Last modified:2006/08/21

ATOK2006でACTを使う

 2006年7月14日酒井克幸さんのブログ(cyano)で、ローマ字入力で早く文章を打つためのAZIK for ATOK 2006 for Windows(ATOK2006でAZIKを実装するためのカスタマイズファイル)が公開されました。けっこういろいろなところで参照されているようです。それだけATOKユーザは(よりスマートな)日本語入力に敏感なのだなと思いました。
 私はこれまで何度かATOKは購入して試したものの、日付変換ができないとか、なによりローマ字カスタマイズに制限が多く、結局はWXGを使い続けています。が!上記のブログの記事をみて、ATOK2006ならACTも実装できるか!?と期待が膨らみ、試してみました。
 以下そのお試しの足跡を残しておきます。

このページは「ATOK2006でかなり実用的レベルのACTが実装できそうだ!」という嬉しい気分の勢いで書いたものです。ATOK2006でACTの全般的・具体的な内容は近いうちにまとめて公開したいと考えています。(2006/08/21)

ATOK2006でのローマ字カスタマイズの制限

 ATOK2006のローマ字カスタマイズの制限について、自分で試したり、ブログのコメントなどを参考にして分かったことをメモしておきます。(以下の内容は(株)ジャストシステムには未確認です。)

・登録数の量的制限 550種類まで()だそうです
現在私がWXGで使っているローマ字カスタマイズは1100を超えていますので550という上限は低すぎますね。わたしが経験的に上限だとつかんでいる数値はさらに厳しく、527種類です。この値に収まるようにローマ字カスタマイズをする必要があります。
・句読点記号(、。)が混じるストロークはカスタマイズできないみたいです
記号キーでも「c’」→「かい」や「c;」→「かん」は登録できました。
・部分文字列ですでに登録済みのものがあると、追加登録できません
たとえばUの下段Kキーを単独で「うん」に割り当てる場合、すでに標準のローマ字綴り「KA、KI‥‥」が登録済みなので、いったんKで始まるこれらの項目を削除してからでないと、「K」→「うん」は登録できません。(これは当たり前かもしれませんが、WXGでは最長一致のものに変換してくれるのでこのような制限はなかったのです)
・読みの長さの制限 ローマ字は4文字、読みは6文字まで
これらの制限を超えるものを登録しようとするとメッセージが表示されます。読みの文字数制限は、濁点も1文字としてカウントするようです。

ローマ字カスタマイズの基本方針みたいなもの

・ATOK2006になってもローマ字カスタマイズにまだ制限が多いため、フル実装にはこだわらず、実用性を重視したこぢんまりとしたカスタマイズを目指します。(ほとんど使わないような読みは定義しなくても実用上は何ら問題はありません)

・通常のローマ字綴りとの互換性にあまりこだわらないことにします。

たとえば、通常のローマ字綴りではYキーを使って拗音を作りますが、これはばっさりとやめます。拗音の打ち方はACT独特の(打ちやすい)ものだけとします。そのかわりYを二重母音「ui」キーとして使います

・Dvorak配列では母音キーの上段に句読点キーがあります。ということで涙をのんで「二重母音拡張」はあきらめます。

Dvorak配列ではそのままでも二重母音はとても打ちやすいのです。ただし「ui」だけは非常に打ちにくいです。ということでYを二重母音「ui」キーとして使うことにします。
また「よう」は非常に良く出てくる割には打ちにくいので、例外的に「yr」で打つようにします。

あとは、ほぼACT(下記の総合解説書)に準じてカスタマイズします。

ヤ行パ行について

Dvorak配列ではY,Pが左上段にあるため、ヤ行、パ行が打ちにくいです。

そこで2ストロークめは左右の対象位置のキーを使うことにします。が、例外(下図白地)もいくつかあります。

f g r l d h t n s b m w v z
y ゆい ゆう ゆく よう やい よい よって ゆび ゆん いわれ よん やん
p ぷい ぷう ぺい ぽう ぱい ぴん ぷん ぺん ぽん ぱん

ヤ行はイ段(人差し指拡張、)、エ段(中指)を特殊拡張として使います。

ぴゃ行は頻度がやや少ないので、拗音化キーを[o]キーに割り当てます。拗音化の原則の左右対称キーは[,]キーですが、ATOK2006の制限で登録できませんので、その一つ下の段ということで[o]とします。同じ段の小指[']キーとします。[p]→[']というシーケンスは慣れればアルペジオ打鍵ができるでしょう。

p's→ぴゃ、p'h→ぴゅ、p'n→ぴょ‥‥
二重母音拡張はぴょう以外は頻度が少ないので定義しなくても大丈夫。なお、「ぴょう」は[p’]でも打てるようにします。

外来語に多いプラ、プリ、プル、プレ、プロは、phra、phre、phro‥‥でもかなり打ちやすいですが、paのあとに右手上段の母音イメージに対応する指のキーでも打てるようにしてみました。

プラ(pal)、プリ(paf)、プル(pag)、プレ(pac)、プロ(par)

(下記のACTの総合解説書にも、ヤ行、パ行の代替キーについて書いていますが、上記のほうが(私としての)新しい考え方です。今後試行錯誤しながら変更する可能性があります。)

カスタマイズデータ

2006年8月20日(日)現在のカスタマイズデータを以下に置いておきます。ご自由にダウンロードしてご利用ください。出典を明記していただければ改変・再配布もフリーです。

ACT0820.TXT ATOK2006ローマ字カスタマイズの[メニュー(M)▼]の「テキストファイルに出力...」を使って作ったファイルです。ATOKでは残念ながら、カスタマイズデータをテキストファイルに出力できるのにテキストファイルにもとづいてカスタマイズできない、という悲しい仕様になっています。
下記のスタイルファイルを使う前に、どんなふうにカスタマイズしているかをちょっと見てみたり、他のIME用のカスタマイズデータの参考として使ってください。
act0820.lzh ATOK2006で使用できるカスタマイズ用ファイルです。
1.左記をダウンロード解凍してACT0820.STYというファイルをどこか適当なフォルダに保存します。
2.ATOK2006のプロパティを開き、[キー・ローマ字・色]タブを選択します
3.[追加]ボタンを押し、開いたシートで[既存のスタイルファイルの追加]を選び、スタイル名に「ACT」など適当にスタイル名を入力したら、その下のボックスに、保存しておいたACT0820.STYを指定(参照)し、[OK]を押します。
4.「スタイル一覧」に追加したスタイル名が表示されますので、それをダブルクリックしてスタイルを切り替えます。
(個人用途、参考用として使ってください。再配布(たぶん誰もしないだろうけど)はなるべく控えてください)

実際使ってみて(ACTというよりATOK2006の感想)

初めてATOK2006を手にした日、二重母音拡張が登録できないという制限を目の当たりして、早速ブログにWXGに戻る!と書いてしまいました。

しかし一部のACT的拡張を登録して使ってみると、やはり変換効率がいいなあ、という印象を受けました。さらに推測候補という新機能に目が引かれました。そこでしばらくATOKを使ってみることに‥‥

二重母音拡張に大きなな制限が加わるのですが、Dvorak配列の場合よくでてくるai,ou,uu,eiはかなり打ちやすいシーケンスです。これが使えなくなっても、ATOK2006の総合的に賢い変換によるメリットのほうが大きいかもしれないと判断しました。ただしuiは打ちにくいです。幸いなことにyキーは拗音化キーとしては使わないという手があるので、2ストロークめのyをuiキーとすることにしました。

実はずーっと(かな漢字変換ソフトを)WXGにこだわってきたのは、以下の点なのです。

・もちろんなんといっても、徹底的にローマ字カスタマイズができる(WXGがなければAZIKもACTもできなかったでしょう)
・日付変換。たとえば今日(8月13日)使っているとすると、25と打ってCtrlキー+F2で2006年8月25日(金)と変換してくれる。日付のフォームも自由にカスタマイズできる。
・括弧変換。ふぁいると打って、ちょいちょいと操作するだけで「ファイル」や【ファイル】が入力できる
・計算機能。数式を打ってちょいちょいと操作するだけで「5600 * 1.05 = 5880」などと入力できる

特に仕事などで日付・曜日の確認に手間がかかることがあり、このWXGの日付変換は、私にとって一種の絶対条件だったわけです。

で、当然注目したのはATOK2006の日付変換です。

「きょう」や「きのう」と打って変換すると日付が選択できるというもの。

早速使ってみましたが、「あさって」は変換できるものの「らいしゅう」となるとダメ。任意の日付もだめ。

とちょっと残念な結果でした。そんなこともあってすぐにブログでWXGに戻ると書いてしまいました。

ところが、今日発見したのは、「20080401」と打つとちゃんと2008年4月1日(火)を含む候補が表示されるではありませんか!080401という形式でもOKのようです。ただ年をとって月日だけにするとうまくいかないようで、WXGと比べるとまだ不満は残ります。が、これでATOKをもっと使ってみようという気に大きく傾きました。

・さすがに変換効率はいい!

・アルファベットなどが混在していても、一度手直し(バックグラウンドで自動的に学習?)しておくと、次回からはちゃんと変換してくれる。このことも含めて学習能力が高いな、という印象

・括弧付き変換ができないのはやはり痛い。がクリップアウト2000を常駐させているのでそちらで後から任意の括弧で挟むことは可能。

・あらかじめATOK2006のキー・ローマ字・色カスタマイズのスタイルの中にM式配列、なんてのがあるが、ユーザ数からすればAZIKのほうが多いはずなのに‥‥残念、というかどうしてM式があってAZIKがないの?

・いつでもWXGに切り替えられるようにCtrlキー+ShiftでIMEを切り替えるように設定(Windowsの設定)

・単語登録は、ダイアログボックスが出てくるまでがかなり速い!しかし間違って登録したものを削除する方法が画面ではわかりづらい。変換中にCtrlキー+Deleteキーだそうだ。。

・全体として、万人に使いやすくそれでいて根っこの部分ではかなりの量の研究の成果が盛り込まれているという印象。その割に動作は軽快、というのもある種マイナスの期待を裏切られてうれしい。

ということで、試用期限が迫ってくると、購入しようか迷いそうです。(2006.8.13)

その後

ATOKにはAMETという仕様が公開されていて、あとから機能を追加できるようです。これを使えば、WXG並みの日付変換、括弧囲み変換、計算(電卓)機能も実現できそうです。電卓機能についてはこんなページがすでにあったのですね。(2006/08/21)


ACTの総合解説書(フレーム無し版)

ACTでの入力の仕方に関する総合的な解説です。すでにDvorak配列に設定している方は、フレーム版のこちらの解説書の中でACTによる入力を体験できます。

Dvorak関連サイト

Dvorak Simplified Keyboard for Japanese

一般的な101/104/107 英語keyboardか、 106/109/112 日本語keyboardを使用している日本語Windows Me/98/95/Windows NT4.0/2000環境で、 ソフト的にDvorak Simplified Keyboardを実現する方法が紹介されています。レジストリを変更する方法です。

猫まねき

キーボードをとことんカスタマイズするユーティリティ。公開されているデータの中にDvorak配列用のデータがあります。レジストリを変更するタイプではないので、切り替えが楽でしょう。SandS機能も実現でき、私はこれを愛用しています。(2004.1からフリーソフトとなったようです)
(参考)私が普段使っている猫まねきの設定ファイル
ダウンロード・ファイル
neko_dv.lzh
書庫(圧縮)ファイルの内容
Dvorak1.skf→単独キーの設定データ
Dvorak2.mkf→組み合わせキー設定の設定データ
Dvorak_Ctrl.mkf→Ctrlキー併用の動作(ダイアモンドカーソル)用
私が普段使っている猫まねきの設定ファイル
ダウンロード・ファイル
neko_dv.lzh
書庫ファイルの内容
Dvorak1.skf→単独キーの設定データ
Dvorak2.mkf→組み合わせキー設定の設定データ
Dvorak_Ctrl.mkf→Ctrlキー併用の動作(ダイアモンドカーソル)用

増田式キーボード学習法

有名な増田式トレーニングはDvorak配列にも有効です。増田さんのサイトではトレーニングの概要を見ることができ、他では手に入らないDvorak配列用のトレーニングテキストを購入することもできます。

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