今回の記事で取り上げるのは、先の記事(
v-lmp2
)でも紹介した100均商品の「4LED ルームランタン」(以下、2LEDランタン)です。
この製品は、同じく100均商品の「ミニランタン」(以下、1LEDランタン)とともに、値段のわりには実用的なLEDランタンだと思います。
ただ、ひとつだけ筆者がなんとなく残念に思うのは、この製品には4個のLEDが備えられているのに、実際に電源を入れたとき点灯するのは2個だけだということです。
もちろんこれは、2通りある発光パターンのそれぞれに専用のLEDが2個ずつ用意されているということであって、4個のうち2個がダミーだとかそういう詐欺まがいの話ではありません。
しかし、そうはいってもやっぱり「4LED」というからには、4個のLEDが同時にパッと点灯するところを想像するのが人情だろうとも思うわけで、そんなこんなで、ここでは2LEDランタンを真に4LED化することを試みてみました(
註1
,
註2
)。
また今回は、できあがった4LEDランタンを使用して、供給する電圧の違いによってLEDの明るさにどの程度の変化が現れるのかを観察してみました。
本来、改造前の2LEDランタンは、電源として単4型乾電池3本(4.5V)が必要とされていますが、予備実験(
註3
)の段階で、実際には電池2本くらいでもそれなりの明るさが得られる場合があることが確認できたため、その辺をもう少し系統的に調べてみようと考えました。
註1:
この製品のフレームというかガワというか、その辺の部品の肝心なところは接着剤ではなくネジで固定されているため、分解して中身をいじることは難しくありません(むしろ、そのことが今回の改造に踏み切った重要な要因のひとつともいえます)。
これに対して1LEDランタンのほうは、少なくとも外から見えるところにネジは見当たらず、これを破壊せず分解するにはどうしたらいいか、筆者にはよくわかりません。
まあ、とことん調べたわけでもありませんし、本当は可能なのかもしれません。
註2: というか、この原稿を書きながらいろいろネット上の資料を調べていたら、2LEDランタンの改造に関しては、すでに多くの報告がなされていたことを知りました。 まあ、やっぱりみんな考えることは同じというか。 あらためてGoogleの検索窓に「4LED ルームランタン」と入れてみると、同時検索ワードの候補に「改造」と出る始末だし。 それどころか、実はすでに発売元が自ら4LED化した製品を売り出しているという話まであるし。
註3: 正直に言えば、予備実験というより単なる没ネタです。 2LEDランタンに 共立の「1.5V白色LED点灯キット」 を組み込もうとして、いろいろ試してるうちにまとまりがつかなくなったというか、そんな感じ。
はじめに2LEDランタンの回路図を示します( 註4 )。
回路図なんて書いたのは、おそらく中学の技術・家庭科以来なので、どこかおかしなところがあるかもしれませんが、ともあれ基本的には、2個のLEDを並列に接続した回路が2系統あるという形になっています。
この回路をベースとして4個のLEDを同時点灯させるには、図中のポイントAとポイントBをつないでしまうのがもっとも簡単な方法と思われます。
これにより、4個のLEDはすべて並列につながることとなり、なおかつスイッチがA側とB側のどちらに切り替わっても、必ずすべてのLEDが点灯するようになります。
ひとつ忘れてはいけないのは、あらかじめ製品に搭載されている4個のLEDのうち、白色LEDは2つだけであって(たとえば図中の1と2)、残りの2つは赤・青・緑の点滅タイプだということです(たとえば図中の3と4)。 おしゃれグッズ的なイルミネーションではなく、より実用的な明かりを求めるのであれば、点滅タイプのLEDを白色光タイプに取り替える必要があります。 今回は、同じ2LEDランタンを2つ用意して、一方の白色LEDを他方の点滅タイプと交換することとしました( 註5 )。
なお、一般にLEDを点灯させる際には、電流の量を制限するための抵抗器などのパーツが必須とされます。 100円ショップのLEDライトでは、これがしばしば省略されていたりするのですが、2LEDランタンの場合はいちおう10Ωの抵抗が入っているとのことで、その点はわりと良心的といえるのかもしれません( 註6 )。
まあ、並列につないだLEDを全部まとめて1個の抵抗器で面倒みている点は、本当はあまり望ましくないことのようですし、そもそも10Ωという値が妥当なのかという疑問もありますが、ここではそういう難しいことは一切考えないことにします。
同様に、本来であれば4LED化にあわせて抵抗もより適切なものに交換すべきなのでしょうが、今回はそれも気にしないことにしておきます(
註7
)。
註4: 作図にあたっては、下書きの段階でフリーソフトの「BSch3V」を使用させていただきました。
註5: これならLEDの規格とか面倒臭いことを考慮せずに済みますし、なにより必要な部品が安く簡単に手に入るので。
註6: 筆者は当初、基板を見ても抵抗器に気づかなかったというか、単なるジャンパか何かだと思い込んでいたのですが、いくつかのウェブサイトの記事によると、それが10Ωのチップ抵抗だったようです。
註7: ちなみに、ネット上で公開されているLEDのための抵抗値計算機で計算してみると、こんな感じになります(いずれもLEDの順方向なんちゃらを3.5V、電流を20mA、直列接続するLEDは1個として計算)。
電源電圧(V) | 並列接続するLEDの数 | 抵抗値(Ω) |
---|---|---|
3.6 | 2 | 2.5 |
4.5 | 2 | 25.0 |
3.6 | 4 | 1.25 |
4.5 | 4 | 12.5 |
4.8 | 4 | 16.25 |
6.0 | 4 | 31.25 |
今回の実験で使用した主な機材は以下のとおり。
単n型のニッケル水素蓄電池やニッカド蓄電池(いずれも電圧1.2V)でいえば、約2本分に相当する電圧です。
かろうじて点灯していることはわかるものの、何かを照らす明かりとしては、まったく役に立ちそうにありません。
単n型のアルカリ乾電池やマンガン乾電池(いずれも電圧1.5V)でいえば、約2本分に相当する電圧です。
まだまだ光量は不足気味ですが、ようやく「明かり」と呼べるレベルになってきました。
なお、電圧3.0V未満の状態におけるランタンの明るさは、電圧が2.5Vのときとほとんど変わりませんでした(つまり3.0V前後で急激に明るさが変化した)。
単n型のニッケル水素蓄電池やニッカド蓄電池でいえば、約3本分に相当する電圧です。
着実に明るさを増しています。
さらに明るくなりました。
単n型のアルカリ乾電池やマンガン乾電池でいえば、約3本分に相当する電圧です。
これは改造前の2LEDランタンで指定されている電圧でもあります。
引き続き、さらに明るさは増しています。
微妙に明るくはなっているようですが、前の段階との違いはごくわずかのように感じられます。
同上。
同上。
相互の比較をしやすくするため、以上のすべての電圧別点灯時画像に改造前の2LEDランタンを4.5V(単4型アルカリ乾電池×3)で駆動したときの画像を加えて、1枚に連結したものを示しておきます。
画像中のコマの配置は以下の通りです。
上段左から「4LED:2.5V」「4LED:3.0V」「4LED:3.5V」。
中段左から「4LED:4.0V」「2LED:4.5V」「4LED:4.5V」。
下段左から「4LED:5.0V」「4LED:5.5V」「4LED:6.0V」。
まず、4LED化の効果については、やはり改造前に比べると光量が増えていて、その広がり具合にもムラがなくなっているように見えます(上のまとめ画像の中段中央と右側を参照)(註8 )。
次に電圧と明るさの関係については、おおよそ次のようなことが言えると思います( 註9 )。
これらの結果を単n型乾電池に当てはめてみると、おおむね次のような感じになります。
このように電池の種類によって最適な本数は異なるわけですが、それに対応するための手間ひまを考えると、結局のところは改造前の2LEDランタンと同様、使用する乾電池の数は3本としておくのが無難のようです。
もちろん、
共立の昇圧回路
などを利用すれば、乾電池1本だけでも5V近い電圧を得ることはできます。
ただ、筆者の予備的な実験(
註10
)において、そうした回路を改造4LEDランタンと組み合わせてみたときの様子では、乾電池1本だと明るさがやや頼りなく、せっかく4LED化した意味があまり感じられなかったので、仮に昇圧回路を用いる場合でも、乾電池は最低2本は使用すべきものと思われます。
最後に、もしも筆者が今後この4LEDランタンをさらに改造するとしたら、どのようなことが考えられるか、書きとめておきます( 註11 )。
註8: 厳密に言えば、同じ電源電圧4.5Vでも、間に合わせにかき集めてきた単4型アルカリ乾電池×3本と安定化電源という違いはあります。 しかも、乾電池のほうは電圧を測定して確認するまでのことはしてませんし。
註9: 今回は確認していませんが、おそらくは2LEDの状態でも似たような結果になるのではないかという気がします。
註10:
体系的にどうこうしたわけではなく、とりあえず改造4LEDランタンに共立の昇圧回路をつなぎ、中古のアルカリ乾電池1本で点灯させてみただけです(結果は上記のとおり)。
ちなみに、回路上の電流制御用抵抗の件について補足しておくと、ランタン側の10Ωだけでなく、実は共立の昇圧回路のほうにも100Ωの抵抗器が載っているので、この辺をうまく調整すれば、もしかしたら乾電池1本でももうちょっとマシな明るさが得られるかもしれません(とりあえずランタン側の10Ωを除去しただけでは大差なかったですが)。
註11:
とりあえず、上でも触れたように、共立の昇圧回路を組み込むことと、電池ボックスを単3型1本用のものに交換することまではやってみたわけですが、途中でいろいろ面倒臭くなって、現在は放り出したままになっています。
ちなみに、単3型1本用の電池ボックスなら、ランタンのスカート部分の内側を削ったりすれば、なんとか中に収まらないこともありません。
しかし、単3型2本用となると、スカート部分を作り直すくらいの覚悟がないと難しそうです(まあ、無理に単3型対応にこだわる必要もないといえばないんですが)。
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