例題1.
配管径300
mmφ、配管内部温度200℃、外気温20℃、風速1m/sec.でロックウール断熱材(保温筒)を施工して、表面温度を30℃におさえるには、ロックウール断熱材の厚さをどのくらいにしたらよいでしょう。ただし、表面には塗装溶融メッキ鋼板が使用されています。

ヒント.
ここではわからない変数があるため、繰り返し計算をして数字を正しい値に近づけていきましょう

解説

1.平均熱伝導率を求める

・ロックウール平均熱伝導率のプログラムを起動しましょう

・プルダウンメニューから保温筒を選び、配管内部温度200℃、表面温度を30℃を入力し、計算ボタンをクリックします

・平均熱伝導率の0.05128W/mKが求められます。



2.熱伝達率を求める

・熱伝達率のプログラムを起動しましょう

・環境温度20℃、表面温度30℃、風速1m/sec.、配管の直径0.3mを入力します

・放射率はプルダウンメニューから塗装溶融メッキ鋼板を選びます

・断熱材の厚さは、わからないのでとりあえず1mを入力します

・計算ボタンをクリックします

・放射による熱伝達率の3.006W/m2/Kと、水平管として対流による熱伝達率の3.382W/m2/Kが求められます

・熱伝達率は合計の約6.39W/m2/Kとなります

・このプログラムはまた使用しますのでそのままにしておきます



3.断熱材厚さを求める

・断熱厚さのプログラムを起動しましょう

・平均熱伝導率0.05128W/mK、内側温度200℃、外側温度30℃、周囲温度20℃、表面熱伝達率6.39W/m2/K、そして断熱材の内径0.3mを入力します

・配管の計算ボタンをクリックします

・断熱材厚さとして0.10573mが求められます

・ここでまた熱伝達率の計算に戻ります



4.再度熱伝達率を求める

・断熱材の厚さに、0.10573mを入力します

・すると、放射による熱伝達率の3.0064W/m2/Kと、水平管として対流による熱伝達率の4.9249W/m2/Kが求められます

・熱伝達率は合計の約7.93W/m2/Kとなります



5.再度断熱材厚さを求める

・同様に表面熱伝達率を7.93W/m2/Kと替えて、断熱材厚さは0.088045mとなります

6.またまた熱伝達率を求める

・断熱材の厚さに、0.088045mを入力します

・すると、放射による熱伝達率の3.006W/m2/Kと、水平管として対流による熱伝達率の5.014W/m2/Kが求められます

・熱伝達率は合計の約8.02W/m2/Kとなり、さきほど計算した値の7.93W/m2/Kに近づきました

7.またまた断熱材厚さを求める

・同様に表面熱伝達率を8.02W/m2/Kと替えて、断熱材厚さは約0.0872mとなり、さきほどの0.088045mと近い値となりました

・ここで計算をやめて、断熱材厚さは約9cmとなりました

・同様なことを繰り返すとさらに正確になります

以上