「株主責任」で「株式会社は、経営と所有を分離した。その結果、支払可能額以上の損害を外部に与えても、所有者の責任は株式の価値にとどまる矛盾が生じた。結果として損害補償は国の責任になり、よって財政赤字は拡大する」というような問題点を指摘した。社会問題ネタ、目次へ
が、甘かった。株主の皆さんはそんなことはとっくに承知で、「利益は株主に、負担は国家(納税者)に」を積極的に推進していた。
なんと東京電力の株主総会では「脱原発」の動機が反対89%の圧倒的多数で否決されたそうな。となるとやり方が変わる。「反対した方々は、原発に対して責任を負うことを了承した」と受け取らないといけない。
今までは「絶対安全」と言われたので信じてました、という子どもじみた言い訳も通用したのだろうが、今はそんなことないよね。リスクを十分承知しているということだ。ならば、進んで払ってもらわないといけない。たしかに株式会社の原理からして、株式の価値がゼロになる以上の責任は負わせられない。が責任は負うと認めてくれたのだ。財産税を課税するなら問題なかろう。だから創設しよう。「東京電力株保有税」を。それは各株主の自発的拠出が望ましいが、ある程度の強制力をつけたほうが良い場合もある。機関投資家なら「投資なので関係ないです」とシラを切っちゃうかもしれないし、事業会社であれば不必要な支出をしたとして株主への説明が面倒になるかもしれない。だから「税」として制度化するのだ。悪くないと思うがどうだろう。今のところ会社の不始末を国の負担に付替えてのうのうとしているわけだから、損害額がある程度確定した時点で国が逆に負担を求めても応じないわけには行かないと思うよ。早速計算。発行済株式数は1,607,017,531株。そして今回の福島原発の処理費用は最大20兆円ととりあえず見積もられた。
はい割り算。一株当たり壱万弐千4百4拾五円也。まあ、国策として勧めてきた国の責任もあるから、一株壱万円の「東京電力株保有税」を課税すればよいことになる。なんだ。結構あっさりとカタがつくじゃないか。払えない。頼むから東京電力を国有化して、それでチャラにしてくれ。こんな悲鳴が聞こえるかと思ったが大丈夫だろう。
なんたって、株主総会は全株主が「ごめんなさい」を言い合う場所になると思っていたら、そうでもないようだから、まだまだ連中、事態の把握が甘いということだ。しかし委任状で脱原発動機があっさりと否決できるのであれば、なにも株主総会に間に合わせようと無理に汚染水処理施設を稼動させることはなかったと思うんだがなあ。
その分余計に費用がかかったじゃないか。これは経営陣が自腹で処理するべき費用だと思うけどどうだろう。なに?こんな経営陣に委任状を渡す大株主は責任重大だと?そうだね。株式会社の枠内で見ても大問題だ。やっぱり「東京電力株保有税」を払ってもらわないといけないということだろう。問題はこの税負担で首が絞まる第一生命保険、日本生命保険(いずれも「相互会社」)をどう処理するかということだ。株式会社の法的整理と違って相互会社はスキームが不定だからなあ。
この2つの会社をあっさり見捨てるのかって?うん。だって「生命保険会社」だろ。今のこの状態で原発を推進することが、人の命を大事にすることとは、個人的意見だけど、どうしても思えないから。さて、この説にはもうひとつ疑問を込めている。財産税なんてのを提唱する人がいるが(大前、森永)実際にどうなるかという話である。ナンバープレート課税という「受益者」の財産税ではなく、もっとも世論の支持を得やすい「東京電力株保有税」にしたらどうなるか。日本国民はおいといて、外人はどうするかということである。資産課税のリスクが高まったところで、国内金融資産を避けて少なくとも「ユーロ円」つまり円資産を国外に移しはじめる。資産を日本国内に置きたくないから日本への投資も鈍る。日本人だって追随する。
すると国債が消化できなくなってくるのだ。まあ国債については資産課税をしないということで何とかするだろうが、ぼくあたりが妙なスキームを作る。国債への請求権をオフショア市場で取引することにより、円為替を取引するというものだ。国内への投資を細らせたくないから政府も認めざるを得ない。が、結局国内で資金が回らなくなって国民生活ガタガタになるよ。経過は良く分からないが、多分そうなる。これが基軸通貨国なら何とかなるんだけどね。円の国際化をするかどうか、バブルの時代に検討をサボってきたから。