ここでは、自作したサラダオイルランプなどの照明器具を用いて、実際にどの程度の明るさが確保できるのかを検証してみました。
ただし、検証といっても別に照度計のような測定器を使用したわけではなく、単になんとなく見た目を比較してみただけです。
撮影に使用したデジカメは10年位前に発売された200万画素クラスの製品で、当たり前ですが人間の眼とは光の感じ方が異なっているものと思われます。
また、カメラと被写体の位置関係など、様々な条件の統制もまったくしていません。
あくまでも雰囲気をつかむ程度の内容であることを理解しておいてください。
註1:
まず、灯油ランプの灯芯には、平芯のほかにも棒芯(断面が円のロープと同じ形状)や巻芯(筒状に丸めて使用する平芯)といった種類があり、さらにそれぞれさまざまなサイズがあります。
一般的には炎が大きくなるほど光量も増えると思われるので、その点では平芯がもっとも効率が良さそうな気がしますが(同量の燃料でいちばん幅広の炎が作れる)、なんだかんだで棒芯や巻芯が存在するということは、やはりそれぞれ一長一短あるのでしょう。
ちなみに、ここで紹介したパール金属の製品の場合、灯芯の種類やサイズについてはカタログにもパッケージにも何の説明もなく、実際に自分の目で見て初めて4分芯だったことを知りました。
まあ、ハリケーンランタンの代表格である「FEUERHAND」(
註1'
)の標準的なモデルも平芯の4分芯ではあるようです。
註1':
この「FEUERHAND」の読み方については、「フュアーハンド」や「フュアーハント」としている例が少なくないのですが、ドイツ語をろくに知らない筆者でもこれにはちょっと違和感があります。
と思って検索してみたら、やっぱりほかにも「これは『フォイアーハント』だろ!」と主張している方がいらっしゃいました。
まあ、筆者的には「フォイエルハント」なんですが。
註2:
筆者の知る限りでは、このほかに秋月電子通商からも同様のキットが発売されています。
秋月のキットは、完成させるとそれなりにちゃんとしたポケットライトになるものなので、使用する目的によってはそちらのほうがお得かもしれません(この原稿を書いている時点では、値段はどちらも税込み500円)。
もっとも、単にそういうライトが欲しいだけなら、これらのキットと変わらない値段で市販されている、よりコンパクトで丈夫そうな製品を買えば済むような気もします。
註3: こちらの実験 で使用したものと同じ出力可変安定化電源を使用して、電源電圧1.2V強〜4.5Vの範囲で確認。 ちなみに、消耗して電圧が1.0V程度まで低下したアルカリ乾電池を電源とした場合でも、結果は同様。
註4: その後、最初に1LEDランタンを見つけたのとは別のダイソーでも、これと同じ商品が売られているのを見かけました(なぜか外箱は違うものでしたが)。 というか、どうやら単に筆者の地元では見かけなかっただけで、全国的にはわりと以前から様々な100円ショップで売られていたらしいです。
註5: 正方形の4つの頂点A,B,C,D上に各1個のLEDが配置されているとして、そのうちAとCが白色光で常時点灯、残りはBが赤のときDが緑、Bが青のときDが赤という組み合わせで点滅するようになっています。
まずは5Wの白色ナツメ球です。
この光源だけ、天井に吊るしたままの状態で撮影しました(ほかはすべて座卓の上に置いて撮影)。
直径約4mmの木綿のロープの灯芯1本だとこんなもんです。
光源の位置が低いことも見た目の暗さに影響しているかもしれません。
灯芯1本のときより明るく見えるのは確かですが、これまた灯芯の数よりも光源の高さのほうが影響しているような気がしなくもありません(狙ったわけではなく偶然そうなった)。
1本しかない灯芯を皿の縁に乗せているため、灯芯のある側は明るい一方、反対側には大きな影ができています。
とはいえ、さすがに長年実用に供されてきただけあって、事前に予想していたよりは意外に明るく感じられました。
安全性の面で考慮すべき点の多い器具ではあるものの、本当の緊急時にはこのシンプルさが役立ちそうです。
炎の大きさもさることながら、光源の位置が高いせいで周りが明るく見えているような気がします。
たいていの燭台が長い脚を持つデザインになっているのも、ひとつにはこの点を考慮したものなのかもしれません。
煤が発生する直前まで炎を大きくした状態で、ようやくこのくらいの明るさです。
確かに明るいといえば明るいのですが、期待したほどではない気もします。
とりあえず、4分芯の実力はこんなもんです。
ちなみに、使用したパラフィンオイルは「すすが出にくい」「白灯油の約2倍の明るさ」「いやな臭いがしない」というふれ込みの製品で、明るさが本当に2倍かどうかまではわかりませんが、いちおうそれなりの品物ではあるかと思います(ただし値段は白灯油の数倍)。
上と同じく、煤が発生する直前まで炎を大きくした状態でこのくらいです。
パラフィンオイルに比べると明るさはやや劣りますが、コストパフォーマンス(燃費)を考えればこれで十分という気もします。
初めに断っておきますが、ここで撮影に使用したキットにおいては、電源コードとLEDを本来の指定とは異なる基板上の部分に取り付けています(あとで流用しやすくするため)。
そのうえで、あまり柔軟でない電源コードをラジオペンチの重みで押さえることにより、砲弾型のLEDの先端が天井側に向くよう基板を立てた状態で撮影したのが1枚目と2枚目の画像で、LEDの先端が画面の奥側に向くよう基板を寝かせた状態で撮影したのが3枚目の画像となっています。
これらの画像からもわかるように、LEDという光源の特徴のひとつは、特定の一方向に集中して光を放射することです。 灯火や白熱電球と違い、ただともすだけで周囲をまんべんなく照らすというわけにはいきませんが、乾電池1本でこれだけの光が出せるのはさすがです(しかも灯火と違って赤みのない光)。
上でも触れたように、LEDが放つ光には強い指向性があるので、そこからロウソクのように全方向を照らす明かりを得るには、何らかの工夫が必要となります。
この商品の場合は、LEDの光が集中する側(LEDの先端方向)とその反対側(LEDの根元)のそれぞれに角度をつけた反射材が置かれており、それによって光が周囲全体に広がるようデザインされています。
実際に使ってみた感じでは、さすがにそれほど広い範囲を照らす力はないものの、わずか100円(税別)の商品にしては、意外に実用的なランタンという印象を持ちました。
ただ、いざというときのことを考えると、やっぱり電源はコイン電池より普通の単3か単4の乾電池のほうが望ましい気がするので、同じ100円ショップで売られているような単4型乾電池3本で駆動するLEDライトとか、前述の「1.5V白色LED点灯キット」などと組み合わせて改造するのもアリかと思います。
まあ、わずか100円(税別)という値段を考えると、わざわざ余計な手間をかけるより、このランタン自体をまとめ買いしておけばいいような気もしますが。
1LEDランタンに比べるとLEDの数が2倍になっている分、確かに明るさも2倍くらいになっているような気がします……が、周辺の影のでき方(というか光の当たり具合)を見ますと、どうも今回のケースに関しては、放射される光の量もさることながら、その放射される方向が明るさの印象に強く影響している気もします。
具体的にいうと、1LEDランタンでは器具の下方向、2LEDランタンでは横方向がより強く照らされる傾向があり、そのことが今回の撮影時の状況(光源を上から吊るすのではなく、近くに壁のある床面に置いた)と絡み合って、後者のほうが撮影した画像の中で明るく見える面積が広くなっただけかもしれません(
註6
)。
まあ、常識的にはLED2個のほうが1個より明るくて当然なわけですが、指向性の強い光源であるLEDを照明に使う際、LEDから放射される光の向きや反射材の形状と配置が重要なポイントになることの実例ではあるかと思います。
ちなみに、このランタンに関しては、のちに少しばかりの改造と追加の検証をしてみましたので、よければそちらの記事( v-lmp3 )も参照してください。
註6: 実際の話、暗闇の中で手元や足元を照らす明かりとしては、1LEDランタンのような光の広がり方のほうが使いやすい面もあります。
最後に、相互の比較をしやすくするため、すべての明かりの画像を1枚に連結したものを示しておきます。
画像中のコマの配置は以下の通りです。
上段左から「白色ナツメ球」「サラダオイルランプ:灯芯1本」「サラダオイルランプ:灯芯3本」とブランク。
中段左から「油皿」「ロウソク」「灯油ランプ:パラフィンオイル」「灯油ランプ:白灯油」。
下段左から「白色LED:1.5Vキット(立てた状態)」「白色LED:1.5Vキット(寝かせた状態)」「白色LED:1LEDランタン」「白色LED:2LEDランタン」。
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