次のページ   前のページ   目次へ
 

5.ユーザ支援のシステム構成

5.1 P-CAD/CAMインターナショナル(PCI)

 P-CAD/CAMを世界中のユーザに使って頂くための技術支援を行う新しい組織を、2002年4月に設立する準備が次の4者によって進められている。

 

星 鐵太郎(ほし てつたろう)

  豊橋技術科学大学(愛知県豊橋市)名誉教授。

1993年より6年間にわたり省段取り研究会を主宰し、その成果の一つであるP-CAD/CAMソフトウェアの実用普及に努めている。PCIの代表者を務める。

西島 篤師(にしじま とくし)

西島株式会社(愛知県豊橋市)代表取締役。

省段取り研究会の会長を務め、自社工場においてP-CAD/CAMソフトウェアの実用を進めている。

今田 洋(いまだ よう)

株式会社三栄精機工業(東京都大田区)工場長。

省段取り研究会の一員としてP-CAD/CAMソフトウェアの開発に参画し、自社工場で最初の実用化に成功した。

Anas Ma’ruf(アナス マルフ)

Institut Teknologi Bandung(ITB,インドネシアバンドン市)IE学科講師。

5年間の豊橋技術科学大学留学中にP-CAD/CAMソフトウェアを開発し、母校へ帰任後CAD/CAM研究室を主宰している。

   PCIの研究グループを代表する。

 

PCIは非営利事業として運営し、その第一の業務としてP-CAD/CAMソフトウェアとその使用取扱説明書をインターネットより無料公開し、世界中のユーザーが利用できるよう提供する。

 

 

5.2 P-CAD/CAMソフトウェアの公開

 ソフトウェアと使用取扱説明書は現在、http://www.nishijima.co.jp(以上は邦文)、及び http://pcadcam.lspitb.org(英文)からダウンロードして使用することができる。

 P-CAD/CAM自体は無償で提供されているが、使用するにはAutodesk社がオーソライズするAutoCADソフトウェアの使用ライセンスが必要である。現行のP-CAD/CAMはAutoCADr13バージョンを用いる事が必要である。Auto CAD2000あるいは2000iに対応するP-CAD/CAMの新バージョンは只今開発中であり、近く公開できる見通しである。

 また、P-CAD/CAMがGコードで書いたNCプログラムを、コンピュータ上でシミュレーションして検証するための市販ソフトウェアを用意して使用する事が望ましい。一例として筆者らはアイコク・アルファ・エンジニアリング社のSuper VERIFYソフト(http://www.aikoku.com/aec/jindex.htm)を使用している。

 

 

5.3 立ち上げ支援及びユーザー研修

 これまでの経験によれば、P-CAD/CAMを新規に導入されるユーザーには、ソフトウェアをコンピュータにインストールし、現場で使用するMCに合わせてデータベースを整え、また制御装置のメモリー内に保持具原点(FXO)と常駐サブプログラムを用意するなどの、ある程度の技術支援を行う事が必要である。

 これらの立ち上げに必要な手順は、全て使用取扱説明書に記載されているので、ユーザはそれをダウンロードして作業すれば良い訳ではあるが、始めてのユーザーがその手順を勉強して自分で試みる事はかなり難しい。

 新規ユーザーには立ち上げ支援サービスが事実上必要であるので、すでに経験のあるユーザーの手により商業ベース(有償)で行われることが望ましい。

 また新規ユーザーは、P-CAD/CAMの使い方のトレーニングを受ける事も必要であり、筆者らは初級程度のユーザー研修を2日間のコースで行っている。これもすでに経験のあるユーザーによって商業ベースで提供される事が望ましい。

 

5.4 ユーザー会員の支援

 新たに設立準備中のPCIは第二の事業として、ユーザー会員から技術上の問い合わせとトラブルの通報を受けて回答を行う。P-CAD/CAMソフトウェアの使用者のうち、希望する者は、PCIに年会費を納入する事によってユーザー会員となる。PCIがユーザー会員に約束する事業の内容は次の通りである。

 

  1. 問い合わせに対する回答

 ユーザー会員が提出する技術上の問い合わせに、個別に回答する。

  1. トラブルの解消

 ユーザー会員の通報するトラブルをできるだけ速やかに解消するために、技術的な検討を行って、その結果を個別に回答する。解消のためにP-CAD/CAMソフトウェアの変更を必要とする場合には、研究グループと協議して、その結果を関連するユーザー会員に報告する。

  1. 個別研究計画の提案

 ユーザー会員の提案する問題が、そのユーザー会員だけの特有な問題で、しかもその解決には通常のトラブル対策の範囲を越える規模の研究開発が必要であると判断される場合には、そのユーザー会員が研究グループと個別に研究契約を結ぶよう計画案を提出する。

 

PCIはユーザー会員の支払う年会費を原資として、次の事業を行う。

 

1. 通信連絡事業
1-1 ユーザー会員との相互通信及び連絡
1-2 研究グループとの相互通信及び連絡
1-3 インターネットホームページの運用維持
1-4 通信連絡事業を行うための事務局の運用
 

2. 研究開発事業

2-1  Institut Teknologi Bandung(ITB)のCAD/CAM研究室が行う

P-CAD/CAMソフトウェアの研究に対する支援。

 

2-1-1

 

 

ユーザー会員の通報するトラブルに即時対処するために必要な研究開発の支援

 

2-1-2 コンピュータ技術とソフトウェア環境に生じる将来の変革に対応 して

P-CAD/CAMソフトウェアを高度化するための中長期的研究開発の支援

 

2-1-3

 

 

P-CAD/CAM研究開発要員を養成するための修学奨学金の提供

 

2-2   P-CAD/CAMソフトウェア使用取扱説明書の編集

  

次のページ   前のページ   目次へ