伊勢連歌

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てすと

伊勢物語とは

現存最古の歌物語です。作者は不詳で、平安時代・十世紀前半の成立と見られています。
本文は百二十五の「段」と呼ばれるパートからなり、その冒頭はたいてい「昔、男ありけり (むかし、男がいた)」で始まります。伊勢物語はこの男の一代記の形を取っており、男のモデルは、平安初期のプレイボーイ、「在原業平」ではないかと噂されています。

歌物語とは

歌物語は物語の一種で、伊勢物語以降、その流れを引き継いで大和物語と平中物語が作られました。歌物語は、一見、物語の中に歌があるように見えますが、実は歌と物語は、有機的に密接に絡み合い、ひとつの世界を表現しています。物語の盛り上がりに合わせ、ここぞという場面で主人公が歌を詠みますので、その効果が相乗効果で倍増するのです。以前、テレビのカラオケ番組で、その人の人生を紹介しながら、カラオケにかける思いを伝え、その人に一曲歌ってもらうというコーナーがありましたが、これはまさに歌物語なのです。

平安初期という時代について

平安初期にはこの歌物語の他に、「伝奇物語」という別の系譜もスタートしています。かぐや姫でおなじみの「竹取物語」がそれで、「物語の出で来はじめの祖(おや)」と源氏物語にも描かれています。伝奇物語はこの後「宇津保物語」、「落窪物語」という後継を生みました。そしてこのSFチックな伝奇物語と、恋にまみれた歌物語の流れが合体してできた超大作が、あの、「源氏物語」なのです。

在原業平とは

在原業平 (ありわらのなりひら) は、平安時代の歌人で、古今和歌集の六歌仙の一人にも数えられています。古今和歌集に30首、後撰和歌集に10首、拾遺和歌集3首、新古今和歌集 に12首の歌が載るほどの腕前で、相当な女好きだったようですが、大目に見られていました。


「かきつばた」の歌とは

伊勢物語百二十五段には、基本的に話のつながりはないのですが、その中になぜか、話のつながっている部分があります。第六段〜第九段がそれです。

第六段。主人公の「男」は、久しく求婚し続けていたのに何の返事もない女を、盗み出すという暴挙に出ます。ところが、背負って逃げる途中に鬼が現れ、娘を食い殺します。悲惨な事故と言うべきか、自業自得と言うべきか。
男はこの一連の事件により都を追われ、はるか東へと落ちていくのです。

第九段。「東下り (あずまくだり)」と題されたこの段の冒頭、男は三河国八橋(みかわのくにやつはし;今の愛知県)という所にさしかかります。そこに「杜若(かきつばた)」という花があるのを友人が見つけ、

「かきつばたという五文字を句の上にすゑて、旅の心をよめ」
か・き・つ・は・たの五文字を各句のトップにして歌を作ってくれ。

と男にせがみました。男はこんな歌を詠みました。






唐衣
着つつなれにし
妻しあれば
はるばるきぬる
旅をしぞ思ふ

唐(いまの中国)ふうの衣服が
着ているうちに慣れるように、深く慣れ親しんだ
妻が都にいるので
はるばるやってきた
旅を、しみじみと悲しく思う事よ。

句の先頭を見ると、見事に「かきつはた」の五文字が織り込まれていることが分かるでしょう。このような和歌を「折り句」というのです。

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