なんかの予想をして、それが当たると、あたかも自分で発見をしたかのように歴史に名前が残ることがある。少なくとも予想した人間の方が発見(証明)した人間より有名になった例はある。湯川秀樹の中間子理論とかフェルマーの大定理とか。そんなわけで、いろいろ予想をしておくというのも悪くはないことかもしれない。
思い立ったのは、人間の遺伝子の数、今まで10万あると考えられていたのが、3万〜5万という説が有力になってきたというのを聞いて。大腸菌の10倍にしかならないというのでは、万物の霊長としてあまりにも格好が付かない。1つの遺伝子がいくつかのタンパク質合成に関与しているのだろうという仮説がくっついていたが。。。
ではどんな風に複数のタンパク質合成に関与しているか?を考えてみよう。もしDNAの塩基配列が「ビットの並び」のようなものと仮定するならば。
圧縮されている、というのはさすがにないとして、
文字コードと同じでShift-In、Shift-Outがされている、というのはありそうなことだ。で、文字コードが「内臓」だったら平滑筋のタンパク質になり、「筋肉」だったら横紋筋のタンパク質になる。もちろん「心臓」だったら心筋よ。
本当にこうだとしたら「情報技術が分子生物学のモデルとなった」という面白い例になりそうである。ついでに、発生の過程で細胞の機能が分化してゆくことへの説明にもなる。追い打ちとして「ガン」という文字コードもあって、これにShift-Inするとガン細胞になる、とか。「モリヤマの予想」として広めよう。まあ、かつて私は歴史に残るような大発明をしたことはある。データベースレプリケーションあたりで喜んでいるのではないぞ。小5のときX線を発見したし、中1の時には代数幾何学を創始した。期末テストで補助線を引く場所を見つけられなかった私は、思いあまって直角三角形を座標平面に置き三平方の定理を2回使って問題にある線分の長さを求めたのだ。残念なことに先生を仰天させるだけで終わってしまったが。時代が時代なら大発明だ。
まあ、予想するというのも大事である。貯め込んでおいたアイディアが時代と同調するときが来るかもしれない。直近の例ではLモード。一年近く前に、デジタルデバイドを無くすための方策として、地方自治体と電力会社が共同で専用端末を作ることを考えた。ぼーっとしているうちにNTTが類似のLモード端末を作ると発表したので必然的にお蔵入りになった。
ところが実際にサービスを開始できるかどうかは微妙らしい。東西NTTの提供サービスは県内に限定されているから、県境を簡単に超えてしまうインターネットに繋ぐサービスを行うことは出来ないという理由で、競合他社の反対にあっているらしい。
もし、このままNTTがLモードを導入できないとなれば、開発費その他の回収は全く出来なくなってしまう。そこで、例えば私がかつて考えたデジタルデバイド防止用端末に流用できないかということになるかもしれない。そうなれば私の予想は無駄にならなかったわけだ。しかし、これも予想をきちんと文章にしていたから言えることなわけだ。そんなわけで「なんか思いついたら書いておきましょう」。「はりせんかまし」はそういった教訓に基づいて書かれているところもある。
今思い返せば数学をやると私、いい線行ったかもしれない。ただし、思いついたアイディアが役に立つ、と判断する才能は私には全くないようだ。絵本作家の安野光雅さんが大昔の数学セミナーに「算私語録」というコラムを連載していた中に似たようなのがあった。この人、方眼紙の升目に数字を書き込んでいって「ガウスの定理」を発見したらしい。でも、そんなことが数学に関係あるとは夢にも思わなかったそうな。