TWO-OVER-ONE
by Eric Rodwell
オークションの仕上げ：どこで，どの代で

2/1 GF の後では，
　　(1)  どこに コントラクトがあるか，
　　(2)  どの代で (ゲームか スラムか)
このふたつが残された課題です。このとき，(1) を優先することが大切です。
　すなわち，(1) コントラクトの種別をまず決定し，その後で (2) スラムの有無を調べます。

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　求めるコントラクトがどこにあるかを決めるにあたっては
　　　･  8+ 枚のメジャー･フィット，
　　　･  ノートランプ,
　　　･  8+ 枚のマイナー･フィット,
を この順序で探します。
　これによりコントラクトの種別がすぐに決まることもありますが，時によっては，レスポンダが 2回ビッドしたのに未だ決まらないということもあります。
　もちろん，早く決まれば，すぐにスラム探しができるので有利です。

(Hand-1)

West A J 10 6 2 K 8 3 A 6 4 5 2      East 8 3 A Q 10 6 4 K Q 5 2 Q 8      West East 1 2 3

　この場合には，West の 2 回目のビッドで 切り札が ハートに決まります。
1-2 だけは 例外的に 5 枚の ハートを保証するので，West は 3 枚でサポートできます。
　上の例は切り札が簡単に決まった場合ですが，実際には，切り札が決まるまでに オークションは さまざまの経過を辿ります。
　例をいくつか挙げましょう。

(Hand-2)

West A J 10 5 4 2 3 Q 4 A 7 5 3      East 3 A K Q 6 4 K 2 K Q 9 6 2      West East 1 2 2 3 4 4NT 5 6 Pass

　この場合，2 回目のビッドで West が 6 枚のスペードを示しますが，それでも切り札は決まらず，3 回目のビッド 4で 漸くクラブに落ち着きます。

(Hand-3)

West K J 8 5 2 A 8 4 3 A 6 3 3      East Q 3 K Q 9 2 5 4 2 A Q 10 2      West East 1 2 2 3 4 Pass

　West が 2 回目のビッドで 4 枚の ハートを示すと，それを East が 4 枚で サポートして，切り札が ハートに決まります。

(Hand-4)

West A J 8 5 2 A 10 9 3 3 K 7 3      East 6 3 J 5 2 K Q J 10 2 A Q 4      West East 1 2 2 2NT 3NT Pass

　メジャースートで 8+ 枚のフィットが見つからなければ，ノートランプに納まるのが普通です。この例では，West が 5 枚と 4 枚を示したのに対して，East は , に値打ちのある手なので，ノートランプをビッドします。
　この場合, East のビッドは 2NT で十分です。3NT にジャンプする必要はありません｡ この 2NT に対して もしも West が 3 をビッドして ハート 5 枚を示せば, 4 に上がれます。 　ゲームがあることは，もう分かっています。では，スラムに行くにはどれだけの強さが必要でしょうか ? 基本の数値は スモール･スラムで 33 pts，グランド･スラムで 37 pts とされています。このとき 心に留めるべきことは
　　　(1)　HCP,
　　　(2)　分布点 (LP, DP),
　　　(3)　切り札のフィット,
　　　(4)　コントロール,
この 4 つです。
　ノートランプのスラムの場合には，定量的なやり方で決めます。
どちらかのプレイヤーが 狭い点数範囲の バランス･ハンド (または セミ･バランス･ハンド) を示すと，そのパートナーは，自分の手の強さを合算して スラムの有無を判定できます｡

West K Q 3 K 9 5 K Q J 4 8 6 3

East A 7 6 A Q 7 A 6 2 K Q J 5

West East 1 2 2NT 6NT Pass

　West の 1 オープンは 13+ pts を示します。これに対して レスポンダは 20 HCP を持っているので，スモール･スラムがあることを知ります。でも どこに コントラクトがあるかは 未だ分かりません。オープナーが 2NT をビッドして バランス･ハンドであることを示すと，自分もバランス･ハンドなので 6NT をビッドします。 　長いスートは，ノートランプでトリックを稼ぐのに役立ちます。

West K J 8 7 3 K 8 2 Q 4 K 6 3

East A Q A 7 3 A K J 8 3 J 9 5

West East 1 2 2NT 6NT Pass

　West は 5 枚のスペードと 12 HCP + 1 LP () = 13 pts で 1 オープンしました｡
　East は 19 HCP + 1 LP() = 20 pts なので，HCP は 合計 31 ですが，33 pts あるので 6NT に行けます。
　ここで，もしもスラムの可能性が微妙だと思えば，定量 4NT により打診します｡

West A J 5 Q 10 7 3 2 K 10 3 Q 4

East K Q 6 J 4 A 9 8 A K J 7 5

West East 1 2 2NT 4NT Pass

　18 HCP + 1 LP = 19 pts の East は 4NT をビッドして West をスラムに誘います｡ West は，オープンできる ぎりぎりの手 (12 HCP + 1 LP = 13 pts) なので, この 誘いを断ってパスします。

West A Q J 8 2 A J 5 K 6 K 8 2

East 10 4 K 8 2 A Q J 10 4 A 10 5

West East 1 2 2NT 3NT 4NT 6NT Pass

　West の手は 18 HCP + 1 LP = 19 pts なので，1NT オープンするには強すぎます。2 回目にノートランプをコールして それを East が受け入れると，定量 4NT により East をスラムに誘います。14 HCP + 1 LP = 15 pts を持つ East は，この 誘いに乗って  6NT に上がります。 　スートのコントラクトでも，長いスートはトリックを取る上で有効です。切り札以外でも，長さによって トリックを取れるからです。したがって，ディクレアラーも ダミーも どちらも 長さ点 (LP) を加えて 手を評価します。
　他方，短いスートは，相手スートが走るのを止め，また ダミーでラフできれば トリックを稼ぎます。ダミー点の表は，切り札 3 枚と 4 枚の場合に分けて既に 示しました。

West A K J 4 3 K Q 9 4 5 A 8 5

East Q 5 A J 10 7 3 2 Q 7 2 Q 6

West East 1 2 3 4 4NT 5 6 Pass

　切り札が ハートに決まると，オープナーはダミー点で数えます。
17 HCP + 3 DP = 20 pts となるので，スラムを狙う強さが十分にあります。
そこで ブラックウッドして Ace の枚数を確認します。 　　2/1 GF システムの長所は，切り札スートをゆっくり探せる点です。
殊に，スラムを狙うときには，切り札のフィットを見つけることが肝要です。
　下に示すのは，8 枚の切り札が なかなか 見つからない例です。

West A Q J 7 5 3 A K Q J 5 4 3

East 4 9 8 3 K Q J A Q J 6 4 2

West East 1 2 2 3 3 3NT Pass

　West は スペード 6 枚と 17 HCP + 2 LP = 19 pts を持っています。
　East は クラブ 6 枚と 13 HCP + 2 LP = 15 pts を持っています。
合わせて 34 pts なので，スラム圏内です。しかし，切り札がうまく見つからないので，スラムを諦めて，ゲームで留まるしかありません。なぜなら，走れるスートが無い上に，行ったり来たりするためのエントリがありません。

West A J 8 6 3 A 7 4 K 9 3 7 3

East 4 K Q 10 8 6 3 2 A 4 K Q 4

West East 1 2 3 4NT 5 6 Pass

　こちらは 上より少ない 26 HCP ですが，このように切り札が見つかると，Ace の枚数だけで East は スラムの有無を判断できます。 　スート･コントラクトでスラムを達成するには，コントロールが必要です。
コントロールを調べるには
　　　･  ブラックウッド
　　　･  コントロール･ビッド
を使います。

West A K 8 5 2 K Q 8 3 K 6 K 3

East J 3 A J 10 9 6 A 5 4 2 Q 8

West East 1 2 3 4 4NT 5 6 Pass

　West は 18 HCP の とても強い手で，2 を 3 に上げます。East は下限の手なので，ゲームに上げます。しかし，East が最低でも 13 pts を持っているので，West はスラムを狙ってブラックウッドします。

West A J 8 5 2 J 10 3 A 6 2 Q 3

East K 3 K Q 9 8 7 6 2 K Q A 8

West East 1 2 3 4NT 5 6 Pass

　今度は，East が強い札を持っています。切り札が ハートに決まると，East はブラックウッドを打ち上げて Ace の枚数を調べます。2 枚との返事が返ってくれば，自信を持ってスモール･スラムに行きます。

West K J 8 5 2 A J 3 A Q J J 3

East A 3 K Q 10 9 8 5 4 6 2 K Q

West East 1 2 3 3 4 4NT 5 6 Pass

　この場合には，どちらの側にも 強さがあります。
切り札が ハートに決まると，East はキュービッド 3 により スペードのコントロールを示します。 これに West がキュービッド 4 で応じるので，East はブラックウッドします。

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　Eric Rodwell："Finishing the Auction" (2007 November/December)
　Eric Rodwell："How High：Game or Slam?" (2008 November/December)