平成の大改鋳

 いつの間にか、税務署に年金保険料徴収を任せよう、と与党・野党とも言い始めている。またもや私の予言が当たりそうだ。
 美祢の刑務所で囚人にシステム開発をやらせるという話は、立ち消えになるか失敗するかして「高セキュリティエリアで日本人による代行入力」という私の案に衣替えとなり、これも予言的中になるかも、と勝手に思っている。
 電子マネーとの連動は家計簿ソフトのスタンダードな機能に。
 ということで調子に乗って、更なる予言。
 100円玉は改鋳され、合金の組成が変更となる。

 理由を聞けば「ああ当たり前」であるが、誰も言わないので言い出しっぺしてみた。
 最近「レアメタル」というのが高騰しているらしい。ニッケルもレアメタルの一種である。貴重品らしい。ところが100円玉にはニッケルが25%も含まれている。勿体ない、回収して500円玉の素材と同じにしてしまえ(ニッケル8%)、という発想が出てくるのは当然。つまらないくらいありがちである。

 ここで終わると、ただの思いつきなので真面目に検証する。
 100円玉の重量は4.8グラム。うち銅が3.6グラム。ニッケルの重量は1.2グラム。500円玉と同じ組成にすると銅3.456グラム、亜鉛0.96グラム、ニッケル0.384グラム。
 旧東海銀行のレポートによると(三菱は総研に集めていたし、東京は名前もなくなったし、三和は元々聞いたこともないので、多分東海)、(pdfなのでちょっと重い。)、銅が1トン7700ドル。ニッケルが50,000ドル。亜鉛は4000ドルくらいかなあ。すると1ドル=120円とみて、現在の100円玉の地金価値は、10.5円。新100円玉の地金価値は6円。おお、100円当たり4円50銭ものコストダウンになるのです。
 と、この辺で終わっても説得力がないので、果たしてこれでペイするのか更に検証を続ける。でも 第098回国会 大蔵委員会 第3号という議事録くらいしか資料が見つからない。これによると製造原価は硬貨全体で15%くらいか。500円玉で5%というのはこの委員会で明らかにされたから、地金価値を引くと、鋳造その他原価は16円。ただしこれは現在の商品相場、、、さすがに昭和58年の相場を調べる気力はないが、ええい100円玉の鋳造その他原価も16円に丸めてしまえ、ということで、現行100円玉の製造原価は26.5円。新100円玉の製造原価は22円。
 100円玉入れ替えのコストは、回収/運搬コストはゼロとしても(市中銀行の負担になると思う。でも造幣局・日銀間の輸送コストはいるのかな)、まあ、製造原価は確かに安くなるので、ぼちぼち入れ替える分にはいいが、まだ大々的に改鋳するという話にはならないだろう、ということだ。金本位制の時代の貨幣なら、ちょこっと改鋳、という手も使えたらしいが、自動販売機がこれだけ普及すると、一挙に改鋳しないといけなくなるからね。

 ニッケル価格が今の3倍に高騰すると、100円玉が改鋳、ということになりそうだ。しかし逆に言うと、ニッケル価格が今の3倍になったところで、政府が流通している100円玉を地金として供給するから、それが相場の天井になる、ということ。

 結論、ニッケル相場の天井は、1トン=15万ドル程度。
 なんか最初と全然違う結論になった。でもバブル前夜に「株式相場の天井は?」と聞かれて「27,000円」と答えたのは、見事に当たったんだよ。(実はカンニングです。スゥエーデンだったかの日経平均連動で利回りが変化する債券の分岐点が27,000円だったから、何かあるとその額を言っただけ。)

 といいながら、まだ気になる。流通している100円玉を鋳つぶして得られるニッケルの量は相場の天井をもたらす程のものなのか?ええと、100円玉の流通量は10330とあるが、単位がわからん(合計があわん)。これと商品取引所の取引量を比較しないと(取引量はGrossなので、ニッケル現物との相関関係を導き出すという大作業が必要。しかしニッケルの価格って銀を抜いてもおかしくないレベルにまで来ているのか。ちょっとびっくり。となると銀が投機でつり上がった価格が現物売りで下がったというデータなら比較的集めやすいから、ニッケルの相場と現物が市場に投入される量の関係を類推するのに使えなくもないなあ。)、、、とうとうめんどくさくなりました。ゴメン。

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