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1. はじめに

 数値制御(NC)が1952年に発明されて以来、この50年間で金属加工技術は大きな変革を経た。今日では、高品質光学レンズの製作など熟練者による手加減が必要な例外的な場合は別として、通常は手動工作機械によってはどのようにしてもCNC(コンピュータ数値制御)工作機械にかなう仕事をする事は難しい。

CNC工作機械は自動車産業など多量生産においては絶大な経済効果をもたらすことが明白であるが、非量産、つまり一品物の加工においても同様の効果を得るためには、更に新しい技術を工夫することが必要である。稼ぎ頭である量産の後に隠れて、陽の目を見ない一品物加工ではあるが、現実には量産工場が必要とする生産財の開発と供給、試作品の製作など、産業基盤の重要な一分野であることを忘れてはならない。

非量産工場において、自動加工を行おうとする場合に最も必要なのは、正しい、間違いのない加工準備を、試行錯誤を経ることなく一回の作業で、しかも出来るだけ迅速に整えることである。正しい加工準備を迅速容易に行えるようにするための新技術が求められている。

 マシニングセンターによる非量産一品物部品加工の工程数と製作期間を減らし、加工準備のための作業量を少なくするための新しい技術を開発する事を目的として、一連の産学共同研究が行われた。その成果の一つとしてP-CAD/CAMと名付けたCAMソフトウェアシステムが生まれ、産業界における実用に成功している。P-CAD/CAMソフトウェアを使用することにより、正しいNCプログラムを作成し使用工具を取り揃えてマシニングセンター加工に用いることができる。

産学共同で研究に当たった関係者は、更にCAM技術の開発を推進し、また世界中のユーザーにその使用を広めて、とくに非回転体状(プリズマティック)工作物の小繰返し、一品物加工の商業生産に役立てて頂きたいと願っている。その具体的方法として、P-CAD/CAMのユーザを技術的支援し、またCAM技術の研究開発を行うための非営利組織の設立を準備している。

 


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