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わたくしの仕事環境――収入を度外視したSOHO例。
(第7回−最終回)

 
白石昇


●収入の見通し。

 スコールにいてこまされて取り込み忘れた洗濯物をついついそのまま再度乾かして着てしまいがち雨期真っ盛りな今日この頃ですが日刊デジタルクリエーターズ読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 ご無沙汰しております白石昇です。初めましての方は初めまして。わたくしの職業属性は言語藝人ですが、やっていることは要するに引きこもりです。相変わらず椰子畑となりの秘密基地で引きこもってます。以後お見知り置きを。

 さて、わたくしは春からずっと引きこもったまま泰語の辞書に弄ばれる日々を積み重ねてきたのですが、この度ようやく下訳が終了いたしましたいえーい。

 当然これからこの下訳を皆様に楽しくご賞味いただける品質の日本語に書き替えて、市場出荷する予定であります。市場出荷となるとそれは商品として流通すると言うことですので、当然翻訳言語藝人として商品開発に携わったわたくしにもお金が入るのです確実に。

 お金ですお金。去年コンクールの賞金とメールマガジンの広告費を頂いて以来の藝道収入です木戸銭です。しかも賃労働ではなく自分の美意識に基づいてなされた仕事による藝人として誰にも後ろ指差されることない現金収入です。再度いえーい。

 しかも、今回のお仕事は翻訳言語藝。いわばイスラエルで食ったシュニッツェルの美味しさを、チキンカツ定食としてアレンジした上で日本の皆様に味わって頂くようなもの。素材と調理法自体の品質は保証されているのですから、この仕事が商品として価値がないわけはありません。
 
 
 

 結論として一年ほぼ一年ぶりの藝道収入はゲットしたも同然です。

 とそういった状況をふまえた上で藝道収入の見通しがついたと言うことで、今回でこの、『わたくしの仕事環境――収入を度外視したSOHO例』の連載を終了させていただきます。短い間ですが読んで戴いて有り難うございました。

 あ、この程度の掲載頻度で連載たあ笑わせるぜ、などのまったく持ってまっとうなツッコミなどしていただくと、羞恥恥辱の悦びに心震えて日々の生活に支障が出ると推測されますので一方的にお断りします真性マゾとして。
 
 
 

 真性とは言え、マゾにも人並みの日常というものがあるのです。どうかそっとしておいてあげてください。

 とさりげなく妄想に足を踏み入れたところでふと疑問がまろび出てきました。それはものすごく根本的で、避けては通れない疑問のような気がします。
 
 
 

 作品を商品にして市場出荷、って具体的にどうやるの?

 実はわたくし、今まで自分の藝を売り込んで商品化したりしたことが一切ないのです。それどころか作品を市場出荷したこともありません。藝道収入は誰に依頼されることもなく勝手に出品してゲットしたコンクールの賞金とメールマガジンの広告収入だけなのです。

 要するにまったく売り込みのスキルというものがないのですわたくしには。

 と、いうことなので当然、売り込みの素人であるにも関わらずわたくしはこれから市場出荷のために仲買業者に蹴り込まねばなりません。

 翻訳言語藝商品なので当然、商品売り上げに伴う利益分配契約等の法的手続きもありです。

 しかもそれら全てが外国語でなされます。

 なんかこの段階まで来てようやくデジタルクリエイターズのネタとしてはそれらしくおいしいものになってきたような気がします。これまでわたくしは、他の寄稿家の方々との間にたとえようもないくらい深い河のようなものが存在しているのを自覚していたのですそれはもう確実に。

 いろいろとクリアすべき事項はありますが客観的にネタとして見た場合、一番の見所はやはり、仲買業者さんの常識を知らないわたくしが今後何をしでかすか、だと思います。

 今後ある程度進展していった時点で、デジクリトークとして皆様に状況を御報告したいと思っております。

 あ、もちろんデジクリ様が掲載してくれれば、の話ですが。
 

初出・【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0942 2001/09/28.Fri.発行

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