Visual Excel

 外為法が改正になって、外国為替取引を原取引と一対一でひもつけなくてもよくなりました。いわゆる外国為替ネッティングの解禁です。
 ネッティングをするとこおんなにお得になりますよ、という試算を頼まれましたが、とてもたいへん。なんとかコンピュータにやらせてしまおうと考えてソフトを作りました。  

最初は、表計算なんかでやろうと思ったわけですが、私の単純な頭では、行×列の計算を複数同時に展開させるというロジックを思いつかず、さらには使い方を自分でも間違えそうだったので、マルチウィンドウ/GUIの計算ソフトを作りました。

 通貨を登録して、対円相場を入力して、海外拠点とそこのホームカレンシーを入力して、拠点間の送金を登録して、このへんはコンボボックスを多用して、入力の手間軽減と誤入力防止を図ったりしていて、そつのない作りです。ネッティング後の各拠点の送金先と送金額も個別に計算してくれますから、基準を米ドルに変えてやればそのまま業務に使えそうなクオリティです。(でもめんどうだから数値入力のニューメリックチェックはさぼった。)
 送金内容は、タブ区切りファイルでインポート可能だったりします。このあたり、密かにSAP R/3を意識しております。最大のメリットは「落ちない。データが消えない。」です。なかなかのもんでがしょ。

 さて、私の作成したソフトは、だいたい悲劇的な末路を辿るのですが、これもまたそうでした。お得なずの外国為替ネッティングがスキームによっては損になるということが発覚したのです。このことは、このプログラムが出来るまでだれもこの事実に気がつかなかったことをも意味しています。(^^;
 かくして一ヶ月以上の開発期間をかけたこのプログラムは闇から闇へと葬り去られることになりました。

名前のVisual Excelは、かのマニファクチャラーズ=ハノーバー銀行のファームバンキングソフト「Excel」にあやかってつけました。思えばこのソフトもかわいそうですね。この銀行はケミカル銀行に買収され、さらにチェースに買収されました。
 そんなわけで、名称にExcelという文字が入っていることが某ソフトハウスの商標とぶつかるのではという懸念はありません。Excelは前述のマニハニ銀行の登録商標です。他社の登録商標に"Visual"をつけて自社の商標にしてしまった例はMicrosoft本体が行っていますから間違ってもクレームはつかないでしょう。最初にVisual J++なんて名前を見たときはあきれたぞお。どう見たってIverson社のJ言語にVisualな開発環境がついて、ついでにオブジェクト指向をサポートするようになったとしか思えないではないか。
 しかし、マニハニのExcelという商標、おしいなあ。どうせ買収されているんだから商標だけでも買い上げて、「Excelはマイクロソフトの登録商標です」と書いている各出版社に訂正記事と回収を求め、その和解条件で儲けられるんではないかな。ファームバンキングソフトごと買い上げればなおよろし。和解条件として「我が社のファームバンキングソフトExcelを褒めちぎった特集記事を雑誌に載せること」を飲ませればものすごい広告効果だ。

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