検索コンパニオン:ロッキー3

 OA用のパソコンがネットワークに繋がれて「端末」と名を変えたとしても、1台1台を見ればOSと記憶域を持ったパソコンには違いない。当方がネットワークコンピュータを提唱してから20年経ち、パソコン本体はブレード化してあるいは仮想化してサーバールームに置く、なんて製品も出来たが、やはり安さと手軽さにはかなわない。机にパソコンが並んでいるほうが結局楽なのだ。とくに障害が起きたとき、パソコン毎に切り分けて対処できるのは大きいね。

 そのかわり、データはローカルに残る。OSもOFFICEもグループウェアも業務パッケージも、処理の都合上、ローカルにワークファイルを置いてしまうのだ。ついでに作業する側も、ネットワークの不安定さを恐れて、ローカルにファイルを置く。大量データをマクロで処理するときとかは、一度ローカルに持ってきてくれたほうがネットワークの不可も軽いのではないか。当然、人間のやることだから消し忘れもあるよな。

 何もなければこれでいいのだが、事故というものは起こり得る。パソコンの紛失が記事になるたびに「重要情報は入っていない」と皆さん言い切っているが、彼らは何を根拠にそんなことをいえるのだろうか。なくしてしまうほど管理の甘いパソコンについても内部のデータを全て把握していると言い切れるような凄いスキルを持っている人があふれているなら、世の中にシステム障害なんてものは起こるわけがないのだがなあ。。。おっとこれは愚痴だ。

 というわけで、紛失したパソコンの管理番号を聞いただけでディスク内の情報の種別を把握できない普通の人間(私はスペック的には普通の人間であり超能力者ではない)のためにソフトを一本書いた。ローカルディスク内を検索して、MS-OFFICEとPDFファイルを一覧にしてくれるマクロである。ついでにファイルのプロパティを見て作成者と企業名も出してくれる。ローカルにあるMS-OFFICE文書は、テンプレートやサンプルに当たるものも多く、全部見ていくのも楽ではない。ユーザーマニュアルが.docや.pdfなんてのも珍しくない。だから作成者/企業名が分かると削除すべきものも洗い出しやすい。当然、「これ削除」と思ったら該当行の1列目、プルダウンから「*」を選ぶと削除もしてくれます(正確にはごみ箱に移す)。
 ソフト名をつけるのはいつも下手なのだが、今回はWindowsXPの検索コンパニオン、なぜかロッキーが2匹いるので、3匹目ということで「ロッキー3」とした。

 実は十年前に作ろうとして挫折したのですな。ところが遅ればせながらWindowsScriptingHostで、「検索」にあたることが可能になっていることを知って、作った次第。少なくとも組織変更とかあって、端末を物理的に移動させる際はチェックして、消すものは消しておきたいじゃないか。これなら引越し中に紛失しても「重要情報はありません」と胸張っていえる。もちろん営業が端末を持って出るとき、余計なものは入ってないよね、という確認も出来る。まあ、ディスクまるまる暗号化するにしても、個人情報保護法は容赦ありませんので。

 実際動かすと「えー、こんなに!」となりました。ZIPファイルを解凍したときのテンポラリが馬鹿にならんのだなあ。これだけのものを見逃していたのか、あまり見たくない結果です。
 このような結果を見たときの人間の行動は2つに分かれます。見なかったことにする人と、何とかしようとする人に。で、役職員で分けますと、職員は見なかったことにしたいだろうし、役員は何とかしないと、と思うべきでしょう。ところが、見なかったことにしたい人は「問題を起さない」いい人ですので、とりたてられ、やがて役員になります。
 ということでほどなくして社内全部「見なかったことにする」人で占められることになりそうです。だいたい、30年かな。これが会社の寿命という奴なんじゃないかな。さすがに経営トップとなると見たくない現実も見て、なんとかしろ、になると思いますが(除く東京電力&プロ野球)、動ける人はいません(除く吉田所長)。それをもって「経営陣の危機感が伝わっていない」って言われても、そういうもんです。あきらめてください。

 お前の勝手な推測だって?そうねえ、この文章を読んで「そのマクロ送ってくれ」と依頼してくる経営トップ(どころか一般サラリーマン)がいないことを以って証拠として、いいかなあ。

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