Turbo Cは、かつてのDOS時代に一世を風靡した、Borland社製の16ビットのCコンパイラです。
現在は、同じく一世を風靡したTurbo Pascalなどとともに、Borland社のサイトで無料で配布されています。
ただ、残念なことに、公開されているのはAT互換機用の英語版だけです。
日本語の処理には対応していないうえに、筆者にとって大切なDOSマシンであるPC-98上では、利用することができません。
しかし、世の中というのは広いもので、ネット上のいくつかのサイトでは、そうした無料版のTurbo CをPC-98上で動かす方法が解説されていたりします。
以下においては、それらの情報に基づいて、無料版のTurbo C 2.01をPC-98上で使ってみたときの顛末を報告します。
※旧Borland関係のURLは別の項目にまとめましたので、そちら (v-clmn7.htm) を参照してください。
パッケージ(約1MBのZIPファイル)を展開すると、中味のファイルが、DISK1からDISK3までの3つのディレクトリに振り分けられます。
この状態は、インストール用のフロッピーディスクを模したものなので、実際の運用にあたっては、それぞれのファイルを適切な場所に再配置する必要があります。
本来の手続きとしては、DISK1のINSTALL.EXEを実行すればいいだけなのですが、PC-98上においては、同様の作業を自力で行なわなければなりません。
作業の具体的な内容については、リスト12を参照してください。
註: リストに示したファイルの配置は、あくまでもPC-98上で使用する場合の一例です。 INSTALL.EXEやTC.EXE(統合環境のコンパイラ)なんかは、いっそ消しちゃったほうがいいような気もします。
[リスト12] REM TC2.01をPC-98にインストールするバッチ(あくまでも一例) REM アーカイブの展開 unzip TC201.ZIP REM ディレクトリ作成 MD tc201 MD tc201\BIN MD tc201\ETC MD tc201\ETC\BGI MD tc201\ETC\EXAMPLES MD tc201\ETC\MCALC MD tc201\ETC\STARTUP MD tc201\ETC\SOURCE MD tc201\INCLUDE MD tc201\INCLUDE\SYS MD tc201\LIB REM ファイルのコピー COPY DISK1\OBJXREF.COM tc201\BIN COPY DISK2\CPP.EXE tc201\BIN COPY DISK2\MAKE.EXE tc201\BIN COPY DISK2\TCC.EXE tc201\BIN COPY DISK2\TLINK.EXE tc201\BIN COPY DISK3\TLIB.EXE tc201\BIN COPY DISK1\CINSTXFR.EXE tc201\ETC COPY DISK1\INSTALL.EXE tc201\ETC COPY DISK1\README tc201\ETC COPY DISK1\README.COM tc201\ETC COPY DISK1\TCHELP.TCH tc201\ETC COPY DISK1\THELP.* tc201\ETC COPY DISK1\UNPACK.COM tc201\ETC COPY DISK2\HELPME!.DOC tc201\ETC COPY DISK2\TC.EXE tc201\ETC COPY DISK2\TCCONFIG.EXE tc201\ETC COPY DISK2\TCINST.EXE tc201\ETC COPY DISK2\*.COM tc201\ETC COPY DISK1\*.C tc201\ETC\SOURCE COPY DISK3\*.H tc201\INCLUDE COPY DISK3\SYS\*.* tc201\INCLUDE\SYS COPY DISK1\*.OBJ tc201\LIB COPY DISK1\*.LIB tc201\LIB COPY DISK3\*.OBJ tc201\LIB COPY DISK3\*.LIB tc201\LIB REM おまけの展開 DISK1\UNPACK.COM DISK1\BGI.ARC tc201\ETC\BGI DISK1\UNPACK.COM DISK1\EXAMPLES.ARC tc201\ETC\EXAMPLES DISK1\UNPACK.COM DISK1\MCALC.ARC tc201\ETC\MCALC DISK1\UNPACK.COM DISK1\STARTUP.ARC tc201\ETC\STARTUP REM 設定ファイルの作成 ECHO -Itc201\INCLUDE>> tc201\BIN\TURBOC.CFG ECHO -Ltc201\LIB>> tc201\BIN\TURBOC.CFG REM 後始末 DEL DISK1\*.* DEL DISK2\*.* DEL DISK3\*.* DEL DISK3\SYS\*.* RD DISK1 RD DISK2 RD DISK3\SYS RD DISK3 REM おしまい
バイナリエディタなどを使って、TCC.EXE(コマンドライン版のコンパイラ)とCPP.EXE(プリプロセッサ)の一部を書き換えます。
詳細については、前述のりょうさんのページを参照してください。
修正済みのTCCを使って、おなじみのHELLO.C(Turbo Cのパッケージにも同梱されています)をコンパイルしたところ、作業は一瞬にして終了。
さすが、TURBOという名前はダテじゃないです。
生成された実行ファイルも、特に問題なく、PC-98上で動作しました。
続けて、手持ちのソースをいくつかコンパイルしてみましたが、できあがった実行ファイルで日本語を表示する際に文字化けが生じたほかは、とりたてて異常は感じられませんでした。
というわけで、結局のところ、現在の筆者にとっては、やっぱり「使えない」ものと判断せざるを得ません。
あらためて、「LSI C-86 Ver 3.30c 試食版」のありがたさが身に染みます。