超暇人MSX

80年代の8ビットパソコン台数について

80年代、まだパソコンは企業かマニアのものでした。専門誌(結局はメーカー)の気が向かなければ、台数など知る術もありません。80〜90年代初頭辺りの経済新聞を片っ端から当たれば、あるいは、ある程度分かる可能性もありますが、業界で協力して台数を調査公開していた16ビット機はともかく、調査もされていなかった8ビットPC機の実数は、各メーカーが偽りの無い事実を公開しない限り不明でしょう。そんな中から、断片的な情報と記憶を元に台数を推理してみたいと思います。

MSX発売前年で、ファミコンが発売された1983年の国内総“マイコン”台数は約120万台だったそうです注1。そんな時代の中で、ファミコンに半年遅れの翌1984年にMSXが発売され注2、86年正月にはMSXシリーズの総出荷数100万台を突破しました。注3
 90年頃にNECがPC-9801系の累計出荷数3百何十万台(数字失念)「実働100万台」等と宣伝報道し、MSXは「夢を載せて400万台」という広告をうっていました。積極的に台数を公開していたこの2シリーズが当時の国内16ビットと8ビットそれぞれの押すに押されぬPC販売台数トップであることは疑うべくもありません。おそらくMSXシリーズの最終台数は4百数十万〜5百万弱で、国内に限れば3百数十万台でしょう。

8ビットPCでは国内2番手のNEC機は、PC-8801シリーズが累計100万台キャンペーンをしたいと言いつつ出来なかったので最大90万台台(ミカン??)。生産終了時の台数がNECの新記録だと台数を宣伝したPC-6601系が27万台ですから、それ以前の8ビット機はそれ以下の台数でしょう。つまり、NECの8ビットPC機は全シリーズ累計で150万台前後だという計算になります。

注1.数字は『コンピュータアニメーション』(産報出版1983年)より。「パソ    コン」という言葉はNECの造語なので、当時の統計等では「マイコン」を使    う方が多かった。『MSX早わかり辞典』(朝日新聞電子計算室編1983年    )によると日本電子工業振興協会調べで1978〜83年末の間の出荷台数が    約220万台になる“みこみ”(本は83年に書かれているので)だそう

注2.MSX1はファミコン発売より1年程前に完成していたのだが、各社の足並み    をそろえて発売するため、発売時期がファミコンより後になった

注3.当時国内で、これだけ短期間に、これ程売れたパソコンは無いのに、PC関連    マスメディアは、わざわざファミコンを売れ方の比較に出したりして、MSX    に否定的な記事やコメントを書いた。今もゲーム業界に関して盛んに噂される    雑誌編集者と特定メーカーの癒着が当時のPC関連メディアにもあり(某社や    某社はパソコンが目玉だったが、MSX各社は普通の家電メーカーだったので    他の家電同様に一般向けCMは打っても、編集者へは愛想が無かったようだ。    この時に雑誌業界の体質を学んだ某S社が、後のゲーム機発売以来、編集者に    徹底密着サービスしているらしい)、さらに、編集者自身に学生時代から使用    してきた特定メーカーへの偏愛があり、そんな文を書かせたのだと思うが

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