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VJE-Delta v4.0 日本語入力ソフト

2003年8月21日 21:19:11
2003年10月12日 22:51:30 (現状に合わせてキー配置の項改訂)

 以前、本ホームページでJStarのことを書いたことがあり、そこで、VJEという日本語入力ソフトに触れた。VJEは今でも現役であり、改良も続けられている。
 ホームページを見てみると、Windows版の最新版はVJE-Delta Version 4.0である。定価\6,800.とのことだが、体験版があるということなので、早速試してみることにした。

● かな入力

 私はローマ字入力ではなく、日本語はかな入力する。初期からのコンピュータ利用者にはかな入力者が多いようで、その昔はローマ字かな変換などなかったから、というのが理由であろう。今でも日本語キーボードには必ずひらがなが刻印されている。私はNECのPC-6001という初期のパソコンのアドベンチャーゲームで鍛えられた。なにしろ、主人公を移動させるには、必ずかなで「ひがし」「にし」「みなみ」「きた」「うえ」「した」などと入力する必要があり、何か動作させるときも、対象物の指示もかなであった。
 古い時代のJISキーボードはシフトが必ずロックされる仕様になっていて、私にはほとんど経験がないものの、それはそれで悪くないとは思えるのだが、いかんせん、シフトキーを押しながら大文字を打つ英語のキーボードとは操作性が全く異なってしまう。そこで、いく分でも英語が打ちやすいように、ということだろう、今のJISキーボード配列が生まれた。
 今のキーボードのかな配列は、いささか妙な配列に見える。そこで、新JISと称する純粋日本語が打ちやすい配列がJIS規格になったことがあるのだが、なぜか普及することはなかった。私もしばらく使ったことがあるのだが、外来語、例えば「コンピュータ」が打ちづらい。
 新JISが良かったのは、右のシフトキーがまともな位置に戻ったことであった。現在のJISは、かなの配列はともかく、右のシフトキーの位置が不便である。そこで私は、できるだけ英語系キーボードを使うことにしている。Windowsでも、英語キーボードでかな打が可能である。フランス語、ドイツ語、韓国語のキーボードも買ったことがあり、しぱらくかな打で使っていたことがあり、そのどれもが右シフトはまともな位置に付いていた。困るのはノートパソコンで、英語キーボードの機種が国内で正式に売り出されることはめったにない。

● JStarのかな入力

 新JISは壊滅状態だし、いまさら手に入れたくもない。親指シフトは良いのだが、こちらも通常ではお目にかからない。とすると、ソフトによるキーの配置換えの範囲内での工夫が手頃な解決策となる。
 かつての名機、富士ゼロックスのJStarでは、シフトキーが左右に2つずつあり、濁音と半濁音のシフトキーで、例えば濁音シフトキーを押しながら「か」のキーを押すと「が」が入力される。高速で快適な操作感であった。今回の目標は、この操作感の再現である。
 インターネットを探してみると、単純なキーの置き換えのフリーソフトはたくさんあるようである。しかし、JStarキーボードのシミュレーションは難しそうである。

● VJEとの出会い

 私の最初のVJEとの出会いは忘れてしまうほど昔である。VJEが標準搭載のコンピュータも使ったことがあると記憶している。とにかく、業界関係者なら知らぬ者はないほどの有名日本語入力ソフトである。
 ここしばらくはジャストシステムのATOKとWindows標準搭載の日本語入力を使っていた。VJEは今もときどき使っているCorel WordPerfectに付属していたのがWindows時代での出会いである。残念なことに、その頃にはあまり安定した印象を受けなかったので、VJEの使用は止めてしまった。しかし、かな入力の変更機能は便利であった、つまり、JStarの入力が部分的にせよ再現できるのである。
 今回の目当ては、もちろんかな入力の変更機能である。今のWindows用VJEは十分に安定しているようである。

● かな入力変更機能

 ということで、シフトキーを押しながら「か」のキーを押すと「が」が出るようにVJEを設定して使ってみた。
 まず問題となるのは、半濁点の取り扱いである。は行の音は古代ではpに近いと聞くし、mとbは鼻音と閉鎖音の違いだけで近い、という理屈で、「ぱ」はシフト+「は」、「ば」はシフト+「ま」で打つこととした。以下、ば行とぱ行は同様な操作とする。
 これだけの原則で、ほとんどの濁音・半濁音キーは素直に割り付けられる。しかし、うまく行かないキーもある。

 シフト+「つ」はもともと「っ」に割り当てられている。JStarではもちろん「づ」は濁音+「つ」であった。ではJStarでは「っ」はどうするのかというと、残念なことに、正確なキーストロークは覚えていない。しかし、ここではJStarの再現が目的ではないので、シフト+「の」に、勝手に「っ」を割り当てる。シフト+「つ」は「づ」にしてしまう。この時点で現JISキーボードとの互換性は無くなる。
 英語キーボードのかな入力では、シフト+「ほ」は「ー」(長音記号)がお約束のようである。というのも、元々マイナス記号のキーであるし、ローマ字入力ではシフトなしで「ー」が入るからである。しかし、「ー」を残すことにすると「ぽ」の行き場がなくなってしまう。ここでは原則を重視してシフト+「ほ」は「ぽ」にする。キーが遠くて使いづらく、時に「BackSpace」を押してしまって問題の「ー」は、シフト+「り」にも割り当てることにする。これはJStarのアイデアの借用である。英語キーボード対策にもなる。
 上の原則で行くと、シフト+「め」は「べ」になるのだが、あいにく「・」が先住人である。中点を移動させるのは少し迷ったが、原則重視とした。つまり、「べ」はシフト+「め」に配置する。その影響で「・」は移動せざるを得ず、シフト+「れ」に移動させることにした。
 「む」のキーの位置は「け」の右隣が都合が良いが、たいていの英語キーボードではEnterキーになっている。その場合、「む」は「せ」の3つ右(つまり右端)か、「へ」の右隣に配置されるようである。しかし、それらのキーの位置は「BackSpace」になっている英語キーボードもあり、安定していない。そこで、シフト+「ん」にも「む」を割り付けることにした。元の「む」の位置のシフト+「む」は原則どおり「ぶ」とするが、英語キーボードでの位置不安定問題があるので、勝手にシフト+「ぬ」にも「ぶ」を割り当てることとした。日本語の鍵カッコ開くと閉じるは、英記号の[ ]にあわせた位置に再配置する。
 最後に、英語のキーボードでは「ろ」の位置には必ずシフトキーがあるので、「ろ」をシフト+「ら」に割り当てることにした。

 私の設定での変則キーをまとめると、
  シフト+「つ」→「づ」 原則重視
  シフト+「の」→「っ」 原則重視のあおり
  シフト+「ほ」→「ぽ」 原則重視
  シフト+「り」→「ー」 原則重視のあおり
  シフト+「め」→「べ」 原則重視
  シフト+「れ」→「・」 原則重視のあおり
  シフト+「ん」→「む」 英語キー対策
  シフト+「ぬ」→「ぶ」 英語キー対策
  シフト+「ら」→「ろ」 英語キー対策
 となる。幸い(?)いろいろなキーボードに慣らされてきた私には、ちょっと練習が増える程度である。
 VJEの製品版を購入、設定し、しばらく使っているが操作性はまずまずで、当初の目標は達成できたと考えられる。本当に打鍵速度が上がっていたら、さらにうれしい(笑)。

英語キーボードでの配置例
Esc  _
Tab BS
Ctrl Enter
Shift Shift

● キーボード談義

 昨日、キーボードの動作が不良となったノートパソコンのために、駅前のパソコンショップにキーボードを買いに出かけた。最初はコンパクトなキーボードにしようかと思ったのだが、どれも帯に短しのように見える。PFU社のハッピーハッキングキーボードは素敵に思えたのだが、事情があって、日本語キーでしかもファンクションキーあたりを省略できない。ふと、580円で、右のシフトキーと「ろ」のキーを入れ替えたキーボードを見つけて、買ってしまった。つまりは、日本語キーボードの右のシフトキーの位置が気になる方も他に多数いらっしゃるようである。
 英語配置のPFUのハッピーハッキングキーボードは別のマシン用に購入している。このPFUのホームページにキーボード配置の図のコレクションがある。なつかしのテレタイプやDECのVT-100の配置まで並んでいる。時に解説があって、利用者のこだわりがかいま見れて楽しい。
 昔から言われているが、数ある入力装置でも、キーボードは頑固な議論の対象になりやすい。かく言う私も、所有するキーボードの数はCPU本体よりもかなり多い。結局は同梱の標準品で満足してしまうことも多いのだが…。
 他の入力装置はというと、例えば、過去には職場で某社のマウスのひどい代替品に悩まされたことがあった。マウスのスクロール用ホイールは素晴らしいアイデアであるが、基本形は元の形をかたくなに保持している。ノートパソコンではタッチパッドが全盛であっても、マウスが滅びる心配はほとんどないように思える。マウスのようなポインティングデバイスに関しては、面白いことに、アイデア倒れやどう見ても未完製品が市場に出ることはあっても、喧嘩腰の議論は少ないように思える。