低レベルなヒトの覚え書き

●特別企画: 「Sansa e130」の話。あるいはWindows98とUSB Mass Storage Deviceのこと


7. 追記(1): Win98の汎用USB Mass Storage Deviceドライバ

USBの規格においては、周辺機器の用途別にクラスと呼ばれる仕様が定められており、その仕様の範囲内では、どんなメーカーのどんな製品でも汎用のドライバひとつで対応できるようにされています。

Windows系OSの場合、Meや2k以降のバージョンには、たいがいのクラスのドライバが標準で収録されているので、一般的な周辺機器の多くは、ただPCのUSB端子に接続するだけで使い始めることができます。 一方、Meや2kより前のWindowsでは、98と98SEが正式にUSBに対応しているものの、いずれもごく限られたクラスのドライバしか搭載していないため、その使い勝手は(少なくともUSBに関する限り)あまり良好とはいえません。

Win98(SE)にドライバが収録されていないクラスのひとつに「Mass Storage Class」があります。 「Mass Storage」とは、要するに各種の外部記憶装置のことであり、具体的には、いわゆるUSBメモリなどの製品を指します。 最近では、デジタルカメラやデジタル音楽プレイヤーの多くもまた、PC側からは単なるリムーバブルディスクとして認識されるように作られているので、ユーザにとって、このクラスの製品が使えることの意味は非常に大きいといえます。

ここでは、どうしたらWin98(SE)でも「USB Mass Storage Device」(以下、USB-MSD)が使えるようになるのか、その方法について紹介していきます。

※この項の内容に関しては、こちら (v-sans3.htm) も参照してください。

7-1. 周辺機器メーカーから提供されているドライバ(特定の製品専用)

かつて、まだWin98(SE)が世間一般でも現役のOSだった頃は、市販のUSB-MSD製品には、あたりまえのようにWin98(SE)用のドライバが同梱されていたりしました。 もちろん、それらのドライバは、あくまでもそれぞれの製品専用として提供されていたものなのですが、実際のところは、なぜかA社の製品のドライバでB社の製品が認識できてしまうようなこともめずらしくなかったようです。
その意味で、もしもWin98(SE)用のドライバが用意されていない製品をどうしてもWin98(SE)で使いたい場合には、適当な周辺機器メーカーのサイトなどから似たような製品のWin98(SE)用ドライバを探してきて、手当たり次第に試してみるのもひとつの方法といえます。
ただし、ハードとソフトのいずれについても、そうした利用のしかたは、本来、想定されているものではないはずなので、その点は充分に注意する必要があるでしょう(いろいろな意味で)。

7-2. フリーソフトとして配布されているドライバ(汎用)

わりとよく知られているとおり、実は、Win98(SE)用のUSB Mass Storage Classのドライバ(汎用のUSB-MSDドライバ)は、ボランティアの作者によるフリーソフトという形で存在しています。

7-2-1. Maximus Decimさんのドライバ

Maximus Decimさんという方が開発したとされるこのドライバは、もともとは英語版のWin98SE専用らしいのですが、ありがたいことに、現在ではいちおう日本語を含む各国語版や無印のWin98に対応したバージョンも用意されています。
具体的な使用方法等については、日本語で解説されているページもあるので、そちらを参照してください。 ここでは補足的な注意事項を2点だけ挙げておきます。

[注意事項: その1]
このドライバのパッケージには、どうやらPC-AT互換機専用のバイナリが含まれているようです。 少なくとも、筆者が使用しているPC-98版のWin98SEは、パッケージに含まれるドライバ類をすべてインストールしたところ、起動不能な状態に陥りました。
ここで「パッケージに含まれるドライバ類」とか、ちょっとまわりくどい言い方をしているのは、肝心のMass Storage Classのドライバ自体は、必ずしも機種依存的なものではなさそうだからです。
言い換えると、パッケージに付属するインストーラを使用せず、必要最小限のドライバだけを手作業でインストールするのであれば、PC-98版のWin98(SE)でも、このドライバを利用することは可能と思われます(後述 「7-4」 の項を参照)。

[注意事項: その2]
このドライバは、一般的には普通のフリーソフトとして扱われていますが、本当はけっこう怪しい代物なんじゃないか、という話があります。 ただ、何がどう怪しいのかなど、詳しいことは筆者にはよくわかりません。 とりあえず、念のため、そういう話があるとだけ書いておきます。

[URL]
7-2-2. Nathan Linebackさんのドライバ

こちらのNathan Linebackさんによるドライバの最大の特徴は、Win95(正確にはUSB supplement適用済みのOSR2.1)に対応していることです。 実際、作者のページでも、もっぱらそのことばかりが前面に押し出されているのですが、いちおう、システム要件のところにWin98(無印)への言及があるので、とりあえずはWin98でも使えるものと思われます。
ただし、筆者はこのドライバを実際に使ってみたわけではありませんし、果たして「日本語版の」Win95/98(SE)で使えるのかどうかなど、詳しいことはよくわかりません。
参考までに、配布元のページの記述を一部抜粋して紹介しておきます(誤訳の可能性もありますので、正確なところは原文を参照してください)。

なお、下記の掲示板の情報によると、「Nathan LinebackさんのドライバのほうがMaximus Decimさんのものよりも多くの製品で使える」らしいです(真偽は不明)。

[URL]

7-3. Win2kのドライバ

下記のページの情報によると、Win2kに収録されているMS純正の汎用USB-MSDドライバは、実はWin98でもそのまま使用できるそうです。 なんといっても純正品なわけですから、ライセンスの問題さえクリアできるのなら、試してみる価値は十分あると思います。
なお、XP以降のWindowsに含まれるドライバに関しても同様のことがいえるかどうかは、確認していません(元ネタのページでも触れられていない)。

[URL]

7-4. おまけ: Maximus DecimさんのドライバをPC-98のWin98SEで使うには

すでに触れたとおり、Maximus Decimさんのドライバ(もしくは非公式SP)を通常の手順でPC-98版のWin98SEにインストールすると、OSが起動不能の状態に陥ってしまいます。
しかしながら、この原因はどうやらMaximus Decimさんのドライバそのものではなく、同時に(強制的に)インストールされる別のシステムファイルのほうにあるようです。 肝心のUSB-MSDのドライバのみを抜き出してインストールしてみたところ、いちおうはPC-98でも利用することができましたので、ここで報告しておきます。

※具体的な手続きに関しては、 上記「7-3」で紹介しているページ の内容を参考にさせていただきました。

なお、実際に筆者が試した際には少々混乱があったので、ここに述べた手順では上手くいかない可能性もあります。 そこら辺は各自で研究してください。

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R.2: 2009/11/25
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