ジャコビ・トランスファ | |
(0) ステイマンは使えますか ? | … 2. |
ジャコビ・トランスファ | |
(1) 7 pts 以下の場合. | … 2-5. |
テキサス・トランスファ | … 6-8. |
ジャコビ・トランスファ | |
(2) 8 - 9 pts の場合 | … 9-10. |
(3) 10 pts 以上の場合 | … 11-12. |
(4) スラム・トライ | … 12-14. |
(5) 5 枚 + 5 枚でのトランスファ | … 14-17. |
・ ステイマンをちょっと復習 | … 15. |
(6) 1NT にダブルが掛かったとき | … 18. |
(7) 1NT がオーバーコールされたとき | … 18-20. |
(8) 2NT オープンの場合 | … 21. |
へのトランスファ | … 22-23. |
1NT オープンに対して長い を示す。 | … 23-27. |
・ ステイマンを経由するのは 強い手。 | … 25-26. |
・ リファレンス (長い ) | … 27. |
―― はい。
ただし,ジャコビ・トランスファには大切な前提があります。
―― ステイマン (Stayman) を使えるという前提が …。
10 6 5 |
Q J 4 3 2 |
8 |
Q 9 8 4 |
( 5 HCP ) |
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
パス |
―― それが 普通のビッドです。でも,それよりちょっと得をしようというのが,ジャコビさんのトランスファです。
―― このようにビッドすると,あなたがディクレアラーになります。そうすると 15 ‐17 HCP ある良い手の方がダミーになり,相手側に良いカードが丸見えになってしまう。
それより, パートナーに 2 をビッドしてもらえば,良い手は隠される。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | パス |
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | パス |
―― その場合には,"2" が 2 へのトランスファを意味します。
―― はい。その通りです。
―― その場合の特別なビッドはありません。7 pts 以下ならば,パスするしかありません。
ジャコビ・トランスファでは,メジャー・スートだけ が対象です。
1NT オープンに対して,5 枚以上のメジャー・スートを持っているときに使います。
―― 次の理由もあります。
1NT をビッドする手は良い手ですが,テネス (Tenace,穴あき絵札) を
持っていることが多い。それで,第 1 トリックだけでも オープニング・リードを受け取る方が有利です。全体として,
トランスファすると 1 トリック程度は得になるように思います。
7 pts 以下の手では,長所はこのくらいですが,8 - 9 pts とか 10 pts 以上の場合には,
少ないビッドで (低いレベルで) 最適のコントラクトを見つけやすいという長所があります。
これについては,節を改めて 少しずつ説明します。
―― はい。必ず そう ビッドします。ジャコビ・トランスファは,その約束の上に成り立っています。
レスポンダは,なにしろ,0 点の手でも ジャコビ・トランスファを使いますから …。
ただし,これにはひとつだけ例外があります。
―― 1NT をビッドしたオープナーにとって最高の手の場合には,3 の代に上げて,3 とか を ビッドします。
―― めったにありませんが,次の 3 条件が全て満たされている場合です。
| |||||||||
|
―― ハートを切り札にして,オープナーの手でも ラフ できる,という意味です。 9 枚目の切り札があると,ダブルトンのスートをラフして 1 トリック取れます。 つまり,見かけより 3 pts くらい強いのです。
―― こういう場合のオープナーの手は 実質的に 19 pts 程度と判断できます。 そう考えて 自分の手を再評価して,パスするか 4 にするかを決めましょう。
―― はい。
ジャコビの続きは,ちょっと複雑です。そこで,テキサス・トランスファの説明を前に持ってきました。
先ほどと考え方が似ているので,ここでテキサス・トランスファを説明すると 分かりやすいでしょう。
10 5 |
A 8 7 6 5 2 |
3 |
K J 4 3 |
( 8 HCP ) |
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 4 | パス |
4 |
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 4 | パス |
4 |
―― はい。その通りです。このコンベンションも Jacoby さんが広めたので,
こちらの方は「テキサス・トランスファ」と呼ばれています。
もちろん,このコンベンションを使う場合には,パートナーとのあいだで誤解が生じないように,
きちんと 取り決めておく必要があります。
とくに,4 を うっかり パスしないよう注意が必要です。
―― いけません。
―― これは,1NT というビッドの基本に係わることです。
1NT は,「15〜17 HCP のバランス・ハンド」という かなり限定された
内容を 1 回の ビッドで伝えます。ですから,その後は,レスポンダが主導権を取って 適切なコントラクトへ導きます。スラムがあるか
ないか (ありそうかどうか) は, 基本的には,レスポンダがまず判断します。
―― はい。あります。レスポンダが非常に良い手を持っていて,
「オープナーの手が 15 HCP でもスラムが確実にある」
と思えば,念のためにブラックウッド 4NT をビッドして,Ace の枚数を確認します。
それが可能だ (オープナーの Ace の枚数を確認できる) という意味でも,
テキサス・トランスファは有利です。
レスポンダが,トランスファせずに,自分で 4 とか 4 を
ビッドしてしまうと,(オープナーはパスするので) スラムに行きようがありません。
―― ちょっとスラムに首を突っ込みすぎました。
スラム・トライの話は,ジャコビ・トランスファの説明が終わってからにしましょう。
―― 1NT をビッドするオープナーは,バランス・ハンドを持っています。
バランス・ハンドとは
4 ‐ 3 ‐ 3 ‐ 3, 4 ‐ 4 ‐ 3 ‐ 2, 5 ‐ 3 ‐ 3 ‐ 2
のどれかです。つまり,どのスートにも最低 2 枚のカードを持っています。シングルトンは ありません。
ですから,レスポンダが 6 枚のメジャー・スートを持っていれば,
オープナーがどんな手であっても,そのスートに 二人合計して 8 枚は あるので,それを切り札にすることができます。
1NT からの展開をレスポンダが考えるとき,5 枚のスートと 6 枚のスートには,非常に大きな違いがあります。6 枚ならば
レスポンダひとりだけで切り札を決められる。しかし,4 枚とか 5 枚の場合には,二人のあいだで相談が必要です。
10 9 2 |
A Q J 9 4 |
J 10 2 |
9 7 |
( 8 HCP ) |
―― はい。1NT オープンに対して,あなたが レスポンダで この手を持っているとしましょう。
ここで,どんなコントラクトが考えられるでしょうか ?
―― ジャコビ・トランスファを使うと,この中から最適のコントラクトを容易に見つけられます。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | (A)2NT (B) 3 |
―― この場合,2 をビッドして 2 にトランスファします。つまり,オークションをこのように進めます。そして,あなたのハートの枚数に従って
(A) 2NT または (B) 3 をビッドします。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | (A)2NT |
オープナー | が 2 枚 | が 3 枚以上 |
上限の手 | 3NT | 4 |
下限の手 | 2NT を パス | 3 |
(B) レスポンダのハートが 6 枚の場合 (あるいは,5 枚の良いハートで シングルトンがある場合):
| ||||||||||||||
|
オープナー | が何枚でも |
上限の手 | 4 |
下限の手 | 3 を パス |
| ||||||||||||
|
―― はい。1NT オープンに対して,あなたがレスポンダで
この手を持っています。
どんなコントラクトが 考えられるでしょう ?
―― この場合にも,2 をビッドして,2 に トランスファします。
―― こんども,あなたのスペードの枚数によってビッドが異なります。
(A) レスポンダ (あなた) のスペードが 5 枚の場合:
あなたのスペードが 5 枚ならば,トランスファ後,3NT をビッドします。
これも,自分のカードだけを見ていると思いつきにくいですが,
大切なビッドです。
この場合は,結局
5 枚の場合, 3NT → パス / 4
となります。3NT がよいか 4 がよいかは,
オープナーが判断します。
ここまでで,ジャコビ・トランスファの説明は一通り終わりです。
―― いいえ。覚える必要なんてありません。たぶん,丸暗記で覚えている人は いないでしょう。
どうして上のようにビッドが進むかを まず理解して下さい。理解できれば,上のように自然にビッドできるようになります。
実際に使ってみれば,よく分かるはずです。
そんなに溜息をつく話ではありませんよ。
トランスファに慣れるには,実際に使ってみて,経験する必要があります。
よろしかったら,このホームページの 「ビッド練習帖」 で練習して下さい。
―― レスポンダが 6 枚のメジャー・スートを持っている
場合には,ジャコビ, テキサスの 2 通りのコンベンションが使えます。
そこで,この 2 つを 次のように使い分けます。
(1) メジャー・スートでゲームはあるが,スラムはない ⇒ テキサス
(2) オープナーの手が上限ならば スラムがある ⇒ ジャコビ
(3) オープナーの手が下限でも スラムがありそう ⇒ テキサス
このうち,(1) が最も簡単です。トランスファして終りです。
それから,(3) の場合には,
前にも説明したように,
テキサス・トランスファ後 (オープナーが 4 または 4 をビッドした後で),レスポンダがスラム ・トライを開始します。
これに対して,(2) の場合には,
レスポンダがゲームをビッドするので,
それを受けて,もしも オープナーが上限の手を
持っていれば,スラム・トライを開始します。
これが,上の表題に「スラム・トライ」と書いたことの意味です。
したがって,ジャコビを経由して上のようにゲームをビッドするのは,
「Mild Slam Try」と呼ばれています (ハンド例 #13)。
このことを逆に言うと,レスポンダがスラムにまったく関心が無い場合には,ジャコビを使って上のように
ゲームをビッドすることを避けます。
―― 1NT が 15〜17 HCP だとして計算すると,レスポンダの手の強さは
(1) 10〜15 pts ( 8〜13 HCP )
(2) 16〜17 pts ( 14〜15 HCP )
(3) 18 pts 以上 ( 16+ HCP )
となります。ここで,レスポンダは 6 枚 (またはそれ以上) の切り札を持っています。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 4 | パス |
4 | パス | 4NT ? |
―― はい。ブラックウッドです。
スペードが切り札に確定しています。
スラムを狙うだけの強さは十分にあります。
その前提の上に立って,Ace の枚数を訊いています。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | 4NT ? |
―― オークションが,このように進んだ場合,この 4NT が何を意味するか … ということですね ?
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | (2) | パス |
(2) | パス | 4NT ? |
―― このオークションは,ジャコビ・トランスファの部分を括弧で括って
理解します。つまり,この 4NT は,1NT に対して直接に 4NT を
ビッドする場合と同じであり,
定量 4NT です。ブラックウッドではありません。
直接に 4NT をビッドしてもよかったのですが,スペードが 5 枚あるので,ついでに それを示しました。
オープナーの HCP | オープナーのビッド | |
2 枚 | 3 枚以上 | |
15 HCP | パス | 5 |
16 HCP | 5NT | 5 / 6 |
17 HCP | 6NT | 6 |
―― はい。
―― 下のように,2 つの場合を 表にまとめましょう。
レスポンダの メジャー・スート | 強さ | ビッド |
(A) 5 枚 + 4 枚 | 8+ pts | ステイマン 2 |
(B) 5 枚 + 5 枚 | 8+ pts | ジャコビ・トランスファ |
―― はい。5枚のメジャー・スートがあるときのステイマンのビッドに従います。
Q 8 5 4 |
A 9 7 4 2 |
Q 6 |
7 2 |
( 8 HCP ) |
―― はい。1NT オープンに対して,レスポンダのあなたが
この手を持っています。
このとき,2 をビッドします。
オープナーからは,どんなビッドが返ってくるでしょうか ?
―― はい。それが,ステイマンに対する普通の答です。
このうち,(1) と (2) の場合は,簡単です。, の代を 1 つ上げて,オープナーをゲームに誘います。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | 2/3 |
―― あなたの手の強さによって違います。
8‐9 pts ならば ⇒ 2 をビッド → パス / 3 /
4 / 2NT / 3NT,
10 pts 以上ならば ⇒ 3 をビッド → 4 / 3NT。
オープナーは,自分のハートが 3 枚あれば,ハートのコントラクトを選びます。
無ければ,ノートランプを選びます。
―― はい。ステイマンでは,5 枚のメジャー・スートを持っているレスポンダが,上の
ようにビッドします。知らなかった人がいるかもしれませんが,ここまでが復習です。
ただし,ジャコビ・トランスファを使っている場合には,「ふくみ」に 少しだけ違いが生じます。
―― ステイマンでは,単に 5 枚のメジャー・スートがある場合に,上のようにビッドします。でも,ジャコビ・トランスファを 使っている場合には,違ってきます。
―― はい,どうぞ …。
―― 1NT が どういうビッドか 思い出して下さい。バランス・ハンドです。
すなわち,
5 ‐ 3 ‐ 3 ‐2, 4 ‐ 4 ‐ 3 ‐ 2, 4 ‐ 3 ‐ 3 ‐ 3
のどれかです。ダブルトンは,あったとしても 1 スートだけ。それ以外のどのスートにも 3 枚以上のカードがあります。
ですから,あなたのメジャー・スートが 5-5 なら,
そのどちらかが合計 8 枚あるので,それを切り札にすることができます。ノートランプの
コントラクトを考える必要はありません。
―― はい。二人合わせて 8 枚の切り札があるかどうか というのがポイントです。 5‐5 なら,メジャー・スートで それが可能です。
―― はい。ジャコビ・トランスファは 0 pts でも使います。
ここに「8 pts 以上」と書いてあるのは,
―― しかたありません。
どちらか良さそうな方にトランスファして,パスします。
| |||||||||||
|
| |||||||||||
|
―― これには,2 通りの取り決め方があります。
[1] システム・オン (System On): ダブルが掛かっても,ステイマンとトランスファを有効にする。
[2] システム・オフ (System Off): ダブルが掛かったら,ステイマンもジャコビも使わない。したがって,ビッドの意味は全て自然な意味に戻る。
―― Audrey Grant さんの "ACBL Bridge Series: Commonly Used Conventions" (2000) では,システム・オンを勧めています。 つまり,ダブルを無視してビッドしてよい,ということです。
―― 1NT の後に 2 以上のオーバーコールがあった場合には,ジャコビ・トランスファは 使えなくなり,標準のビッドに戻ります。
―― ダブルの場合には,2 の代のビッドがフルに使えるので,ジャコビ・トランスファを使っても 誤解が生じません。
―― はい。生じます。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | 2 | 2! |
―― はい。ですから,その場合には,2 を自分でビッドする必要があります。 … なので,2 をスペードへのトランスファとは解釈できない。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ような論理ですが,これで,考え方がお分かりいただけると思います。つまり,1NT オープンに 2 以上のオーバーコールがあったときには,それ以後のビッドは,自然な意味に戻ります。
―― はい。使えます。
オーバーコールが 2 の場合には,
上と同様に,2 通りの取り決め方があります。
[1] システム・オン (System On): 2 のオーバーコールがあっても,ステイマンとトランスファを有効にする。
この場合,ステイマン (普通は 2) を 「ダブル」により表現する。
[2] システム・オフ (System Off): オーバーコールが 2 のとき,ステイマンも ジャコビも 使わない。
―― さっきの場合をシステム・オンにするのなら,こちらもシステム・オンに統一しておくのがよいでしょう。
| |||||||||||
|
―― 問題は,その場合です。
Q J 10 6 5 |
A 10 7 6 2 |
3 |
Q 3 |
( 9 HCP ) |
―― とにかく良い手です。でも自分から 4 とか 4 を ビッドしていないので,たとえば, こんな手が考えられます。オープナーが 3 枚のメジャー・スートを 4 の代でビッドしてくれれば,簡単にゲームができます。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | 3 | 4 |
―― いいえ。
ちょっと考えてみて下さい。ここで 4は テキサスになっていない。だから
あなたがホントのハートをビッドするには 4 しかありません。ですから,
4 をトランスファには使えません。
―― はい,使えます。ステイマンが 2NT でも使えるのと同じです。
トランスファが 3 の代で
3 → 3
3 → 3
となります。
| |||||||||||
|
また,もしも 5 pts 以上の手ならば,トランスファ後
5 枚スートのとき → 3NT
6 枚スートのとき → 4 の代
をビッドします。
―― テキサス・トランスファは,2NT オープンでも,全く同じです。
―― はい。
―― 空き家にしておけばいいです。
―― では,2 の簡単な使いみちを説明しましょう。
これは,
「マイナースートへのジャコビ・トランスファ」
と呼ばれるものです。7 pts 以下の弱い手で,6 枚以上のクラブ (またはダイヤモンド) があって,それを切り札にしたいときに使います。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
3 | パス | パス 3 |
Q 8 |
5 4 2 |
Q 10 9 7 6 5 |
10 5 |
( 4 HCP ) |
―― はい。スートが の場合にはトランスファされますが, の場合には 「不完全トランスファ」です。 オープナーの強い手がダミーになって,開いてしまいます。
―― はい。難しいです。
ジャコビ・トランスファを使っているので,2 でサインオフできない。
1NT か 3 (または 3) か … どちらを選ぶかという問題です。
実際には,「パス」という選択も 迫力があります。
―― 1 の代のスート・オープンを レスポンダがパスするのは,5 pts 以下の場合です。
しかし,1NT オープンの場合には,7 pts でも レスポンダはパスします。したがって,
パスしたからといって,全くの弱い手とは限りません。
それなのに,2 をビッドすると,弱い手であることが
ばれてしまう。
2 を聞いた相手側は,元気を取り戻して,メジャー・スートで積極的に参戦してくるかも知れません。
―― バルネラビリティーにも依るのです。
味方がバルの場合には,1NT がダウンしそうなら,2 を
ビッドする方が得です。たとえ,その結果 オポさんが でパートスコアのコントラクトを見つけることになっても 得でしょう。
一方,ノンバルの場合には,ダウンによる失点が 少ない (1 トリックあたり 50点) ですから,1NT をパスすることも
十分に考えられます。
―― 確かにその通りです。済んでいます …。部分的には。
―― 弱い手の場合は 済んでいます。
でも,強めの場合や,非常に強くてスラムを狙うような場合に
どうするかが まだ残っています。それらをまとめて ここで説明しましょう。
―― はい。ステイマンもトランスファも何も使わない標準のビッドは,次のようになっています。
[1] 2, 2 : 5 枚以上, 7 pts 以下の弱い手。オープナーは これをパス。
[2] 3, 3 : 5 枚以上, 10 pts 以上の強い手 (フォーシング) 。
―― 普通は 3NT をビッドします。でも,上限の手で,しかも 切り札のフィットが良ければ,スラムを狙います。
―― 確かに [1] は使えない。
でも,その代りに,ビッドの しかたが 1 つ 増えます。
[A] 2 を経由して,3 の代で止まる。
[B] 直接に 3 の代をビッドする (ただし,その意味が [2] から変更されます)。
[C] ステイマンを経由して,3 の代をビッドする。
この 3 つです。この 3 通りをどう使い分けるかという問題があります。
もちろん,このほかに
[D] パス
[E] 2NT
[F] 3NT
という選択もあります。この中から,場合に応じて 最適のコールを選びます。
実は,もう何年も前に (もう今は終わってしまいましたが) ヤフー! で中級ブリッジ教室が始まったとき,この使い分けが未だ分からずに混乱していて,教室の先生から注意をもらいました。
とくに,[B] と [C] の
どちらが強い手を示すかは,人により考えが一定していません (でした)。
しかし,現在では [C] を強い手に取り決めるのが大勢なので,ここではその方針を説明しましょう。
── その理由は,ブリッジの本で読んだことも,人から聞いたこともありません。
しかし,多くの人が実践で学んでいるように,ブリッジのビッドは 強い手ほど低くビッドして スラムのためのビッド余地を稼ぎます。この考えが身についている人にとっては,強い手に [C] を割り当てるのは自然です。
―― はい。[A] は,さっき上で説明した通りで,変更ありません。
念のために繰り返すと,
| |||||||
|
―― 3NT,または パス のどちらかです。
レスポンダの手が,「 だけが長くて
他に何の取り柄も無い」と分かるので, にフィットが
あって (すなわち,で 6 トリックを
見込めて) 他にストッパが揃っていれば,3NT をビッドします。
さもなければ,パスして 3で我慢します。
| |||||||||||
|
―― はい。そういう積もりで 2 (ステイマン) を使いました。
―― その通りです。
オープナーのビッドが もしも 2でも,あなたは 3をビッドして
強い手であることを示します。
Pard | RHO | You | LHO |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | 3 | パス |
3 |
| |||||||||||
|
―― それなら大歓迎です (あなたのハンド[C]を再掲)。
はじめの方針を変更して,5 をビッドし,パートナーに 6 を打診します。
この手は,そういう意味でもステイマンに向いています。
[B]
| ||||||
|
―― それは,ジャコビ・トランスファの復習です。
2をビッドして 2にトランスファし,
続いて 3 をビッドします。この 2 つの場合を,表にして比べます。
レスポンダの ハンド | 1NT オープナーの強さ | |
下限 (15〜16) | 上限 (16〜17) | |
[B] | 3 | 4 |
3NT (条件が良ければ) | ||
[B'] | 3 | 4 |
―― はい。ですから,レスポンダは 6 枚以上の良い (A, K, Q のうちの 2 枚を含む) カードが必要です。
―― はい。クラブで頭から 6 トリック取れるためには, オープナーも (A, K, Q のうちの 1 枚を含む) 3 枚の が必要です …。ストッパだけでなく。