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コンベンション (初級) [133-135].
ビッドの一覧表 [136-137].
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・ 絵札と HCP | … 3‐4. |
・ コントラクトの代と種別 | … 4. |
──
A=4,K=3,Q=2,J=1 と数えることにより得られる合計点数を
HCP (High Card Points) と呼びます。
手の強さを計るときの基本です。
日本語では,「絵札点」と言うと 分かりやすいでしょう。
── そうなのですが,ここで 「絵札」という言葉に ちょっと注意が必要です。
日本語では この 4 枚を絵札と呼びますが,英語で Honor Cards と言うときには,
A, K, Q, J, 10
この 5 枚を指します。たとえば,
「○○○のビッドをするためには,絵札 (アナー) 3 枚が必要である」
と言うとき 10 までを含めて考えます。
そういうわけで,ここでは,10 までを含めて
「絵札」= アナー
と約束します。
── これらが,「偉い ( 高位の ) 」カードだからです。
ラバーのブリッジでは,切り札の絵札 4 枚 (どの組み合わせでもよい) を
一人の人が持っていると,「アナー・ボーナス」と言って,100 点をもらえます。
5 枚全部を 一人で持っていれば,150 点です。
── カードの表面に絵ではなく,単にスポット (スートのマーク) が描かれているだけなので,
「スポット・カード (Spot Cards) 」と呼びます。
日本語で言うと「屑札」でしょうが,響きが悪いので そのまま「スポット・カード」と呼びます。
手短かに「ちび (puppies)」と呼ぶこともあります。
── その点については,後でまた …。
実は,オープニング・ビッドのためだけならば,あなたの言う点は必要ありません。
HCP だけを知っていれば 十分です。
その点が必要になるのは,オープニング・ビッド以後です。
・ スート・オープン | … 5‐6. |
・ ルール・オブ 20 | … 5. |
・ ノートランプ・オープン | … 7‐10. |
・ セミ・バランス・ハンド | … 8. |
── 確かに オープンの条件として,それくらいは 必要です。
かつては,そういう 12 とか 13 という数字に頼ってオープンするのが 普通でした。
しかし 今では,ルール・オブ 20 (Rule of 20) という便利な判定基準があって,これを使うと 入門者でも 初心者でも 上級者でも,みんな誰でも 正確に判断できます。
── とても簡単なルールです。
── はい。交流ラウンジのブリッジ教室で実際にあったハンドも含めて,いくつか例を挙げると …。
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── はい。まだブリッジを始めて間もないあなたでしたら,ほとんど機械的に このルールを使うとよいでしょう。
もちろん,このルールを使って正確にパスすることも忘れては いけません。
── HCP で分類すると,
15〜17 HCP ( 3 点幅 ) ⇒ 1NT.
18〜19 HCP ( 2 点幅 ) ⇒ 1 の代で何かのスートをビッドして 次回に 2NT.
20〜21 HCP ( 2 点幅 ) ⇒ 2NT.
となります。
── この 6 つの数字をそのまま暗記している人は,少ないでしょう。
── まず,15〜17 HCP というのは,基本なので 丸暗記します。
次に,3 点幅,2 点幅,2 点幅 というのを暗記します。
これは,割合と楽に暗記できます。
あとは,その場で足し算して計算します。
── いいえ。
このような HCP のほかに,バランス・ハンド (Balanced Hands) であることも必要です.
バランス・ハンドとは,4 スートのカード枚数が
4-3-3-3, 4-4-3-2, 5-3-3-2
この 3 種類のハンドを指します。ノートランプのオープンは,原則として この 3 種類に限ります
この 3 種類の発生確率は,合計 47.6% に達します (確率の表(3)) 。
つまり,2 回に 1 回は バランス・ハンドです。
したがって,バランス・ハンドのオープンは 重要です。
―― 大体はそれで間違いありませんが,正確に言うと,ちょっと違います。
5-4-2-2 のように,ダブルトンが 2 つあるハンドを,バランス・ハンドとは言いません。
これは,セミ・バランス・ハンド (Semi-Balanced Hand) です。
── はい。あります。かつては こちらが標準でした。
しかし,今では 15〜17 HCP が標準になり, 16〜18 HCP は 入門用に使われています。
── ノートランプのプレイは,慣れないうちは 難しいので,ダウンすることが
珍しくありません。15〜17 HCP に設定して,あまりダウンするようだと,
ブリッジそのものが面白くありません。
そこで,慣れない間は 16〜18 HCP に
設定する … という考え方です。
── はじめのうちは,16〜18 HCP を使うことをお勧めします。
パートナーと打ち合わせができていれば,何の問題もありません。
ある程度慣れてきたら,15〜17 HCP へ移行するのがよいでしょう。
── いいえ。変更はありません。レスポンダは 8〜9 pts で 2NT に上げます。
オープナーは 15 HCP ならパス,17 HCP あれば 3NT をビッドします。16 HCP のときは,手の内容によってどちらかを選択します。
これらは,全く変更ありません。
したがって,この切り替えの条件として,17 + 8 = 25 pts で 3NT を達成できる腕前が必要です。
15〜17 HCP | 16〜18 HCP | |
発生確率 | 10.1 % | 7.3 % |
── 1NT のあとのビッドの仕方は いろいろあって,何でも 60 種類あるというのを何かで読んだ記憶があります。
どうしてそんなにいろんなことをブリッジ・プレイヤーが考えるのかは別にして,ステイマン (Stayman) だけは使えるようにして下さい。
パートナーは 1NT オープンしても,4 枚 (あるいはひょっとして 5 枚) の を持っている可能性があります。
ですから,それを見つけるために,ステイマン 2 だけはどうしても必要です。
ステイマンは,すべてのブリッジ・プレイヤーが最初に覚えるコンベンションです。
俗に「トラ」と呼ばれている Jacoby Transfer は (このサイトでも丁寧に説明していますが),
絶対に必要なものではありません。必要さの度合いが ステイマンとは
ぜんぜん違います。ステイマンだけでも,かなりのことはできます。
それに,知らないものは,「知らない」とはっきり言えばよいのです。
ステイマンについては,かずちゃんのホームページの 「ブリッジ教室」 に説明があります。 北ブリッジ倶楽部の初級室 ( リスト A コンベンション ) も おすすめします。
── ジャコビ・トランスファは,ステイマンといっしょに使います。
しかし ステイマンは,上にも説明したように,単独でも使います。
K J 3 |
Q 10 9 8 2 |
A Q |
A J 9 |
( 17 HCP ) |
── そうですね。ここまで来てしまったら, 2 をビッドしましょう。
でも,その前にオープニング・ビッドについて考えるべきでした。
5 枚メジャーのシステムは
「メジャースートでオープンするには 5 枚必要だ」
という意味であって,
「メジャースートが 5 枚あれば 必ず メジャースートでオープンする」
という意味では ありません。
17 HCP で 5-3-3-2 の バランス・ハンドですから,5 枚の
メジャースートがあっても,1NT をビッドすると,あとのビッドが
楽にできます。
それに,もしもパートナーに が 4 枚あってゲームがありそうならば,ステイマン 2 をビッドしてくれる筈です。
・ 長さ点 (LP) | … 11‐12. |
・ ダミー点 (DP) | … 12‐13. |
・ ゲームに必要な手の強さ | … 14‐15. |
── はい。
HCP は,バランス・ハンドを評価するのに向いています。
しかし,それ以外のハンドの特徴を捉えることは できません。
たとえば 長いスートを持つ手の場合,そのスートで沢山のトリックを取れる。
これは,スート・コントラクトにも ノートランプ・コントラクトにも 共通しています。
── 5 枚以上のスートがあるとき, 長さ点 (Length Points, LP) というものを
5 枚のスートがあれば +1 ( 5 枚のスートが 2 つあれば +2)
6 枚のスートがあれば +2
7 枚のスートがあれば +3
以下同様に …
加算します。ただし 絵札のシングルトンは,−1 します。
そして,これに HCP を加えたもの
TP = HCP + LP
が総点 TP (Total Points) です。
この TP を 普通は単に「点 (pts) 」と呼び,ハンド評価に これを使います.
「長さ点」は,長さによってトリックを取る強さの目安です。
── オープニング・ビッドを NT とスートに分けて考えると …
・ ノートランプ・オープナーは,HCP だけを使います。
・ 1 の代のスート・オープナーは,ルール・オブ 20 を使うので その中に LP が含まれています。
ただし,2 回目以降のビッドでは,LP により手の強さを評価します。
また,ノートランプ・オープナーは HCP だけでその手を評価しますが,そのパートナー (ダミー) は LP により自分の手を評価します。
── はい。ディフェンダも TP を使ってハンドを評価します。
── スート・コントラクトで,ダミーになる人は LP を使いません。
―― スート・コントラクトでダミーになって,切り札をサポートできる場合には,ダミーの切り札で切れることを評価して,
サイド・スートの内容 | 切り札 3 枚 の場合 | 切り札 4 枚 の場合 |
2 枚のスート (ダブルトン) | +1 | +1 |
1 枚のスート (シングルトン) | +2 | +3 |
0 枚のスート (ボイド) | +3 | +5 |
―― A は 7 点と数えますが,それ以外は
K = 5,Q = 4,J = 3
と数えます。
―― はい。
ダミー点を数えるときに,うっかりしがちなことを注意しておきましょう。
(1) レスポンダは,切り札が決まるまで,ダミー点で計算してはいけません。
オープナーがビッドしたスートを切り札としてサポートする場合に 初めて ダミー点で数えます。
それまでは,LP を使って数えます。
(2) オープナーがダミーになることもあります:
レスポンダがビッドしたスートを 自分 (オープナー) がサポートする
場合には,オープナーがダミーになるので,自分の手をダミー点により再評価します。
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―― こんな場合です。
この手は 17 HCP + 5 + 4 = 26 ≧ 20 なので 1オープンしました。
すると,うれしいことに,パートナーから 1 が返ってきました。
を 4 枚
持っているので, を切り札にします。
自分がダミーになるので ダミー点により評価し直すと,クラブがシングルトンなので
17 HCP + 3 DP = 20 pts
となります (この場合,ダミーなので LP を数えません)。
パートナーの 1 は 6 pts を保証するので,
合計 26 pts あります。
そこで 4 をビッドします。
なお この場合,スプリンターというコンベンションを使っていれば,4 を
ビッドして クラブのシングルトンを伝え,同時に スペードのゲームを保証します。
―― 経験によれば 次の数値が知られています。
二人の手を合わせて これだけの強さがあると,それぞれのゲームができます。
コントラクト | 合計点数 |
5 5 | 29 pts |
4 4 | 26 pts |
3NT | 25 pts |
―― 経験したボード数の多さという意味では,コンピュータに敵う人は いません。
私が作成したソフトウェア BridgeGame25 により得られたグラフを下に示します。
これは 約 700,000 ボードについて解析して得られた結果です。
点数の数え方にについて 細かい説明は省きますが,LP, DP, (および 絵札の無駄点) などすべてを考慮しました。
グラフからお分かりのように,どのコントラクトも 上の表の点数で 成功確率が 60〜65 % に達します。
―― それは 非常に重要な観察です。
ブリッジのビッドやプレイに入っていくと,「オープンできる手」というのが意外に
重要な意味を持つことに気づきます。
たとえば,レスポンダとして 「オープンできる手」を持っていれば,何かゲームがあると確信できます。
一般に「オープンできる手」と「オープンできる手」が向き合えば,何かゲームがあるのが普通です。
なぜなら,3NT とか 4 の代のコントラクトは 26 pts あれば できるからです。
つまり,
・ ダブルの意味 (テイクアウト・ダブル). | … 16‐18. |
・ 3 種類のビッド. | … 18‐19. |
・ 「フォーシング」とは ? | … 20‐21. |
・ 1 回フォーシングとゲーム・フォーシング. | … 22. |
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── それで,その結果はどうなりました ?
── おっしゃるように,それが,ダブルの本来の意味です。
その意味のダブルを 「ペナルティー・ダブル (Penalty Double) 」と言います。
でも 今の場合,パートナーがダブルを掛けたのに 2 はできてしまった …。
実は,この 1‐2 というビッド経過で 2 コントラクトができることは,誰が見ても ほぼ確実です。パートナーはそのことを知っていて,でも非常に良い手を持っているので,ダブルを掛けたのです。
── はい。ビッドできる場合も たくさんあります。たとえば,
── はい。自分ひとりでは切り札を決められないので,あなたに ( 以外の) 一番長いスートを
ビッドしてもらって,それを切り札にしたい,という意味です。
このようなダブルを「テイクアウト・ダブル (Takeout Double) 」と言います。
RHO | あなた | LHO | Pard |
1 | パス | 2 | X |
パス | 2 |
── はい。必ず一番長いスートをビッドします。
こういう状況で パスしてはいけません。
もしも 右オポ (RHO) が何かビッドした場合には,ビッドの順番がパートナーまで回るので,
ボロならパスしても構いません。しかし,右オポがパスした場合には,
あなたは 0 点でも必ず何かをビッドします。パスしてはいけません。
さもないと,2X ができてしまいますから。
── テイクアウト・ダブルとその条件については 後の方でまた説明しますが, ブリッジのビッドには そういう「あまのじゃく」の側面もあるということをご理解下さい。
── 整理しましょう。
ブリッジのビッド (正確には,パス と ダブル を含めて コール (Call) と呼ぶ) は,次の
3 種類に分けられます。
(A) 自然な (素直にそのままの) 意味を持つコール.
言い換えると,自分の手の強さを素直に表現するコール.
(B) ほとんど逆の意味を持つコール.
(C) 特別の意味を持つコール.
この 3 つに分類できます。
── 私も,こんな分類なんて 本で見たことはありません。
でも 大まかに言って,こんなふうに分類できるのです。
── はい。そうです。
── ご安心下さい。非常によく使うのは,テイクアウト・ダブルだけです。
分類の (B) に属するビッドとして
キュービッド (Cuebid) がありますが,それは,かなり先に進んで 必要を感じたら身につければいい。
テイクアウト・ダブル以外は,さしあたり 心配する必要はありません。
── これは,コンベンション (Conventions) と呼ばれるものです。
典型的な例は,ステイマン,ウィーク 2,ブラックウッドです。
これも,必要を感じたら少しずつ覚えていけばいい。
── はい。ブリッジの上達に必要なのは,圧倒的に (A) のコールです。
これを使って
「状況に応じて,自分の手にあるものを どれだけ正確に表現するか」
というのが,誰にとっても重要な課題です。
── パートナーが パスしては いけないビッドのことを フォーシング・ビッド と言います。 フォーシング・ビッドのパートナーは,ビッドが続くようにしなければなりません。
── たとえば,
(1) レスポンダが新しいスートをビッドするのは,フォーシングです。
(2) ディフェンス側のビッドとしては,さっき出てきた テイクアウト・
ダブルがフォーシングです。
始めのうちは,フォーシング・ビッドは これだけだと思っていれば十分です。
このうち,テイクアウト・ダブルは 上に出てきたので,ここでは (1) を説明しましょう。
1 の代のオープンを受けて,レスポンダが新しいスートをビッドするとき
6+ pts あれば, | 4+ 枚の新しいスートを 1 の代でビッドしてよい。 |
10+ pts あれば, | 4+ 枚の新しいスートを (ジャンプしないで) 2 の代でビッドしてよい。 |
Pard | RHO | あなた | LHO |
1 | パス | 1 | パス |
? |
── 1 をビッドしたあなたは 4 枚
の と 6+ pts を保証しているけれど,
その上限はかなり大きい (ジャンプ・シフトしていないので,上限は 18 pts くらいです)。
仮に,オープナーが
K 4 |
K J 9 5 2 |
A J 7 |
10 9 3 |
( 12 HCP ) |
── オープナーは,仕方がないので,2 回目には 1NT をビッドします。
この 1NT は,ノートランプを積極的にやりたい … という
意味ではなくて, 13 ‐15 pts の範囲であることを あなたに伝えるつなぎのビッドです。
あなたの手が強い場合に備えて,ビッドをつないだのです。
Pard | RHO | あなた | LHO |
1 | パス | 1 | 2 |
? |
|
| |||||||||||||
(注) この表では省きましたが,ステイマンなどの各種コンベンションも 1 回のフォーシングです。
(注) ゲーム・フォーシングのビッドは,「マラソン・ビッド」(Marathon Bid) とも呼ばれ,マラソン・ランナーのように 二人とも ゴールするまでパスできません。 (注) 4, 4は ゲームではありませんが, 「ゲーム」という言葉は このように 使われます。できることなら 3NT を目指したいのですが (二人合わせて それだけの強さがあるのですが) ストッパが無いために 4, 4で我慢する場合が含まれます。 |
・ サポートの有無により場合を分ける. | … 23. |
・ をサポートする. | … 24‐25. |
・ をサポートする. | … 26‐28. |
・ ジャンプ・シフト. | … 29. |
スート | ||
サポートに必要な枚数 | 3 枚 | 4 枚 |
―― オープナーは,5+ 枚の切り札と 13+ pts を保証しています。
一般に,二人で合計して 8+ 枚の切り札と 26+ pts があれば 4 や 4 は
できるので,そのことを頭に置いてビッドします。
―― 切り札は確定しているし,あなたがダミーであることも確定しています。
したがって,ダミー点 (DP) を使って 自分の手を再評価します。
そして,その点数と切り札の枚数により ビッドを決めます。
オープニング・ビッドが 1 として
条 件 | ビッド | ||
---|---|---|---|
(A) | 0〜5 pts,
切り札 4 枚以下 | ⇒ | パス |
(B) | 9 pts 以下,
切り札 5+ 枚 シングルトン/ボイドあり | ⇒ | 4 (プリエンプト = ダウン覚悟) |
(C) | 6〜9 pts,
切り札 3+ 枚 | ⇒ | 2 |
(D) | 10〜12 pts
切り札 3 枚 | ⇒ | 他のスートをビッドして, 後に 3 |
(E) | 10〜12 pts
切り札 4+ 枚 | ⇒ | 3 (リミット・レイズ) |
(F) | 13+ pts
切り札 3+ 枚 | ⇒ | 他のスートをビッドして, 後に 4 |
―― 回り道のビッド (つなぎのビッド,Temporizing Bid) は 確かに分かりにくい。
とくに,ビッドに慣れないうちは ….
でも,ブリッジのビッドというのは,もともとそういうものなのです。
互いに相手の手の内容を想像しながら ビッドを
続けることにより,最適のコントラクトを見つける … というのが ビッドの本来の考え方です。
1 回のビッドで全てを伝えられることも,無いわけではありませんが,そういうことは珍しい。互いにやり取りをする中で
だんだん詳しいことが分かっていきます。
普通の会話だってそうでしょ。言葉の往復によって,相手が何を言いたいのか
正確に分かります。1 回だけでは 正確には伝わりません。それと同じです。
(F) の場合について言うと,標準のビッドで これを 1 回で伝える方法はありません。
でも,だからと言って ゲームをビッドし損なうことは無いでしょう。
ただし,スラムを狙うとなると話は別で,標準のビッドだけでは不十分です。
そのため,(F) で切り札が 4+ 枚あることを 1 回で伝えるコンベンションとして,スプリンターとジャコビ 2NT があります。
―― たしかに,メジャー・オープンの場合より,ずっと分かりにくい。
切り札のサポートが いっそ 無い方が,むしろ,ビッドしやすい。
「どういう場合にどう返事するか」ということよりも前に,方針を理解することが大切です。そうでないと,覚えることが たくさんあり過ぎて 分かりにくい。
オープナーは,平均して 4 枚 (3 枚のこともある) の切り札と 13+ pts を保証しています。 このとき,あなた (レスポンダ) は,4+ 枚の切り札を持っていても 次の優先順位に従ってビッドを考えます。
[1] メジャースートでのフィットを探る.
オープナーは 5 枚の を持っていませんが,4 枚ならば持っているかも知れない。
そこであなたが のどちらかを 4+ 枚持っていれば,それをビッドして知らせる … これを最優先します。
[2] ノートランプの可能性を探る.
たとえ, の切り札がフィットしていても,5 とか 5 をメイクするには 29 pts 必要なので
大変です。でも,3NT ならば 25 pts あればできます。
そこで,とりあえず 3NT を目指します。
もしも,他のすべてのスートにストッパがあれば,
フィットした は トリックを稼ぐのに とても役立ちます。
[3] マイナースートでのゲーム (5, 5) を試みる.
ストッパが無くて 3NT が無理と分かれば,5 の代の可能性を探ります。
―― オープナーが 1 (または 1) をビッドして,あなたが 切り札を 4+ 枚持っているとき,次の優先順位に従います。
ここでは,メジャー・オープンの場合とは違い ダミー点を未だ使いません。
条 件 | ビッド | ||
---|---|---|---|
(0) | 0〜5 pts | ⇒ | パス |
(1) | 6+ pts, どんなに良い手でも,
4 枚のメジャースートあり. | ⇒ | それをビッド. |
(2) | 8〜10 HCP,バランス・ハンド. | ⇒ | 1NT |
(3) | 他方のマイナースートを 1 の代 (6+ pts) または 2 の代 (10+ pts) で ビッドできる. | ⇒ | それをビッド. |
(4) | 6〜9 pts,
上のどれにも当てはまらない. | ⇒ | シングル・レイズ (2, 2). |
(5) | 11〜12 HCP,バランス・ハンド. | ⇒ | 2NT |
(6) | 13〜15 HCP,バランス・ハンド. | ⇒ | 3NT |
(7) | 11〜12 pts, 切り札 5+ 枚. | ⇒ | ダブル・レイズ (3, 3)
|
―― 無理に覚える必要はありません。実際にビッドしていると,はじめに説明した方針がだんだん頭に入ってくる。
そしたら,自然にビッドできるようになりますから …。
―― はい。その通りです。
[a] | Q J 4 | |
8 7 5 | ||
K 7 6 | ||
Q 10 7 5 | ( 8 HCP ) |
[b] | Q J 4 | |
8 7 5 | ||
K 6 | ||
Q 10 8 7 5 | ( 8 HCP ) |
[c] | 8 6 | |
A 10 4 | ||
A J 8 | ||
Q 10 9 8 3 | ( 11 HCP ) |
[d] | A Q 2 | |
A 7 2 | ||
Q 3 2 | ||
10 9 8 3 | ( 12 HCP ) |
[e] | K 10 2 | |
Q J 3 | ||
A J 6 5 | ||
Q J 4 | ( 14 HCP ) |
[f] | K 10 | |
K 6 5 3 | ||
A J 6 5 2 | ||
Q 4 | ( 13 HCP ) |
[g] | K 9 | |
Q J 5 | ||
10 8 2 | ||
A J 6 4 2 | ( 11 HCP ) |
[h] | A J | |
10 9 3 | ||
K 6 4 3 | ||
K Q J 2 | ( 14 HCP ) |
[i] | 10 9 |
A 9 | |
K J 10 8 6 3 | |
K 7 6 ( 11 HCP ) |
[j] | K 10 5 | |
6 5 3 2 | ||
5 | ||
A Q 6 5 3 | ( 9 HCP ) | |
―― 19 pts というのが クラシックな数字です。
ただし,場合によっては 17 pts くらいからジャンプ・シフトします。
―― レスポンダがジャンプ・シフトするのは,スラムへの関心を示します。
もちろん,ゲームは 十分にできるので,ゲーム・フォーシングです。
オープナーは 13 pts を保証している …。それに 17 pts を加えると 30 pts になります。
―― 6NT のようなスラムには 33 pts 必要です。
しかし,スート・コントラクトの場合には,手の形が偏っていて 切り札が多いので,ラフによりトリックを稼げます。
二人の手の組み合わせが良ければ,(ダミー点を含めて) 30 pts くらいでスラムができることは 珍しくありません。
―― はじめのうちは,スラムをあまり意識しない方がよいので,クラシックにしてはどうですか。
だんだん慣れてきて,どういう場合に 30 pts でもスラムができるか分かるようになったら → 18, 17 pts と下げていけばよいでしょう。
それから,19 pts あれば いつでもジャンプ・シフトするのが良いとは限りませんが (Karen's Bridge Library),ここで細かいことを言っても仕方ありません。そういうことは,実際の経験からだんだん分かっていくはずです。
とりあえずは,「ジャンプ・シフトは 19+ pts を伝えて スラムを狙う」と理解して下さい。
・ 手の強さにより場合を分ける. | … 30. |
・ 弱い手の場合に困ること. | … 31‐33. |
・ ジャンプ・シフト (オープナー). | … 34. |
・ リバース・ビッド. | … 35‐38. |
・ シングル・レイズに対するビッド. | … 38‐41. |
強 さ | ビッド |
---|---|
弱い (13〜15) | [a] パス |
[b] 2 の代で自分のスートを リビッド(注1) | |
[c] 2 の代で新しいスート(リバース不可) | |
[d] 1NT, 2NT (低い方) | |
[e] レスポンダのスートをシングル・レイズ | |
強い (16〜18) | [f] 3 の代で自分のスートを リビッド |
[g] 新しいスート (3 の代も可) | |
[h] 新しいスート (リバースも可) | |
[i] レスポンダのスートをダブル・レイズ | |
最強 (19〜) | [j] リバース |
[k] ジャンプ・シフト | |
[l] 自分のスートで ダブル・ジャンプ | |
[m] レスポンダのスートで ダブル・ジャンプ | |
18〜19 | [n] NT をジャンプしてビッド |
―― あぁ,それは ちょっと注意が必要なので,下で 別に説明します。
―― その場合,レスポンダからの返事が 1NT や 2NT だったら
[a] パスします。
しかし,スートの返事だったら,フォーシングなので パスできません。
そこで,
[b] 自分のスートを 最低の代で もう一度ビッド (リビッド) します。
これにより,弱い手であることだけは 十分に伝わります。
このビッドには (原則として) では 6 枚, では 5 枚が必要です。
North | East | South | West |
1 | パス | 2 | パス |
? |
―― いいえ。 2 は [h] リバースなので ( は より上位のスートなので),
弱い手の場合には 許されません。
リバースについては,大切なことなので 下で別に説明します。
―― ここでは 原則として 次の方針に従います。
[b] 2には,ハート 6+ 枚が必要です。
[d] 2NT には,これまでビッドしていないスートに ストッパが必要。
[e] レスポンダのスートは,4+ 枚でサポートします。
( ただし,1‐2-3 の場合だけは,3 枚でよい )
そうは言っても,この原則を常に守れるとは限りません。
たとえば,Bill Root さんは薄手のブリッジ入門書の中でページを割いて
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―― その場合には,[b] 2, [d] 2NT のどちらかを選びます。
2は なるべく ハート 6 枚の
場合に使うことにして, にストッパが無くても,
どちらも 3 枚あれば,2NT を選びます。
パートナーの 2が 10+ pts を保証するので, に 絵札を持っている筈です。
Eric Rodwell さんの 2/1 講座 (下記リファレンス) は,この方針を採用しています。
以前,Rodwell さんは下のような ( に ストッパが無い) 場合に,ハート 5 枚で [b] 2をビッドしていたけれど,その後の経験から,2を ハート 6 枚限定に宗旨替えしたと書いています。
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―― その場合には,リビッド [b] 2しかありません。
でも,ハートの内容が良いでしょう。
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―― 21 pts というのが クラシックな数字です。
しかし,今では 19 pts くらいからジャンプ・シフトします。
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―― このジャンプ・シフトは,ゲーム・フォーシングです。
オープナーの普通のビッドは ノン・フォーシングなので,
レスポンダはパスできます。
しかし,オープナーがジャンプ・シフトすると,
ゲームのコントラクト (それが不可能な場合には,4 または 4) をビッドするまで,
二人ともパスは許されません。
この状況を ゲーム・フォーシング と言います。
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―― こういうビッドを リバース・ビッドと呼びます。その説明をしましょう。
オープナーとして,2 回目のビッドで 新しいスートをビッドするときには,
その前に 大切な注意が必要です。
なぜなら,パートナーの 1 は 6 pts を保証しているに過ぎないからです。
もしかして,最低の 6 点で 1 をビッドしたのかも知れない。
その場合に,あなたが 2をビッドすると,パートナーは と のどちらか良い方を選択します。 が良ければパスできますが (実際には,後述のように,パスしてはいけない),の方が都合よいと思えば 3 を返します。
あなたが
オープナーとして 15 pts 以下の弱い手の場合 (合計 21 pts),3 はダウンするかも知れません。
つまり,上のような場合に 2をビッドできる
ためには,3 に
耐えられるだけの強い手をあなたが持っている必要があります。
上の場合には それだけの強さが無いので,2ではなく 1NT をビッドします。
2 回目のスートが最初のスートより高位になる 2のようなビッドを,
リバース・ビッド (Reverse bid,逆順ビッド) と言います。
リバース・ビッドするためには,それなりの強さが必要です。
リバースは 特別なコンベンションには属しませんが,ビッドを考えるときには大切です。
オープナーも レスポンダも (そして オーバーコールした人も),オープナーが 2 回目に新しいスートをビッドした場合には,ちょっと考えてみましょう … レスポンダが
最初のスートに戻すと 3 の代になるかどうかを。
―― 17 pts (人によっては 16 pts) が必要とされています。
―― 2NT とか 3 〜 3 のコントラクトには,二人合計して 23 pts くらい必要です。そこから逆算すると,こういう数字になります。レスポンダが保証しているのは,6 pts だけですから ( 23−6=17 ) 。
また,バランス・ハンドで この強さがあれば 1NT オープンできるので,リバースは アンバランス・ハンド (および
セミ・バランス・ハンド) で使います。
―― いいえ。
要求される点数は上の通りですが,分かりやすい表現として
8 5 |
K J 10 3 |
K 9 2 |
K J 6 3 |
( 11 HCP ) |
| |||||||||
|
―― はい。それなら大威張りで 2 回目に 2 をビッドできます。
ただし,ここで注意を一つ加えると,枚数の情報も重要です。
リバースした場合,手の強さに加えて
「第 1 スート 5+ 枚,第 2 スート 4+ 枚」
ということも,パートナーに同時に伝えています。
もしも バランス・ハンドならば,この強さ 17 HCP では NT オープンできますからね。
パートナーがビッドを考えるとき,この情報も貴重です。
North | East | South | West |
1 | パス | 1 | パス |
1 |
―― 22+ pts の非常に強い手は 2 オープンします。
したがって,リバースする手の上限は 21 pts と考えてよいでしょう。
―― ジャンプ・シフトの理解を正確にしておく必要があります。
19 pts というのは,ジャンプ・シフトするための
必要条件です。つまり,
オープナーのジャンプ・シフトは 19+ pts を保証する.
のですが,
19 pts あれば 必ずジャンプ・シフトする.
のではありません。
―― はい。
リバースで強さを示せる場合には,ジャンプ・シフトしないことが多い。
| |||||||||
|
あなた | LHO | Pard | RHO |
1 | パス | 1 | パス |
2 |
―― はい。
これには,シングル・レイズとダブル・レイズ (リミット・レイズ) があります。
リミット・レイズは,後篇 (メジャースート,マイナースート) に回して,ここでは,シングル・レイズの場合だけを取り上げます。
―― ここでまず問題になるのは,この先,ゲームがあるかどうかです。
パートナーのシングル・レイズは 6〜9 pts を示しているので,この上限 9 pts を仮定すると,さっきの一覧表で 13〜15 pts の場合には,合計しても 25 pts に届かないので,[a] パスします。
これ以上 ビッドを続けても 意味がありません (もちろん,右オポが競り合っている場合は別です) 。
このように,パスして 自分の手の強さを否定することは,大切です。
裏返して言うと,ここで何かビッドすると,「ゲームの可能性あり」を宣言する意味になります。
ここから先は,スートの種類と手の強さにより 5 つの場合 (0)〜(4) に分けて考えます。
(0) 1NT でオープンするには 強すぎたバランス・ハンド:
18〜19 HCP のバランス・ハンドです。
ジャンプして [n] 3NT をビッドすれば,この事情が伝わります (例)。
(1) メジャースートで最強 (19〜22 pts) の場合:
これは,簡単です。[l] 4, 4 のゲームをビッドします。
(2) マイナースートで最強 (19〜22 pts) の場合:
レスポンダに下限 6 pts を仮定すると,可能なコントラクトは, 4, 4 あるいは 3NT です。
メジャースートの場合とは異なり,4 の代のスートはゲーム未満なので,なるべく 3NT を狙います。
こんなに強い手では,ストッパが揃っているのが普通であり,3NT をビッドできます。
もしも,ストッパの欠けたスートがあれば,ストッパのあるスートを 2 の代でビッドします。
レスポンダは,これに協力して ストッパのある (なるべく低い) スートを 2 の代でビッドします。
(3) マイナースートで強い (16〜18 pts) 場合:
レスポンダが下限 6 pts ならば 2NT,3, 3 まで可能です。
上限 9 pts ならば 3NT, 4, 4 が可能です。
上の場合と同様にして,2NT, 3NT を目指します。
(4) メジャースートで強い (16〜18 pts) 場合:
オープナーの手の形により,更に場合を分けます。
(4 ‐1) | 16〜17 HCP バランス・ ハンド | 5 枚のメジャースートがあっても, 初回に 1NT オープンしたはずです。 |
(4 ‐2) | 18 HCP バランス・ ハンド | ここでジャンプして 3NT をビッドできます。 |
(4 ‐3) | 切り札が 6+ 枚 ある | 3 の代に上げる。 レスポンダは 6〜7 pts ではパスし, 8〜9 pts では 4 の代に上げる。 |
(4 ‐4) | 切り札は 5 枚 | 4 枚の第 2 スートを (その内容を問わずに) 3 の代で ビッドする (切り札がハートならば,2 もありうる)。 この情報を受けて,レスポンダは, 3 または 4 の代でビッドする。 |
| |||||||||
|
―― では,ビッド経過がハートのシングル・レイズだとして,話を進めましょう。
これは,5-3-3-2 型の 17 HCP バランス・ハンドなので 1NT オープンすべきでした。
―― ここまで来たら,2NT をビッドしましょう。
たぶん,ビッドを間違えたのだと分かってもらえるでしょう。
でも,レスポンダのビッドが 2 だったのは幸運でした。
もしも 1 だったら,どうしますか ?
―― 上の手ならば,そう誤解されても問題無いかも知れません。
(4 ‐2) |
A 9 3 |
K Q J 9 5 |
K 5 3 |
A J |
(18 HCP) |
(4 ‐3) |
K 10 2 |
K Q 8 7 4 2 |
7 |
A Q 9 |
(14 HCP) |
―― 切り札 6 枚で 1 オープンして,
シングル・レイズ 2 が
返ってきました。
この場合には,6 枚目のハートを 2 pts と再評価します。たとえば,
右の手の場合,オープンの時点では 14 HCP + 2 LP = 16 pts ですが,
シングル・レイズの後では 17 pts となります。
それでも 19 pts に達しないこの手では,3 をビッドします。
このとき レスポンダは,ダミー点で数えた強さに従って,パス / 4 の
どちらかを選びます。
―― はい。その場合には,必ず 4 枚のスートがあります。
この場合のハンド例は,組み合わせて示しましょう。
|
|
|
―― おっと,その場合を忘れていました。
ボイドやシングルトンがある場合です。
その場合にも (4 - 4) を適用します。
ダブルフィットがあれば,沢山取れますから。
このビッドはフォーシングなので,パートナーは 下限の手で何も言うことが無ければ 3 を返します。
・ プリファー(Prefer). | … 43‐44. |
・ 回り道ビッドからの回復. | … 44. |
・ リバースに答える. | … 45‐46. |
・ 自分の長いスートを リビッドする. | … 47‐48. |
・ 1NT へのフォーシング. | … 48‐49. |
| |||||||||||
|
―― パートナーのハートは 5 枚,クラブは 4 枚あります。
どちらを選んでも,切り札は合計 7 枚あります。
5 + 2 枚の方がプレイしやすいので,ここでは 2をビッドします。
―― はい。この場合はそうです。
ただし,場合によって 注意が必要です。
A 9 5 4 |
J 2 |
Q 8 2 |
Q 7 6 4 |
( 9 HCP ) |
―― ここで,さっきのビッド一覧表を見直して下さい。
上のようにビッドしたオープナーの手の強さは どの範囲にありますか ?
―― この場合,オープナーの手は 13〜18 pts という広い範囲にあります。
あなたが 8〜9 pts で パスすると,ゲームを逃すかも知れません。
―― そういう場合には,2NT,3 を候補にして,
どれが良いかを考えましょう。
パスは危険です。
ビッドの教本では見逃されやすい事項なので,注意しましょう。
| |||||||||||
|
―― 初回に 2 をビッドして 10+ pts であることが伝達済みですから,ここでジャンプする必要はありません。
もしも,初回の回り道ビッドが 1 でしたら,ここで 3 とジャンプします。
―― いいえ。ジャンプして 4 をビッドします。
―― はい。そこで,リバースを 1 回フォーシングに取り決めます。 レスポンダは,オープナーまで ビッドの順番が回るようにしなければいけません。
―― その前に, 「強い」/「弱い」の基準を はっきりさせる必要があります。
―― だいたい,8〜9 pts が境目です。
なぜなら,9 + 16 = 25 pts となるからです。
・ 9 pts 以上の手では,オープナーが (リバースする) 下限でも 何かゲームがあります。
・ 9 pts 以下の手では,オープナーが下限ならば ゲームはありません。
この 9 という数字は中途半端で忘れやすいので,ルール・オブ 9 とでも呼んで,覚えておくのがよいでしょう。
North | East | South | West |
1 | パス | 1 | パス |
2 | パス | ? |
―― はい。自分の手を見ていると,弱い手なので どうビッドしても違いが無いように見えます。
けれども,オープナーは 強い手を持っていて なんとか切り札のフィットを見つけようとしています。
ですから,枚数の情報を正確に伝えることが,ここではとくに大切です。
枚数の情報が正確に伝わると,オープナーが最強の手を持っている場合には,最適のコントラクトを
すぐに見つけられます。
――「強い」手の場合には,いろいろなビッドが可能です。
でも,考えた結果が「弱い」手のビッドと重ならないように注意が必要です。
これが 案外に難しい …。
――「強い」手だと言っても,それは パートナーが リバースした状況だから そう言えるのであって,
自分の手だけを見ていれば (9+ pts なので),そんなに強い手には とても見えないからです。
| |||||||||||
|
―― レスポンダ South がこの手を持っていて,さっきのようにオークションが進んだ[再々掲]
としましょう。
この手では,2NT では なく 3NT をビッドします。
| |||||||||||
| |||||||||||
| |||||||||||
| |||||||||||
|
―― はい。そういう弱い手の場合から …
――
その通りです。
では,あなたの手が少し強くて,10〜12 pts の場合には どうしますか ?
―― はい。では,あなたの手がもっと強くて 13+ pts の場合には ?
―― はい。その通りです。
ですから,ここでは フォーシングのビッドが必要です。
Pard | RHO | あなた | LHO |
1 | パス | 1 | パス |
1 | パス | 2 |
Pard | RHO | あなた | LHO |
1 | パス | 1 | パス |
1 | パス | 2 | パス |
(何か) | パス | 3 |
―― こういう状況です。
オークションが 右のように進みました。
Pard | RHO | あなた | LHO |
1 | パス | 1 | パス |
1NT | パス | ? |
―― そこで,フォーシングのビッドをする必要があります。
そのための ゲーム・フォーシングとして,リバース または ジャンプ・シフト を使います。
| |||||||||||
|
―― はい。それも ゲーム・フォーシングです。
ただし 今の場合には,2 の方が低い代でフォーシングできます。
・ オーバーコールの考えかた. | … 51. |
・ 1 の代と 2 の代を分けて考える. | … 52. |
・ 1 の代の オーバーコール. | … 53‐54. |
・ 2 の代の オーバーコール. | … 55‐56. |
・ オーバーコールに答える. | … 57‐59. |
・ スート・オープンに対する NT オーバーコール. | … 60‐61. |
―― オーバーコールする人の手の強さの範囲は とても広いので,アドバンサは
どれくらいの強さなのか分からなくて 苦労します。
JCBL 発行の講習会テキスト,小林淳三「 5 枚メジャー基礎コース」の 108 ページに 明快な答が書かれています。
1 の代のオーバーコールに対して オーバーコーラーの強さを 10 pts と仮定します. |
2 の代のオーバーコールに対して オーバーコーラーの強さを 12 pts と仮定します. |
―― ディフェンス側に 細かい取り決めは ありません。 ディフェンス側にシステムが存在しないのは, ビッドの目的が両方の側で全く異なるためです。
オープン側は,とにかくオープナーが平均以上の強さを持っているので,できることなら ゲームやスラムを目指します。
ビッドのシステムは,この目的に沿って建設的に組み立てられています。
一方,ディフェンス側に,スラムはほとんど考えられません。
ゲームの可能性も低い。
何しろ 相手が 13+ pts を握っていますから。
そのため,パートスコアの競り合いになることが多くなります。
相手側にゲームがある場合でも,スラムを見つけにくいように競り上げる (破壊的) とか,オープニング・リードの希望を
パートナーに伝えて,相手のコントラクトをダウンさせる … というのがビッドの目的に入ります。
―― オーバーコールの基準は,先ほど出てきたように,プリエンプト (すなわち,ジャンプする) オーバーコールを除くと,
1 の代 = 5+ 枚の良いスートと 10+ pts,
2 の代 = 6+ 枚の良いスートと 12+ pts,
です。
ここで「良いスート」とは,絵札 5 枚 (A K Q J 10) の中の 3 枚です。
これが 一応の 基準です。
―― 手の強さで分けると,上の基準になりますが,実際には,1 の代と 2 の代を明確に区別して考える必要があります。
1 の代: 上の基準から外れていても,しっかりしたスートならば遠慮無くオーバーコールしてよい。
2 の代: なるべく上の基準を守るようにする。
とりあえず,このように はっきり区別して下さい。
―― オーバーコールの「安全さ」から この区別を言い換えることもできます。
1 の代のオーバーコールにペナルティー・ダブルがかかることは,まずありません。たとえ
ペナルティー・ダブルがかかってダウンするとしても,その被害は僅かであって,相手側にゲームが
あるような場合には,こちらが却って得になります。
ところが 2 の代のオーバーコールは,ダブルを掛けられて ダウンすることがあります。
相手側が切り札のフィットを見つけられずに困っているところへ不用意に 2 の代で割り込むと,
ダブルを掛けられて 餌食になることが
あります。この場合の被害は大きい。
―― はい。
1 の代のオーバーコールというのも,慣れないうちは判断がむずかしくて,
「HCP が足りないから」と パスしてしまうことが よくあります。
オープンできない手でも,オーバーコールできる手は,たくさんあります。
交流ラウンジのブリッジ教室で,1 の代でオーバーコールできる ところをパスしてしまった例を,いくつか 見てみましょう。
[1] 1〜1オープンに
対して,迷わず 1 オーバーコールします。 とくに,オープニング・ビッドが 1 の場合には,スペードでのオーバーコールは効果があります。 弱い手のレスポンダが 何もビッドできなくなってしまうからです。 |
|
[2] 1, 1 オープンに 1 オーバーコールします。 この手から見ると,相手側に いろいろなコントラクトが考えられます。マイナー・オープンなので NT も有力です。 ここで 1 をビッドすると, 相手側が のフィットを見つけられないとき,3NT に行きづらくて, のパートスコアに 止まる効果を期待できます。 |
|
[3] ここでも 1 オーバーコールします。
もしもパートナーの手に J が あれば,相当に強い切り札です。HCP だけに注目するのではありません。 J には ほとんど 値打ちがありません。 |
|
[4] 1 オーバーコールします。
8 HCP ですが,5‐5 という形は強力です。 と には絵札がありません。絵札が 2 スートに集中している 5‐5 の手は,見かけよりずっと強く,トリックを取るパワーがあります。 |
|
[5] このくらいの手でも 1 オーバーコールします。
もしも 左オポがディクレアラーになれば,パートナーから を打ってもらえます。 |
|
[5] のパートナー |
Q 10 3 |
A Q 4 |
K 10 5 2 |
5 3 2 |
( 11 HCP ) |
―― もしもひどくダウンするようなら,相手側にゲームがあります。
バルネラビリティーにも依りますが,
2 ダウンとか 3 ダウンとかで止まるのなら,相手にゲームを作られるよりも得です。
ですから 逆に言うと,オーバーコールするときには,HCP よりも 確実にトリックを取れるパワーが
重要です。HCP が少なくても,絵札と中堅カードが特定のスートに集中していれば,オーバーコールできます。
―― はい。その通りです。
ダウンしたときの損害があまりにも大きいようなら,避けるべきです。
なお,4 枚の非常に良いスートで ( 1 の代で) オーバーコールすることがありますが,
これについては 後篇 で説明します。
また,ディフェンス側の気持ちは,手の形と強さ 並びに ビッド経過により かなり変化します。
これについても,ちょっぴり触れます。
―― こちらの方は,状況によって複雑で,簡単には説明できませんが,ひとつだけ 説明しておきましょう。それは,2 の代でオーバーコールするような手は, 原則として自分でもオープンできるということです。
―― ですから 自分でオープンしようと思っているところへ,相手方に先取りされてしまった … と いう場合には,2 の代のオーバーコールを検討します。
J 9 |
9 2 |
Q J 8 |
A K J 7 3 2 |
( 12 HCP ) |
A 10 6 |
A Q J 8 2 |
10 8 7 |
8 3 |
( 11 HCP ) |
―― ハートの中身がしっかりしているこの手では,5 枚でも構いません。
ただし,いつでも 5 枚でよいと思っていると,思わぬ落とし穴に落ちることがあります。
―― オープン側の切り札が確定している状況では,2 の代のオーバーコールは 割合に安全です。
なぜなら,相手は 自分たちでコントラクトを取ろうとビッドするからです。
ところが,オープン側の切り札が確定していない状況では,不用意な 5 枚スートを持って 2 の代で のこのこと 割り込むと,相手は 「ダブルを掛けて落とそう」と考えるかも知れません。
LHO | Pard | RHO | あなた |
1 | パス | 1 | ? |
8 3 |
K J 8 4 2 |
Q 9 7 |
A J 6 |
( 11 HCP ) |
―― はい。2 の代のオーバーコールには,こういう問題があるので,「経験から学ぶ」という 要素が強いのです。
―― いいえ。1 の代では,そういう配慮は不要です。
―― オープン側のビッドと大きく違うのは
サポートがあったらすぐにサポートする
という点です。
競り合いを重視する現代のブリッジでは
サポートがあれば サポートする (Support with support)
が重視されています。
オープナーが何かのスートをビッドしたとき,レスポンダはそれをサポートするだけの十分な切り札があっても,すぐには サポートせず,新しいスートをビッドすることがあります(回り道のビッド)。それは,二人だけでビッドして 最適のコントラクト (場合によってはスラム) を見つけるためです。
けれども オーバーコールの場合には,両方が激しく競り合うので,自分たちの切り札を先に
見つけた側が,圧倒的に有利な立場に立ち,ビッドの代を競り上げることができます。
ですから,オーバーコーラーのスートが 3 枚以上あったなら,
アドバンサは 「直ちにサポートする」ことを考えます。
「自分にも 5 枚のスートがあるから それをビッドする」という考え方は,
原則として,危険です。
パートナーは,あなたのスートを 1 枚も持っていないかも知れません。
3 枚もサポートがあれば,合計 8 枚ありますから,切り札として不満はありません。切り札が確定すれば,
オーバーコーラーは強気でビッドを競り上げることができます。
―― 人によりさまざまで,オープン側のようにきちんとした点数の基準はありません。ひとつの目安を下に書いておきましょう。
これが絶対ということではありません。
なお,ここでの「点(pts) 」は,ダミー点 (DP) で数えた点数です。
(a) 6 ‐11 pts 切り札 3 枚 または 4 枚 ⇒ シングル・レイズ
(b) 12 ‐14 pts 切り札 4 枚 ⇒ ダブル・レイズ
(c) 12+ pts ⇒ キュービッド (オープナーのスートをビッド)
―― サポートできない場合でも,ビッドできることがあります。
ノートランプです。
(d) 8-11 HCP で,相手方スートにストッパを持つバランス・ハンド
⇒ 1NT をビッドします.
| ||||||||
|
―― 12〜14 HCP です。でも,現在ではそのような手は キュービッド (2) により対応します。 1NT の場合だけ 気をつければよいでしょう。
―― オープニング・ビッドに対する返事で 新しいスートはフォーシングです。
しかし,オーバーコールの場合には,単に ノン・フォーシングのお誘いです。
つまり,アドバンサが新しいスートをビッドした場合,オーバーコールした人は,そのスートに 3 枚以上あれば 1 つ代を上げてサポートしますが,無ければパスして構いません。
なお,下記「25」の本では フォーシングを採用しています。
しかし,フォーシングに取り決めると,オーバーコールがしづらくなって ややこしい。
オーバーコールの一つの目的が 積極的介入なので,ノン・フォーシングにしておかないと,その意味が薄れます。
―― その場合には,(c) キュービッドします。
なお,ここでは 上のように場合を分けて説明しましたが,慣れてくると,
(a) と (d) 以外は,全部 (c) キュービッドで処理します。
しかし,キュービッドというのは分かりにくいので,
オープン側のキュービッドの後に これを覚えていただくのが良いと考えて,
キュービッドの説明を 続編 に回しました。
―― 普通に 1NT オープンできる 15〜18 HCP のバランス・ハンドです。
もちろん, のストッパが必要です。
一般に,バランス・ハンドでのオーバーコールは
K 10 8 2 |
K 3 2 |
A 4 |
A Q 10 8 |
( 16 HCP ) |
―― はい。1NT の場合,1 枚あれば 十分です。
―― それも 上と同じです。
15〜18 HCP のバランス・ハンドで,ウィーク 2 に 2NT オーバーコールします。
もちろん, に確実なストッパが必要です。
この 2NT は,Unusual 2NT ではありません。
―― 2NT をビッドしたからといって,それが最終のコントラクトになるとは限りません。 あなたが 2NT オーバーコールすれば, どんな手を持っているかが パートナーに とてもよく伝わります。あとは パートナーに判断してもらえばよいのです。怖がってパスしたのでは, あなたがどんなに良い手を持っているのか パートナーは 全然分かりません。
―― 19〜20 HCP のバランス・ハンドでは,ダブルを掛けます。そしてその次に 1NT を (それが不可能ならば 2NT を) ビッドします。
―― たとえば,オークションが
LHO | Pard | RHO | あなた |
1 | 1NT | パス | ? |
使う (Systems On) という取り決めと,使わない (Systems Off) という取り決めがありますが,
On にするのがよいと思います … 新しいことを覚える必要が ありませんから。
この場合,2 は ステイマンになります。また,ジャコビ・トランスファを使っていれば,2 は,キュービッドではなく,2 へのトランスファを要求するビッドになります。
・ テイクアウト・ダブル. | … 62‐64. |
・ 強い手のダブル. | … 65‐68. |
・ ダブルに答える. | … 69‐72. |
・ ペナルティー・パス. | … 73‐74. |
・ ダブルした人の次回のビッド. | … 75. |
―― テイクアウト・ダブルをコールする人は,オープンできるくらいの強さを持っています。 ですから,ダミー点で数えて 13+ pts を期待できます。
―― この条件は 特に重要なので,表にしましょう。
相手側がビッドしていないスート | 手の形 |
3 スートの場合 | その 3 スート すべてに 3+ 枚持っている. |
2 スートの場合 | その 2 スートの 両方に 4+ 枚持っている. |
―― テイクアウト・ダブルの条件は,2 つあります。
(1) 手の強さ,
(2) 手の形,
この 2 つです。
強さ (DP で数えて 13+ pts) の方は,時と場合により 多少割り引いてダブルすることがある。
けれども (2) 手の形の方は,絶対条件です。こちらの条件は,絶対に守ります。
| ||||||
|
RHO | あなた | LHO | Pard |
1 | X ? |
―― この場合には, が シングルトンなので,手の形の条件が満たされていません。ここで無理にダブルを掛けると,パートナーからは
(非常に高い確率で) が返ってくるでしょう。
そこから何かをビッドするだけの
強さ (下記,16+ pts) を,この手は持っていません。
したがって,6 枚のダイヤモンドを切り札にして,2 をプレイする結果になります。
これには,パートナーも不満でしょう。パートナーシップを損なうかも知れません。
―― はい。せっかく自分でもオープンできる手だと喜んでいたのに,残念ですが, ここでは パスするしかありません。
―― はい。ここは,涙を呑んでパスします。
これを救う手段として,バランシングという手法があります。
初級を一通り終えてから,バランシングをお読み下さい。
―― はい。あります。
| |||||||||
|
―― この 強さ の基準は,人により さまざまです。混乱があるようです。
ここでは,とりあえず 尋常の強さではない と了解してください。
―― このときの判断の目安になるのが,強いバランス・ハンド を持っていて, ダブルを掛ける場合です。
|
―― それでは,同じハンドで 右オポが 1 オープンした場合には どうするか ?
RHO | あなた | LHO | Pard |
1 | X | パス | 1 |
パス | 1NT |
―― この ダブル
が「強い手のダブル」の出発点です。
ひとまず,この強さを記憶して下さい。
――「約半分の強さ」は,バランス・ハンド以外にも共通に要求されます。
こんな基準が良いと思います。
[補足] 実際には,5 枚のスートで 16+ pts という人が多いようですが,それでは 緩すぎます。 とにかく バランス・ハンドの場合に必要な強さに準じて考えます。
―― たしかに 厳しいです。
Mike Lawrence は,"Compete Book on Takeout Doubles" (1994) という著書の中で,一般論だが … と前置きして,
「自分からビッドできるスートが 1つで 17 HCP 以下のハンドでは,
ダブルではなく,オーバーコールしなさい」
と勧めています (p. 28)。
| ||||||||||
|
―― はい。伝家の宝刀かな。
頻繁に抜くと,切れ味が鈍ります。
| ||||||||
|
―― 16 HCP で 5 枚の ですね。
2が良いと思います。
ハートはメジャースートだし,パートナーに 3 枚でサポートしてもらえるかどうかがすぐに分かります。
もしもサポートが無ければ ゲームが無いこともすぐに分かります。
―― (幸運にも左オポがパスしたとして) パートナーからの返事は,2の確率が高いです。そこから こちらが 2 といけば良い方で,実際には,左オポが 2 を コールすれば, パートナーがパス。これでは,パートナーがハートを 3 枚持っていても それが隠れてしまいます。
|
|
―― はい。その通りです。
自分では,強い手だと自慢してダブルします。
けれども,ビッドの上では,「一周 出遅れ」になります。
一周 出遅れても,そこで自分のスートをビッドできる
のが,強い手 のダブルです。
「こちらがコントラクトを勝ち取るぞ」という宣言のようなものです。
―― どのくらい強い手 ?
|
―― めったにありませんが,そういうものすご〜い手の場合には,ダブルから入ります。
そして 2 回目にも手の内を示さず キュービッド 2。 3 回目に やっと 自分のスートを示します。
レスポンダの 2,2NT はつなぎのビッドですが,
あなたの 3 を受けて,スペードのストッパがあれば,3NT をビッドしてくれるはずです。
右オポがオープンしたので,スラムの可能性はありません。
こんなことに出会うのは,たぶん無いでしょうが,でも万一のためには覚えておくとよいですね。
―― これに相当する術語は,英語には もともと 存在しないようです。
上記 Lawrence の本の中を 隈なく探しましたが,見当たりません。
単に
"Double and then bid a suit" と書いてあります。
テイクアウト・ダブル と 強い手のダブル という 2 種類のダブルを,
概念の上で区別することは,とても有益です。
ここでは,日本語がカタカナ語に優越しています.
… と言っても「ダブル」は英語ですが。
―― はい。
これについては,ずっと始めの方で説明しました。
その例をここに再掲すると,
|
|
|
|
―― テイクアウト・ダブルは 13〜16 pts の手を保証します。この上限の場合にゲームを逃がさないためには,アドバンサがジャンプして
「10+ pts 持っていますよ」
と伝える必要があるからです。
例として この場合を考えてみましょう。
|
|
―― はい。誰でも 最初は怖いです。
これも 慣れが必要です。練習して下さい。
もちろん,頭で考えればすぐに分かることです … ジャンプしないで 2 をビッドすると,私の手は 0 点に見られても 仕方ありません。テイクアウト・ダブルとは そういうコールなんです。
冷静に考えれば,ここであなたが 3 の代へ跳びこんでも,合計 13 + 10 = 23 pts あるので,コントラクトは成立します。
―― これは,二人合わせてゲームがある場合です。
たとえば,上の手を少し強くして …
| ||||||||
|
―― パートナーのハートの枚数や,スペードのストッパの具合によって 4 とか 3NT を目指してビッドします。
―― はい。標準的には,
| ||||||||
|
―― このスペード 4 枚がダミー (パートナー) にあればよいのですが,今は その反対です。
その辺の位置関係まで頭に入れて,ビッドを選択しましょう。
2NT の場合は,さらに条件が厳しいので
11〜12 HCP, ダブル・ストッパあり,4 枚のメジャースート無し ⇒ 2NT
とされています。
| |||||||||
|
―― なるほど …。そこで何をコールしました ?
―― それで,その結果はどうなりましたか ?
―― それは痛かったですね。4 をメイクされたのと(620点)大して変わらない失点です。 ダブルなしで 1 とか 2 を 3 メイクなら,140 点の失点で済んだでしょう。
―― 上の手で 1 をパスするのは間違いで,2 をビッドすべきです。
でも,どう場合にパス (ペナルティー・パス) してよいか … という問題ですね ?
―― ペナルティー・パスするためには,確かに ある程度の強さが必要です。
でも,その前に全体の状況を復習しましょう。
LHO の 1 は,オープンできる強さと 5+ 枚のスペードを保証します。
これに対して,パートナーのダブルは,やはり オープンできる強さと,短いスペードを保証します。
つまり,LHO は スペードを中心として強いカードを持っている。
それに対して,パートナーはスペード以外のスートに強さを持っている。
コントラクトが 1 だとして,パートナーの強いカードで有効にトリックを取るためには,その前に切り札が早く無くなってしまう必要があります。
―― そのためには,あなたのスペードがしっかりしていて 逆刈りできるような内容でなければいけません。
―― その前にもう一つ …。
あなたがペナルティー・パスすると,ダブルを掛けたパートナーは 必ず切り札から 打ち出します。
つまり,あなたの切り札が第 1 トリックからフィネスに掛かります。このフィネスに耐えられるような内容でないと,損をします。
「しっかりした内容」というのは,そういう意味でもあります。
これは下記の本に載っている例ですが,
K 10 6 5 4 2
という スカスカ の 6 枚で,ペナルティー・パスしてはいけないと書かれています。
ここでは 枚数 とか HCP の問題ではなくて 内容 が問題なのです。
同じ 3 HCP でも
Q J 10 9 7
のような 5 枚なら,逆にこちらから切り札を刈って追い出すことができます。
このようなしっかりした切り札を持っていて,しかも(オープンできる強さを持っているパートナーの手と組み合わせたときに)
確実にダウンできそうなときに,ペナルティー・パスします。
―― はい。
―― さきほどのビッド経過に戻りましょう。さっきのあなたは,ジャンプして 3 をビッドしましたが, ここでは,パートナーが 2 をビッドしました。
| ||||||||||
|
―― 一方,テイクアウト・ダブルしたあなたの手が 上限 16+ pts の場合,たとえば 右のようならば,パートナーが上限の 9 pts を持っていると,ゲームの可能性があります。 そこで 3 をビッドして, 問い合わせます。
―― はい。
16〜18 pts ではシングル・レイズ,19〜 pts ではダブル・レイズします。
・ 概 観. | … 76. |
・ レスポンダの競り合いかた. | … 77. |
・ ネガティブ・ダブル. | … 78‐82. |
・ ネガティブ・ダブル使用時のビッド一覧表. | … 82. |
・ テイクアウト・ダブルに対抗する. (リダブルと Jordan 2NT). | … 83‐84. |
―― 5 pts 以下の弱い手では,パスします。
これは,介入が無い場合と同じです。
6+ pts あって,何か はっきりビッドできる場合については,
「オーバーコール」と「ダブル」に 場合を分けて,以下に説明します。
問題は ビッドできる ぎりぎりの場合です。
| |||||||
|
―― 右オポは,あなたのその 2を邪魔しようと,2をビッドしました。
―― スペードのサポートと 10 pts を示す機会は,今しかありません。
ここでは 3 をビッドします。
―― 仕方ありません。
オーバーコールが入ると,そこまで木目細かくビッドすることは できません。
| |||||||
|
―― 2 の代でハートをビッドするには,10 pts と 5 枚のハートが必要です。
また 5 枚のダイヤモンドで 2 をビッドするには,10 pts が必要です。
今は 9 pts しか無いので,どちらもできません。
オーバーコールが無ければ 1NT をビッドするところですが,それもできません。
結局,標準のビッドでは パスするしかありません。
ところが,ネガティブ・ダブル (Negative Double,NegX,"ネガダブ") というコンベンションを使っていると,
ここで ダブル を掛けます。
Pard | RHO | あなた | LHO |
1 | 2 | X |
―― オープナーは,あなたが (ありえないことですが) 1を
ビッドしたと想定して,自分のビッドを考えます。
たとえば が 4 枚あって下限の手ならば 2 をビッドします。
ネガティブ・ダブルのおかげで の 4‐4 フィットが見つかって,大成功でした。
―― はい。
でも,テイクアウト・ダブルを理解していれば 難しくありません。
「オープナーに対して レスポンダが テイクアウト・ダブルを掛けている」
と思えばよいのです。
―― 大まかな目安として …
1 の 代では 6 pts
2 の 代では 8 pts
3 の 代では 10 pts
といったところでしょうか。上限はありません。
したがって,かなり強い手でも ダブルすることがあります。
――「オーバーコールの代」ではなく,オープナーの次のビッドの代です。
あなたのダブルが そのままオープナーまで流れていったとき,オープナーは を
4+ 枚持っていれば 2をビッドする … つまり,あなたのネガティブ・ダブルは,オープナーに「 2 の代」でビッドすることを 要求しています。
―― オープナーに 3 の代のビッドを要求するネガティブ・ダブルですね。
ネガティブ・ダブルは フォーシング なので,13 pts のオープナーも何かビッドします。
それでも 3 の代のスート・コントラクト (または 2NT) ができるため
には,合計で 23 pts くらい必要です (ルール・オブ 23)。
したがって,あなたが 10+ pts を持っている必要があります。
―― はい,4 枚必要なのは,メジャースートだけです。
| |||||||
|
―― はい,サポートできます。
でも 直ちに をサポートせずに,
ネガティブ・ダブルを掛けて, が 4 枚あることを伝えます。
オーバーコールが無い場合を考えれば,分かるでしょう。
もしもオーバーコールが無ければ,
あなたはここで 1 をビッドするはずです[復習]。
その 1 の
代りに,ここで ダブルをコールします。
―― オープナーは,
(a) を 4 枚持っていれば をビッドします。
(b) が 3 枚以下で, が 4 枚あれば 2 をビッドするので,そのとき,
あなたが 2 をビッドして に戻します。
|
|
|
|
ネガティブ・ダブルを使うので,分かりにくい経過になりますが,
| |||||||
|
―― 普通のネガティブ・ダブルは 6 pts からですが,こんなに高い代では 具体的に考える必要があります。
上の場合,パートナーに対して 4 の代で マイナースートをビッドするように要求しているので 合計 26 pts 必要です。
オープナーが下限 (13 pts) だとして,あなたもオープンできる強さが必要です。
―― その問題がありますね。どの代までにするかを,パートナーと取り決めておく必要があります。 初めて使うなら,2 くらいまで。
―― はい。そうです。
ネガティブ・ダブルを使っていると,プリエンプトのオーバーコールに対しても,
ネガティブ・ダブルが有効なことがだんだん分かってきます。
そうしたら オーバーコールが 4の
ときまでネガティブ・ダブルを使うのがよいでしょう。
| |||||||
|
―― あなたの位置 (オーバーコールの直後位置) で この手を持っていれば,
残念ですが パスするしかありません。
でも,ペナルティーのダブルが消えたわけではありません。バランシング位置にいるパートナーが
リオープンのダブル を使います。
したがって,あなたは 安心してパスできます。
―― ネガティブ・ダブルの説明は これだけでは不充分なので,「ビッド練習」の中の説明もお読み下さい。
北ブリッジ倶楽部ホームページの初級室
A 級コンベンションもお勧めします。
強さ | ビッド経過 | 条件 |
6+ | 1‐1‐1 | 4+ 枚, 3 枚以下. |
6+ | 1‐1‐X | 両方とも 4+ 枚. |
6+ | 1‐1‐X | 4 枚. |
6+ | 1‐1‐1 | 5+ 枚. |
8+ | 1‐1‐X | 4+ 枚. 10+ pts も 4 枚ならば ダブル. |
10+ | 1‐1‐2 | 5+ 枚. |
8+ | 1‐2‐X | 4+ 枚. |
8+ | 1‐2‐X | の どちらかが 4+ 枚.
弱い手では のサポートが必要. |
10+ | 1‐2‐X | 両方とも 4+ 枚. |
8+ | 1‐1‐X | 両方とも 4+ 枚. |
| |||||||
|
―― [1] ここでは 3 をビッドします。
もしもオーバーコールが無ければ,2 を
ビッドするところです。
でも 今はダブルが掛かったので のサポートを はっきり示して,
競り合うことが大切です。
K J 10 |
Q 2 |
A 10 9 7 4 |
J 8 7 |
( 11 HCP ) |
|
|
―― はい。その通りです。
で …,それを防ぐためのコンベンションとして
[3] 2NT
というコールがあります。これが,この場合には リミット・レイズの代用として使われます。
Pard | RHO | あなた | LHO |
1 | X | 2NT |
・ 概 観 | … 85. |
・ 2♣ オープン | … 86‐94. |
・ オープンの基準 | … 86. |
・ レスポンダの答えかた | … 87‐88. |
・ その後の進行 | … 89‐92. |
・ 2♣ オープンへの介入. | … 93‐94. |
・ ストロング 2 オープン | … 95. |
なお,アーティフィシャル 2 を使わない場合には,2, 2, 2, 2 を
21 pts くらいからオープンするのが普通であり,ストロング 2 と呼ばれています。
ストロング 2 については,次項で説明します。
―― この条件は,バランス・ハンド と それ以外のハンドで異なります。
(A) バランス・ハンドの場合には,22+ HCP です。
(22 という数字は,暗記ではなく 例の「点数幅」を使って思い出します。)
(B) バランス・ハンド以外では,22+ pts (人によっては 23+ pts) 。
切り札の枚数により細かく数えるやり方もありますが,自分で実際に使いやすいように,適当に基準を設定して下さい。
なお,この基準に達していなくても,確実に 9 トリック取れて 17+ HCP ならば,2 オープンして構いません。2 というビッドは
「わたし一人で 9 トリック取ります」
という宣言のようなものですから …。
ただし,この後の説明から分かるように,マイナースート (とくに ) の場合には,10 トリック取れることが必要です。
つまり,細かいことを無視して大まかに言うと
「ゲームに あと 1 トリック」
… という状況で使うのが 2 オープンです。
2 オープンでは レスポンダのビッドが重要ですが,
上のことを逆に表現すると,レスポンダは どんなに弱い手であっても ビッドのやり取りの中で
「自分のこの手なら 1 トリックだけ オープナーを助けてあげられる」
と思えば,ゲームをビッドします。
―― 非常に多くの場合,レスポンダは 2をビッドします。
バランス・ハンドとそれ以外に分けて説明しましょう。
North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス |
2NT |
レスポンダが 2をビッドするとして話を進めると,オークションが右のように進みます (もしも 25+ HCP あれば,2NT ではなしに 3NT をビッドします)。
この後は,普通の 2NT オープンと同じです。
オープニング・ビッドが なので ちょっとヘンな気がしますが,ステイマン ( 3) も普通に使えます。
ジャコビ・トランスファ( 3,3) も,ガーバー( 4) も,定量 4NT も使えます。
場 合 | レスポンダのビッド | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
(1) | 0 ‐7 pts | ⇒ | 2 | |||
(2) | 8+ pts | ⇒ | 下記の場合を除き, すべて
待機ビッド (Waiting bid) 2 | |||
(3) | 8+ pts しっかりした バランス・ハンド. | ⇒ | 2NT | |||
(4) | 8+ pts 非常に良いスートあり. | ⇒ | それをビッド, 2,2,3,3 | |||
|
―― たしかに,そんなことは滅多にありません。
でも,これは とても大切な条件なのです。なぜかというと …。
レスポンダが 8 pts 持っていれば,合計 30+ pts なので,スラムの可能性が高い。そこで,ビッドの代をなるべく低く押さえて,互いに
何度もビッドする必要があります。
[1] | North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス | |
3 | パス | ? |
[2] | North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス | |
2 | パス | 2 | パス | |
? |
平たく言うと,[2] …
2 あっ,すごい手だ。
2 そう,どんな手か切り札だけでも教えて …。
2 切り札は 。ほかにも言いたいことあるけど,そちらは ?
2 こちらの も まぁまぁですよ。
というような会話が,本来なのです。
この順序が逆になると,[1] …
2 あっ,すごい手だ。
2 そうかも知れないけれど,わたしの も まぁまぁですよ。
3 本命は なんだけど …。
―― はい。その次の (2 回目の) ビッドが,ポイントです。
レスポンダは,0−3 pts のごく弱い手の場合には,「2 度目の否定」(セカンド・ネガティブ) というビッドをします。
これをきちんと覚えることが大切です。
ここまで できなければ,
ストロング 2 は 使いものになりません。
「2 度目の否定」とは,
3,3,3NT
の中の可能な一番低いビッドです。
英語では,"Cheaper Minor" と呼びます。
まちがいが無いように,オープナーのビッドが,2, 2, 3, 3 の 4 通り全部の場合について,セカンド・ネガティブのビッドを書いておきます。
◇ オープナーの本命ビッドが 2 の場合の セカンド・ネガティブ:
North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス |
2 | パス | 3 |
◇ オープナーの本命ビッドが 2 の場合の セカンド・ネガティブ:
North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス |
2 | パス | 3 |
◇ オープナーの本命ビッドが 3 の場合の セカンド・ネガティブ:
North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス |
3 | パス | 3 |
North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス |
3 | パス | 3NT |
ときどきうっかりすることがあるのですが,4+ pts の場合には,自分のビッドがセカンド・ネガティブにならないように 注意が必要です。
―― はい。その通りです。
レスポンダが 0 点のとき,ビッドの代は,最低でも,
上に "フォーシング" と書いた代まで するするっと自動的に上がります。
いまの 2 のシステムでは, これを避けようがありません。
ですから,マイナースートを切り札として 2 オープンを
する場合には,1 の代のオープンとよく比較して判断する必要があります。
―― 2オープンが まともならば,たいていの場合,ゲームがあります。ですから,2 は ほとんどゲーム・フォーシングです。 でも,上の説明から分かるように,レスポンダが ほんとの 0 点の場合には, その前で止まります。
North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス |
2 | パス | 3 | パス |
3 | パス | ? |
―― だんだん話がこまかくなってきますね。
8 pts 以上の場合には,スラムを狙って何かのスートをビッドできます。
―― 4〜7 pts の場合が,ややこしい。
この場合に,点数だけで考えるのはいけません。状況を踏まえる …。
North | East | South | West |
2 | パス | 2 | パス |
2 | パス | ? |
| ||||||||||
| ||||||||||
|
[4] | 9 5 |
K 8 7 4 | |
J 9 2 | |
Q 10 4 3 | |
( 6 HCP ) |
| |||||||||||||||||||
|
―― はい。私は,いまのところ そんなふうに整理しています。
でも,2 の後はむずかしいですね。
―― はい。 と に 5 枚ずつを保証します。
レスポンダの 2 を邪魔する効果があります。
―― 普通とは 逆の考え方をします。
とにかく,2 をオープンした側に ゲームがあるのは当たり前です。
でも,ひょっとして,スラムがあるかも知れない。自分の手が弱いときには,とくにそう思います。
ですから,弱い手では積極的にオーバーコールして,
スラムを見つけにくくします。2 のビッドを妨げたり,オープナーの本命ビッドを 3 の代に吊り上げます。
こちらがある程度の手ならば (たとえば,オープンできるくらいの手ならば),向こうにスラムは無いので 黙っています。
つまり,普通にプリエンプト (ジャンプ・オーバーコール) するような場合が, とくに有効です。
テイクアウト・ダブルは,ビッドの余地を奪わないので,全く意味がありません。
| ||||||||||||||
|
―― はい。この手だけを見ていると,相手側に 4 が ほとんど確実に ありそうで,ひょっとすると 6 もありえます。
4 を阻止することは無理でも,6 をなんとか邪魔しようとしたのです。
A Q 4 |
J 8 5 3 |
— |
A 9 7 6 4 3 |
( 11 HCP ) |
結局,コントラクトは 3X となって,これが 1 ダウン。
こちらが バル だったので,−200 点でした。
全部の手を開いて見ると,オープナーの は ボイド で,4(+420点) も 5(+400点) も ありました。しかし 2 というビッドは 必ずしもゲーム 4 まで保証しませんし,オープナーの
本命スートが不明のままで,右オポさんも判断が難しかったようです。
結局,私のパートナーの判断の勝ちでした。
―― 入門用のブリッジの本には,ストロング 2 の説明をしているものが全く無いようです。
そのためなのか,実際にプレイすると,"ストロング" の基準が人によってまちまちで,私も困っています。
インターネットでは,Karen Walker さんのホームページに
Opening 2-bids (strong) という項目があります。ハンド例も載っています。
―― 切り札は良い 5 枚 (できれば 6 枚) が必要であり,
強さは 21+ pts,または
では,8½ 〜9 トリックを保証します.
では,9½ 〜10 トリックを保証します.
つまり,アーティフィシャル 2 とほぼ同等の強さです。
―― 6 pts 以下で,切り札に A も K も無ければ,2NT をビッドします。
アーティフィシャル 2 オープンの場合には,2NT はノートランプ向きで
8+ pts を意味します。
2NT の意味が全然違うので,注意して下さい。
―― Karen Walker さんによると,1NT を 15〜17 HCP で オープンする場合, 20〜22 HCP で 2NT オープンします。
―― はい。もちろん いいですよ。
チャットで はっきり「ストロング 2」と言うのがよいでしょう。
・ プリエンプトの意味. | … 96. |
・ ルールオブ 2 アンド 3. | … 97‐98. |
・ プリエンプトの例と反例. | … 99‐102. |
・ プリエンプトに答える. | … 103‐105. |
・ ウィーク 2. | … 106‐108. |
・ ウィーク 2 に答える. | … 109‐110. |
・ フィーチャーとオガスト. | … 111‐113. |
―― もともとは,先に (pre) 買う (empt) という意味で,誰かが必要とする物を 先回りして買い占めて,値段を吊り上げることです。
ブリッジのビッドの場合は,相手側にゲームやスラムがありそうなとき,ダウン覚悟で先に無理なビッドを仕掛けて
相手を締め出すのが,プリエンプトです。
日本語で言えは,「先着ビッド」あるいは「先買いビッド」でしょうか。
シャットアウト・ビッド (Shutout Bid, 締め出しビッド) とも呼びます。
でも その本題に入る前に,ルールオブ 2 & 3 を知っておく必要があります。
―― 相手側に ほとんど確実にゲームがありそうなとき,こちらが無理なビッドをすることがあります。
そのとき,もちろん ダブルが掛かります。
このダブルを覚悟の上で,どの程度まで 無理な ビッドが許されるかを教えるのが このルールです。
―― 許される 無理 の度合いは,双方のバルネラビリティーに依存します。
―― デュプリケート・ブリッジの得点表を使って計算した結果がこうなります。
たとえば,味方がノン・バルの場合について 失点の表を作ると,
味方 | 失点 | 相手方 |
1 ダウン | −100 | |
2 ダウン | −300 | |
−420 | 4 メイク (ノン・バル) | |
3 ダウン | −500 | |
−620 | 4 メイク (バル) | |
4 ダウン | −800 | |
5 ダウン | −1100 |
味方 | 失点 | 相手方 |
1 ダウン | −200 | |
−420 | 4 メイク (ノン・バル) | |
2 ダウン | −500 | |
−620 | 4 メイク (バル) | |
3 ダウン | −800 | |
4 ダウン | −1100 | |
5 ダウン | −1400 |
―― 少なくとも,ブリッジを始める人にとって,バルネラビリティーまで考慮に入れてビッドするのは 大変なので,ノン・バルだとしてビッドするのがよいと思います。したがって,3 ダウンまで「無理」をしても よいでしょう。
―― はい。具体例を見ながら プリエンプトの説明しましょう。
[a] | 4 |
9 8 7 | |
A Q J 7 6 3 2 | |
8 4 | |
( 7 HCP ) |
―― はい。一般に,プリエンプトの代は
6 枚の良いスート ⇒ 2 の代,
7 枚の良いスート ⇒ 3 の代,
8 枚の良いスート ⇒ 4 の代
です。これは,「プリエンプトの公式」です。
―― ここでは,あくまで「良いスート」が前提です。
上の ハンド [a] のように,切り札の負けが K だけと想定できる場合には,
切り札で 6 トリック取れます。
ノンバルで 3 ダウンまで許容すれば,他の札が全部負けるとしても, 6 + 3 = 9 トリック,
すなわち,3 の代で プリエンプトできます。
[b] | Q J 6 |
K 9 8 6 5 4 2 | |
K 9 | |
6 | |
( 9 HCP ) |
[c] | A K Q 10 7 5 3 |
5 3 2 | |
6 | |
10 7 | |
( 9 HCP ) |
―― 自然な気持ちとしては,そうかも知れません。
しかし,よく考えて下さい。
3 プリエンプトは 3 ダウンを覚悟のビッドです。
6〜7 トリック取れるこの手で,そんな覚悟が必要ですか ?
例をいくつかご覧戴いたので プリエンプトの補足説明に入りましょう。
――「良い」という言葉の中身ですが,標準的には,
A,K,Q のうちの 2 枚を持っている.
あるいは,
A,K,Q,J,10 のうちの 3 枚を持っている.
ことです。しかし 実際には これから外れていても プリエンプトします。
とくに近年は,競り合いの激化に伴い,「良い」の基準が格下げされてきました。その場合,スートの木目 (きめ,肌理,Texture) が問題になります。
―― 次の 2 つの 7 枚スートを比べてみましょう。
[1] K 10 8 7 6 4 2
[2] Q J 10 8 4 3 2
―― これ以上の説明は不要でしょうが,プリエンプトするには HCP より 木目の細かさが重視されます。
―― 上の木目細かい [2] では,切り札で AK に 2 つ負けます。
他の札が全部負けるとしても 5 トリック取れます。
この 5 トリックは確かな数字です。
したがって [2] を持っている人は,3 ダウン覚悟なら 5 + 3 = 8 すなわち,2 を
ビッドできる。
けれども,スカスカの [1] では こういう計算ができません。パートナーにエントリも無い最悪条件下では,
自分から切り札を打って,切り札でいくつも負けます。結局,この [1] では 相手方の A, Q, J に負けて 4 トリックしか計算できません。
―― その通りです。
いくら疑心暗鬼で先買いに走っても,ボロ負けしたのでは 意味がありません。
でも,ブリッジ用語として そういう俗な言い方は できないので,上品な木目細かい表現を使います。
―― ルール オブ 2 & 3 に合わせて考えます。
味方がノンバルの場合,あなたのパートナーは,3 を良い 7 枚の でビッドしています。 で 1 トリックは負けるとして,残りの 6 トリックを取れば 3 ダウンになります。
―― SAYC では,5〜11 HCP となっています。
[1] この上限近くでは,1 の代でオープンできることがあるので,
ルールオブ 20 に立ち戻って判断する必要があります。
[2] それ以外の場合には,HCP は判断の基準になりません。
はじめのうちは,何でも点数に頼って判断するので,そういう質問が出るのは自然です。
けれども,プリエンプトのビッドが飛び出すようなボードでは,誰の手も偏っています。
そういう場合には,切り札スート以外に パラパラ 浮いている Q や J は 殆んど 役に立ちません。
ですから,ポイント・カウント法は
役に立ちません。
「ブリッジ」のほかに 「スペード」をご存じならば,とてもよくお分かりいただける筈です。
7 枚スートで 3 の代のプリエンプトの場合,勝つ札を数えましょう。
サイド・スートの A, K が 合計 6 トリック;切り札の勝負が 7 トリック;
合わせて 13 です。サイド・スートの Q, J が勝つ余地はありません。
つまり,サイド・スートの Q, J の HCP を数えることは 無意味です。
―― 取れるトリック数を,具体的に数えます。
3 の場合だったら,
パートナーがダウン覚悟の 3 トリックに 1 トリックを上積みできれば 4 をビッドします。
つまり,あなたのカードが 4 トリックを生み出せると判断すれば,4 に
上げます。
―― 特別の数え方があるわけでは ありません。
切り札 () とそれ以外のスートを分けて考えます。
: あなたが A,K,Q のうちのどれかのカードを持っていれば,パートナーが負ける予定の
1 トリックを埋め合わせることができます。
以外のスート: 上にも説明したように,単独の Q や J には価値がありません。そこで,たとえば,
A K Q … 3 トリック
A Q … 1.5 トリック
A Q J … 2 トリック
K x … 0.5 トリック
Q x x … 0 トリック
などのように数えて,合計します。要するに,原始的な数え方です。
もちろん,負け札を数えることも必要です。
|
|
|
|
|
|
|
|
―― はい。1 回フォーシングです。
ただし,そういう返事を返すことは,ほとんどありません。
この上に説明したように,パートナーの長いスートを
切り札にして何トリック取れるかを考えます。
そうでないと,パートナーの長いスートが全くの無駄になってしまうからです。
とは言え,非常に強い手の場合には,新しいスートをビッドすることもありえます。
「レスポンダが新しいスートをビッドするのはフォーシング」
という約束は,ここでも成り立ちます。正確に言うと
「ゲーム未満の代で 新しいスートを返すのは フォーシング」です。
あなた | LHO | Pard | RHO |
3 | パス | 3 | パス |
? |
―― 全体の状況をよく理解する必要があります。
あなたの 3 は,3 ダウンを覚悟のプリエンプト。それに対して,パートナーの 3 も同じく 3 ダウンを覚悟のプリエンプト … というのは,全く意味がありません。
パートナーの 3 は,非常に良い手で 4 を狙っているのです。
ですから,あなたに のサポートが 3 枚あるとか,あるいは 2 枚でも Qx くらいなら,4 を
返します。
―― その場合には,4 をビッドします。この 4 は
「さっきの 3 以上に,お知らせすることは何もありません」
という意味です。あとは,パートナーが判断してくれるはずです。
―― 5〜10 HCP で 6 枚の良いスートを持っているとき,2, 2, 2 で プリエンプト・オープンすることを,ウィーク 2 と言います。
ウィーク 2 に対する取り決めは,上の [A] が多いですが,
[B] レスポンダが新しいスートをビッドするのは ノン・フォーシング.
という取り決めも,初心者には有力です。
ちなみに 「25 のコンベンション」は,[A] を採用しています。
3 以上の代のプリエンプトとその答え方は,ここで終わりです。
以下,2 の代のプリエンプト (ウィーク 2) へ話が続きます。
なお,強い手を持つディフェンス側がプリエンプトに対抗する手段は,続編で説明します。
―― はい。
ウィーク 2 は プリエンプトのビッドで,上の説明に含まれていますが,でも
プリエンプトの中では一番よく現れるビッドなので,ここで 別に取り分けて 説明しましょう。
2, 2, 2 で オープン (またはジャンプ・オーバーコール) するのが,
ウィーク 2 です。
ウィーク 2 (あるいは,2 の代のジャンプ・オーバーコール) の条件の基本は
―― はい。これを はみ出してビッドすることもありますが,でも 原則を理解しておくことは大切です。
[a] | 3 2 |
K Q J 8 4 3 | |
A J 5 | |
7 4 | |
( 11 HCP ) |
[b] | 3 2 |
8 4 | |
J 7 5 | |
K Q J 8 4 3 | |
( 7 HCP ) |
―― うーん。2 オープンしたいところですが,それはダメ。 2 オープンは,非常に強い手を示すことになっていますから … 。
仕方がないので,この手では 3 オープン
します。
このように,3 オープンは 7 枚よりも 6 枚のことが多いので,レスポンダは注意する
必要があります。
[c] | 9 8 5 4 3 2 |
6 2 | |
K J | |
10 7 6 | |
( 4 HCP ) |
―― ボロの 6 枚ですね。たしかに, を切り札にすれば,3 トリックは取れるかも知れない …。
プリエンプト・オープンには,いくつかの目的があります。
その一つは,もちろん,「相手側への妨害」です。
でも,そのほかに,パートナーに オープニング・リードの情報を伝えるという目的もあります。
この手で 2 オープンして左オポがディクレアラーになった場合,
パートナーは,間違いなく を打ち出してくるでしょう。
「しっかりしたスート」が必要なのは,そのためでもあります。
このハンド [c] では,パスします。
―― もしも 4 枚のメジャースートがあって,パートナーも同じスートに 4 枚を持っていると,それを切り札にした場合,あなたの 6 枚のサイド・スートがトリックを
取る大きな助けになります。
こういう場合に あなたが ウィーク 2 オープンしてしまうと,ゲームを取り損ねる可能性があります。
ですから,4 枚のメジャースートがあるときには,ウィーク 2 オープンしない方が良いのです。
ただし,パートナーが既にパスした場合 (あなたが三番手の場合) には,この条件を無視して構いません。
―― そう言う人もいますね。これについては,私が計算した確率の数字をここに挙げておきます。
結果は,その表を見れば分かるように
自分が 4 枚のスートを持っているとき,
パートナーが同じスートに 4 枚以上を持つ確率 = 33.7 %
自分が 3 枚のスートを持っているとき,
パートナーが同じスートに 5 枚以上を持つ確率 = 18.1 %
です。上の方は 3 回に 1 回 の割合で起こり,下の方は 5.5 回に 1 回 の割合で起こります。
ここから先は 自分で判断するしかありませんが,3 枚の場合にまで神経を使うのは,却って損だと私は思います。
それから 念のために書き添えておくと,上の確率の数値は,自分が他のスートに 6 枚持っているかどうかとは 無関係です。
[d] | K Q 9 7 6 2 |
9 7 3 | |
Q 10 8 4 | |
― | |
( 7 HCP ) |
―― ひとりに 6 枚のスートが配られる確率は,きちんと計算すると,16.5% あります。
ほぼ 6 回に 1 回の割合です。
ちなみに,その次が 4 枚で 35.1%,5 枚が 44.3% で一番多い。
―― レスポンダのビッドは,次の 4 種類です。
―― 非常に多くの場合,(1) パス,または (2) 上げる を選びます。
―― たとえば,ウィーク 2 オープンから パートナーの持っているカードを想像しましょう。
パートナーは に良い 6 枚のカードを持っている。それ以外は貧弱です。
なので,なるべくパートナーの長い を活かそうと考える …。
ここが 大切です。 を
切り札にして何トリック取れるかを数えます。
この数え方はさっき説明しましたね。そして,取れるトリック数に応じた代で を
ビッドします (あるいは,パスします) 。これが基本です。
慣れないうちは,パートナーの手を想像できないために,自分の手たけで
ビッドを考えがちですが,この基本を大切にして下さい。
| ||||||||||
|
[b] | K 9 3 2 |
8 | |
K 10 7 4 | |
A Q 6 2 | |
( 12 HCP ) |
―― 上に説明したように考えて,合計 9 トリック取れそうなら (自分の手で 4 トリック補えると思えば), 3 をビッドします。
しかし 多くの場合,それよりも弱い手で 3 をビッドします。
[c] | 10 7 4 3 |
K 9 4 | |
6 4 | |
A Q 6 2 | |
( 9 HCP ) |
―― たとえば こんな手です。
ここで 3をビッドしてもダウンすることは明らかです。
でも 味方に切り札が 9 枚あることが分かっているので,それを頼りに (ほとんど それだけを頼りに) 3 をビッドします。
相手側の方が ずっと良い手を持っている筈なので,それを牽制します。
このように 9 枚の切り札で 3 の代をビッドするのは,「合計トリック数の法則(LoTT) 」に基づきます。
―― はい,それはとても重要です。一般に
プリエンプターは,2 度鳴かない
とか
RONF (Raise is the Only Non-Forcing bid.)
と言います。
ですから,プリエンプト (オープンでもオーバーコールでも) をするときには,目いっぱいの代で 思い切って ビッドします。
そして その後は,ず〜っと黙っています。必要な情報を 最初にパートナーに伝えたので,あとは パートナーに判断してもらいます。
オープナー | RHO | あなた | LHO |
2 | パス | 2NT |
―― 点数よりも 何トリック取れるかが ここでは特に重要ですが,でも目安としては 13 HCP くらいからです。
―― パートナーの手が一番良い場合を想定すると,10 HCP です。
これに 6 枚カードの LP 2 pts を加えると, 12 pts となります。
レスポンダのあなたが 13 pts を持っていると,合計で 25 pts …。
これなら ゲーム (3NT, 4) の可能性があります。
―― いいえ,そうではありません。13 pts は 必要条件です。
これくらいの強さがあれば,ゲームがあるかも知れないと考えてみる …。
もちろん,サイド・スートに Q とか J がパラパラ浮いている手では 意味が ありません。
あくまでも トリックを取れるかどうかが重要です。
―― この答えかたは,
(1) フィーチャー (feature-showing)
(2) オガスト (Ogust)
の 2 通りがあります。
どちらを使うかは,パートナーと あらかじめ取り決めておきます。
切り札の内容 | 3 枚あり | 2 枚あり | 1 枚あり |
A K Q のうち | |||
3NT | |||
8〜10 HCP | 3 | 3 | |
5〜7 HCP | 3 | 3 |
| ||||||||||
|
―― ブリッジの本が標準として採用しているのは,フィーチャーです。
これには 次のような理由がある。
ウィーク 2 の基本として,切り札の内容が良いことが必要です。
具体的には,前に書いたように
A K Q のうちの 2 枚
あるいは
A K Q J 10 のうちの 3 枚
という基準です。
この基準を守っている限り,フィーチャーを使うのが分かりやすい。
オープナーのカードについて 具体的な情報が得られるので,レスポンダは判断しやすい。
ところが 実戦では,本に載っているハンドばかりが出てくるわけではありません。そこで 実際には,この基準を満たさない切り札でも,ウィーク 2 をビッドすることがある。
その結果,本来は必要ないはずの「切り札の質を
問い合わせる」必要が生じます。この必要に応えるのが オガストです。
―― これは,レスポンダがほんとに良い手を持っている場合です。
自分のスートでゲームが狙えるような場合です。
3NT を狙っていることもあります。
―― はい。レスポンダがジャンプしてゲームをビッドした場合にはパスしますが,ゲームに達しない代で新しいスートを ビッドした場合には,1 回フォーシングです。ウィーク 2 オープナーは 何かビッドしなければいけません。
―― レスポンダのスートを 3 枚 (あるいは Qx の 2 枚) 持っていれば,サポートします。
サポートできない場合には,フィーチャーの答え方をします。
・ スラムに必要な手の強さ. | … 114‐115. |
・ ブラックウッド (Blackwood). | … 116‐117. |
・ ボイドがある手での答えかた. | … 117‐118. |
・ 5NT で止まるには …. | … 119. |
・ ブラックウッドの間違った使いかた. | … 120‐121. |
・ ブラックウッドだけでは足りない. | … 122‐123. |
・ 定量 4NT (ノートランプでのスラム). | … 124‐126. |
・ ガーバー (Gerber). | … 127. |
・ ガーバーの間違った使いかた. | … 128‐129. |
・ 4NT の意味が不明な場合. | … 130. |
・ ステイマンに続くスラム・トライ. | … 130‐132. |
―― 始めのうちは,スラムを考えずに,ビッドの考え方に慣れることをお勧めします。 ゲームがあるハンドだったら,確実にゲームをビッドできるようになる … これが,最初の重要な目標です。スラムは, それができるようになった後で考えましょう。
―― 大まかな目安として,
スモール・スラム (12 トリックを取る) には,33 pts
グランド・スラム (13 トリック全部を取る) には,37 pts
が必要だと言われています。
―― HCP に 長さ点 (LP) または ダミー点 (DP) を 加えた数字です。
―― はい,できます。
スラムについて BridgeGame25 により得られたグラフを示しましょう。
経験値として広く知られている 33 pts より 1 pt だけ少ない 32 pts で
スモール・スラムの成功確率が 65〜70% に達します。
この数字 32 pts は 6NT と 6 スートに ほぼ共通です。
―― いいえ,そうではありません。
二人合わせてこれだけの強さでも,スラムができないこともあります。
その反対に,これより弱い手でも スラムができることがあります。
とくに,スート・コントラクトでは,
切り札でラフすることによりトリックを取れるので,合計 30 pts くらいでスモール・スラムができることも 珍しく
ありません。大まかな目安の数字とお考えください。
―― はい。それでよいのですが,スート・コントラクトでは,確認のために (念のために) ブラックウッド というコンベンションを使います。
―― Ace が 2 枚抜けていると,スラムがダウンします。そこで,Ace が 3 枚揃っていることを確認する 必要があります。そのために使うのが ブラックウッドです。
―― あなたは こんな手を持っている …
| ||||||||
|
―― A の枚数に従って,次のように答えます。
5 … A が 0 枚,または 4 枚のとき
5 … A が 1 枚のとき
5 … A が 2 枚のとき
5 … A が 3 枚のとき
―― はい。その通りです。
この例のように,手の強さが十分あることが分かっていて,
その上でエースの枚数を
念のために確かめる …。
これが,ブラックウッドの基本です。
―― その場合には,さらに続けて 5NT をビッドします。
これに対して,パートナーは,K の枚数に 従って
6 … K が 0 枚のとき
6 … K が 1 枚のとき
6 … K が 2 枚のとき
6 … K が 3 枚のとき
6NT … K が 4 枚のとき
と答えます。
念のために付け加えると,この 5NT をビッドするときには,切り札が 4 枚そろっていることが前提です。
切り札が欠けているのに,欲張って 5NT をビッドしてはいけません。グランド・スラムの有無を探るのが,ブラックウッド 5NT の
目的です。
―― それは 危険です。先ほどのあなたの手に対して
パートナーがこんな手を持っているとしましょう。
|
|
―― 次のように約束します。
(1) A 1 枚とボイドがある手:
ボイドのスートを 6 の代でビッドします。
ただし,6 の代が 切り札のスモール・スラムを越えるときには,スモール・スラムをビッドします。
LHO | Pard | RHO | あなた |
パス | 1 | パス | 4NT |
パス | 6 |
―― その場合には,二人の手は最高です。グランド・スラムが確実です。
7をビッドしましょう。
―― (2) A 2 枚とボイドがある手では, 5NT をビッドします。
―― そういう場合には,ボイドを伝えることに大して意味がありません。
普通に 5 とか 5 をビッドします。
| |||||||||||||||
|
Pard | LHO | あなた | RHO |
1 | パス | 2 | パス |
3 | パス | 4NT | パス |
5 | パス | 5 | パス |
5NT | パス | パス |
あなた | LHO | Pard | RHO |
1 | パス | 2 | パス |
3 |
―― ブラックウッドは A の枚数を尋ねる人工的なビッドです。使い方は単純で分かりやすいので,非常によく使われています。
でも,
「点数ありそうだから,とにかくまずブラックウッド。
あとは,パートナーの返事を待って考えよう」
というようなのも,結構見かけます。しかし,これは ブラックウッドの間違った使い方です。
ブラックウッドについては,
山田和彦さんの講座に丁寧な説明があります。ぜひお読み下さい。
―― はい。あります。
次の場合には,ブラックウッドすべきではありません。
(1) 切り札が確定していない。
(2) 二人合わせて 12 トリック取れるだけの強さを持っていることが確認できていない。
(3) ボイドを持っている人が,ブラックウッドを使ってはいけない。
(4) すぐに負ける 2 枚の札を持っている人が,ブラックウッドを使ってはいけない。
―― ここに書いてあるのは,「12 トリック取るだけの 強さ が必要」という意味です。
たとえば,スモール・スラムの成否が Q のフィネスに懸かっているとしましょう。
つまり,
Q のフィネスが 利けばメイク,利かなければ ダウン.
という状況です。
―― その場合には,スラムをビッドすべきなのです。
―― はい。一般に そう考えられています。
話をもとに戻すと,(2) で言っているのは,
そのフィネスが利いたのにダウンした.
という場合には,本来 ブラックウッドすべきでない,ということです。
―― はい,そうでした。
―― はい。あります。
でも,どういうビッドの仕方があるかと言う前に,コントロールという概念を知っておくとよいでしょう。
―― スートのコントラクトでスラムを達成するには,もちろん,切り札が強いことが必要です。
でも そのほかに サイド・スート (切り札以外のスート) でも負けられません。
ブラックウッドを使って A の枚数を確認するのは,そのためです。
A を持っていれば そのスートで (逆にラフされる場合を除いて) 必ず勝てる。
そういう意味で,
[1] A は,第 1 コントロール
と言います。もちろん,A の代りにボイドも有効なので
[2] ボイドは,第 1 コントロール
です。また スモール・スラムの場合には,1 トリック負けてもよいので,第 2 コントロールも意味を持ちます。
すなわち
[3] K は,第 2 コントロール
[4] シングルトンは,第 2 コントロール
です。
―― ノートランプのコントラクトで,たとえば
Q J 10
を持っていれば, が止まる。この 3 枚は の確実なストッパです。
しかし スラムの場合には,この 3 枚は無力です。 で 2 回負けてしまいます。
したがって,スラムを考えるときには 上の 4 種類のコントロールだけが有効です。
―― ブラックウッド 4NT は A の枚数を尋ねます。
ここで調べているのは 上の 4 種類のコントロールの中の [1] だけです。
ブラックウッドを使った場合,A が 3 枚あれば スモール・スラムをビッドするでしょうが,
でも A の無いスートで 2 トリックを失う危険が残っています。
コントロールについて 詳しく調べることができれば,スラムを正確にビッドできるはずです。
また,有効なコントロールを揃えて持っていれば,少ない HCP でも
(33 pts 無くても) スラムを達成できます。
――「コントロールを示すビッド」(Control Showing Bids) というのを使います。
また 切り札がメジャースートの場合には,その前段階として 「スプリンター」と
「ジャコビ 2NT」 が有効です。これらのコンベンションについては 別に説明します。
この他に,4 枚の Ace に切り札の King を加えた 5 枚のカードの枚数を問い合わせる RKCB (Roman Key Card Blackwood) というコンベンションもあります。
北ブリッジ倶楽部ホームページ: A 級コンベンション,RKCB をごらん下さい。
―― ノートランプでのスラムは,オープニング・ビッドがノートランプのことが多いので,その場合に 話を限りましょう。
次の 4 つの場合に分類できます。
Pard | LHO | あなた | RHO | オープナーの HCP | |
(A) | 1NT | パス | ? | 15〜17 (3 点幅) |
Pard | LHO | あなた | RHO | ||
(B) | 1 | パス | 1 | パス | |
2NT | パス | ? | 18〜19 (2 点幅) |
Pard | LHO | あなた | RHO | ||
(C) | 2NT | パス | ? | 20〜21 (2 点幅) |
Pard | LHO | あなた | RHO | ||
(D) | 2 | パス | 2 | パス | |
2NT | パス | ? | 22 〜 |
―― その場合のビッドの仕方は簡単です。定量 4NT を使います。
ただし,その前提になるのは
6NT … 33 pts
7NT … 37 pts
という数字です。
レスポンダの強さ | 6NT の可能性 |
(a) 15 pts | なし |
(b) 16 pts | 不明 |
(c) 17 pts | 不明 |
(d) 18 pts | あり |
―― したがって,(b) と (c) の場合に,レスポンダは 4NT をビッドして 問い合せます。この 4NT を ブラックウッドと区別して 「定量 4NT」と呼びます。
オープナーの HCP | オープナーのビッド |
15 HCP | パス |
16 HCP | 5NT |
17 HCP | 6NT |
―― 覚える必要は 殆んど無いのです。
記憶する必要があるのは,33, 37 というマジック・ナンバー。
それに 15〜17 HCP. あとは,3 点幅,2 点幅,2 点幅。
それから後は,その場で考える。
―― はい。その場でその度に計算しています。
上に説明した考え方を理解して下さい。
理解すれば,ほとんど暗記の必要が 無いことが 分かるはずです。
―― この 4NT は ブラックウッドではありません。
定量 4NT (Quantitative 4NT) と呼ばれています。
点数の数値 (量) だけでスラムに行くか行かないかを判断しています。
言い換えると,定量 4NT は パートナーを
スモール・スラムに 誘う ビッドです。
―― スモール・スラムに必要な 33 というのが 微妙な数字です。
A が 2 枚欠けていると,33 HCP には 1 HCP だけ
足りません。
―― たしかにありえます。
もしも その 2 枚がディフェンダの手にあれば, 6NT は ダウンします。
その危険は確かにありますが,でも 6NT に絶対に必要なのは 手の強さです。もちろん,
手の強さと A の枚数を両方とも確認できれば言うことはありませんが,ノートランプのコントラクトで
その両方を確認することはむずかしい。そこで,おっしゃるような危険は小さいと考えて,あくまで定量で
スラムの判断を決めようというわけです。
―― いいえ。そうではありません。
それも よくある誤解です。
では,ガーバーへ話を進めましょう。
―― はい。
パートナーが 1NT または 2NT をビッドした直後に 4 をビッドするのが,
ガーバー (Gerber) コンベンションであり,A の枚数を尋ねます。
たとえば,
|
|
―― そこに誤解があるのです。
確かにパートナーがノートランプをビッドした直後に ガーバーを使います。
でも,その目的が違います。
ガーバーは ノートランプ以外のコントラクトを狙うときに使いまです。
―― それについては,すぐ下で説明しましょう。
とりあえず,ガーバーの説明を続けると …,
パートナーはこれに対して,次のように答えます。
4 … A が 0 枚,または 4 枚
4 … A が 1 枚
4 … A が 2 枚
4NT … A が 3 枚
さらに,A が 4 枚揃っていることが分かった場合には,これに続けて 5 をビッドして,
K の枚数を訊くこともできます。そのときには
5 … K が 0 枚
5 … K が 1 枚
5 … K が 2 枚
5NT … K が 3 枚
6 … K が 4 枚
を答えます。
―― それは 合理的な考え方です。
私も はじめの頃は 素直にそう信じていました。
ブリッジの本のガーバーの項にハンド例が無く 単に「A の枚数を尋ねる」とだけ書いてあるのを読むと,そう考えるのが自然です。
―― いいえ,パートナーと相談して,そういうふうに ガーバーを使うのは 問題ないと思います。
でも,そうすると 一つ損をすることがある …。
―― あなたが 18+ pts を持っていないと 6NT をビッドできませんね。
実際には,16〜17 pts でも その可能性があるのに。
―― もしも,無理して 16〜17 pts でガーバーを使うと,たとえ Ace 3 枚を確認できたとしても,
今度は手の強さが不足していて ( オープナーが 15 HCP の場合 ) ,ダウンするかも知れません。
ブラックウッドのところでも触れたように,スラムを作るための基本的な要件は,
二人合わせた手の強さです。これが無いことには,話になりません。
そういうわけで,現在のビッドの流儀では,ノートランプの場合,定量 4NT を使ってスラムを見つけることに なっています。
―― スモール・スラムを 33 pts ということにすれば,A が 2 枚抜けることは少ない。それよりも 手の強さを重視して考えます。
| ||||||||||||||
|
―― はい。ブラックウッドに比べて 出番は ずっ〜と少ないです。
―― はい。そう思います。
実際,ブラックウッドしか説明していない本もあります。
その方が 入門向きです。
ブラックウッドとガーバーを続けて説明すると,似たようなものと
誤解する恐れがあります。
まだ釈然としないようでしたら,下のリンク先をごらん下さい。
英語ですが,ガーバーを使うハンド・ビッド例が 目の前に 3 つ 現れます。
―― そういう場合に,「定量」と解釈してパスするのは 損をする危険が大きい。 判断がつかない 場合には,「ブラックウッド」と解釈して A の枚数を答えるのが良いでしょう。
N | E | S | W |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | 4NT |
N | E | S | W |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | 4NT |
N | E | S | W |
1NT | パス | (2) | パス |
(2) | パス | 4NT | パス |
? |
オープナーの HCP | オープナーのビッド | |
2〜3 枚 | 4 枚 | |
15 HCP | パス | 5 |
16 HCP | 5NT | 5/6 |
17 HCP | 6NT | 6 |
N | E | S | W |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | 5 |
―― そういう必要はあまり無いでしょう。
この場合には,手の強さだけで決められる。
―― あっ,逆手を取られたか …。
今の場合には パートナーがバランス・ハンドで 1NT オープンしています。
したがって,手の強さがあれば十分で コントロールを さほど気にしなくてよいでしょう。
N | E | S | W |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | 4 |
N | E | S | W |
1NT | パス | 2 | パス |
2 | パス | 3 |
―― 5 枚の良い を持っていて,もしもオープナーと でフィットすれば でスラムがあるような手です。
つまり,でスラムを狙う場合に ステイマンを経由してビッドします。
1NT オープンに対して長い を持っている場合の対応は 別に説明します。
・ コンベンションとは | … 133. |
・ コンベンションの必要性 | … 133‐134. |
・ 初級コンベンション | … 135. |
―― コンベンションの分かりやすい例は,ステイマン (Stayman) です。
本来,2 というビッドは の強さを示します。しかし ステイマンでは,1NT オープンしたパートナーとの間で 4 枚のメジャースートの
フィットを探すために 2 というビッドを転用します。
このように,本来のコールの意味とは違う意味に転用されたコールを,コンベンション(conventions) と呼びます。
―― ステイマンや ウィーク 2 のようなコンベンションは よく使われます。 しかし,普通に "コンベンション" と言うときには,もっと特殊な転用ビッドを指します。 そういうコンベンションが使われる機会はそんなに多くありません。
―― いいえ,それは間違いです。絶対に間違いです。
たしかに,いろいろなコンベンションをよく (正確に) 理解して,使うべきところで使えば,良い成果が
挙げられます。でも そういう機会はそんなに多くありません。圧倒的に多くの場合に重要なのは 判断 (judgement) だと
言って間違いありません。
ビッドやカードプレイの経験を通して ブリッジの考え方を身につけ,その場に応じて正しい判断ができるように
なることが,ブリッジの本来の勉強です。その過程で,「コンベンションを覚えたほうがいいかな」と
必要を感じたら,少しずつ覚えていけばいいでしょう。はじめから無理をしてコンベンションを丸暗記しようなどと考えるのは,馬鹿げています。
分かりやすく言うと (却って分かりにくいかも知れないが)
ふつうのビッド = 自然言語
コンベンション = 人工言語
という言い方も できます。
「自然言語」は 私たちが 普通に書いたり話したりしている言語です。
「人工言語」は 特別の符牒に特別の意味を持たせた人工的な言語です。
私たちがこの世に生まれてきて身につけるのは,もちろん 自然言語です。これを上手に使えるようになるだけでも 大変です。
ブリッジの世界でも,これは同じです。
自然言語だけでも かなりの奥行きがあります。
―― 知らないことを言われたら,「知りません」と はっきり言えばいい。
初級者に肩身の狭い思いをさせる上級者は,あなたの目には「上級者」と映るかも知れませんが,ほんとの
上級者ではありません。たぶん,あなたよりは少し経験のある初級者です。
―― ほんとうの上級者は,あなたに合わせてビッドすることができます。
つまり,特殊な飛び道具に頼らずに,
相手に合わせてビッドができるくらいにビッドの意味を理解していなければ,ほんとの上級者とは言えません。
そういう人は,概して親切です。
あなたの知らないことが,とても基本的で どうしても必要なことだったら,説明してくれるかも知れません。
説明が面倒なら それを避けたビッドを考えてくれる筈です。
ヤフー! ブリッジ・交流ラウンジのブリッジ教室でアドバイザをお引き受けして間もなく (2001 年冬),この教室の開設者である かずちゃん (skazumi さん) とお話したことを思い出しながら,ここまでを書き綴りました。
―― さっきも言ったように,無理して覚える必要は無いのですが …。
「25 のコンベンション」は 読みやすくて評判の高い本です。これは 必要度の順序を示しているという点でも良い本です。
そこに書かれている順序を 私なりに少し並べ替えると …
(1) テイクアウト・ダブル.
(2) ステイマン (1NT オープンへの 2応答) .
(3) ウィーク 2.
(4) ネガティブ・ダブル.
(5) ブラックウッド.
(6) リバース・ビッド.
(7) ストロング・アーティフィシャル 2 オープン.
といった感じです。
普通の順序と大して変りありませんが,ネガティブ・ダブルが 4 位に入っているところだけが,少し違います。
ネガティブ・ダブルが使えると,ビッドの機会が増えます。
ブリッジの世界が 一回り広がるような感じで
楽しさがふえるので,ビッドが 一通りできるようになったら なるべく早く これに慣れることをお勧めします。
畳の上の水練ではなく,実戦の中でブリッジを覚えていくのなら,こんな順序が良いと思います。これ以外は (ジャコビ・トランスファも) 当分のあいだ 必要ありません。
―― あぁ …,"カンペ" とか "虎の巻" のようなものでしょうか …。
―― [1] JCBL ホーム
ページ 「商品販売・入門書籍」 に『ビッドの仕方』(2011.1,日本ブリッジ教師会) という 2 ページのリーフレットがあります。
これでは簡単すぎるというのなら
[2] 「ゲームの為なら闇夜も駆ける」という sira_sawa さんのホームページに 5 枚メジャーシステムの一覧表があります。
「コントラクトブリッジ」の中の「5 枚・メジャー・スタンダード・システム」をクリックします。
これをそのまま印刷すると見づらいので,ちょっぴり手を加えて 6 ページ (両面印刷で 3 枚) に整形しました。→ 5m.html
[3] ただし,このどちらも 私の感覚ではちょっと旧いので,別に自作しました。
A4 サイズで見やすく色刷りできるようにしてあります。→ SAYC.html
現在のバージョンは メイリオ・フォントに対応しており,液晶画面で見るよりも きれいなプリントが得られます。
―― いいえ。これを全部あたまから覚えるのは 意味がありません。
オンラインのブリッジで,その一覧表を見ながら ビッドしても いいでしょう。
―― そういう使い方もありますね。
まぁ 地図のようなものと思えばよいでしょう。
―― ほんとに全部覚えているか … と言われると,100% の自信はないけれど まぁ一通りは頭に入っているつもりです。 忘れている場合には,自分の理解を元にして 組み立て直します。理解してあれば,その場で組み立てが利きます。
―― こんな表を初めて見ると,圧倒されてしまうかも知れない。けれども 地図というのは,単に地図だけを
見ていても 頭に入るものではありません。
実際にどこかへ行ってみて,帰ってきたら 地図を眺めてみる …
そうすると実際の地理がよく分かる。次はまた 別のところに旅行してみる。帰ってきたら,地図を見て確認する … こういうことを繰り返すうちに,
だんだん地図を覚えてしまう筈です。