チーズの基礎知識と参考文献

 わたしの知っているチーズに関する基礎知識と参考文献です。 多くの知識はこの参考文献から得ましたが、それ以外にWebから収集した知識を加え組み直したものです。

 わたしはチーズの専門家ではないので、間違っていたり抜けていたりするものがあるかもしれません。 内容に問題がある場合、その責任はHaloにあります。 何か気づいた点がありましたら作者宛にメールしていただければと思います。


チーズの基礎知識

はじめに

 チーズ(英語:cheese)もしくはフロマージュ(仏語:Fromage)と呼ばれます。 非常に多くの種類があって、現在何種類あるかははっきりしていません。

 チーズは大別するとナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられます。

ナチュラルチーズは非熟成もしくは熟成され、ある一定期間の賞味期限があり、その期間以外は未熟だったり過熟になったりします。 また、購入後も熟成が進んでいますので、管理が重要になります。 ナチュラルチーズは非常に多くの種類があり、いろんな味が楽しめます。

 プロセスチーズはセミハードチーズなどを加熱して作ります。 一度加熱してありますので、熟成が止まり、長期保存が出来るようになっています。 学校給食などで出される四角や扇形のチーズはプロセスチーズです。 一度は食べたことがあるのではないかと思います。

分類テーブル

 原料と製法をテーブルにしてまとめてみました。 プロセスチーズはナチュラルチーズを元にして作られますから、プロセスチーズは除いてあります。

原料、製法分類テーブル

牛乳山羊乳羊乳水牛乳
フレッシュ1A1B1C1D
白カビ2A2B(2C)(2D)
青かび3A(3B)3C(3D)
ウォッシュ4A(4B)(4C)(4D)
セミハード・ハード5A5B5C(5D)

 テーブルが見づらい人はテキストフォーマット版があります。

 ここで括弧に入れられてないものは私が確認しているチーズで、以下に説明します。 括弧に入れられたものは、私がそれに当たるチーズが調べられなかったものです。

 同じ名前で売られているものでも、違う元乳から作られるチーズもあります(多くは他の乳製から牛乳製に作り替えた)。 ですから一概にこの名前のチーズは何乳製と言えるものではありません。 また、輸送に耐えられるようにとか長期保存のために外観や製法などを変えて作っているものもあります。

 分類はこのテーブルごとに分ければ一番細かくなりますが、それだと扱いにくいので、いくつかにまとめられます。

 山羊乳製(シェーブル)と羊乳製は単独(もしくはこの両方をあわせた)分類に分けられ、牛乳製などと別にされます。 特に山羊乳製のチーズは味が違うため(酸味が強い)牛乳と分けられて当然なのではないかと思います。 また、山羊乳製と羊乳製も熟成を行いますが、熟成のさせかたが違うようなので牛乳製と分けた方が分かりやすそうです。

 水牛乳製のチーズは水牛乳製モッツァレラしか知りません。 そのため特別に分けられず、モッツァレラの亜種の様な扱いをされています。

 牛乳製は非常に多くの種類があり、また製法によって味が違いますので、各製法ごとに分けられるのが普通です。

 以上のことを踏まえて、通常の分け方(ある程度詳しいもの)として以下の分類として説明します。 テーブルはナチュラルチーズの分類として作ったので、プロセスチーズは入れていませんでしたが、以下の分類ではプロセスチーズを一つの分類として取り上げておきます。

分類ごとの特徴

 各チーズの分類ごとの特徴を書き出していきます。 各分類に付けられた記号は上記分類テーブルのものです。

フレッシュタイプ (1A, 1D)

 チーズを作るときの最初の段階に出来る熟成前の状態のものに、手を加えて作り上げたものです。 熟成という段階を通っていないので、いわゆるチーズ臭さはありません。 そのためチーズが苦手な人でも食べられる種類が多いです。 チーズ嫌いの人はここから手を着けてみたらどうでしょうか。

 新鮮な方が美味しいですから、購入後なるべく早く食べるようにしましょう。

 フレッシュタイプでもクリームみたいなもの、ぼそぼそとしたもの、バターみたいなもの、かまぼこみたいなもの、とさまざまです。

 なお、1D に分類されるものは水牛製モッツァレラチーズです。 モッツァレラチーズの正式なものは水牛製なのですが、一般的に流通しているのは牛乳製が多いです。

白カビタイプ (2A)

 チーズを作るときに外側に白カビを付けて熟成させるタイプのチーズです。 外側から白カビで熟成させるので、熟成が早い段階は中心部に芯がありますが、熟成が進むと芯が無くなり溶け出すような感じになります。 人によっては若い物がよいとか完熟した物がよいとか好みがありますので、製造日、輸入日などから判断して自分が一番好きな状態で食べるのが良いでしょう。

 日持ちが余りしませんので、良い状態になったらなるべく早く食べるようにしましょう。 そうでないと美味しい時期がどんどんと過ぎてしまいます。

 なお、長期保存が出来るように、真空パック(缶に入れられている)されたものがあります。 いつでも食べたいときに食べるために保存しておくような場合はこのタイプを選ぶようにしましょう。

 白カビチーズはそのままテーブルに出されることが多いのですが、火を入れても以外と美味しいです。 味が強くないので料理に使いやすいと思うのですが、以外と使っている人は少ないようです(まあ、良いチーズは生で食べたくなるものですが)。 パンにチーズを乗せて焼くときに、白カビチーズを(小さな塊で)乗せると、白カビチーズ独特の味も残りその上に火が入って軟らかくなって違う美味しさが味わえます。

青かびタイプ (3A)

 チーズを作るときに青かびを中に植え付けて熟成させるタイプのチーズです。 ブルーチーズとも言われています。

 中から熟成させますから、外側の状態を見れば熟成度合いが分かります。 ただ、これはチーズのプロが見れば分かると言うことですから、普通の人が見て分かるってものじゃないです。 しかしブルーチーズはある程度日持ちがするので、良い熟成度合いになってからカットしてパック詰め(パックのものは)されるものが多く、売っているのを買ってくれば特に問題はありません。

 ブルーチーズは塩分が強いので(だから日持ちがするのですが)、料理に使うときはチーズに含まれた塩味を考えないと失敗します。ドレッシング等に使うときは少な目の塩味(もしくは塩を入れずに)調合して、チーズを加えてから塩味を整えるようにします。

 最近はブルーチーズの外側に白カビを付けたミックスタイプみたいな物も売られるようになりました。 この場合も基本的にブルーチーズとして扱うようにしてください(白カビより青かびの方が味が強い)。 ただ、普通の青かびよりも食べやすいものが多いので、入門はこのミックスタイプから入った方が良いかもしれません。

シェーブル(山羊乳)タイプ (1B, 2B, 5B)

 牛乳製のチーズに比べ、酸味が強いのが特徴です。 円筒形やピラミッド型のチーズはほぼこれだと思って間違いないでしょう。

 小さめで大きさに比べて値段が高いものが多いですが、シェーブルチーズの栄養価は高いので、一度に大量に食べるものではありません。 値段と食べる量を考えると極端に高いものではありません。

 そこそこ日持ちし、また熟成度合いによって味が変わりますので、少しづつある程度長く楽しめるのがシェーブルチーズの良いところでしょう。

 シェーブルチーズには木炭の粉がまぶされ、黒くなっているものもあります。 これは酸味を和らげるために付けられているもので、食べても問題は無いようです。 でも、気になる人は木炭の粉が付いていない物を探すか、取り除いて食べるようにすればよいと思います。

羊乳タイプ (1C, 3C, 5C)

 脂肪分が高くねっとりしているのが特徴です。

 3C はロックフォールチーズで、青かびチーズに分類されている場合が多いのですが(確かに青かびチーズですが)、これも羊乳製です。

 私はこのタイプはペコリーノ・ロマーノしか食べたことがないので、余り詳しく分かりません。 申し訳ないです。

ウォッシュタイプ (4A)

 製造の途中で、塩水や酒などで表面を洗って作るチーズです。

 匂いがきついものが多く、味もさぞかし強烈だろうと思うと、匂いに反しておとなしい味(上品な味)です。 ですから、味だけで言えば初心者向けなんですが、匂いがきついので食べ辛いです。 そう言うときは皮を外すと匂いがきつくなく、かつ上品な味が楽しめます。

 ある程度保存がきくものが多いのですが(熟成期間が長いため)、時間が経つほど軟らかくなりますので、食べ頃を見計らって食べるのがよいと思います。 だから、保存上の注意は保存期間と言うより、いかに匂いを漏らさないようにするかだと思います。 そのため(箱入りでも)密閉容器などに入れて冷蔵庫に入れておくのがよいと思います。 これをしないと家族中から非難を受けます。^^;

セミハード・ハードタイプ (5A)

 プレスをして水分を抜いたチーズです。 セミハードタイプとハードタイプを分類として分ける場合もありますが、その分ける基準がよく分からないので、私は一緒にしています。 食べた感じも堅さだけの違いしか感じないし。

 保存用として作られるだけあって、日持ちはします。 ただ、乾燥は苦手ですので、ラップでくるんで野菜室へ入れるのが良いでしょう。

 プロセスチーズの原料として使われることから分かるように、味的にはプロセスチーズと似たようなものもあります(種類によって違うけど)。 プロセスチーズが好きならばプロセスチーズの材料となるチーズを選び、嫌いならばそれらを避ければ良いと思います。

プロセスチーズ

 セミハードタイプのチーズを加熱して熟成を止めたチーズです。 熟成が止まっているので長期保存が可能です... とよく本などに書いてあるのですがセミハードやハードチーズだって(封を開けなければ)相当持ちますし、封を開けた物同士を比べるとそんなに持ちは変わらないので、強いてプロセスチーズを選ぶことは無いと思います。 問題はプロセスチーズしか売っていないところが多いってことですね。

 加熱して再成形の際にいろんな物を混ぜ込んで味を付けたチーズもあります。 これらは結構楽しめるので、いろいろ食べてみるのも良いのではないでしょうか。 その他にもスモークチーズ(チーズの薫製)やチーズフォンデュ、溶けるチーズ、塗るチーズ、粉チーズなどいろいろな種類があります(一部ナチュラルチーズの場合もあり)。

 バラエティーはあっても、味はそんなに変わらないことが多いです。^^; ただ、ナチュラルチーズと使い分ければ十分美味しく食べられます(プロセスチーズだけだと辛いけど)。


参考文献

 わたしがチーズを買うときの参考にしたり、知識を得るために読んだ本です。 上記基礎知識もほとんどがこの参考文献からのものです。

チーズ[ポケットブック](旭屋出版)

 分類ごとに分けられ、各チーズには写真(包装写真)と説明文が添えられています。 説明文は外観、食べ方、特徴、原料乳などが簡潔にかつ分かりやすく書いてあって便利です。 一種類について複数メーカーの写真や説明があったり、国産品やプロセスチーズまで載っている本は少ないのではと思います。

チーズ読本(中公文庫ビジュアル版)

 チーズの楽しみ方、分類とその製法、特徴などが書かれています。 チーズの種類の説明と言うより、チーズを楽しむための本です。 そのためチーズの回り(ワインとかパンとか道具とか)にも多くのページが割かれています。 チーズ料理や栄養、使い分けなども書かれているので、チーズに関する幅広い知識を得ることが出来ます。


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