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ゲームの印象

 ゲームの印象を決定づけるデザイン要素としては、以下のようなものがある、インパクト、アイディア、AVSC(オーディオ、ビジュアル、ストーリー、キャラクター)。

 インパクトは、ゲーム社会通念上の限界を超えるところに発生する。また、インパクトは、ゲーム性には特に影響は与えない。インパクトの例としては、以下のようなものがある。
 1)実現できないと思われていた、新たな技術を導入する
 (体感ゲームマシン、VR、3Dポリゴン)
 2)ゲームの題材になるとは考えられもしなかった、新たなジャンルをゲームとする
 (ウィザードリィ、ときめきメモリアル、ファイナルハロン、爆走デコトラ伝説)
 3)今まで考えられなかったような、新たなAVSCの展開を行う
 (グラディウスの面毎の差別化、R-TYPEのグラフィック、アウトランのAV構成)
 しかしながら、インパクトは一般社会通念の範囲を大きく逸脱するようなものであってはならない。大きく社会通念を逸脱したインパクトは多数のプレーヤーに嫌悪感を催し、ゲームプレイを妨げる。

 アイディアは、ゲーム構成の再編成によって発生する。また、アイディアはゲーム性に大きく影響する。それ故、アイディアはゲームシステムの構造に準ずる。
 しかしながら、アイディアはプレーヤーの相互規約の範囲を大きく逸脱することは避けるべきである。大きく相互規約を逸脱したアイディアは、プレーヤーに拒否されるか、あるいは受け入れられるにせよ、多大な時間がかかることになる(「早すぎた名作」)。

 AVSCは、ゲーム制作者のセンスに負うところが大きい。また、AVSCはMMIにおいてのみゲーム性に影響する。AVCSは他にも、単独でも印象に影響を与えうるという特徴がある。
 美しく派手なグラフィック、パワーのあるサウンド、印象的で人を惹きつけるストーリー、カリスマ性のあるキャラクターは、インパクト、アイディアにおいて比較的差がない場合に、頭一つ抽んでてプレイしてもらえるかを決める重要な要素となる。

 すなわち、アイディアとインパクトにおいては、ゲーム制作者は、社会通念とプレーヤー間の文化的相互規約を十分に解釈しているべきである。


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