玉突きモデルとは、量子力学の解釈の一つで、「粒子説」とも「波動説」とも異なるもの。
標準的な解釈は、量子を「粒子でも波でもあるもの」あるいは「波の性質をもった粒子」と解釈する。しかし、玉突きモデルでは、量子を「粒子の集団に生じる波」と見なす。
標準解釈との決定的な違いは、個々の粒子がまったく移動しない(かわりにその場で振動するだけだ)ということだ。
具体的には、以下の図によって、モデル的に理解する。
これは、パチンコ玉かガラス玉を当てた図だ、と解釈してよい。
左から ◯ を発射すると、たくさんある ◯ の列にぶつかり、その後、列の反対側から、別の ◯ が飛び出す。ここでは、発射した ◯ と、飛び出した ◯ とは、別のものだ。しかしながら、観測者は、こう考える。
「出発点では、 ◯ が発射されて、到達点では、 ◯ が出現した。どちらも同じ粒子だ。とすれば、一つの粒子が、出発点から到達点に移動したはずだ」
実は、これは、一種のトリックである。似たような事例は、他にも挙げられる。
- 東京でミッキーが消えて、すぐあとで、米国でミッキーが登場した。
→ 「ミッキーが一瞬にして、東京から米国に移動したのだろう」と思う。
- 手品師の右手でピンポンが消えて、別人の手からピンポンが現れた。
→ 「ピンポンが一瞬にして、手品師の右手から、別人の手に移動した」と思う。
このようなトリックでは、何かが空間を超越して、別のところへ移動したと思える。しかし、本当は、一つのものが消えて、別のものが現れただけだ。
二重スリット実験の場合も、同様だ。発射された ◯ と、到達点に届いた ◯ とは、別のものである。なのに、「同じものが移動した」と見えるだけだ。
では、このとき、途中の空間では、いったい何が起こっているか? 上図を見ればわかるように、たくさんの ◯ が玉突き現象を起こしている。そして、玉突き現象というのは、一種の波なのである。
玉突き現象が波であるということは、 ◯ を平面に並べてみるとわかる。
左端の ◯ が、たくさんある ◯ の集団にぶつかる。すると、その衝撃は、 ◯ の集団の全体に、平面上の波として伝わるだろう。つまり、最初にぶつかった一点を中心として、弧を描くようにして、平面全体に伝わるだろう。次の図のように。
こういうことが、つまり、「波として伝わる」ということだ。
( ※ 数学的に言えば、「ソリトン」として考えるといい。当然、「場の量子論」や「固体物理学」などとも関連する。アナロジー関係があることは、専門家ならばわかるだろう。)
より詳しい話は、下記を参照。
→ 超球理論
( PDF ファイルもあります。)
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氏 名 南堂久史
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