玉突きモデル (概要)


 玉突きモデルとは、量子力学の解釈の一つで、「粒子説」とも「波動説」とも異なるもの。

 標準的な解釈は、量子を「粒子でも波でもあるもの」あるいは「波の性質をもった粒子」と解釈する。しかし、玉突きモデルでは、量子を「粒子の集団に生じる波」と見なす。
 標準解釈との決定的な違いは、個々の粒子がまったく移動しない(かわりにその場で振動するだけだ)ということだ。

 具体的には、以下の図によって、モデル的に理解する。

billiards

 これは、パチンコ玉かガラス玉を当てた図だ、と解釈してよい。
 左から を発射すると、たくさんある の列にぶつかり、その後、列の反対側から、別の が飛び出す。ここでは、発射した と、飛び出した とは、別のものだ。しかしながら、観測者は、こう考える。
 「出発点では、 が発射されて、到達点では、 が出現した。どちらも同じ粒子だ。とすれば、一つの粒子が、出発点から到達点に移動したはずだ」
 実は、これは、一種のトリックである。似たような事例は、他にも挙げられる。
 このようなトリックでは、何かが空間を超越して、別のところへ移動したと思える。しかし、本当は、一つのものが消えて、別のものが現れただけだ。

 二重スリット実験の場合も、同様だ。発射された と、到達点に届いた とは、別のものである。なのに、「同じものが移動した」と見えるだけだ。
 では、このとき、途中の空間では、いったい何が起こっているか? 上図を見ればわかるように、たくさんの が玉突き現象を起こしている。そして、玉突き現象というのは、一種の波なのである。
 玉突き現象が波であるということは、 を平面に並べてみるとわかる。

plane billiards

 左端の が、たくさんある の集団にぶつかる。すると、その衝撃は、 の集団の全体に、平面上の波として伝わるだろう。つまり、最初にぶつかった一点を中心として、弧を描くようにして、平面全体に伝わるだろう。次の図のように。

波の伝播
 こういうことが、つまり、「波として伝わる」ということだ。
 ( ※ 数学的に言えば、「ソリトン」として考えるといい。当然、「場の量子論」や「固体物理学」などとも関連する。アナロジー関係があることは、専門家ならばわかるだろう。)

 より詳しい話は、下記を参照。
   → 超球理論
     ( PDF ファイルもあります。)




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        氏 名     南堂久史


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