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■デジクリトーク

日本販売総代理。

白石昇

●日本販売総代理。

 結局、ボランティアアシスタントの大学生に事務所側へ電話して貰い、著作者舞台の超プレミアムチケットをただで押さえて貰った。誠に申し訳ないことである。

 そして、友人の犬巻カオルからは発売されると共に舞台のレポート記事が掲載される、という線で日本語情報誌編集サイドの内諾を得た、という返事をもらった。著しく申し訳ないことである。

 半年以上ひとりで動いてきたこの仕事が、儲かるか儲からないかもわからないままいろんな人を巻き込みはじめていた。

 儂は翻訳出版許可を貰ってからずっと睡眠時間四時間で自分でもうざったいくらいにハイテンションになっていたのだ。

 なにしろ話は予想以上に大きくなってくるし、やることはいっぱいあるし、年末だし、親も年だし♪らーらーらー、らららー♪なのである脳内を中心として。

 そんな大黒なおめでたい脳内状態のまま、儂はアマゾンを中心とする日本における電子書店サイトから情報収集をした。その結果日本で書籍を通信販売するには、以下のふたつのものが必要なことがわかった。

 1.ISBNコード

 2.日本国内販売元の住所。

 まず1.についてだが、これは問題ない。書店に並んでいる出版予定先である大手出版社の本にはすべてISBNがついている。儂がどうのこうの悩む必要など無いはずだ。おそらくは出版された時点で勝手につくのだ。

 問題は2.についてだった。

 儂は数少ない儂の在泰日本人社会人脈の中から、とある分野の専門的コーディネート業をやっている会社の社長さんに、これまでの流れと販売代行にからむ利益など記した、是非貴社にお願いしたいのであります旨のメールを出した。以前社長さんには、下訳製作途中にそれとなくほのめかしておいたのだそんな儂の気持ちを。

 しばらく経ってから電話してみると、社長さんは、まあ引き受けてもいいですけど話がもっと具体的になってからじゃないとはっきりした返事は出来ませんね、と言う。まあ当然だそれは企業の長として、と儂は思った。

 話が急展開しすぎて儂はどうやら少し自分を見失っていたようだ。

 まあ最悪断られた場合、日本に戻って自分が販売元になればいい。だからこの件に関してはもっと話が具体化してから動くべきだ。そもそもそんなに焦る必要はなかった。泰国内で発売してからだって遅くないのだ。

 もしどの書籍販売サイトで登録できなくても、いざとなったら儂が本を担いで日本中の書店やお客様に直接行商して回ればいい。

 出版に限らずものをつくってそれを売るという行為はそもそもそう言うものだ。少なくとも儂の中ではそうだった。

 あとはいいものをつくってお客様に満足していただければそれでいいのだ。

つづく。

初出・【日刊デジタルクリエイターズ】   No.1085 2002/05/20.Mon.発行


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