昨日ずっと午前中、夢に出てきたドーム君から導き出された妄想が頭を離れず、仕事も進みませんでした。するとわたくしは、ふととある方に電話せねばならぬ事を思い出しました。とある方は在泰日本人なのですが、さる方が日本から御来泰されていらっしゃり、その件で電話するようにいわれていたのです。

　わたくしはまずとある方からメールで送られてきたさる方の宿泊先に電話しました。が、しかしどうやらさる方は思いっきり部屋にいらっしゃらないようです。仕方なくとある方がお持ちの携帯に電話してみました。

　とある方の話によると、どうやらさる方がわたくしをお食事に招待してくださるらしいのです。午後六時にさる方のご宿泊先に伺うことに決まり、わたくしはいそいそとお出かけの準備を始めてとっととお部屋を出ました。

　バス渡し船バスと乗り換えてゆくと比較的早めにさる方がご宿泊なされている都内の宿泊施設に到着いたしました。そこでわたくしはさる方のお部屋に入れていただき、後から来たとある方と三人でしばらくお話ししました。さる方からワインクーラーとビールを三本ご馳走になったのですがコンビニで買ったその値段を合計するとおよそ今月に入ってからのわたくしの二日分以上の生活費に相当します。

　そして日系のステーキハウスでハンバーグセットとハイネケンビール並びにクロスタービールをご馳走になりました。たぶん今月に入ってからのわたくしの五日分ほどの生活費に相当する豪華なお食事です。その後満腹になったわたくしをさる方はスリウォンのカラオケ屋さんに連れてってくれました。

　あ、ここのカラオケ屋さんウエブサイトがあるのですがアドレス忘れました。もし関係者の方でこのメールマガジンを購読されていらっしゃる方がおられましたら至急教えて下さい。

　このカラオケ屋さんは、いわゆる日本式のお店ででホステスのお姉さん達がテーブルにつき、日本語での会話を楽しみながらお酒を作ったり、口にフルーツやナッツを運んでくれたりするとても煩わしいところです。で、当然日本人御用達のお店である訳なのですが、何故か泰語のカラオケもあったりします。

　きっとまだお店に入りたてでひらがなが読めず日本のカラオケが歌えないお姉さんの為に存在するのでしょう。で、わたくしは調子に乗って泰歌謡を歌ってたら、ＤＪさんがずっとＶＣＤをかけっぱなしになさいます。きっとこれは止まるまで歌え、ということなのだと思い、お酒を飲む暇もなくひとりで剛田たけしリサイタル状態になっておりました。

　お客さんが少なかったからまあ良かったものの、もしたくさんいたならばきっと他の日本人客はご機嫌ななめになっていたでしょう。運が良かったです。ああよかったよかった。

　お姉ちゃん達もこの状況に何かを許されたような気がしたのか立てつづけに泰歌謡を歌い始めます。ノリノリです。きっと日本人御用達のこのお店ではそう簡単に母国歌謡を歌うこともできないのです。ああ言語的迫害を受ける娘達。

　とわたくしが勝手な妄想に胸を詰まらせているとさる方がお帰りする時間になりました。さる方は、一人あたり今月に入ってからのわたくしの二ヶ月分近くの生活費に相当する豪華なお勘定をされています。ごちそうさまでした、とお辞儀をし、わたくしはさる方とある方のお二人と別れました。

　で、バスに乗ってタクシン橋下まで行き、メナムを渡っているときに今日になった訳なのですが、いやあ人間、お酒を飲みたいと強く念じればどこかの誰かが何とかしてくれるのだなあ、と心より思ったわけです。しかし、あまりにも突然違った世界を見ることになって着かれたわたくしは今日も仕事が手に着きませんでした。