超暇人MSX

昔のPCキーボードとフォント

キーボードの話

コンピュータの中身がリレースイッチから真空管に変わった頃は、まだプログラミング言語は存在せず、0と1のマシン語を配線を変えることで入力しました。次にトグルスイッチのオンオフやパンチカードなどでマシン語を表現して入力する方法が採用されました。入力したマシン語の確認方法としては電球を何列も並べる表示装置がありました(注1)。マシン語を覚えやすくする為にアセンブリ言語が考え出され、英数字の入力方法としてタイプライターを参考に、タクトスイッチを幾つも並べたキーボードが開発されました。

入力したアセンブリプログラムを確認する方法として、当初はプリンタ(テレタイプ)に繋いで印刷するか、商店の大昔のレジスタに付いていた様なネオン管?(名前失念)ニキシー管の数行表示機を使いました。そのような状況では、タイプミスは許されず、タッチタイピングのプロが必要な事はモチロン、キーボード自体も確実に押せた事を感じられる必要があったので、カチッとクリック音の出るメカニカルの中間スイッチは必須でした。

その後、ブラウン管モニタに出力する事が出来るようになりましたが、まだまだ表示能力は低く、プログラムの作成は紙の上でした。

コーディング用紙の雰囲気

プログラム名______________ 作成日__.__.__ 作成者________________ ページ______ ------------------------------------------------------------------------------- Address| MachineCode | Label | Mnemonic | Operand | Comments ------------------------------------------------------------------------------- . . . | . . . . . . . | . . . . . | . . . . . | . . . . . . . . . | . . . . . . . . | . . . . . . . | . . . . . | . . . . . | . . . . . . . . . | . . . . . . . . | . . . . . . . | . . . . . | . . . . . | . . . . . . . . . | . . . . . _._._._|_._._._._._._._|_._._._._._|_._._._._._|_._._._._._._._._._|_._._._._._ . . . | . . . . . . . | . . . . . | . . . . . | . . . . . . . . . | . . . . . . . . | . . . . . . | . . . . . | . . . . . | . . . . . . . . | . . . . . . . . . . . | . . . . . . . | . . . . . . | . . .
こんなA4用紙にプログラムを書いて、コード表を見ながら自分でアドレスを計算し「オツム」アセンブルする

80年代に入り、ディスプレイはカラー2000文字対応辺りが標準となり、最早キーボードは「中間スイッチ付きメカニカル」でなくとも実用上なんら問題無くなったのですが、それに対する信仰が特にマニアな人ほど根強くありました。東芝のMSXは (たぶんPC-9801系同等品のリニア) アルプススイッチですが、松下や三洋のMSXは国産メンブレン(コイルバネの入っているタイプ)で、当時のマニアなら無条件でニセモノキーボードと言ったでしょう、今ならむしろ高級品に入るでしょうが(注2)。もし当時を知らない方や忘れてしまった方が80年代PCに触れる機会があれば、キーをタイプしてみてください。当時のメカニカルは今より深く・重く・中間スイッチの抵抗感があって、私などは10分もプログラムを打ち込めば指が疲れて痛くなりそうでした。しかもカチャカチャうるさいのです。

現代はキーボードも多種多様になり、各自気に入ったものを使えばよいのですから、随分進歩したものです。私としては、ノートPCに付いているパンタグラフが一番感じがいいと思います。デスク用にも、あれと同じでフルキーで小作り(キーが小さいという意味ではありません)で耐久力があれば最高なのですが、そういうのは値段も最高になるようで・・・

注1.昔のSF映画に、よくピカピカ光る電飾の付いたロッカーみたいなコンピュータ     が並んでいる場面が出てきますが、ホントにあんな大きさで、あんな感じで2進     数の並びを表していました。いや、実物は見たこと無いですよ、生まれる何十年     も前ですから。参考映画例『COLOSSUS THE FORBIN PROJECT』(1970) この     映画は、メーカーから借りた当時最新のコンピュータが主役です

注2.松下のワープロ専用機と同じ作りです。2+までは、かなり慣れた人でも間違う     程メカニカルを模していましたが、ワープロのアンケート調査のもっと軽い方が     良いという結果を受けて、ターボR期には軽くなりました

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フォントの話

上記「キーボードの話」のとおり、昔はアセンブリ言語をコーディング用紙に書いてプログラミングしました

コーディング用紙に書き込んだ状態

プログラム名_callgirl.mac_ 作成日85._1.30 作成者__美正念生太郎__ ページ__15__ ------------------------------------------------------------------------------- Address| MachineCode | Label | Mnemonic | Operand | Comments ------------------------------------------------------------------------------- 8140. | .CD B0 81 . . | . TITI: . | . CALL. . | . MOMI. . . . . . | モム. . . . 8143. | .E5.. . . . . | . . . . . | . PUSH. . | . HL. . . . . . . | プッシュ . . 8144. | .C5 . . . . . | . . . . . | . PUSH. . | . BC. . . . . . . | プッシュ. . . _8145._|_.62_._._._._._|_._._._._._|_._LD._._._|_._H,D_._._._._._._|_._._._._._ 814 | .6B . . . . . | . . . . | . LD. . . | . L,E . . . . . | . . . . . . . . . . | . . . | . . . . . . . . . | . .

こんな用紙に手書した文字を1字でも読み間違うだけで、打ち込んだプログラムは正しく動きません。そこで当時のコンピュータ最大手IBM社は、独自の書き文字を作りました

IBMが採用したコード用文字バツのついている行が普通によく書く楷書の文字、マルの付いている行がIBM形式の書き文字です。0とOとD、1とI、2とZ、4とA、3と5とS、CとG、FとP、9とQなど数字や英字のよく似た形を見誤らない(書き誤らない?)ように工夫されています。点は必ず丸く塗りつぶします。当時のアセンブラは大文字しか使わないので、小文字はありません。


当時の8ビットパソコンもまた、8×8ピクセル文字の視認性を出来るだけ良くする為に、フォントに工夫がなされています

MSXの8ピクセルフォント左の列が本当のMSX8×8英数フォント、隣の文字との間隔をあける為、正味5×7で作られています。右は私が識別性を考えないで作ってみたフォントです。現在のトゥルータイプフォントでは、字の個性作りに気をとられ、意外に視認性を考えていない物が多いようにも見受けられますが、80年代ディスプレイでは、識別しやすい字の形は必須でした。

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このページは、1024×768画面に合わせて作りました。ちゃんと見えなかったらスミマセン