この系統のパズルで最も有名なものはペントミノでしょう(上図左)。
パズル創作家の芦ヶ原伸之氏によれば、二十世紀後半のパズル界の2大発見はルービック・キューブとペントミノとのことです。
芦ヶ原氏の著書によると、「ペントミノ」という言葉はカリフォルニア大学教授のソロモン・ゴーロム氏の命名によるそうです。
私のかすかな記憶によれば、ペントミノの名の由来は牌を使ったゲームであるドミノに由来します。ドミノ倒しで有名になったドミノ(domino)は正方形が2つつながった形をしています。dominoという単語を無理矢理2つに分解(do-omino)し、ominoが「正方形」でdoが「2」の意味だ、というわけです。三個の正方形をつなぐと、直線型とL字型の二種類ができ、総称してトロミノ(3-omino)と言います。
ちなみに、本来のdominoは法衣の意味で、牌が黒色の木で作られたことに由来するそうです。
四個の正方形をつないだテトロミノ(4-omino)には市販のパズルがあります。他にもあるかもしれませんが、株式会社テンヨーのプラパズルNo.783DX「小さな挑戦者」が抜群に有名です。もちろん、非常に易しいです。テトロミノには5種の形があります。
ペントミノ(5-omino)は同社のプラパズルNo.5として市販されています(他にもたくさんの種類が市販されているとのことです)。正方形5つをつないだ形は12種あり、それぞれを一枚ずつ使用し、長方形の箱を埋めるのが目的です。適度に難しくて、組み合わせ数も数千あり、パズルとして優秀と思います。プラパズルは10x6の長方形を採用していますが、単にペントミノという場合は12x5などの他の長方形でもOKです。
ヘキソミノ(6-omino)は35種あり、プラパズルNo.600として市販されています。ヘプタモンド・スクリーンセーバに同梱されています。
ヘプトミノ(7-omino)は108種ありオクトミノ(8-omino)は369種あるそうです。市販されているかどうかは知りません。
本スクリーンセーバを開発するに当たり、Webをチェックしてみると、ペントミノは計算機言語のプログラミングの演習としてさかんに取り上げられているようです。プログラミング上はそれほど複雑でないけれど、発見的アルゴリズムの試行錯誤(バックトラック)が入っているので、一筋縄ではプログラムが書けない点が好まれているようです(自明ではないのでカンニング防止になる)。
ヘキサモンドはペントミノの次に有名な同系のパズルで、5つの正方形ではなく、6つの正三角形からなる12種の辺を箱に詰めるパズルです(上図右)。
ヘキサモンドという言葉も語呂合わせです。天然ダイヤモンドは正八面体の結晶の形で産出されるらしく、トランプのダイヤに見られるように、ひし形◇がダイヤモンドの象徴となっています。図形◇を上下に分解してみると、△と▽になります。同様にdiamondを2つに分解するとdi-amondとなり、diが「2」でamondが「正三角形」だ、と無理矢理に解釈します。
ヘキサモンド(6-amond)はペントミノよりも少々難しく、しかし、ほとんどの人が我慢できる時間内に解けるので、これもパズルとして優れていると思います。プラパズルNo.6として市販されており、上図の箱の形は最近のプラパズルのものです。
ヘプタモンド(7-amond)はめちゃくちゃ難しいです。ヘプタモンドは24種の片から構成されます。プラパズルNo.24として市販されており、とても美しい形をしていると思います。
2002-07-07 岡田好一