AZIK on Dvorak 日記風メモ

2001/03/31〜2001/11/11(終結)

キーの割り当てと、Dvorakへの移行の記録を綴りました。

■2001年3月31日(土)
 Dvorakは確かに慣れれば打ちやすそうだ。だけどWindows2000のキーボードの言語の選択で切り替えると肝心の日本語IMEが使えない。植竹さんのページを見つけた。これだ!これならIMEと共存できる。だけど、qwertyと切り替えるたびに再起動が必要。これはやっかい。次に見つけたのは『猫まねき』だ。これはCAPSキーの入れ替えをはじめさまざまなキー定義ができるすぐれもの。たまたまDvorak配列へ変更するデータも公開されている。これならいちいち再起動しなくてもよさそうだ。(ただSandSキーとの併用ができずとりあえず断念した)
 ということで当面は拙作のこの体験アプレットで練習しよう。そしてDvorak上のAZIKの仕様も考えていこう。

 まず単純な所では撥音拡張二重母音拡張。これはすっきり決まる(上図でで示した所)。
 長音記号『ー』はちょうど右中段小指拡張位置が[-]キーになっているからこれを使えばOK。
 次は『ん』専用キー。QWERTYのときに[Q]キーに割当てたが、母音の下を撥音拡張にしているから[;]キーなのか?でも母音のあとの「ん」で多用するから、下段よりも上段のほうが打ちやすいぞ!打ちやすさからすると「ん」専用キーよりも「NN」と打ったほうが打ちやすいか?いや薬指の連打はミスが多そうだ。
 『っ』専用キーはQWERTYでは右手小指だったが、Dvorakではここはアルファベットが来ている。となると左手小指の記号キーのどちらかだろう。『ん』専用キーの反対側だろうな。
 その他考えなくてはならないのが、拗音の打ち方だ。[Y]キーが母音と同じ側にあるのでちょっと打ち辛い。代替キーを[H]にしてみようか‥‥
 
※後日猫まねきにSandS機能が実装されました!
■2001年4月2日(月)
拗音はローマ字綴りどおりの打ち方ではかえって打ちにくくなるから以下のようにしても打てるようにする。子音キーに続けてひとつ隣のキーか[H]キーを打つ。もちろん綴りどおりでもよい。
きゃ行‥‥CR  ぎゃ行‥‥GC  ちゃ行‥‥CG  みゃ行‥‥MW  りゃ行‥‥RC  ぴゃ行‥‥PG(例外)


これと同じようにすると、ひゃ行はHT、にゃ行はNTになるが、それぞれすでに特殊拡張で「ひと」、「にち」に割当てられている。WXGならその後でさらにキーを打てば問題ないのだが‥‥。とりあえずこれで組み込んでみて何か問題あったらまた直せばいい。→これはちょっと副作用がある。結局「ひと」、「にち」の特殊拡張を削除することにした。

ひゃ行‥‥HT  にゃ行‥‥NT  じゃ行‥‥ZM(Jよりこちらのほうが打ちやすい。しゃ行のSHをそのまま下へずらした指使い。)

さて、次は外来語特有の拗音。てぃでぃこれらは原則として同指段違い打鍵にしよう。

ティ、ティン‥‥TWI、TWX  ディ、ディン‥‥DBI、DBX  ウォ‥‥WWO

ここまでの感想だが、Dvorakでは母音キーが左手にまとまっているから、AZIKの基本的な拡張にしても、拗音の代替キーの割り当てにしても、比較的統一的な決め方が可能になるようだ。

さらに欲張って、空いている所に漢字を入れるということができるだろう。

実は昨日からWindows2000でDvorakドライバを入れて、WXG用のカスタマイズデータを入れて、使い始めている。親指シフトやSKYの時よりはなじみやすいという印象だ。

■2001年4月3日(火)
「ぴ」、「ぷ」、「ゆ」の代替キーの検討。→ぴ‥‥PD  ぷ‥‥PH  ゆ‥‥YH 
拗音の原則をもう少しはっきりさせてはどうか。たとえばその段の人差し指にするとか。ただし子音キーが人差し指の場合は、同じキーを2回打鍵する。CG、RG、GG、DD、HH、TH、SH、MM、BB、WM、ZM
あるいはもっと簡単に、子音キーを、2かい打鍵するとしてもよい?WXGなら実現可能(「っ」を抑制できる)。他のIMEでは無理だ。しかしこれでは覚えやすいが、打ちにくい。→これは没

■2001年4月6日(金)

Touch31のDvorak版をつくり、ローカルのWebサーバーで稼働させるようにした。とりあえず英文練習だけ。合衆国憲法は夕べは2分40がベストだったが、今日昼には2分20秒台になった。今後は履歴が残るので、上達の具合が把握できる。(実際の練習成績のグラフ)

■2001年4月7日(土)

Touch31でのDvorakの練習に没頭。練習そのものは英文でアメリカ憲法前文。その他に、新聞・雑誌などの文章を日本語で練習している。だんだん自然に手が動くようになってきた。拗音など上記の代替キーのほうが断然打ちやすいので、すぐに指が覚えてくれるという感覚だ。ただ、SKY配列に挑戦したときにも感じたが、ちょっと慣れてきて、スピードを上げようとすると、無意識のうちにQWERTY打鍵になってしまう。
 qwertyのときとは異なるキーが割当てられるので、特殊拡張も若干見直そう。
 TC→ついて   TH→という
 それから 頻出拗音の代替キー(C=ゅう L=ょう) CC→ちゅう CL→ちょう  BC→びゅう  BL→びょう  JC、ZC→じゅう JL→じょう  KC→きゅう  KL→きょう SC→しゅう  SL→しょう  PC→ぴゅう  PL→ぴょう

Dvorakでは下段をあまり使わなくても済むようだ。だから逆にAZIKの撥音拡張などで下段が出てくるとちょっと打ちにくく感じることがある。Qwertyでばたばたやっていたのから比べるとたいした不満ではないが、相対的な感覚としてそのように感じる。それだけ全体が打ちやすいということだ。

Dvorak英文タイプの練習は、1分50秒台になった。
常に先を読んで、ミスをしないように意識したほうが結果的に速く打鍵できるようだ。

■2001年4月8日(日)
3月31日(土)にも迷っていた「ん」と「っ」専用キーの件、これまでは「’」をんに「;」を「っ」に割当てていた。実際打ってみると「っ」の頻度のほうが高いので、打ちにくいと感じる事がおおかった。そこでこれらを逆にすることにした。そうすると撥音拡張と「ん」専用キーは統一的に下段になる。打ちにくい時はNNと打鍵する事で救われる。

DC→できる YT→よって  RR→られ  SS→され

■2001年4月11日(水)

一泊の出張があり、充分な練習ができなかった。イメージトレーニングだけはしておいた。
自然に打てるときと、グググっと詰まってしまうときがある。調子良く打てたなと思ってよく見ると、た行とか行をよく取り違えている。つまり、「T」と「C」のキーを間違えるケースがとても多い。QWERTYでTが上段、Kが中段というイメージをもっているからだろう。
夜、初めて1分200ストロークをクリアした。やはりスピードを狙うと、だめだ。やや遅めでミスを少なくするように意識したほうがよい。かなり落ち着いてゆっくり打ったつもりでも、2、3日前のベストスピード並みだ、ということはそれだけ上達しているというだ。(実際の練習成績のグラフ)

■2001年4月14日(土)

 昨夜からレジストリを元に戻し、『猫まねき』でDvorakを実装してますますのめり込んでいる。
 Dvorakだと右手が子音だけだ、つまり子音キーのまわりに母音キーが無い。ということは、子音キーだけの組み合わせの特殊拡張がqwertyよりもずっと大胆にできることになる。

ということである→THCTDR
ということができるようになる→THCTGADCY,NINR
ことなるものである→CTNRMNDR
というものである→THMNDR
できることになる→DCCTNINR
かたまること→KTMRCT
かたことかたこと→KTCTKTCT
ものとかんがえることができる→MNTOCSRUCTGADC
することができる→SRCTGADC
ということもできる→THCTMODC
○○てきなものとされることから→TZNAMNTOSSRUCTKR
とするのである→TOSRNODR
したものです→したものです
かんがえられます→CSRRMS
することになるため→SRCTNINRTM
かんがえられる →かんがえられる

てきとう→TZT,
けんきゅう→CJKC

 こうなってくると相当マニアックだ。だがこれにさらにIMEの辞書をうまく抱きあわせるともっともっと効率が上がるだろう。

■2001年4月15日(日)

 相変わらず、か行とた行の取り違えミスが減らない。いっそのこと[C]と[T]を交換したい衝動に駆られるが、そうすると肝心の英文タイプとの互換性が崩れてしまう。
 日本語の練習には、新聞や本を見ながらやっているが、いざ実践的にこうやって打つ段になると相当ミスタッチが増える。いったいどうしてなのか?文体の影響か。先読みの意識の度合が違うのか。

 特殊拡張の「てき(TZ)」は非常にありがたい。従来の「BT(びと)」は「ぶつ」に変更した。拗音の代替キー「じゅう(JC)」「じょう(JL)」「きゅう(KC)」「きょう(KL)」「びょう(BL)」「ちゅう(CC)」「ちょう(CL)」は慣れるととても重宝する。

■2001年4月25日(水)

 だいぶ慣れてきたように思う。が、やはりちょっと調子良く打とうと思って気を抜くと、QWERTYとDvorakが混在したような打鍵になって、一瞬何がどうなったのか状況がつかめなくなることがある。
 アメリカ憲法ばかりやっていると、単にスコアを追い求めるだけになって本当のDvorakへの慣れ具合のバロメータにはなりにくいだろう。

■2001年5月20日(日)

 もうそれほど違和感を感じずに打てるようになってきた。練習は(ソフトの関係で)英文タイプが主。あとは毎日のメールなどで日本語入力。指が自然に動くという実感は英文タイプのときであれば強く感じる。Dvorak配列はもともと英文タイプ用なので当たり前だが。アメリカ憲法をかれこれ150回は打っているので単純な比較はできないが、QWERTYでのトップスピード並みのスコアは楽に出せるようになった。(それでも娘のQWERTY打鍵には追いつかない。たぶん今後も無理だろう。)
 今の課題はとにかく、『か行』と『た行』の取り違えを減らすこと。これから増田式でトレーニングして本当にミスが減るのかやってみようかな。
 あえて疑問点を出しておこう。
 ・正直言って、本当に交互打鍵が理想なのだろか
 ・母音が左手にあるため、左手が忙しい。AZIKの拡張がまじるとさらに忙しくなる。SKYのように右手に母音キーと拡張キーがあればもっと楽なんだろうな。もしかするとDr.Dvorakは左利きではないか?

 IとDが左右対称になっているのでとんでもないミスタッチを侵すことがある。エクセルなどのアプリケーションで、挿入と削除を取り違えてしまうのだ。

■2001年6月1日(金)

 早いもので、Dvorakに移行してもう2ヶ月もたってしまった。さすがに前ほどいらいらすることはなく、時には実に滑らかに打てる時もある。だがまだまだ意識しないと打てない。何かの拍子に頭の回路が突然狂うようなことがあり、そうなるとその時点で何回も、自分でも不思議なくらいミスを重ねてしまう。この辺のところはうまくすると認知科学の分野でも面白いテーマになるかもしれない。
 増田式は、Dvorakの復習文字列を毎日ちょっとだけやっている。
 ちなみに復習文字列とは以下のようなもの。

てつちとた へふひほは えういおあ
でづぢどだ ねぬにのなん せすしそさ
けくきこか げぐぎごが れるりろら
きんこんかん そっとう くぇいと
をわ めむみもま べぶびぼば
ヴぇヴヴぃヴぉヴぁ ぜずじぞざ
。、ー
ぺぷぴぽぱ ゆよや きゅきょきゃ

 実はこの増田式と同時に、メトロノーム練習も行っている。これは一定のテンポに合わせて打鍵するというもの。拙作のタッチタイプトレーニングTouch31のネットワーク対応バージョン(残念ながら非公開)で実現した。増田式なのかこちらの練習なのかははっきりしないが、それなりに打鍵の滑らかさはこの1週間でかなりステップアップした感じがする。

 ところで実際使ってみて、交互打鍵はそれほどすばらしいというほどではない。私としてはアルペジオあるいは和音打鍵のほうがミスが少ないように思う。交互打鍵では、とくにDvorakの場合、左手がどうしても速く打鍵しがちになって、一見楽そうでも思わぬミスが多い。打鍵が楽なだけに、そのような副作用があるのだろう。
 いったい理想的なキー配列の条件とは何かがまたしてもよくわからなくなる。「理想」が個人によってちがうのなら、いっそのことその個人の打鍵の癖のようなものを解析して推奨するキー配列を提示してくれるシステムもあってもよいのでは。

 アメリカ憲法はその後一向に記録更新ならず、Qwertyのトップスピード並みというところでサチッて(飽和して)いる感じた。そのうち経過のグラフを公開しなくては‥‥。

■2001年9月9日(日)

 もう5ヶ月だ。QWERTYの時以上に練習を積んだ。今ではほとんど苦もなく毎日楽しんでいるという感じだ。ただ不思議なのは、キーボードに手を置かないと、どこが何のキーかすぐには思い出せないのだ。それだけ指で覚えているという状態なのだろう。
 『わが輩は猫である』の以下の部分を自作トレーニングソフトで練習、記録グラフを公開する。あいかわらずミスが多いなあ。でも300ストロークくらいは出るようになってきたから。もしかするとQWERTYのときの速度よりも若干上まわっているかもしれない。

吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。
しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪(どうあく)な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕(つかま)えて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考(かんがえ)もなかったから別段恐しいとも思わなかった。

■2001年11月11日(日)

 7ヶ月が過ぎた。この2ヶ月はあまり練習ソフトも使わなかった。もう充分打てるようになった。というか、スピードもミス率もあまり変化しない段階になった。
 実際Dvorakに移行してどうだったのか、生産性は上がったのか?と問われると正直、トータルで見ると投資した分(学習時間など)を取り返すまでには至っていない。あえて言うと、打鍵が楽になったということは言える。Dvorak自体のできがいいので、Dvorakだけの場合とAZIK on Dvorakの場合とを比較するとAZIK導入のメリットは相対的に低下する。とくに二重母音拡張、撥音拡張は無くてもいいくらいだ。となると、残るのは特殊拡張だ。実際「ご利益」は特殊拡張を使ったときに実感できる。とはいえDvorak上でのAZIKをそのうち公開しなくては‥‥
 さて、特に日本人にとっては、はじめからDvorakでローマ字打鍵をトレーニングすると、キーは覚えやすいし、英文タイプとも兼用できるのでメリットが大きいだろう。それから記号キーは、英語キーボード配列のほうが使いやすい。
 こんなことを考えていると、鳥ではないけど生まれて初めて見るキーボードが、Dvorakだったりすれば何の問題もなく、みんなずっと楽な打鍵が‥‥したがってタッチタイプも楽に習得できるのだろうに。現実は‥‥
 社会人の講座、学生相手の授業でキーボードや日本語入力を実習させる機会があるが、みんなキーボードの刻印やローマ字の「綴り」にぎっちり囚われてそこから心理的に逃れられないといった状況だ。まったくべつの思想からキーボードの刻印を考えたらどうなるのか?

ちなみに、この2ヶ月40万キー以上打っている。これはGKCというフリーソフトでの打鍵データ収集の結果だ(気のせいかシステムが不安定になるので最近は外してある)。

ということでこの「メモ」はこれにて終結しまーす。


★2002年6月、これまでの一連の検討をまとめなおし、新たに『ACT』の名で公開しました。

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