あれこれチャレンジ
このコーナーではプログラミングの話題を離れ、
いろいろとチャレンジした事をレポートします。

第3回 おいしいパンを焼いてみよう
プログラムばかりするのもなんなので、たまにはパンを焼くぜ!!
俺も今日からジャムおじさん!

男子厨房に入らず
『男子厨房に入らず』とは中国の故事で、豚や鶏を調理する際の断末魔の声を男は聞くべきではない、というのが語源らしい。
つまり料理は女に任せておけばいいって意味じゃないみたい。だいたい今の時代、台所で生きた豚や鶏をさばく奴なんていねぇっての。いたら怖ぇよ

という訳でパンを焼く。作るのは基本中の基本であるロールパンだ。これが出来れば、あんパンもクリームパンもソーセージパンも応用で作れる。
これがパンを焼くのに必要な材料と道具だ。これだけの材料でロールパンが約 24 個できるそうだ。

材料
・強力粉500g ・卵50g(約 1 個です)
・イースト10g(予備発酵の要らないもの) ・水260cc
・塩8.5g ・無塩バター50g
・砂糖50g

おもな道具
・はかり1g 単位で量れるやつがいい ・温度計
・軽量カップ水を加えるときに使う ・刷毛ドリュールを塗るときに使う
・ボウル大きいものが良い ・麺棒成型するときに使う
・軽量スプーン ・オーブンシート焼くときに敷く
・霧吹き二次発酵で使う その他いろいろ…

材料はどれもスーパーに売っているものばかりだ。注意することは強力粉と間違えて洗濯粉を買わない事と、イーストと間違えてトーストを買わない事くらいだ。
あとは、オーブンまたはオーブン機能付き電子レンジ。中の皿が回る回転台タイプが抜群にいい。

温度に注意せよ!
材料と道具が揃えば おいしく焼けたも同然だ(笑)。
まずは、大きめのボウルの中に、ふるいに掛けた強力粉と塩、砂糖、イーストを入れてさっくりと混ぜる。


中央のベージュ色の粉がイーストだ

ここまでは誰でも出来る。猿でも出来る。へっぽこプログラマの俺でも出来る。
問題はここからだ。ここからは猿には出来ない。猿は、せめて猿人に昇格してほしい。

パンを作るに際して最も気を使うことは温度。こねてから発酵させるまでの温度が低すぎても高すぎてもよろしくない。低すぎるとイーストが風邪を引くし、高すぎると熱中症で倒れる。この辺は人間と同じだ(ホンマか!?)

イースト菌が活発に動き、そしてパン生地に最適な温度が 28 ℃。
生地が 28 ℃になるように こねるのだ!って言っても難しいけど、ここでは卵水を温めることにより、この 28 ℃に近づけることにする。という訳で約 30 ℃に温めた水( 260cc )に卵を溶き、さきほどの粉に加える。


だらだら〜

ここでは 30 ℃と書いたけど、冬の寒い日にパンを焼くのであれば 40 ℃くらいに上げていい。ただし、水温が 60 ℃を越えるとイーストが死んでしまうので注意!!

がんばってこねまっしょい
ここからは無心になってこねる。
卵水と混ざる前はベトベトで手に引っ付くけど、ひたすらこね続ける。すぐにまとまってくる。
こねるときの注意は生地を引きちぎらないこと。上に下に丸めなが無我になってこねまくる。

こねる事によって小麦粉からグルテンが作られる。そのグルテンが膜を作り、その膜の中に空気が溜まることにより、ふかふかのパンになるそうだ。
こね方が足りないとグルテンが出来ず、ふかふかパンにならない。頑張ってこね続けよう。

ベトつかなくなって更にしばらくこねたら無塩バターを加える。
…と思ったら無塩バターがない!今から買いに行くわけにもいかないので普通のバターを入れた。まぁ大丈夫だろう。
知らなかったが無塩バターはお菓子作りには必須らしい。サンデー・パン作りゃー(パン作り+er)の俺は初めて知った。ま、いっか。気にせずに進めよう。

それにしてもバターを入れたとたん生地がねちょねちょになって、すげーこねにくいのだが……。


こねこねこねこね……

なにか様子がおかしいぞ!?
こねるのは非常に疲れる。500 回くらいはこねるって書いた本もあったけど、実際は回数より生地の具合を見ながらこねたほうがいいと思う。
十分こねられたら生地を左右に引っ張ってみてほしい。手元にある本には『薄く伸び、下の指が透けて見えたら』いいらしい。ちゃんとこねる事が出来て生地に弾力があればそういう風になるんだろう。

が、俺のパンは様子がおかしい。

いつまでこねても全然まとまらず、べちょべちょのままなのだ。これは明らかにおかしい。もう 30 分もこねているのに……( 30 分じゃ足りないの?)
さっき横着して普通のバターを入れたのが悪かったのだろうか。いや、もう少しがんばってこねてみよう。

10 分後。状況変わらず。もう、あかん! 疲れた!
という訳でこねるのやめた。これはパン生地というよりも巨大なガム状の異物。うげー、これがパンになるのか!?


異常事態発生!! 全然 まとまらない。

発酵させる
正直言って、ここで今日のパン作りは諦めようかと思った。だって、明らかに異常なんだもん。
いや、せっかくここまで頑張ったんだから最後まで作ろう。しかし、ちゃんと焼けるかどうか怪しいぞ。でも、焼いたら意外とおいしいかも………って悩んでいる間にもどんどんと発酵して膨らんでいくんですわ!
もういい!最後まで作ってやる! 発酵するって事はイーストが活発に活動してるって証拠だしね。

ここから一次発酵だ。生地を油を薄く塗ったボウルに戻しサランラップを掛けてしばらく置く。この時の温度も 28 ℃だ。温度が高いと過発酵になるし低いと時間が掛かるので注意。
この日は夏の暑い日で気温も 28 ℃くらいだったので部屋の隅に置くだけにした。
さぁ、発酵させる間(約 60 分)は休憩だ。ふぅ。

フィンガーテスト〜ベンチタイム
さあ、60 分が経過した。見たら、なんとか順調に発酵しているようだ。ボウルいっぱいまで生地が膨らんでいる。
この一次発酵を終えたら『フィンガーテスト』というものをする。これは生地に指を突き刺して、そのへこみ具合からちゃんと発酵したかを確認するものだ。
指を抜いたときに、へこみがそのまま残っていればオーケーだ。へこみが戻るようであれば発酵不足。もう少し発酵させよう。

で、俺のパンはというとフィンガーテストどころではない……
なんとか発酵して膨らんだものの、やはりガム状のままだ。指を突っ込むとへこむどころか、引っ付いて戻ってくる。
下の写真を見てほしい。左が本から拝借した写真だ。指を抜くとへこみが残る。右が俺のパンだ。指を抜くと、、、抜けない……


へこみがそのまま残る(雑誌より)

俺のパン。指が抜けない…

フィンガーテストが済めば今度は生地全体をこぶしで押してガスを抜く。発酵してずいぶん膨らんでいたのが元の大きさくらいに戻るはずだ。
そしてパン生地を包丁などで 24 個に切り分ける。次にひとつひとつの生地を丸める。
丸めた 24 個の生地を並べて、その上にサランラップをかぶせて 20 分ほど休ませる。これがベンチタイムだ。

というのは理想論であって俺のパン生地はそれどころではない。24 個に切ろうとしても引っ付きまくって切れないので、なんとか手で引きちぎった。結果 18 個に分かれた。
当然、丸めるなんていう作業は無理だ。仕方あるまい、とにかく最後まで進めよう……

成型作業は楽しいぞ!
ベンチタイムが終われば、また少し生地が膨らんでいるはずだ。
ここからが楽しい成型だ。この生地をロールパンにするのも、ジャムパンにするのも、あんパンにするのも、ソーセージパンにするのもここが分岐点。

それぞれの作り方を簡単に書くと、ロールパンは麺棒を使い生地を涙型(ドラゴンクエストに登場するスライムを縦にびよーんって伸ばした形)に伸ばし、太いほうからくるくると巻いてゆく。
ジャムパン・あんぱんは生地を平たく伸ばして、ジャム or あんをのせてしっかりと包む。ちゃんと包めてないと焼いたときに漏れ出すので格好悪い。
ソーセージパンは適当にソーセージを詰めてしまおう。

続いて二次発酵だ。今度は 40 ℃くらいに設定したオーブンに入れ、約 40 分待つ。表面が乾かないように時々霧吹きをしてやるらしい。
で、この間にドリュールを作る。ドリュールってのは溶いた卵にほんの少し塩を加えたものだ。
二次発酵が終わったら、はけを使ってパンの表面にドリュールを薄く塗る。このドリュールを塗らないと、パンにつやが出ずおいしそうに見えないのだ。


はけを使ってドリュールを塗る

今の状況はこれ( 上の写真 )だ。ぶくぶくとした謎の物体がパン生地。
もう判ってると思うけど、俺のパンはベトベトで成型は不可能だ。あぁ、一番楽しい作業が……
成型が出来ないとなると全部同じパンになり面白くないので、ソーセージを入れたものとチーズを振りかけたものの 2 種類を作った。

あとは焼くだけさ!
さあ、ここまできたらあとは焼くだけだ。
オーブンの温度は、、、180 ℃〜 200 ℃くらいの間でいいだろう。時間は 15 分から 25 分間くらい。焼け具合を見ながら時間を調整しよう。
わりとすぐに表面はいい色になる。でも、これは表面に塗ったドリュールが真っ先に焼けているだけで、中身は全然焼けていないので注意。

しばらくするとパンの焼けるいい匂いがしてくるはずだ。そこまで来たら完成は間近!

出来上がり〜♪
さぁ焼けたぞ! ここまでの苦労が報われる瞬間!
オーブンからパンを取り出す。うーん、途中はどうなるかと思ったけど、ちゃんと焼けているではないか。


巨大なチーズパン

巨大なソーセージパン

しかし、予想以上に不細工なパンだ。24 個のロールパンになるハズが全部引っ付いてしまい 2 個の巨大な物体になってしまった。

さっそく紅茶をいれて食べてみた。
………うーむ、なんというか、、、不味くないけど、、決して美味くない……
食えないこともないけど、、、出来れば食いたくない……。

ジャムおじさんがこの程度の腕前だったら、バイキンマンの天下だな。

しかも、この量はかなり多い。24 個のロールパンを食べると思ったら、2 〜 3 日は掛かるだろう。そのくらいのパンが目の前に……。

教訓:パンはパン屋で買おう!

でも、ちゃんと全部食べたよ