目が覚める、暗闇。 もう、いやなの、そんな、何者にも縛られない日々は 自分の空虚に泣くだけの日々には、もう戻りたくない。
THANK U BABY -4-
「・・・?」 すぐ横で声がした、はっと振り向くと、そこにはクラピカがいた。 「大丈夫か? あの霧の中で、何があったんだ?」 「え?」
やっと暗闇の中に慣れてきた目で、クラピカを見やる。 霧の中で…ヒソカにあって、抱きしめてもらって… 「…私、気を失っていたの?」 「ああ…ゴールであった途端、倒れたんだ」 「ゴールで…?」 思い出せない、その記憶…
そのとき、ふと、気がついた。手に温かな感触。 「…すまない」 「…なんで? ありがと、クラピカのおかげだよ、きっと」 「え?」 「もし1人だったら、また、泣いてた」 「・・・」 「そして、放してくれて、ありがとう」 「…え?」 「放れられなくなるから」
きっと、ヒソカも私を放した、放れられなくなる前に。
「…言霊?」 私は、静かに話し出し、クラピカは静かに聞いてくれた。 「例えばね…”私の手に触れて”」 私がそういうと、クラピカは私の手に触れた…驚いた様子で。 「体が勝手に動かなかった?」 あっけにとられていた…たぶん、普通の反応のだと思う。 「勿論、なんでも言いなりにできるわけじゃないの」 …あの男、とはヒソカのことだろう。 「…ヒソカには、1人で生きられるようになるまで、育ててもらったの」 ヒソカに会うまでの記憶があいまいな私にとって、 「いや…」 クラピカを見ると、じっとこちらを見ていた。 そういえば、出会ったとき、真っ赤だったあの瞳…尋常ではなかった。 「…オタガイ様ってわけね」 私達は笑いあった、少し温かな暗闇だった。
|