▼その後…。
2000年1月。手術から3年4ヶ月が過ぎた。
とても順調にとても幸せに生活してきたと思う。リハビリも少しずつ増やしていき、今では手術前と変わりないほどの肺活量になったように思う(調べたわけではないので自分の測量で…)。半年に1度の検診に行って1年に1度CTを取ってもらっていていつも先生のOKをもらっていた。
でも何も心配しなかったわけではない。咳が出たとき、背中が痛いとき、疲れて腰が痛いとき、いつもいつも再発のことが頭から離れず心配だった。咳止めをもらいにいったこともある。
先生に聞くと、『冷たい空気が肺に入ったら咳が出やすい』、『背中の傷の下には沢山の神経があるので痛くなるのは当然』、『手術のとき肺を片方つぶして摘出する際、もう片方に金属を入れて膨らませているので、如何しても咳が出やすくなる』、『先生でも咳が出るよ』、『背中の傷の痛いのは多分転移ではない。転移としたら腰から痛くなると思う』等、いつも先生に励まされて検診が終わる 。

▼再発?!
今年のお正月テレビを見て家でゴロゴロしていただけなのに背中が痛くなり、予約してはいないのに病院に行った。すぐCTの予約をしてくれて1月18日CTを取る。今まで何度もCTを取ったが、いつもは2・3枚なのにその日は6枚も取った。 それだけで心臓がドキッとした。前に読んだ昭和医大の岩田先生の本を思い出した。 脳外科の先生が脳腫瘍になってCTを取ったとき、時間が随分かかるので何か見つかったと思った、という話。……私も同じ事を考えてしまった。いつもの倍も取られたことで何かが見つかったと思った。
色々考えてしまった。 3月に控えている両親の金婚式に出られないかもしれない。その前にバドミントンの審判講習会がある。その後の試合も駄目かも。もう好きなビールも飲めなくなる…。その前に飲んでおこう。息子達に行こうと言われている旅行も、もしかしたら行けない。猫の事…。でももし見つかったらすぐに手術してもらおう。 告知も2回目なら、前ほど慌てないで聞いてこよう。
そんな事を考えながらCTの結果を聞きに27日出掛けた。何と先生はにこにこしながら『大丈夫だよ』と言ってくれた。 バンザーイ。まだ生きられる。まだまだ楽しめる。

▼友達
バドミントンのチームで仲良し4人組がいる。何でも話せていつでも助け合いこれから誰かが呆けたら皆で助け合う。そんな事を話しながら旅行に行ったり飲みに行ったり、ゲートボールを始めたり、時には花札をしたり、いつもみんなで楽しい事を考えている。この友達がいる限り人生は絶対に楽しいものになるのが解っている。もちろん嫌なことがあっても皆に話すことで、4分の1になる。 今皆でポストペットに夢中で、Eメールをペットに持たせたりしていて呆け防止にもなっているし、電話で話すのとは少し違う楽しみを見つけた。今度山登りにも挑戦したい。海外旅行にも行こう。そろそろバドミントンも動けなくなってきたので、今度はゲートボールで全国 制覇を狙おう。出張でご主人が留守のお宅に、時々お邪魔して朝までお喋りしても時間が足りない。花火大会の時は主人同伴8人で花火の真下でビールを飲む。こんなに幸せで良いのかしらと思うほど楽しい。持つべき者は友達だ。

▼子供の成長
手術の時大学生と予備校生だった子どもが、去年、上の息子が少し早いと思ったが素敵な彼女が出来結婚した。 今年か来年にはもしかしたらおばあちゃんになるかもしれない。そうなったら嬉しいが、これは神様の授かりものだからそう簡単にはおばあちゃんになれなかもしれない。仕事も順調で二人で頑張っている様子を見ているのも頼もしい。
子ども子どもしていたと思っていた息子も、何か頼もしく見えてくるのが不思議だ。今までプレゼントなどもらったことが無かったが、傘とクッションとケーキを持って誕生日に来てくれた。へーえ。結婚した子どもの成長を目の前で見たような気がしてとても嬉しかった。
予備校生だった娘は横浜の看護学校を3月に卒業して4月から横浜市の看護婦さんになる。小学校からの夢を実現し、いよいよ白衣を着る娘を眩しく見ている 。もしかしたら私が入院する時娘に看病して貰えたら嬉しいが、そんな夢のような事ができるかどうか。3年4ヶ月の年月は、自分も強くしてくれたが、子どもの成長はものすごく、私としてはもう思い残す事は何も無いほど感慨深いものがある。

▼新しい趣味
1年前からゲートボールを始めた。バドミントンの人達6人でシャトルチームと名づけ少しずつ頑張っている。でも何年もやっているおじいちゃんおばあちゃん達はものすごく上手で、全然歯が立たない。毎日練習できる人達と比べても、私達シャトルチームは問題にもならない。少し入ったら出されて又少し入ったら又出されて、手も足も出ない。 未熟者の集まりだから仕様が無いがまだまだ先を見て10年後全国制覇を狙っている。それまで頑張るために気長に根気よく練習あるのみ。病気なんかに負けていられない。

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