kr_ryo 徒然日誌 <2006年6月25日分>

三國志製作記144〜動員の限界〜

いやあ、プログラムに回帰しようとしていたのに、よくあるシミュレーションゲームのシミュレーション的おかしさを考えているうちに、すっかり再びシミュレーションしてしまいましたね〜(^^;Aが、考えれば考えるほど、よくあるシミュレーションゲームはプログラム的やりやすさ、つまりゲームというより、シミュレーションというより、プログラムとして楽な方法を取っている、ということに思い至ります。無限のお金しかり、常備大軍しかり、中身のわからない国力しかり、それを上げる複雑な内政しかり…

プログラムしていくと、現状の数値を表示させること自体デザインや方法なんかでいろいろ難しいのに、その推移や経緯なんか、いちいち保存して表示してられるか〜(x_x)と思ったりします(^^;Aまた、数値同士の関連、つまりレートなんかも、厳密な意味ではわかるはずもありません。なんとなくバランスでえいや、となっちゃうんですが、ゲーム初期と後期でバランスが全然違うようになったりなど、これまたよく考えられたゲームとそうでないのと、ま、はっきりします(~_~;)

特に前線にはりつく常備大軍。ゲームをしていれば当たり前に感じ、しかし物語を読めばこれ程おかしいこともない、と言える程、私の中ではおかしなことと感じてました。隣接国同士が常備大軍を前線に張り付かせるからまだしも、物語ではそんな状況はそうありません。戦争直前ならともかく、ずーっとにらみ合っているのはおかしい、と。

そのおかしな原因を突き詰めると、前線だけでなく、常備大軍が用意できてしまうシステムである、ということ自体が問題なんだ、と。つまり、三國志で常備兵式はおかしいんじゃないか、ということが前回のお話でした。

そして、臨時に大軍を興す動員兵式が本来あるべき姿なんです。が、これがまたプログラム的には難しい(*_*)どこの兵を何か月間だけ動員、と記録してなきゃならないだけでなく、10万3か月動員が20万6か月動員にするには、どれだけの国力の違いが必要か、というレートの問題があります。

もっとも、作戦、つまり出撃先と出撃部隊を分けて、きちんと記録しているシステムのゲームもあります。いつも例に出すボーテックの銀河英雄伝説4です。もはや古いゲームではありますが(T-T)これに匹敵するゲームがまだ出てない気がします(ToT)で、このゲームでは、出撃先と出撃艦隊数を決め、その後、出撃艦隊を決めて出撃させる、その上、出撃先を決める職にある者と出撃艦隊を決める者とが別である、また、他の提督やなんかもその決定を左右できるという、すごく、らしい、ゲームです(^O^)

最初の作戦の中止や出撃艦隊数の増減、出撃艦隊の変更など、後からいつでも可能です。本来作戦とはこういうもので、作戦決定から出撃までゲーム上の6日でできてしまう以外は、非常にいい感じなんです。もちろん常備艦隊なんで、それでもいいか、とも思えるんですけど、確か物語では、戦争が続いて経済が破綻しかけているはずなのに、ゲームではまったく平気です。戦艦もばんばん生産できますし、戦争にかかる費用もすこしです。1艦隊の出撃で80程度の費用に対し、はなから何万もお金があり、何万も収入があるんで、まさに戦争するためのゲーム。

戦争するのにさほど障害がないのでばんばん出撃してばんばん戦争できてしまうため、せっかく首都から出撃して防衛戦を行う仕組みになっているのに、前線張り付きが最も効率がよいことになっています。敵もばんばん攻めてくるんで、そのうちいちいち戻ってられなくなるんです。そうでなくとも、張り付きに費用がさほどかからないため、張り付けておけばいい、ということになるんですね。

このすごくいいシステムのゲームにして、レート、つまり費用バランスが悪いために当初の意図と違った結果になります。出撃に費用がほとんどかからないなら、敵の出方にかかわらず前線常備、水際配置でしょう。が、それでは、いかんのです。銀英伝自体設定は常備艦隊なので、動員という発想の三國志とはちと違います。動員にかかる費用が高いのであれば、そこで調整できます。対して常備艦隊を領内に出撃させるのにさほど問題はないのではないか…?設定からしてやや無理がある可能性がありますね(^^;A

と、話を三國志に戻しまして、10万の軍6か月動員と20万の軍3か月動員のレートの問題をなんとかクリアさせましょう( ..)φまず兵員を揃えることと、少なくともその兵員を3か月は行動させることとはほぼイコールでしょう。本当は動員して1か月で揃い、出撃〜帰還で1か月、解散除隊で1か月の計3か月という意味です。この場合、最初の1か月はとりあえず手弁当です。動員地までこなきゃ、弁当も渡せません。故郷で持たせてもらうことにしましょう。帰りの1か月も、まあ、はいさよなら、で終わりでしょう(T-T)ということは、正味出撃〜帰還までの1か月、ここですね。

10万の大軍といいますが、人口はその辺の一郡だって何十万といるわけですから、老若とりそろえて10万、まあ、無理やりでも農閑期1か月、前後あわせて最長3か月ならなんとかなりましょう。結局1か月10万人分のタダ飯はどういう意味を持つか。そう考えると、人口が多いから10万の兵を用意できる、というより、人口が多いから、税に余りも出てくるから、10万の兵のタダ飯を用意できる、という風が自然ですね。10万の兵のタダ飯1月分が余裕なら、10万の兵のタダ飯3か月ならどうか、20万の兵の1月分ならどうか…

と、遠征する場合と、防衛の場合とも別に考えないといけませんね。防衛の場合、移動距離はほとんどありませんし、何十万と生活している城ですから、とりあえず10万増えても、窮屈ながら何とか生活できましょう。そのための中国のでかい城です。普段の統治がまともなら領民も協力してくれるでしょう。防衛軍の場合は限界いっぱいまで兵を集めることができる、と考えられます。ここでいう限界いっぱいと、遠征による限界いっぱいはやっぱり違います。防衛のための限界いっぱいは、まともな兵としてまともに防衛のために戦ってくれる志のある者で、敵が攻めてくる前にとりあえず城に入れた者達のことです。対して遠征のための限界いっぱいは、民が飢えない程度に集めた兵糧で、予定の月数戦える兵数です。

無限のお金、という要素を廃止したいと考えていましたが、数値としての兵糧はやっぱりいりそうですね。が、それは、大軍を長期間戦場に送るために、かつてはお金、今回は兵糧をしこたまじっと貯めて貯めてするプレイが想定されます。が、本当にそうか…?

お金が政府に貯まったままだと、民は流通の少ないお金の価値高騰に苦しむ、すなわちデフレに見舞われるというお話を何度もしました。それでなくとも後漢末はデフレで民は苦しんでいるのに、今度は兵糧をしこたま蓄えることになるわけです。それも無駄に。銀英伝じゃあないですが、戦争のために政府がバランスを崩してまでお金や資源を蓄えると、デフレの上物もサービスもなくなるという大不況状態になります。遠征のために兵糧を蓄えるのは、これに近いものがありますね。ただ…ただ、蓄えた兵糧の使い途が戦争以外にないなら、つまり、内政コマンドにまわらないなら(^^ゞ、結局戦争しないなら兵糧が貯まるだけのことで、さほどおかしなことをしているわけではありません。むむ。

とはいえ、税収が変わらないなら、1か月の戦争を12回するのと、1年間戦いっぱなしと、一緒の量だけ減ります。そうだとすると、兵糧という数値は、これまでどれだけ戦争していて、これからどれくらい戦争できるか、を示す現在の数値でしかありません。それでも兵糧という数値が便利なのは、10万6か月まで貯めたら20万3か月が可能なんじゃないか、というレートを表すことができるように、思える、からです。

まあ、私も、遠征のための限界いっぱいは、兵糧による、と言いましたからね(--;)しかし、1年の兵糧で10万の兵を3か月動員できる国が、2年我慢したから、20万の兵3か月、3年我慢したら30万の兵3か月か10万の兵9か月、というレート、これがやっぱりおかしい気がするんです(~_~;)10年我慢したら100万の兵です。うーむー。

おかしいというのが、結局1年の兵糧で10万の兵を3か月動員できる、というベースの国力が、まるまる100%を表していないんだと思います。単純にいうと、かき集めてかき集めてようやく10万の兵を3か月動員できるんだ、と。2年我慢したら、10万3か月ならようやくかき集める程度ですみ、3年我慢したら、10万3か月をかき集めなくてもなんとかなる、と、この程度なんじゃあないか、と。すなわち、10万3か月動員が限界、というのは総合国力によるものであって、ただ兵糧だけによるものではないんだ、と。

つまり10万3か月動員の国は、どうがんばっても、何年も爪に火を点そうがなんだろうが、10万3か月、いいとこ4か月か5か月動員なんであって、20万3か月にはなりえない、と。そう考えると兵糧という数値は外せます。3か月、実質1か月分の兵糧が1年たって4か月分、実質10万人分2か月分になるからといって、20万人分実質1か月には、確かに兵糧だけ見ればそうなっているんでしょうけど、そうじゃないんだ、と。

そういえば、古いバージョンの常備兵式システムで、やたらと資金制限がかかっていたものの話。たとえば1の兵は1月1の資金消費だ、とした場合、1年で12の資金消費です。とすると、120の収穫がある国では、1年10の兵を養えます。ところがちょっと無駄遣いして100しか資金がなかったとすると、10か月目で資金が0になり、11か月目で10の兵は全部消え去ります。101〜109なら、それぞれ1〜9だけ生き残り、110あればとりあえずこの年は生き残りますが、すでに12か月目で110になっているので、1でも無駄にすれば即兵数が減になります。10万3か月動員というのは、これに近い感じがしますね。ぎりぎりというか、はみ出しながら、そのはみ出しは総合国力でカバーされているだけで、20万なんてとても無理、というような…

結局、10万の兵を動員できる国は、3か月、どうにかこうにか4か月くらいは遠征させ続けることができる、と。そうやって一度総動員を行えば、もはや疲弊してしまって、次はなかなか集められない、と。兵にせよ兵糧にせよ先集めなので、疲弊してしまって全然ないところから集められないので、次はないんです。1年たって、ようやく余裕が出て、次の3か月動員がなんとかできる、という程度でしょうか。で、それより少ない、5万とか1万の兵の動員は、ちょくちょく、または数か月とか半年とかの遠征が可能ではある、と。限界を超えた動員ではないので、のべの合計で10万3か月になる程度までは大丈夫である、と言えます。

そう、よくよく考えると、10万3か月動員できる国が1年何もしなければ2年で20万3か月動員できるんではなく、何も変わらなければやっぱり10万3か月動員でしかない、というのが自然です。長いこと遠征したければ、限界以下の、数万の軍勢ですればよかったんです。掛け算の発想ではなく、割り算の発想ですね。こういところにも、無限のお金と右肩上がり内政の影響があった、というべきでしょうか。うーむ、書いてみると、なんとも当たり前なんですけど、いつものことながら、ここに行き着くまでが難しい、というところでした(@_@)

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