量子論/量子力学  
 
        …… その最前線  


 



 量子論・量子力学についての、最先端の情報を提供します。
 「量子力学では何がわかるか?」という初心者向けの解説ではありません。
 量子力学の最前線では、どんなことが課題となっているか?
 ── ということを、考察します。
 わかっていることではなく、わかっていないことを、調べようとします。

 最初は、観測問題という量子力学のパラドックスを扱います。
 それを解決するために、新たなモデルを提出します。

 成果:
  ・ 観測問題について、根源的に解決する。
  ・ 「無限大の発散」の問題を、根源的に解決する。
  ・ 量子力学と相対論の統合について、道筋をつける。



 目次  

    (1) シュレーディンガーの猫   (初級〜上級) 《 重要 》
    (2) 簡単な要約 (下記の三つの) (初級〜上級)
    (3) 物理学における問題     (上級〜専門家)
    (4) 観測の意味 (図による説明) (上級〜専門家)
    (5) カシミール効果の重要性   (上級〜専門家)
    (6) 超球と超ヒモ ( 基本原理 )  (上級〜専門家)《 重要 》
    (7) 力とは何か  ( (6) の続編 )(上級〜専門家) 
    (8) 二重スリットと観測問題   (上級〜専門家)
    (9) 細々とした周辺的な問題   (上級〜専門家)

    (10) 本サイトの意図        (うるさい人向けの雑談)
    (11) Open ブログ の個別項目   (物理・天文の話題全般)
        (例) 超球理論の数式



 上の (1) 〜 (7) の順にお読み下さい。
 なお、(6) の「目次」から英文版をたどれます。英文版が最も専門的です。
   ( 和文版である (6) は、短縮版です。英文版の前半に相当します。)
   ( 英文版の後半では、「場とは何か」という問題を扱います。)

 最後の (8) (9) (10)は、あまり読む必要はありません。
 ( (8) は、本サイトの意図を誤解されないための解説で、オマケです。)
 ( (9) は、内容が古くて不正確になっています。(10) は、些末な話題です。)

    ※ 他に、「玉突きモデル」「トンネル効果の本質」「電磁場のモデル」というページも
       あります。ただ、他のページを読むならば、特にこれらを読む必要はありません。
    ※ 「重ね合わせとは何か」というページは、(1) からたどって読んでください。

    ※ いずれも数式は使われていません。モデル的な解釈だけを示します。
      (解釈はともかく、数式は、従来の量子力学と同じです。)

  更新履歴 
    2007年では、(1) (7) (8) (10) のみを更新しました。(他は不変。)
    過去の更新履歴については、おおまかには次のページを参照。
       → Open ブログ の個別項目




 核心  

 このサイトで示すことの核心を示せば、以下のようになる。従来の説と対比させる形で示す。


 【 従来の説 】
 量子は、ただの粒子でもなく、ただの波でもなく、粒子と波の双方の性質をもつものである。(つまり、粒子でもあり、波でもある。)

 【 本サイトの説 】
 おおまかには、量子は、粒子と波の双方の性質をもつものである。(ここまでは従来の説と同じ。)
 ただし個々の場合では、量子は、粒子と波のどちらか一方の性質をもつ。あるときは粒子の性質をもち、あるときは波の性質をもつが、双方の性質を同時にもつということはない


 具体的に言おう。本サイトの説では、量子の形態は、次のようになる。
        粒子  →  波  →  粒子
 つまり、ここでは、形態の転換が起こる。粒子と波の双方である(双方の性質をもつ)のではなく、どちらか一方だけがある。

 比喩的に言おう。
 イソギンチャクに似た下等生物があった。この生物を見て、ある研究者は「オスだ」と主張し、ある研究者は「メスだ」と主張した。その後、よく調べると、どちらの説も正しいとわかった。そこで、この生物については「オスとメスの双方の性質をもつものであって、雌雄同体である」という結論が出た。
 しかし、よく調べると、同時にオスとメスであることはない、と判明した。そこで、「雌雄同体ではなく性転換があるだけだ」という新たな説が生じた。つまり、雄にも雌にもなるのだが、同時に双方が成立することはなく、相互転換があるだけだ、という説だ。

雌雄同体

性転換
 →  
 ←  

 量子についても同様だ。量子は、粒子にもにもなるのだが、同時に双方が成立することはなく、相互転換があるだけだ、という説がある。それが本サイトの説だ。

 具体的な例に当てはめるなら、二重スリットの実験がある。
 二重スリットの実験では、次の三つの場所がある。
  ・ 電子の発射点
  ・ 途中の空間(真空)
  ・ 電子の到着点
 この三つの点において、量子の存在する位置は異なる。最初と最後(電子の発射点と到着点)では、電子は一点に局在しているので、電子は粒子である。途中(真空)では、電子は広範な場所に遍在しているので、波である。

       粒子          波           粒子
        ))))))))))))))))))))))))) 


 従来の解釈では、「一つの電子が二つのスリットを同時に通る」というふうに説明された。仮にスリットが無限にあれば(つまりスリットを含むついたてがない真空であれば)「一つの電子が無数のスリットを同時に通る」というふうに説明される。(一つのものが無数に増殖するので、あまりにも不自然である。)
 新しい解釈では、二つのスリット(または無数のスリット)を通るものは、一つの電子(粒子)ではなく、波である。波ならば、広い範囲を同時に通るのは、不思議でも何でもない。

 従来の解釈では、スリットを通るものは、粒子であり、同時に、波の性質をもつ。
 新しい解釈では、スリットを通るものは、粒子ではなく、ただの波である。

 従来の解釈では、「粒子である(局在する)」という主張と、「波である(広く遍在する)」という主張とを、同時に取ったので、おかしな結論が出る。
 新しい解釈では、「粒子のときは粒子、波のときは波」というふうに、どちらか一方だけを取るので、おかしな結論は出ない。局在するときには局在するし、遍在するときには遍在する。双方が同時に成立するということはない。

 要するに、「雌雄同体」ふうの解釈(同時成立)を取ると、おかしな結論が出るが、「性転換」ふうの解釈(相互転換)を取ると、おかしな結論は出ないのだ。

 なお、実験的には、本サイトの主張が支持される。つまり、「粒子と波のどちらか一方の性質をもつが、双方の性質を同時にもつということはない」ということが、実験的に支持される。「粒子性と波動性の双方がともに現れる」というような現象は、これまで一度も発見されていない。現象ごとに、あるときは粒子性だけが現れ、あるときは波動性だけが現れる。どちらか一方だけなのだ。このことは、本サイトの主張には合致するが、従来の主張には合致しない。
(例。二重スリット実験では、「一点で観測される」というときには粒子性が現れ、「広く遍在する」という波動性は現れない。「干渉がある」というときには波動性が現れ、「干渉がない」という粒子性は現れない。)

 ともあれ、「波と粒子の相互転換」というモデルを、本サイトは提出する。



 実験的にはどうか? 有名な例で、外村彰の実験がある。この実験を見ると、事情はいっそうはっきりする。
 この実験では、電子を一個ずつ発射する。にもかかわらず、発射を何百回も繰り返すと、その何百回もの電子の分布が、干渉縞を描くのである。
   → 外村彰の実験  (リンク切れ)
   → 外村彰教授の実験 (図6 の箇所)
   → experiment by Akira Tonomura (動画)
 これをどう解釈するか? 


 【 従来の説 】
 この実験では、一個ずつの電子がたがいに干渉したのである。異なる時点の電子が、たがいに干渉したのである。

 【 本サイトの説 】
 この実験では、単に波が干渉するだけだ。その結果として、エネルギーの分布としての干渉縞が現れる。エネルギーの分布は、確率を与える。そのせいで、確率的に干渉縞が現れるだけだ。


 従来の説では、時点Aの電子と、時点Bの電子が、たがいに干渉する。たとえば、2000年の電子Aと、2002年の電子Bが干渉する。こういうことは、あまりにも不自然だ。
 本サイトの説では、単に、波が干渉するだけだ。その結果として、エネルギーの分布を通じて、確率的な干渉縞が現れるだけだ。干渉するのは(物質として現れる以前の)波やエネルギーや確率だけであって、(現実の物質としての)粒子が干渉するわけではない。だから、何も不自然なことはない。

 こうして、外村彰の実験を通じて、どちらの説が現実をうまく説明するかが明らかとなる。「量子は粒子と波の双方の性質をもつ」というような解釈では、外村彰の実験をうまく説明できないのだ。



 結論。
 以上のすべてをまとめて言えば、次のようになる。


 従来の学説は、量子を「粒子と波の双方の性質をもつもの」というふうに描写する。その際、基本としては、「量子は粒子である」と立場を取る。
 その結果、「一つの粒子が複数の状態をもつ」(一つの粒子の可能性が広く分布する)(重ね合わせ状態にある)という奇妙な表現を取るようになった。その奇妙さが、さまざまなパラドックスとして現れた。次のように。
  •  シュレーディンガーの猫は、「生と死」という双方の状態にある。
  •  二重スリット実験では、一つの電子が二つのスリットを同時に通る。
  •  量子は、粒子として一つの場所に局在し、かつ、波として広い場所に遍在する。
 こういう奇妙な結論が出る。その理由は? 話の最初に、「波の性質をもつ粒子」というものを考えたからだ。
 だから、そういう根源的に矛盾した発想を、捨てればよい。かわりに、「粒子と波の相互転換」という発想を取ればよい。そうすれば、すべては整合的に理解される。



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 ※ もっと詳しい話を知りたければ、目次から、各ページをお読みください。
 ※ とりあえず一つだけ見るなら、「玉突きモデル」のページをご覧ください。
   このページでは、「粒子と波の相互転換とは何か」を、説明しています。