嵐の夜のただ乗りは、場合によっては無罪である

 順調に行っているときはどうだっていいのだ、問題は異例な状況が起こったときである。
 この辺、うちのガキはよくできていて、3.11のかの時刻、図工の授業だったらしい。揺れ始めたところですぐに「道具」をしまってフタをして、いち早く机の下にもぐりこんだとか。臆病な奴、と最初はいわたそうだが、ただならぬ事態にやがて級友もあせりだす。
 問題は「図工」だったということだ。キチンとしまってない方の場合「道具」、具体的には「彫刻刀」がバラバラと落ちてくるという冷や汗たらたらの事態を招くこととなった。さらに「校庭に避難」の指示が出たとき、うちのガキはひとりコートを持って外に出たとか。震えているみなさんに「ずるい」と文句言われたそうだが、他人に合わせて耐え忍ぶのがチームワークではない。まあ、僕の友人には、近くにかけてあるコートを何着か持って避難するような奴もいるが。(僕もそうする。)

 去年、会社からの帰宅時に台風に見舞われた。3時間ほど満員の電車に缶詰になった。極めてしんどい状況である。が、着席の上、携帯プレーヤーで音楽を聴き、咽が渇いたら水筒を出し、腹が減ったらおやつをポリポリやっている人間は周りから見れば全然苦労しているようには見えないであろう。着ているのが「空調服」なので、暑くもないし。
 しかし、辛いことは辛い。そこで今回は見栄を張らず、万全の準備とはいえない状態ながら帰宅許可が出たので仕事に区切りをつけてとっとと帰った。あと10分遅かったら危なかったな。

 迂回しまくって帰った方もいる。電車賃は自腹である。長い間缶詰にされた上に定期代以外の料金がかかるのは極めて遺憾であろう。ところが、これは踏み倒しても罪にはならないそうだ。

 刑法235条は「他人の財物を窃取した者」のみを窃盗罪としている。で、財物ではなくサービスが対象の場合は、それが有償であっても処罰の対象とならないのである。少なくとも警察の厄介にはならない。

 直感とは著しく異なるが、そういうことらしい。
(というわけで駅員は、払い忘れと解釈して注意することはできるが、払えと命じることはできない。ここで手とか肩とか触られたら「暴行」なので、刑法上の罪であり警察に突き出してもかまわないわけだ。「暴言」は罪になるのかな?特に旧国鉄は人が多すぎて困っているので、警察に連れて行ってくれると会社としては本音はうれしい〜これオフレコ〜らしい。)
 もっとも民事で罪になる可能性はある。というか普通罪になる。これは注意。最初は払うつもりだったが途中で気が変わって払わない、なんてあまり起こらない話だ。
 しかも、普通「切符を買ってから」乗るので、最初から払うつもりであれば当然前払いになる。まあ、うまくできてます、ってことだ。

 ところが、客観的に見て「最初は払うつもりだったが、途中でその気がなくなった。かつ運賃を前払いしていない」のが無理なく納得できる状態、存在しうることに気がついた。二つある。
 一つは、出先で終電間際。目的地までの運賃を確認する時間も惜しいので、とりあえず最低金額の切符を買って、出口精算をしようと思ったとき。ところが「接続列車が遅れているので待ちます」とかいう「鉄道会社側の都合」で遅くなり、こっちが乗る予定であった接続の最終電車に乗りはぐったときである。
 一度、こういうことがあって「約款に基き、出発地まで無料で送り返してくれ」とお願いしたが、駅員は馬鹿を装って「はあ、はあ」の連続だったので(後から考えると本当に馬鹿だったのかも)、こっちが根負けした。せめて運賃を払わずに出てくるべきだった。SUICAにしたのが悔やまれる。(僕はモトモト穏やかな人間だからけんか腰になるときは理由がある。改札で「これから乗る別会社の最終電車は待ってくれているのか?」と聞くと「知りません」。ここでせめて申し訳ございません、とか言ってくれればいいのだが「接続電車が遅れたから調整することは良くあるんじゃないですか」とヒトゴトのように言われたのでカチンと来た。そこで「じゃあ約款どおり送り返してくれ、と申し出たのである。)
 もう一つは自然災害で、途中不快な思いをさせられたときである。

 どのルートが動いているか分からず、とりあえず一番安い切符を買って来た電車に乗った。駅のアナウンスなどを聞いてルートを決定して目的地に向かったが、時間調整やら徐行運転やら、乗り込んだら「快速運転中止」になったやら、駅の混雑やら、でやったら遅い。そうこうしているうちに止まってしまった。徐行運転は仕方ないとしてもすんなり進んでくれれば帰れたのに。ここで「料金なんか払ってられるか!」と思っても、それは人間としての自然な感情であろう。
 ならば、払わなくても咎められることはない。

 「雑踏整理」の名目で警察を呼んでコンコースから人を追い出す電鉄会社の態度が大変よろしくないので、乗客の権利は権利(権利かなあ、、、でもやってもよいことだぞ)としてはっきりさせたくて書いた次第。少しは反省してくれ。

 さて、これを読んだ方で、運賃を払うつもりで乗ったが、先日帰宅時にえらい迷惑を被ったのを思い出して、払う気が途中でなくなり、運賃を払わずに出てきた、方がいて民事で訴えられた場合は、どうなるのでしょう。とても興味があります。というわけで、もし実際にやってくださった方がおられましたら、結果をご連絡ください。もし法定で証言してくれ、という依頼があれば、最初の1名に限り出廷の手間を取らせていただきます(責任上、自分も噛みます)。でも東京近辺にしてね。


 やはり出たか、タケノコの放射能
 線量が少ない木更津、市原でもそうか。
 予測が当たったのは嬉しくなくもないが。気持ちは同日の扉ネタの通り。
今回更新の「里山の崩壊が〜」
最後の一行は間違いであってほしい
物凄く速く育つので吸着する暇がない(ハズ)
だから確認して欲しいとは思っている。
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