前回(Part12)のコラムでもちらっと触れましたが、タングラムを2セット、14片で形を作ること(またその出来た形)をダブル・タングラムと言います。
今までの『ミニ・タングラム』、『親子タングラム』、『拡張タングラム』と言った言葉は、半ば私が考えた独自の定義が含まれているのですが、この『ダブル・タングラム』に関しては、文字通り『タングラム』のセットが『ダブル』なわけであり、一般にも認められている言葉と言ってもいいもの。実際、タングラムのセットが2セット入っているモノが『ダブル・タングラム』という名前で市販されています。
さて。このダブル・タングラムですが、実際には更に大きく二種類に分けることが出来ます。
一つは、用意された14片を全て使って一つのカタチを作るもの。もう一つは、本来のセット7片ずつでそれぞれ関連性のある二つの形を作るもの。
ここでは前者を『ダブル・タングラム・ユニ』、後者を『ダブル・タングラム・デュアル』と呼ぶことにします。これは私が勝手に考えた呼び方です。
以下に掲げる5つのシルエットは、全て『ダブル・タングラム・ユニ』です。
しかも。全て何か具体的なモノの形を表したものではなく、抽象的な幾何学図形ばかり。
敢えてそうしたことは、それなりの理由があるのですが、それは次のシルエット問題Part14のコラムで触れることにします。
では、タングラムは2セット準備できていますか?
以下にもう一つコラムを挟んで、『ダブル・タングラム・ユニ』全5問をご用意しました。
次のコラムを読み飛ばされる方は、こちらをクリックして、早速挑戦してみてください( ^^)/
※はじめに:このコラムには、ちょっとだけ難しい数学の話が出てきます。
興味のない方は、読み飛ばして下さっても構いません。早速問題に取り組んでみて下さい( ^^)/
以下の問題143、144で、それぞれ『凸八角形』、『凸七角形』という言葉が出てきます。
この『凸○角形』というのは、簡単に言えば「へこんでいる部分がない○角形」ということです。
これを少し数学的にかっこよく言うと、「全ての角が180°未満の多角形」と言うことが出来ます。
こう書いてもまだピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、以前に問題に出した、(親子タングラム編)111.112.(無題1)を見てみて下さい。これも、辺の数が6つ(従って角も6つ)あるので「六角形」です。でも、右側がへこんでいますね。そのへこんでいるところの角の角度は、(角度は内側を測るので)270°になっています。明らかに180°以上ですね。
こういう図形は、「凸でない六角形」なわけです。
実は、タングラムで出来る図形は、「凸でない多角形」が圧倒的に多いのです。
逆に言うと、タングラムで作られる凸多角形を探すことは、(数学的に)それなりに意味があるのです(^^)
しかも! ピース数が多い、従って自由度が増す『ダブル・タングラム』ならなおさら!
実は、『ダブル・タングラム・ユニ』の問題として、幾何学図形などの抽象図形ばかりを扱った理由は、この辺にあるのです。
ここから更に少し数学的になります。
数学で言うところの「凸」という考え方は、例えば“円”のように 角 がない図形でも定義することが出来ます。それは次のようになります(あまり厳密でない定義です):
ある領域(=平面図形)が凸であるとは、その領域内に勝手な二点を取ったとき、その二点を結ぶ線分がその領域の境界と交わらないことである。
つまり、逆に言えば、うまく二点を取ってそこを結ぶ線を書いたとき、その線が図形からはみ出てしまうようなときは、「凸でない図形」だというわけです。
“円”は凸な図形です。ヒトデのシルエット(星形)は凸でない図形です。また殆どの図形は(“凸”という字のカタチさえ(笑))凸でないことが分かると思います(^^)
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