団日誌とジャーナリング





 私は大学入学と同時に念願の合唱団に入団したのだが、そこには「団日誌」というものがあった。練習内容は必須で、他には何を書いてもよかった。
 そこで私は解放感から、女子校時代のつらい思い出に始まり、今までつらかったことをえんえんと書き続けた。顔をしかめる人もいたが、いちおうは許可された。

 それで次々に書いていくうちに気がついたのだが、同じことを書いていても内容がだんだん変わってくるのである。例えば女子校時代のことにしても最初はつらかった、ただそれだけだったのが次第に「あのときがなかったら今の私はなかった」というように書けるようになってくる。
 当時は無意識にやっていたが、いま思えばこれはれっきとした「ジャーナリング」というこころの傷を癒すひとつの方法である。

 それから時が経ち、私の入学した頃のような長い団日誌を書く人は次第に減っていった。それでも私は書き続けた。
 しかしそのうち傷がだんだん表れてきて、書くだけでは精神安定を保てなくなった。

 そして私は他の方法の力も借りACの回復に取り組み始めた。しかし、最近はその頃に比べ落ち着いてきているので、今度は意識的に文章を書いてジャーナリングをしている。
 もっともこの方法は、最初の頃の文章というのが見るも無残だったりするのだが(でも私は公開している)。



BGM:カノン/パッヘルベル



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