算数が得意になるコツ(その2)

 下のガキがどこからか妙なゲームを聞いてきた。
 交互に1から数えていって「30」と言ったら負け。一度に3まで数えていいの。
 面白がって付き合った。勝ったり負けたり。しかしやがて常にパパが勝つようになった。娘としては面白くないだろう。が、何故パパが勝つか?が疑問であるうちに説明した。
 ようするに僕が29って言って止めればいいわけでしょ。じゃあお前が26,27,28のどれかで言い終われば、僕は29って言えるわけだ。お前が26,27,28のいずれかで止めるためには、僕が25って数えて止めればいい。
 小学校3年生にいきなり理解しろとは(僕でも)言わない。紙に1から30までの数字を書いてやった。まず「29」で止めるための条件を再度説明。僕が数え始める前の数字が26,27,28であればよい。お前がそのうちのどれかで終わるためにはお前が25の次から数え始めることになる。そうするためには僕は25で止めればいい。では25で止めるためには?
 数字の列のうちまず29と25にマルがついた。同じように考えている。「次は21だ」。正解。で更に前を計算し始める。ここで入れ知恵。「29と25の間には数字が三つある。25と21の間もそうだね。じゃあ?」「あ、三つおきなんだ。・・・わかったイチッ!って言えば勝てるんだ。」「つまり先手が必ず勝てる。よし、検証してみるか?」以降ガキは連戦連勝。

 一つのゲームを題材に随分沢山のことを教えることが出来た。

  1. (いつも負けるという)現象に気がつき。
  2. 法則がありそうだと知る。
  3. 法則をコツコツ探して。
  4. 途中で簡単な解き方があると分かり。
  5. きちんと検証する。
    おまけとして
  6. パパに必ず勝てるようになったという喜び。(これ重要。)
 自然科学をやっていく上で、重要なステップを結構網羅していた。(仮説を立てる、が抜けているが。)特に3と4が重要。最初はしらみつぶしに考える。やがて楽に解ける方法があると分かる。上のガキはこれ飛ばしたんだよな。問題集を解いていて、解けなくて解説を見ると解き方が載っている。なんだ解き方がわかれば簡単なんだ、と納得する。合理的な考え方なんだそうだ。この言い訳を教えると性急に解決策を求めるようになって考えることをしなくなる。「答えが出ればいいんだから解き方を教えて」。
 これと対照的な台詞が僕が高2のときの「私はひらめくと思われているかもしれないけど、私がひらめくまでに考えたことは、あなたがひらめかないと判断するまでに考えたことに比べて物凄く多いの」。解き方をひらめくまで待ってひらめいたことがある人間がいるかもしれないが、その人は私よりはるかに凄い。(まずいことに上のガキ。音楽に関してはこれができるんだな。)
 ま、とりあえず下のガキはこの段階で成功体験とともに算数が得意になる「コツ」を体感させることが出来た。中学受験するって言ってるし、算数の問題でつまったら「あのときを思い出してみて」って言えるのはでかい。

 さて、下のガキは、「4つずついえるというルールだったらどうなるか」「30を言ったほうが勝ちというルールならどうなるか」自分で考え始めた。あれ?こいつ向いてる。

 うちのガキ、学校ではこのゲームやっていないらしい。そりゃそうだ。必ず勝てるものはつまんないし、友達だって必ず負けるものなどやりたくはないだろう。
 今のところ舌を巻くようなひらめきは見せてないが、こういうことは分かっているようだ。しかしここまで気を配ると本人ストレスだろうなあ。

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