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アニメ音楽との出会い
アニメ音楽との出会い、それは私にとってはアニメが始まる前にはじまっていた。

その昔、私の家は貧乏であったにもかかわらず、なぜかオープンテープレコーダーとレコードプレイヤーだけはあった。
どちらも真空官式で、聞けるまでにとんでもなく時間がかかる代物だった。
レコードプレイヤーに至っては、SPレコードが再生できる代物で、ピックアップ(つまり針のついているところ)を回してひっくり返すと、SPレコードが再生できる仕組みになっていた。
ソノシートをSP針で再生すると...
真空官式であったせいか、それとも再生対象がレコードではなくてソノシートであったせいか、なんと全然音が変わらなかった。普通SP針というと、とんでもなく荒い針のような気がするが、そんな代物を使っても再生音が全く変わらないのである。
真空官式レコードプレイヤーとか、その時代のピックアップというものがいかに音が悪かったかわかろうというものだ。
じゃあ聞くに堪えないものだったかというと、そんなことはなく、特に低中域の音は張りがあってなかなかのものだったような気がする。
オープンテープは何に使われていたのかというと、当時たぶんNHKのFM放送とかで流していたのじゃないかと思うのだが、岸田今日子さんやうつみ宮土理さんがナレーションする子供向けのお話が録音してあって、それを聞きながらお昼寝をするというのが私の日課だった。
私の記憶では、その岸田今日子さんの"ピーターと狼"や、うつみ宮土理さんの"あまのじゃく"といったものを聞かされていたような気がする。
お二人はとても話しうまく、聞き入りすぎて眠れなくなることもしばしであった。
そのほかにも、どなたが話し手であったか忘れてしまったが、かちかち山や三枚のお札、さるかに合戦といったお話が全部で20話くらい用意されていたような気がする。
真空官のレコードプレイヤー用のお話レコードも用意されていた。
ピクチャーレコードといって別にLDのように、かけるとテレビで画像が見えるとか行ったものではないのだが、当時は珍しい最先端ものであり、レコード全面の中にお話の絵のレーベルが入っていて、円盤の中心部のみになにやらオレンジとかの味気ないレーベルが貼られているレコードとは一線を画した、主にお子さま向けの特殊用途レコードだった。
今考えると、透明なソノシートの下に絵が描かれたレーベルを挟んだだけの、お子さまだましの代物といえなくもないかもしれない。
だが、SP盤の割に確かかなり長い再生が可能だったもののような気がする。
そういえば、SP盤のくせに33回転だったようなきもしてきた。
通常SP盤は45回転だったのである。
そうそう、思い出した。真空官レコードプレイヤーは、たしか回転するゴム盤でターンテーブルを回すリムドライブであった。
何? ソノシートとはなんだ?
ソノシートとは全く死語になってしまっていて、聞いたことがない方も多いかもしれないが、レコードにしてレコードにあらず。
普通レコードといえば黒いプラスチック(セルロイドというのかな。よくわからない。SPレコードの時代は確かにセルロイドでできていた。某国営放送の朝ドラではセドドイドと呼ばれていた)で出来ている物であるが、ソノシートは通常赤の透明なちょっと硬質なビニールのような素材で出来ているものを指す。
もちろん、通常のレコードよりも耐久性がない。
いまのCD−ROMのように、おまけとして主にオコチャマ向けの雑誌などに付ける物だった。
私は白色の半透明な、"動物の叫び声"ソノシートシリーズを持っていた。
中にはガラガラヘビの音とかも入っていて、全20枚くらいの大作だった。
ガラガラヘビの説明に、「近寄るな。毒を持っているぞ」という、ナレーションを今でも覚えている。
話がそれたかもしれない。
ソノシートであるが、その後の技術かもしれないが、基本的に色は何でもいいようだ。
アニメ音楽としては、このソノシートが私の大好きだったアニメ、初代"パーマン"につながっていくのだ。
たしか、"オバQ"や"マッハGOGOGO!"も持っていたような気がする。
そう、石川進さんの歌、大好きでした。

アニメソングとの出会いはその後、"いなかっぺ大将"や"宇宙戦艦ヤマト"につながっていく。
"宇宙戦艦ヤマト"を聞きながら、どうしてアニソンというものはこうも合唱団的な音楽が多いのだろうか、もっと歌謡曲的な歌ではダメなのだろうかと考え始めた矢先に、"キャッツアイ"と巡り会った。
"宇宙戦艦ヤマト"はアニメを変えたと言われているが、"キャッツアイ"はアニソンを変えた。
初めて当時の歌謡曲的な歌を採用したのが、杏里の歌う"キャッツアイ"のテーマだったのである。
作品がまっとうならアニメのLPが売れるというのは、"宇宙戦艦ヤマト"ですでに実証されていたが、ポップス的にするともっと売れるというスタイルを築いたのだ。
そして何年かすると、私も何枚か買い集めた"機動戦士ガンダム"へと続いたのであった。

ちなみに父親のオーディオ熱はその後、本格的なオーディオマニアへと発展し、電磁レリーズ(たしか、こんな名前だった。スイッチを入れると、電磁リレーのようにバチッ!と作動する操作スイッチのことを当時そう呼んでいた。)つきのティアック製オープンテープレコーダーを使用するようになっていった。
私は、その頃には特にお気に入りの時だけに使用する(オープンテープのような音がする)デュアドカセットが気に入っていたが、さらにオープンテープ独特の響きと同じ低音が出るLカセットに憧れた。
そしてそのLカセットは、今は影も形も見あたらない。
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