ひなこのーと

 ソフト名はどこかで聞いたアニメのタイトルだが、商標としては9,16、28、41ということで、本フリーソフトウェア自体はゲームでもマンガでも人形でも映画でもないのでスルーしてくれ。
 かいつまんで言うと英語落ちこぼれ救済用の教材作成ツールである。英文をテキストで打ちこんでおくと、Microsoft Excelに読み込んで、単語に分けて、辞書引いて、フリガナふって、品詞と意味つけてなんとなくわかるようにしてくれるという超スグレモノだ。
 この単語、この訳語でいいのかしら、と思ったら品詞、ないし訳語の入ったセルをダブルクリックすると別の品詞/次の意味を引いてくれる。この辺は普通に辞書を引くのと同じイメージ。
 あとで見やすく、ということを考えると、訳語は最適のものひとつに絞って他は消したあと、列幅の自動調整を行う、といったことが必要になる。(実際にはテキストを読み込んでセルに分割した直後は単語長に合わせて自動調整、訳語を入れた直後は、品詞の表記に合わせて自動調整しているので、最低限の見やすさは確保している。ついでに英文の箇所のフォントはガキのリクエストによりTimes New Romanと決まりました。)

 何が苦労したって、英語の「文頭だけ大文字」という特性。例えばごくごく普通にある"He is"から始まる文、まずは大文字から始まる「He」を引くわけだから「【地名】ホー」が返ってくるのよ。こりゃ違うなと該当品詞をダブルクリックするのが仕様だが、最初は1文字目を小文字に直して再検索すればよかろうと思った。しかしながら、そうすると「ヘリウムの元素記号」の意味が見つからなくなる。しかたなく、辞書の方を変えた。各語の項目、単語がそのまま入るのだが大文字から始まるのと小文字から始まるのの2つにして、一回目は大文字開始で探し、再検索は小文字で検索するという仕様にした。なお、スペルが同じ語にはheだろうとHeだろうと、すべて小文字表記に統一した状態で一連番号を付け、1から探す(大文字は大文字で最初にヒットした分を返す)。再検索はもう一つ大きな一連番号を探して、最大値になると1に戻る。同じ単語に複数の意味がある場合も一連番号を持たせて、以下同様。ワークシート上に記載された品詞および意味が第何義に相当するかは各セルのコメントとして持っている。ものすごい情報の詰め込みようだ。

 ここまでやると英語の例文がカタカナで読めて、単語の意味が語順どおりに羅列され、意味が何となく分かるようになる。これだけでも生徒にとってはありがたいことだろう。(私だってわかっているんだ。ちゃんと本文をノートに写して、分からなかったら辞書を引くという習慣が大事だってことは。しかし、それすらやらないならば、これ以上落ちこぼれることと比べてベターな方を取るしかなかろう。)
 しかしもしこれ以上におちこぼれの面倒を見ようとするなら、こんな風になるだろう(って私がやってます。)この例文で示そうとしている英語の使い方、たとえば3音節以上の形容詞の比較級はmoreを付ける、とかそういうところに着目して、該当部分のみをコピペして別の行に写し、解説したりする。Three times as 〜 as なんぞのところは"times"を赤で塗って「穴埋め問題に出やすいぞ」と示唆しておくのも推奨。二倍のみtwiceよ、なんて書き足してもいいかも。
 熟語については辞書引きが対応してないので、手で入力してください。(翻訳ソフト作った奴エライわあ。---ちなみにこれ用の辞書を作った私もなかなかと自負している。どう作ったかはそのうち書く。)

 ガキの期末テスト直前に完成した。もうすこし余裕が欲しかったが、それでも最後のあがきに使える。というわけで「おいタブレットで読めるようにするから貸しな」といったのだが「重いからiPhoneにして」だそうな。

 さてテスト対策なら通学中のiPhone閲覧でもいいが、このツールで授業の予習なんぞをするとちょっと困る。予習した以上、その内容を確認しつつ、授業を受けるのは当然だが、授業中にスマホ出すのは現在の校則上不可である。しかたない。モンスターペアレントとはこういうものだと正しい認識を持っていただこう。「目的が合致すれば授業中のスマホ解禁を!タブレットを使って授業をする学年もあるのに、なんでスマホではだめなのだ。機能は変わらないだろ。」と主張したところでこのツールを見せ「落ちこぼれた子供は英語の時間ずっと辛い思いをしているはずだ。そういう生徒に前を向かせるだけでもこれを使う理由は十分だろう」と主張する。ここまで見せられると、学年を絞ってタブレットを導入している学校側は実に反論しにくいはずだ。もちろん、こんなものを作ってしまう親心という発想力と実装力がモンスターなのよ。

 一応、機能としてはMicrosoft Wordへの書き出し、というのもある。セルをHTML形式でコピペするのだが、その際セル幅がいくつを超えそうになったら、別の行にする、なんて機能もある。が、どうしても「セル内の文字がはみ出る」という問題があり、かつ「1行に書き出せる量が案外少ない」というがっかりな事実があったので、実際には使いそうもない。
 でもMS-Excelのままだと、1文がノート1ページと極めて非効率になる。セルの幅調整が文によって変えられないので、最初の文で"interesting"なんて比較的長い単語がある列に、次の文で","なんぞが入ると、ものすごく間抜けになるのだ。
 でも私だって好き好んでモンスターペアレントやりたいわけではない。紙に印刷すると子供が自身でそこに補記を入れられる。この効果は大きい。さてどうしたもんか。

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