■デジクリトーク
●不幸なひとたち。
白石昇
●不幸なひとたち。
白石昇です。とまあこんな風に自分がいる場所がまだまだゴールにはほど遠い場所だということが判明したのでありますっ。
いやむしろ、ゴールだと思っていた場所は一応ゴールではあるのですが、このままゴールしたとしても、これじゃとても陸連強化選手としては目も当てられないようなタイムになってしまうことが露呈したのでありますっ。
自分はこれからどうしたらよいか考えたでありますっ。そしてその結果、極力客観的な御意見をふまえた上で書き直しを進めていった方がいいのではないか、いやむしろ、それしかないのではないか、という結論に達したのでありますっ。
そうです言ってみればとりあえず完走が出来るようになった市民ランナーが、陸連強化選手並のタイムでゴールするために、コーチを導入するようなものですっ。
そういうわけで、年が明け平成十四年になり、自分はあちこちにメールを出しまくったでありますっ。
そうですっ。とりあえず、白石昇がどの程度の品質の日本語が書けるか、をよく知っていると思われる方々に訳文チェックおよび校正の依頼をしたのですっ。
全部で三名、三名とも実際に会ったことなどない方達ですっ。
実際に会ったこと無いにも関わらず依頼してしまったですっ。しかも、そのうち一人は私信での交流もなく、ただメーリングリストでボケツッコミを繰り返していただけの人なのですっ。
がしかし、三人ともあっさりこちらのお願いを受諾ですっ。報酬も出ないのに奇特な人たちですっ。奇特すぎてなんだか自分っ、眼球が熱くなって前がよく見えないですっ。
更にもう一人、こちらで働いていらっしゃる泰語使いのお姉さまが訳文参照してチェックして下さることになったですっ。姐さんは魔導師クラスの泰語使いなのですっ。
学校で泰語を学んだことなく、もう何年も魔法使い見習いクラスの泰語読みしかできない自分にとっては強い味方ですっ。
そうして何とか四人に少しずつ書き直した訳文を送り、チェックしてもらう日々が開始されたですっ。当然、その間自分は中国系友人の工場に毎朝のように通って書き直しを続けていたですっ。
そして、恐れていた事実が発覚ですっ。
皆様の客観的な反応によると自分が書いたの訳文は、自分が思っている以上に通常に流通しているにっぽん語ではないということが日々明らかになっていったのでありますっ。
自分、大混乱ですっ。混乱して書き直しても書き直しても書き直しても書き直してもそれがどの程度にっぽん語なのかわからなくなってくるでありますっ。
そして、そうこうしているうちに著作者から招待された舞台当日になったでありますっ。
つづく。
初出・【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1110 2002/06/24.Mon.発行
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