曲った時空< 目次へ >
曲線や曲面が曲っているのは直観的に解るが、空間が曲っているというのはなかなか理解しにくいものである。それを理解するには曲率の数学や、平坦な空間での曲線座標系を学び、曲率を定義し、それを一般相対性理論で取り扱う四次元空間に適用すればよい。
1. 局 所 慣 性 系
等価原理により適当な座標系を選ぶ事で、重力の大きさをどのようにでも変える事が出来る。例えば加速度αで上昇しているロケットの中での重力は地球の重力+αである。自由落下しているエレベータの内部では重力は打ち消され無重力状態になっている。このようにして重力を消し去った基準系を局所慣性系又は局所ローレンツ系と呼ぶ。これはエレベータの内部の重力が一様である事を仮定している。エレベータ内部の重力が非一様、下の方が強いとすると、下の方にある物体は重力が強い分だけ下の方に動き慣性系でなくなる。このように大域的な慣性系を作る事は不可能である。しかしどんな重力場も時間と空間の十分小さな領域にわたっては一様と見なす事が出来る。従っていつも局所慣性系を作る事が出来る。それらは加速された粒子の瞬間的共動慣性系(=MCR系)に類似したものである。重力場の非一様性は潮の干満を引き起こす。この見かけ上生じる力を潮汐力と言う。もし地球が一様な重力場の中にあれば、潮の干満は起こらない。月と太陽の重力場の地球の直径にわたる違いによって潮の干満が起こる。
(1) 局所平坦性
局所慣性系は当然局所的に平坦である。
特殊相対論に於けるミンコフスキー空間は、ユークリッド幾何学の平行線の公理に従うから平坦なである。しかしそのメトリックはユークリッド空間のそれとは異なるのでユークリッド空間ではない。光子は固有長ゼロのまっすぐな世界線上を動く。従って特殊相対論は平坦な非ユークリッド幾何学に従う。 非一様な重力場では平行に動き始めた二つの近接した粒子の世界線は一般に平行にとどまってない。従って重力のある時空は平坦でない。ユークリッド幾何学で平行線の公理を落とすと、曲った空間が得られる。例えば、球の表面は曲っている。球面上での局所的な直線を伸ばしていくと大円になり、二つの大円は必ず交わる。それでも任意の点に十分近い範囲では幾何学は平坦であると見なす事が出来る。一つの街の地図は一枚の紙の上に歪みなしに描く事が出来る。しかし地球全体についてしようとすれば失敗する。球はこのように局所的に平坦である。 (2) 局所平坦性のメトリックによる数学的表現
特殊相対論では時空が平坦であったからgαβ=ηαβであったが、一般相対論では上で述べた様に重力が存在する為に、大域的にはそういう系は存在しない。しかし局所的にはgαβ=ηαβとなる系が存在する。
線形代数のよく知られた定理によりgαβをgαβ=ηαβとする事が可能である。 (詳細は付録1:正方行列の対角行列への変換を参照)
曲った空間上の任意の点Pを原点とし ◆ gαβ(P)=ηαβ ・・・・・・・・・・・・・・・ (1) Pの近傍でもg=ηからのずれが微小であるためには ◆ ∂gαβ(P)/∂Xγ=0 ――→ Γαβγ=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (2) 空間が厳密に平坦でなければ ◆ ∂2gαβ(P)/∂Xγ∂X μ≠ 0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (3) 局所慣性系が存在するというのは、どのように曲った空間でも、任意の点において、その空間に接する平坦な空間が存在するという事である。局所慣性系で成り立つテンソル方程式は一般の座標系でも成り立つ。(一般の座標系から局所慣性系へのテンソルの成分の変換で証明できる。) 【局所平坦性の証明】
一般にgαβは場所の複雑な関数である為あらゆる座標を使い、あらゆる変換を使って一般座標系を
局所慣性系へ変換しなければならない。
変換行列Λとgを点P(その座標をXμ'とする)の回りでテーラー展開する。 Λαμ'()=Λαμ' (P) + (Xγ'ーXγ'0) +(Xγ'ーX γ'0)(Xλ'ーXλ'0) =Λαμ'(P) + (Xγ'ーX γ'0) +(Xγ'ーXγ'0)(Xλ'ーX λ'0) ・・・(4) 同様に Λβν'()=Λβν' (P) + (Xγ'ーXγ'0) +(Xγ'ーX γ'0)(Xλ'ーXλ'0) =Λβν'(P) + (Xγ'ーX γ'0) +(Xγ'ーXγ'0)(Xλ'ーX λ'0) ・・・(5) 同様にメトリックもテーラー展開して gαβ()=gαβ(P) + (Xγ'ーXγ'0) +(Xγ'ーXγ'0)(Xλ'ー Xλ'0) ・・・(6) 変換式は gμ'ν'=Λαμ'Λβν'gα β (4),(5),(6)を上の変換式の右辺に代入すると gμ'ν'()= Λαμ'Λβν'gαβ + (X γ'ーXγ'0) ( Λαμ'Λβν'gαβ,γ' +Λαμ'gαβ +Λβν'gαβ ) + (Xγ'ーX γ'0)(Xλ'ーXλ'0) ( Λαμ'Λβν'gαβ,λ'γ' +Λαμ'gαβ +Λβν'gαβ ) (1)を満たす事は、下記の式を満たす事である。 ημ'ν'=Λαμ'Λβν'g αβ 上の式はηが対称なのでΛについての10個(μ'=0〜3、ν'=μ'〜3)の連立方程式になる。未知数Λも10個 なので上の式を満足する変換行列Λαμ'が存在する。故に(1)が成り立つ。 局所慣性系が存在するにはP点の近傍においてもηとの差が微小でなければならない.そのためにgの 展開式の1次の項(=(Xγ'ーXγ'0)の項)が0でなければならない。つまり下記の 式が成り立つ事である。 Λαμ'Λβν'gαβ,γ'+ Λαμ'gαβ + Λβν'gαβ = 0 上の式において = 0 , = 0 なら Λαμ'Λβν'g αβ,γ' = 0 である。 = 0 も Λαμ'Λβ ν'gαβ,γ' = 0 も40個の式である。 従って = Λβν',γ' = 0 , = 0 と決めれば(2)が成り立つ。 2次の項に於いて、100個の式gα'β',μ'λ' = 0 を満足す るように、Λα'μ',γ'λ'を決める事は出来ない。何故ならΛα'μ', γ'λ'は80個であるから、80個の2階微分は消す事が出来るが、20個の2階微分は消す事が 出来ない。従って(3)が成り立つ。平坦な空間では全てが0になる。
2. 共 変 微 分
局所慣性系は局所的には全てが特殊相対論的である系であり、これらの基底ベクトルの微分はゼロである。従ってベクトル の共変微分は、クリストッフェル記号が消えて、単なる成分の偏微分で与えられる。即ち
Vα;β=Vα,β (この系の点Pで) gα;β=gα,β=0 (点Pで) gα;β=0 はテンソル方程式なので一般の座標系でも成り立つ。 曲った空間の任意の座標系でも ◆ Γμαβ=Γμβα ・・・・・・・・・・・・・・・ (7) ◆ Γαμν=gαβ ( gβμ,ν+gβν,μーgμν,β ) ・・・・・・・・・・・・・・・ (8) ◆ Vα;β=Vα,β+ΓαμβV μ ・・・・・・・・・・・・・・・ (9) ◆ Pα;β=Pα,βーΓμαβPμ ・・・・・・・・・・・・・・・ (10) ◆ Tαβ;γ=Tαβ,γ+ΓαμγT μβ+ΓβμγTαμ ・・・・・・・・・・・・・・・ (11) が成り立つ。 (曲線座標系の 7. 共 変 微 分 と 9. クリストッフェル 記号とメトリックを参照) 局所慣性系では Γμαβ=0 であるが、この系での点Pに於ける Γμαβ の微分は gαβ,μν を含むので一般には 全部がゼロにはならない。しかし時空が平坦なら Γμαβ の微分はゼロである。曲っ た空間と平坦な空間との違いは、任意の点でのクリストッフェル記号の微分(=メトリックの2回微分)に現れる。 【発散の公式】
任意のベクトル場が与えられた時、その発散は下記の式になる。
Vα;α=Vα,α+ΓαμαV μ 上の式にはクリストッフェル記号のところに和が含まれており Γαμα=gαβ( gβμ,α+gβα,μーgμα,β ) =gαβgβμ,αーgαβgμα,β+gαβgβα,μ となる。第1項のダミーの添字αとβを αーー>γ ,βーー>σ に 第2項のダミーの添字αとβを αーー>σ ,βーー>γにそれぞれ書き換えると Γαμα=gαβgβα,μ 行列(gαβ)の行列式をgとする。gの微分は g,μ=ggαβgβα,μ (付録4:行列式の微分を参照) 従って ◆ Γαμα=g,μ/2g=(),μ/2g=(),μ/ ・・・・・・・・・ (12) 故に ◆ Vα;α=Vα,α+Vα(),α/=(Vα),α/ ・・・・・・・・・ (13) 行列式gの値が負ならgをーgで置き換える。 曲線座標系 8. 発散とラプラシアンで求めた極座標に於ける発散と上の式での発散とを比べてみる。 行列式g=r2 だから =r。これを上の式に代入すると Vα;α=(rVα),α/r= + + Vr = (rVr ) + Vθ と先に計算したのと一致する。 一形式の発散は上の式のVαの代わりに、メトリックを使って一形式(=勾配)を写像したベクトル勾配を使用する。 ◆ Vα;α=(gαβφ,β),α/ ・・・・・・・・・・・・・・・ (14) 極座標での一形式の発散を上の式を使って求めると Vα;α=(φ,r),r/+(φ,θ/r2),θ/ =(rφ,r),r/r+(φ,θ/r>),θ/r = + + と先に計算したのと一致する。 テンソル場Tの発散は下記の式になる。 ◆ Tαβ;β=Tαβ,β+ΓαμβT μβ+ΓβμβTαμ ・・・・・・・・・・・・・・・ (15)
3. 平 行 移 動
ベクトルVを点Pから接近したQへ移動させた時、局所慣性系におけるベクトルVの成分が変わらない時、これを平行移動であるという。どの様に曲った空間でも任意の点においてその空間に接する平坦な空間があるのでその空間上で平行移動を行えばよい。
左に平坦な空間中で曲線によって作られた三角形の閉じた経路が描かれている。Aから出発して、すぐ前の点でのベクトル に平行なベクトルを各点で描く。このやり方でA、B、Cを回ってAに戻ってくる。最後に点Aで描かれたベクトルは空間 が平坦であるため、もとのベクトルに平行である。
球面上では上の場合と全く異なる。Aから出発して平行移動させながらB、Cを回ってAに戻ってきた時のベクトルは最初 のベクトルに平行でない。この様な性質は曲面の一般的な性質で、平坦な空間では起こらない。曲った空間では局所的には ベクトルを平行に保ってその長さを変えないように移動する事が出来るが、大域的に平行なベクトル場を定義する事は不可能である。
上で述べた平行移動を数式で表す。 ベクトル場 が下図の様にある曲線上の各点で定義されている。 ベクトル = は曲線に接するベクトルである。( は曲線の位置ベクトル。λは曲線に沿 ったパラメーター ) =(X0,X1,X2,X 3) =( ,,, ) = が平行移動の時、局所慣性系では点Pでの の 成分は曲線に沿って一定でなくてはならない。即ち =0 書き換えると =UβVα,β=U βVα;β=0 UβVα;β=0が成り立つのは、局所慣性系ではクリストッフェル記号(=Γ αμβ)が0だからである。 故に平行移動の条件として ◆ UβVα;β=0 Vα;β=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (16) Vα;β=0 はテンソル方程式なので一般の系でも成り立つ式である。
4. 測 地 線
測地線とは二つの点を結ぶ最短の経路の事である。局所慣性系では物体は重力を感じないで直線運動をする。その軌道に沿って次々と局所慣性系をつないでいけば物体の運動の軌跡が分かる。
前章で一般のベクトル の平行移動を考えた。この を に代えた、即ち接線ベクトル を平行移動させた式が測地線の方程式になる。
UβUα;β=UβUα,β+Γαμβ UμUβ=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (17) λを曲線のパラメーターとすると、UβUα,β なので上の式は ◆ +Γαμβ = 0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (18) となる。これが測地線の方程式である。クリストッフェル記号は座標{Xα}の既知関数であるから、この式はXα(λ)の4元連立2階非線形の微分方程式である。これは λ=λ0 で Xα0=Xα(λ0) と Uα0=(dXα/dλ)λ0 という初期条件が与えられればただ一つの解をもつ。従って初期の位置(Xα0)と初期の方向(Uα0)を与える事でただ一つの測地線が得られる。 平坦な空間ではクリストッフェル記号は消えるので測地線の式は = 0 となる。これを解くと(二次元で) X1=aλ+b , X2=cλ+d Y=AX +B と直線の式となる。 曲った空間の時には、重力場の方程式でメトリックを求める事でクリストッフェル記号の値が決まる。それを測地線の方程式に代入して測地線を求める。 λがある測地線のパラメーターで、新しいパラメーターを定数aとbを使って φ=aλ+b で定義するとφは上記の測地線の方程式が成り立つパラメーターであって + Γαμβ = 0 となる。一般的にはφのようなλの線形変換によってのみ測地線の方程式を満たす新しいパラメーターが与えられる。このようなλやφのようなパラメーターをアフィンパラメーターという。
5. 曲 率 テ ン ソ ル
メトリックは時空が平坦であるか曲っているかを表し、その1階微分は時空の傾き(勾配)ともいうべき量であるから、クリストッフェル記号は時空の各点における接線や接平面の傾きのように狭い範囲の直線的な性質を表現するものである。曲率テンソルはメトリックの2階微分であるから、これは接平面の傾きが変化する割合を表し、曲面の曲率を特徴づけるものである。
曲率を求めるために 「3. 平 行 移 動」 で述べた閉じた曲線のまわりでベクトルを平行移動する例に戻る。曲面の上でベクトルを平行移動する時、経路によってちがった結果になる。それを表すのがリーマンの曲率テンソルである、これを曲率の定義に使う。
左図のように、空間の中に非常に小さい閉じた曲線を考える。曲面においてベクトルVαをAからB1を経てCまで微小距離だけ平行移動させた時と、AからB2を経てCまで平行移動させた時とでは一般にちがう結果になる。このちがいは曲面の曲率と関係がある。
点Aで定義されたベクトル が点B1に平行移動される。平行移動の法
則 Vα;ρ=Vα,ρ+ΓαλρV λ=0 より=ーΓαλρVλ 従って点B1でのベクトルの成分は Vα(B1) = Vα(A)+ = Vα(A)ー = Vα(A)ーΓαλρVλ(A)d 1Xρ ・・・・・・・・・・・・・・・ (19) 同様に点B1から点Cへ平行移動させた時の点Cでのベクトルの成分は Vα(C) = Vα(B1)ー[Γαβν] B1 Vβ(B1)d2Xν ・・・・・・・・・・・・・・・ (20) [Γαβν]B1 は点B1に於ける Γαβν の値で、単なる Γαβν は点Aに於け る値である。 [Γαβν]B1 = Γαβν+ Γαβνd1Xμ である。従って [Γαβν]B1 Vβ(B1) = (Γαβν+ Γαβνd1Xμ)(Vβ(A)ー ΓβλρVλ(A)d1Xρ) ΓαβνVβ(A)ー ΓαβνΓβλρVλ(A)d1Xρ +( Γαβνd1Xμ )(Vβ(A)) ・・・・・ (21) (19)と(21)を(20)の右辺に代入すると Vα(C) = Vα(A)ーΓαλρVλ( A)d1Xρ ー[ΓαβνVβ(A)ー ΓαβνΓβλρVλ(A)d1Xρ +( Γαβνd1Xμ )(Vβ(A))]d2Xν = Vα(A)ーΓαλρVλ(A)d1X ρーΓαβνVβ(A)d2Xν +ΓαβνΓβλρVλ(A)d1X ρd2Xν ー ΓαβνVβ(A)d 1Xμd2Xν 上の式の右辺の第四項のダミーの添字、λ→β,β→τ,ρ→μ にそれぞれ書き換えると Vα(C) = Vα(A)ーΓαλρVλ( A)d1XρーΓαβνVβ(A)d2X ν +ΓατνΓτβμVβ(A)d 1Xμd2Xν ー ΓαβνVβ(A)d 1Xμd2Xν 右辺の第三項と第四項を共通項、Vβ(A)d1Xμd2Xνで 括ると Vα(C) = Vα(A)ーΓαλρVλ( A)d1XρーΓαβνVβ(A)d2X ν +(ΓατνΓτβμ ー Γαβν)Vβ(A)d 1Xμd2Xν ・・・・・・・・・・・・ (22) 上の式がA→B1→Cとベクトルを平行移動させた時のC点に於けるベクトルの成分である。 A→B2→Cとベクトルを平行移動させた時のC点に於けるベクトルの成分も同様に計算して求まるが、(22) の式でd1Xとd2Xを取り換えれば簡単に求まる。即ち Vα(C) = Vα(A)ーΓαλρVλ( A)d2XρーΓαβνVβ(A)d1X ν +(ΓατνΓτβμ ー Γαβν)Vβ(A)d 2Xμd1Xν ダミーの添字をそれぞれ書き換えると Vα(C) = Vα(A)ーΓαβνVβ( A)d2XνーΓαλρVλ(A)d1X ρ +(ΓατμΓτβν ー Γαβμ)Vβ(A)d 1Xμd2Xν ・・・・・・・・・・・・ (23) (23)から(22)を引き、経路の違いによる点Cでのベクトルの成分の差、δVα(C)を求めると δVα(C) = RαβμνVβ(A)d 1Xμd2Xν ここで ◆ Rαβμν = Γαβν,μー Γαβμ,ν+ΓατμΓτβνー ΓατνΓτβμ ・・・・・・・・・・・ (24) Rαβμνは「リーマンの曲率テンソル」と呼ばれ、ユークリッド幾何学の平行線の公理の破れ、即ち空間の歪みの程度を表す四階の(1,3)テンソルである。 空間が平坦なら Rαβμν = 0 である。
6. 測地線偏差の方程式
曲がった座標系では平行線は延長していくと平行でなくなる。この事をリーマンテンソル及び連結ベクトルを使って定式化した方程式を測地線偏差の方程式という。
左図の様に点AとA'に於いて平行で互いに接近した接ベクトル と をもつ、二つの測地線を考える。アフィンパラメーターをλとする。(λは曲線に沿ったパラメータだからτ(=固有時間)でもよい)
点Aでは全てのクリストッフェル記号が消えるから、点Aでの測地線方程式は一方から他方へ達する連結ベクトル を定義する。この はλで測って同じ間隔の点どうしを連結するものである。 (例えばAとA'、BとB'のように) 簡単化のために点Aでの局所慣性系座標をとり、その中で座標軸X0と測地線の方向が一致しているとする。従って点AではVα=δα0である。 =0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (25) となる。点A'ではクリストッフェル記号は消えないので、点A'での測地線方程式は +Γα00(A')=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (26) である。ここで点A'に於いてやはりVα=δα0となるように座標系を選んだ。 AとA'は だけしか離れていないので Γα00(A') Γα00,βξβ ・・・・・・・・・・・・・・・ (27) が成り立つ。(テーラーの定理 f(a+x)−f(a) xf'(a) を応用する。) 式(26)と(27)より =ーΓα00,βξβ ・・・・・・・・・・・・・・・ (28) ベクトル の成分ξαは、xα(λ,測地線 )ーxα(λ,測地線 )で与えられる。従って点Aで = ー = ーΓα00,βξβ ・・・・・・・・・・・・・・・ (29) となる。成分ξαの完全な2階の共変微分、∇v∇v を求める。 ∇v∇vξα = ∇v(∇vξα) = (∇vξα)+Γαβ0(∇vξβ) ・・・・・・・・・ (30) (最後の項のクリストッフェル記号の添字0は dλ=dτ=dt より0である) 局所慣性系では点Aにおいてクリストッフェル記号は消え(Γαβ0=0)、クリストッフェル記号の微分は消えないので ∇v∇vξα = (∇vξα) = (ξα+Γαβ0ξβ) = ξα+Γαβ0,0ξβ が点Aで成り立つ。式(29)と上の式より ∇v∇vξα = (Γαβ0,0ーΓα00,β)ξβ ・・・・・・・・・・・・・・・ (31) 式(24)より、Γαβ0,0ーΓα00,β = Rα00βなので ∇v∇vξα = Rα00βξβ = RαμνβVμVνξβ (∵ Vμ= δμ0だから) が得られる。最終的な結果は系に依存せず、従って、任意の基底で ◆ ∇v∇vξα = RαμνβVμVνξβ ・・・・・・・・・・・・・・・ (32) である。平坦な空間での測地線は Rαμνβ=0 なのでその間隔は変化しない。しかし、曲がった空間ではその間隔は変化する。この式を測地線偏差の方程式という。この式は重力波の偏りを計算する時に用いられる。
7. ビアンキの恒等式
ビアンキの恒等式を証明する前に点Pに於ける局所慣性系での
リーマンの曲率テンソルRの成分を調べておく。
局所慣性系では Γαμν=0 であるが、メトリックの2階の微分は0でないから Γαμν,σ=gαβ ( gβμ,νσ+gβν,μσーgμν,βσ ) 点Pで Γαμν=0 だから、式(24)のリーマンの曲率の右辺の第三項(ΓατμΓτβν)と 第四項( ΓατνΓτβμ)は0となる。従って Rαβμν = Γαβν,μー Γαβμ,ν = gασ ( gσβ,νμ+gσν,βμーgβν,σμ ーgσβ,μνーgσμ,βν+gβμ,σν) メトリックは対称で、偏微分は常に交換可能だから gσβ,νμ=gσβ,μν よって、点Pに於ける局所慣性系での リーマンの曲率テンソルRは ◆ Rαβμν = gασ (gσν,βμーgσμ,βν+gβμ, σνーgβν,σμ) ・・・・・・・・・・・ (33) が得られる。添字αを(点Pでのこの座標系で)下げると Rαβμν = gαλRλβμν = gαλgλσ ( gσν,βμーgσμ,βν+gβμ,σνーgβν,σμ) gαλgλσは α=λ=σの時だけ0でないから ◆ Rαβμν = (gαν, βμーgαμ,βν+gβμ,ανーgβν,αμ ) ・・・・・・・・・・・・ (34) 上の式より下記の二つの式が容易に導かれる。 ◆ Rαβμν=ーRβαμν=−Rαβνμ=Rμναβ・・・・・・・・・・・・・・・ (35) ◆ Rαβμν+Rανβμ+Rαμνβ=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (36) 式(35)に於いて、Rαβμνは最初の二つの添字の中での入れ換えについてと、又次の二つの添字の中での 入れ換えについて反対称であり、最初の二つの添字と次の二つの添字の同時の入れ換えに対して対称である。 この為、Rαβμνの独立な成分の数は21個になる。 式(36)は式(35)と独立な独立なものとしては、一つだけの関係式を与え、従って独立な成分の数を20個に減らす。 (33)と(34)は共変微分でなく偏微分があるからテンソル方程式でない。従ってその形が導かれた座標系のみで成り立つ式である。(35)と(36)は一つの座標系で成り立つテンソル方程式だから、全ての基底に対して成り立つ。 (34)をxλで微分し、その結果を局所慣性系で考える。 Rαβμν,λ = (gαν, βμλーgαμ,βνλ+gβμ,ανλーgβν,αμ λ ) 上の式において添字(λ,μ,ν)を順に入れ替えた式、Rαβμν,λ 、Rαβλμ,ν 、R αβνλ,μをそれぞれ加えると、偏微分は交換可能(=偏微分する順序の無関係性)だから0になる。 Rαβμν,λ+Rαβλμ,ν+Rαβνλ,μ=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (37) 局所慣性系では Γμαβ=0 だから下記の式も成り立つ。 ◆ Rαβμν;λ+Rαβλμ;ν+Rαβνλ;μ=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (38) この式はテンソル方程式なので、任意の系で成り立つ。これを「ビアンキの恒等式」という。添字αを上付けにした下記の式も成り立つ。 ◆ Rαβμν;λ+Rαβλμ;ν+Rαβνλ;μ=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (39) 【証明】
局所慣性系ではリーマンの曲率テンソルは下記の式になる。
Rαβμν = Γαβν,μー Γαβμ,ν λで微分する。局所慣性系だから Rαβμν,λ = Rαβμν;λ = Γαβν,μλー Γαβμ,νλ が成り立つ。 上の式において添字(λ,μ,ν)を順に入れ替えた式、Rαβμν;λ 、Rα βλμ;ν 、Rα βνλ;μをそれぞれ加えると、偏微分する順序の無関係性から0に なる。従って添字αが上付けの場合もビアンキの恒等式がが成り立つ。この式はテンソル方程式なので、任意の系で成り立 つ。
8. リッチテンソル、リッチスカラー
リーマンの曲率テンソルで第一と第三の添え字を縮約して得られるテンソルをリッチテンソルという。リッチテンソルは対称テンソルである。
◆ Rαβ=Rμαμβ=Rβα ( Rαβ= R0α0β+R1α1β+R2α2β+R 3α3β ) ・・・・・ (40) 下記の式で、クリストッフェル記号から直接リッチテンソルを求める事が出来る。 ◆ Rαβ=Rμαμβ=Γμαβ,μー Γμαμ,β+ΓμσμΓσαβー ΓμσβΓσαμ ・・・・・ (41) 【リッチテンソルの対称性の証明】
6. ビアンキの恒等式の式(3)において、Rαβμν=Rμναβ の両辺に gαμ を掛ける。
同様にリッチテンソルをメトリックで縮約した下記の量をリッチスカラー又はスカラー曲率という。これはスカラーなので、座標の選び方には関係のない、その空間の曲がり具合を表す量である。曲面論で、ガウスの曲率と呼ばれる量がある。これをKとすると、リッチスカラーとの間に R=2K という関係がある。gαμRαβμν=gαμRμναβ Rμβμν=Rαναβ Rβν=Rνβ 添え字 β→α ,ν→β にそれぞれ書き換えると Rαβ=Rβα ∴ リッチテンソルは対称テンソルである。 ◆ R=gμνRμν=gμνgαβRαμβν=Rμμ ・・・・・・・・・・・・・・・ (42) (Rμν=gαμRαν)
9. アインシュタイン・テンソル
アインシュタイン・テンソルを導く前にgαβ;μ=0、gαβ;μ=0である事を確認しておく。gαβ;μ=0は曲線座標系 9. クリストッフェル記号とメトリックを参照
gαβ;μについては局所慣性系で考える。gαβ,μ=0だから、gαβの要素からなる逆行列gαβの微分も0である。即ち gαβ,μ=0 gαβ;μ=0 ( ∵ 局所慣性系だから ) これはテンソル方程式だから一般の座標系でも成り立つ。 この二つの式でメトリックは共変微分に自由に出し入れが出来る。 ビアンキの恒等式に左からgαμを掛け、リッチの縮約を施す。 gαμ[Rαβμν;λ+Rαβλμ;ν+Rαβνλ;μ]=0 共変微分は通常の微分の積の規則に従うから (gαμRαβμν);λ=gαμ;λRαβμν+gαμRαβμν;λ gαμRαβμν;λ=(gαμRαβμν);λ (リッチの縮約を施した後、共変微分の記号 ;λ を付け加えてやればよい) 従って前述の式の第一項はRβν;λ、第二項は λとμが反対称だからRαβλμ;ν=−Rαβμλ;ν(6. ビアンキの恒等式 (3)を参照) 従って第二項は−Rβλ;ν、第三項はRμβνλ;μ よってビアンキの恒等式に左からgαμを掛けた結果は Rβν;λ−Rβλ;ν+Rμβνλ;μ=0 Rβν;λ−Rβλ;ν−Rμβλν;μ=0 上の式にさらにgβνを掛けると R;λ−Rμλ;μ−Rμλ;μ=0 Rμλ;μ−R;λ=0 R;λ=(δμλR);μ だから、上の式は (Rμλ−δμλR);μ=0 となる。gλνを掛けると (Rμν−gμνR);μ=0 Gμν=Rμν−gμνR とおくと ◆ Gμν;μ=0 ・・・・・・・・・・・・・・・ (43) ◆ Gμν=Rμν−gμνR=Gνμ ・・・・・・・・・・・・・・・ (44) この対称なテンソル(=Gμν)を「アインシュタイン・テンソル」という 。その発散(=Gμν;ν)はゼロである。アインシュタイン・テンソルは重力場の方程式の中で Gμν=8πTμν という形で登場する。Tμνはストレス-エネルギーテンソルである。
付録1:正方行列の対角行列への変換
対称な正方行列Aを対角行列(=対角要素以外の要素は0の行列)に変換し、その対角要素を-1,0,1のいずれかにする手順は次の様になる。
T.対角行列に変換するための変換行列Hを求める。
@行列Aの固有値を求める。
U.対角要素を-1,0,1のいずれかに変換するための変換行列NはA各固有値に対する固有ベクトルを求める。 BAの固有ベクトルを単位ベクトル化する。 CBのベクトルを列ベクトルとして固有値に対応する固有ベクトルの数だけ、固有値の小さい順に並べて行列Hを作成する。 HtAHは対角行列になる。その要素はAの固有値である。 NtHtAHNを計算すると、対角要素は-1,0,1のいずれかになる。 V.変換行列Λは次の様になる。 Λ=HN ΛtAΛ 又は Aμ'ν'=Λαμ'Λβν'Aαβ を計算すると、対角要素が-1,1の対角行列が求まる。 【具体例】
下記の対称行列Aを上に述べた手順で、Aの対角要素を-1,0,1の対角行列に変換する行列Λを求める。
固有値は上の右の式を解く事で求まる。固有値 λ1=−2.317,λ2=2,λ3=4.317 固有値−2.317に対する固有ベクトルの成分をX,Y,Zとすると Y=3X, Z=−4.317X, 従って固有値−2.317に対応する単位化した固有ベクトルは 同様に固有値2に対応する単位化した固有ベクトルは 同様に固有値4.317に対応する単位化した固有ベクトルは 故に直交行列H及び行列Nは 変換行列 Λ=HN を計算すると になる。ΛtAΛ 又は Aμ'ν'=Λαμ'Λβν'Aαβ を計算すると、対角要素が-1,1の対角行列が求まる。
付録2:独立な成分の数
(1) ∂2Xα/∂Xγ'∂Xμ'の独立な値の数は40
(γ' ,μ')の独立なペアは下記の表の様になる。
上の表より、組み合わせの数は n(n+1)個 n=4だから10個 αは4つの値をとれるから全部で40個の係数がある。 (2) ∂3Xα/∂Xλ'∂Xγ'∂X μ'の独立な値の数は80
(λ' ,γ' ,μ')の独立なペアは下記の表の様になる。
上の表より、組み合わせの数は n=4だから(λ' ,γ' ,μ')の対称的な組み合わせの数は20個 αは4つの値を独立にとれるから全部で80個の係数がある。 (3) gαβ,γ'μ'の独立な値の数は100
(1)より(α,β)に対して10個の、(γ',μ')に対して10個のそれぞれなペアがある。それらのペアは互いに独立であるから、10x10=100個が独立である。
(4) Rαβμνの独立な成分の数は21
ペア(α,β)及びペア(μ,ν)は反対称なので、それぞれ m= n(nー1) 個の独立な成分をもつ。
ペア(α,β)とペア(μ,ν)は対称なので、 m(m+1) 個の独立な成分をもつ。n=4 だから m=6 よって Rαβμν は 21個 の独立な成分の数をもつ。
付録3:曲率に関する情報の実例
球面座標等に於けるリーマン曲率、リッチテンソル、リッチスカラー又アインシュタイン・テンソル等を実際に計算してみる。リーマン曲率を計算するにはクリストッフェル記号とその微分が必要である。クリストッフェル記号を計算するには、メトリックとメトリックを微分したものとメトリックの逆行列が必要である。従って、先ずメトリックが必要である。
(1) ユークリッド平面での極座標
クリストッフェル記号は曲線座標系 6. クリストッフェル記号で既に計算しているので、それを使用する。
Γrθθ = −r , Γθrθ = , Γθθr = 有効なクリストッフェル記号は上記の三つで、後は0である。rで偏微分すると Γrθθ,r = −1 , Γθrθ,r = −1/r2 , Γθθr,r = −1/r2 リーマンの曲率テンソル Rαβμν = Γαβν,μー Γαβμ,ν+ΓατμΓτβνー ΓατνΓτβμ に於いて、α,β,μ,νにr及びθを代入して、リーマンの曲率テンソルの成分を計算すると、全て0になる。 座標系は曲線座標系であるが平面は平坦であるから、リーマンの曲率テンソル全て0になる。平坦な空間ではいたる所で Γαμν=0 となるような座標系が存在するが、この例のように Γαμν≠0 となる座標系を選ぶ事も可能である。 (2) 円柱表面のリーマン曲率テンソル
デカルト座標(X,Y,Z)と円柱座標(r,θ,Z)との間には次の関係がある。
X=rcosθ , Y=rsinθ , Z=Z 従って変換行列 Λαβ' は ∂X/∂r=cosθ , ∂Y/∂r=sinθ , ∂Z/ ∂r=0 ∂X/∂θ=-rsinθ , ∂Y/∂θ=rcosθ , ∂Z/∂θ=0 ∂X/∂Z=0 , ∂Y/∂Z=0 , ∂Z/∂Z=1 以下、極座標でのメトリックを求めた時と同様な方法で円柱座標でのメトリックを計算すると grr=1 , gθθ=r2 , gzz=1 , gθθ,r=2r メトリックの逆行列は grr=1 , gθθ=1/r2 , gzz=1 クリストッフェル記号を計算すると、有効なクリストッフェル記号は Γrθθ=ーr , Γθrθ=1/r , Γθθr=1/r rで偏微分すると Γrθθ,r = −1 , Γθrθ,r = − 1/r2 , Γθθr,r = −1/r2 リーマンの曲率テンソル Rαβμν = Γαβν,μー Γα βμ,ν+ΓατμΓτβνー Γατν Γτβμ に於いて、α,β,μ,νにr,θ及びZを代入して、リーマンの曲率テンソルの成分を計算すると、全て0になる。 円柱表面は曲っている様にみえるが、円柱表面での平行線はどこまで行っても平行であるから、リーマンの曲率テンソルの成分は全て0になる。 (3) 半径が一定の球の極座標での曲率に関する情報
デカルト座標(X,Y,Z)と球面座標(r,θ,φ)との間には次の関係がある。
X=rsinθcosφ , Y=rsinθsinφ , Z=rcosθ 極座標でのメトリックを求めた時と同様な方法で、変換行列 Λαβ' を求め、極座標でのメトリックを計算すると gθθ=r2 , gφφ=r2sin2θ , gφφ,θ=2r2sinθcosθ メトリックの逆行列は gθθ=1/r2 , gφφ=1/r2sin2θ クリストッフェル記号を計算すると、有効なクリストッフェル記号は Γθφφ=-sinθcosθ , Γφθφ=cosθ/sinθ , Γφφθ=cosθ/sinθ θで偏微分すると Γθφφ,θ = 2sin2θ-1 , Γφθφ,θ = − 1/sin2θ , Γφφθ,θ = −1/sin2θ リーマンの曲率テンソル Rαβμν = Γαβν,μー Γα βμ,ν+ΓατμΓτβνー Γατν Γτβμ に於いて、α,β,μ,νにθ及びφを代入して、リーマンの曲率テンソルの成分を計算すると、有効な成分は ・ Rθφθφ = sin2θ , Rθφφθ = -sin2θ , Rφθθφ = -1 , Rφθφθ = 1 リーマンの曲率テンソルの第一と第三の添字を縮約して得られるリッチテンソルの、有効な成分は ・ RCHθθ = 1 , RCHφφ = sin2θ リッチスカラー(=RSCALAR)を求める式 RSCALAR=gμνRCHμν により、リッチスカラーを計算すると ・ RSCALAR = 2/r2 (4) 線要素が下記のような多様体の曲率に関する情報
ds2=-e2φdt2+e2Λdr2+r2(dθ2+sin2θdφ2)
メトリックは
gtt=-e2φ , grr=e2Λ , gθθ=r2 , gφφ=r2sin2θ メトリックの逆行列は gtt=-1/e2φ , grr=1/e2Λ , gθθ=1/r2 , gφφ=1/(r2sin2θ) メトリックをr及びθで偏微分( ' はrで偏微分した事を表す。 ) gtt,r=-2e2φφ' , grr,r=2e 2ΛΛ' , gθθ,r=2r gφφ,r=2rsin2θ , gφφ,θ=2r 2sinθcosθ クリストッフェル記号を計算すると、有効なクリストッフェル記号は Γttr=φ' , Γtrt=φ' Γrtt=e2φ-2Λφ' , Γrrr=Λ' , Γrθθ=-re-2Λ , Γrφφ=-rsin2θe-2Λ Γθrθ=1/r , Γθθr=1/r , Γθφφ=-sinθcosθ Γφrφ=1/r , Γφφr=1/r , Γφθφ=cosθ/sinθ , Γφφθ=cosθ/sinθ クリストッフェル記号をr及びθで偏微分すると Γttr,r=φ'' , Γtrt,r=φ'' Γrtt,r=2e2φ-2Λ(φ'-Λ')φ'+e2φ-2Λφ'' , Γrrr,r=Λ'' Γrθθ,r=-e-2Λ+2re-2ΛΛ' , Γrφφ,r=-sin2θe-2Λ+2rsin2θe-2Λ Λ' Γrφφ,θ=-2rsinθcosθe-2Λ Γθrθ,r=-1/r2 , Γθθr,r=-1/r 2 , Γθφφ,θ=2sin2θ-1 Γφrφ,r=-1/r2 , Γφφr,r=-1/r 2 , Γφθφ,θ=-1/sin2θ , Γφφθ,θ =-1/sin2θ リーマンの曲率テンソル Rαβμν = Γαβν,μー Γα βμ,ν+ΓατμΓτβνー Γατν Γτβμ に於いて、α,β,μ,νにt,r,θ及びφを代入して計算する。結果はリーマンの曲率テンソルの成分を参照。 リーマンの曲率テンソルの第一と第三の添字を縮約して得られるリッチテンソルの、有効な成分 は ・ RCHtt = e2φ-2Λ(φ''+(φ')2-φ'Λ'+2φ'/r) ・ RCHrr = -φ''-(φ')2+φ'Λ'+2Λ'/r ・ RCHθθ = 1−e-2Λ−re-2Λφ'+r e-2ΛΛ' ・ RCHφφ = sin2θRCHθθ リッチスカラー(=RSCALAR)を求める式 RSCALAR=gμνRCH μν により、リッチスカラーを計算すると ・ RSCALAR = ー2e-2Λ(φ''+(φ')2-φ'Λ'+φ'/ rーΛ'/r) +2(1−e-2Λ−re-2Λφ'+re -2ΛΛ')/r2 アインシュタイン・テンソルは ・ Gtt = (rーre-2Λ) ・ Grr = ーe2Λ/r2+1/r2+2φ'/r ・ Gθθ = r2e-2Λ(φ''+(φ')2-φ'Λ'+φ'/ rーΛ'/r) ・ Gφφ = sin2θGθθ
付録4:行列式の微分
行列式gの余因数を△βα、行列gαβの逆行列をgαβとすると次の関係がある。
gαβ=△βα/g △βα=ggαβ 行列式gは余因数△βαを使って g=gβ1△β1+…+gβα△βα +…+gβn△βn と表せる。上の式をgβαで偏微分すると =△βα=ggαβ 両辺に を掛けると =ggαβ =ggαβ ∴ g,μ=ggαβgβα,μ
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