BLUE RAIN 〜あるいは残された二人〜

 スパイクが過去に決着する為に、レッドドラゴン本部に向かってから間もない頃、フェイはひたすら泣いていて、ジエットはしばらく見送っていた。
 しばらくして、ジェットが松葉杖をついて、ぎこちない歩みでフェイに近づく。
 最初に目がついたのは、銃弾で貫かれた天井だった。だが、責めなかった。
「モサモサ、軟体動物に犬、もう帰ってこないかも」
「エドとアインは時期に帰ってくる」
「それもできないかも」
「何故だ?」
「あの時、エドを出ていくきっかけを作ったのはアタシだったの。アンタには居場所があるからと口にしてしまったのよ」
「アインは勝手に出ていった。よっぽど、エドのことが心配で仕方がなかったんだろう」
「アインはあんな犬でも、ビバップにいい雰囲気を作ってくれた。あの時、冷蔵庫にあったドッグフードを半分わけてあげたかった。それからコールド・スリープから目覚めた頃の話を真剣に聞いてくれた。エドもあんな訳のわからんガキンチョでも、役に立ってくれた。それからスパイクも・・・」
 フェイの声が次第に涙声になって、最後には泣いてしまって、とても言葉にはなれなかった。
「泣くなら、部屋で泣け。せっかくの美貌が台なしだ。俺だって、俺だって・・・」
 ジェットも泣き出してしまった。
 ビバップ号からスパイクやエドやアインがいなくなった今、残された2人はただ泣くしか術がなかった。
 まるで火星に雨が降り続けるかのように。

  YOU'RE GONNA CARRY THAT WEIGHT.

作/平安調美人

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