪魔だ!」そうこうしているうちに総大将部隊中の予備部隊が呂布を包囲しようとする、それに気付いて「勝負はまた今度だ」と、呂布が血路を切り開く…こういう感じになるんですかね…って、呂布一人舞台ですがな(^^;;

ここで大事なのは、部隊の兵がいくらいようが、将が一騎討ちで負けてしまえばあっと言う間に混乱する、ということです。副将でもいれば別ですけどね。無駄に張り付いているわけではない、と(^^;;だからむしろ、智謀の将を単独で部隊の将にはさせづらいということです。張飛みたいな武勇の将は、部隊を有機的に動かすのはやや不得手、つまり部隊同士で戦うと、破壊力はあるものの守りに回ると弱い、しかしながら一騎討ちや突撃で敵将を圧倒することができる、と。逆に程cや諸葛亮なんかは、当然前線で一騎討ちなんかはできないので先頭に立っての攻撃ができないために破壊力が前線の兵のそれレベルになる、と。しかし弱いところをすぐふさいだり、包囲したりして、長く戦い続けることができる、と。それぞれ特徴ある戦いができそうです。部隊長に智謀の将、前線の部将に武勇の将を配する、または長に武勇の将、副官に智謀の将など、組み合わせればいい感じになるはずです。逆に、単品だと弱点を突かれると弱いでしょうね。

武勇の将同士を長副にしちゃうと、たとえば一騎討ちで主将がやられそうになると、副将が飛び出してきたりして、助けあうこともできれば、二人まとめて血祭りにあげられたりすることもあるかも…(--;)智謀の将同士に組み合わせだと、前に進まないので守ってばっかり、けれどもなかなかしぶとく生き残る…あんまり組み合わせてもおもしろくありませんね(^^;;少なくとも一騎討ちには応じないでしょうから、「わはは、敵は我が姿を見て怖けづいておるぞ、者共突撃じゃあ〜!」と突撃してきた敵にいかに対応できるか。真っ先に逃げてたりして…(^^;;;

智謀の将が前に進まない、というのは、たとえば諸葛亮は、司馬懿と五丈原で相対したときも、けしかけはしたけど、自軍を進めようとはしなかった、ということからもわかります。司馬懿からしてそうでしたけど、あれは諸葛亮のワナを警戒していたからでしょう。諸葛亮が実は戦ベタというのは以前もお話したことですけど、そういえば自ら攻撃させたことはあまりありませんね。前に進ませるには前線に立たないといけない、前線に立てば一騎討ちを望まれたりもするし、真っ先に激突したりもするし……まあ、無理ですわな(^^;;そうなると、守るしかありません。守るための堀や柵やワナなど、土木工事なら智謀の将の方がうまそうです。

ところで、戦国大名や不如帰は、一部隊一部隊増援させているわけですが、実際の戦闘では順番に戦わなければいけないわけはありません。順番待ちしているよりは横に展開しているでしょう。もっとも、広く薄く広がるくらいなら一丸となった方がましです。横に広がるか、縦に連なるか。陣形の問題です。ふむ、最近長すぎるような気がするので(^^;この辺はまた次回検討することにしましょうか。

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