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ポケットマジック
今回は季節感も何も全くなく、夜店の話題なのである。
というのも、かねてからどんなことをしてでも入手したいと思っていた「ポケットマジック」を手に入れたからである。
「ポケットマジック」ってなんだよ!とおっしゃられるむきもあるであろうが、まずはその昔の夜店についてから思い出していきたい。
一般に夜店といえば、夏祭りなどで神社に並ぶ出店のことを指すと思われるが、私はなぜか、かつて一銭店屋とか駄菓子屋といわれた店との区別があいまいだ。移動店と固定店という違いがあるのは分かっているが、夜店といわれると、いっしょに一銭店屋を思い出してしまう。
理由は簡単。店によっては、売っていたものがほとんど同じ店もあったからである。
もちろん、全部の店が同じものを扱っていたとはいわない。一部の店だけである。
どの辺の商品がかぶっていたかというと、たとえば例の「オレンジガム」や「フィリックスガム」といったものである。
正式名を何というのか分からないが、「糸付き飴」もあった。薄緑色や薄紫色をした三角形の堅い飴の底の部分に凧糸とおぼしき糸がついたもので、飴の周りには結構小さく円筒形に成形されたザラメがびっしりと付いていた。
大玉なんていう、大型の球体の飴玉もあった。飴そのものは同じで、大きさが4倍くらいあった。こちらは、糸なしであった。
「酢イカ」もあった。串刺しになった酢イカを1本ずつ売るのである。結構高かった。
「メロンジュースの素」というものもあった。このご時世で「メロンジュース」といってもピンと来ない方が多いかもしれないが、要は緑色の砂糖水に炭酸が含まれている飲み物である。
かなり甘いが、その甘さとシュワーッとした炭酸とメロンのような香りが、なんともいえないしろものであった。
その昔、たいていの家には、カルピスとこの「メロンジュースの素」大袋が常備されているのが普通で、カルピスは来賓用(あるいは記念行事用)、「メロンジュースの素」は常飲用と用途が限定されているのが普通だった。
法事などでお客様が来ているときなどは、私たち子供も一緒になってカルピスを飲むことを許されたものだが、自分用にカルピスを少し多めになどと入れようものなら、そのコップのカルピスはすぐに他のコップに再分配された。
「メロンジュースの素」は、カルピスと違って液体ではなく粉末なのであるが、それらとてチョットでも多めに入れることは厳禁となっていた。
だがこれの量が少ないと、ちょっとだけメロンの香りがする水といったものなり、全然旨くないのである。この全然旨くないくらいに大量の水を入れたくなるものが、夜店で売っている小袋入り「メロンジュースの素」だったのだ。えらい遠回りな話になってしまった。
つまりは復活しつつある駄菓子屋模擬店などで「メロンジュースの素」小袋を見つけても、ビールコップ一杯分くらいなら大丈夫だろうなどと、大量の水を入れては絶対にいけないのである。ビールコップ半分くらいが限界だ。どうしてもという方は、2袋分入れるべきである。
話が大分それてしまったが、元に戻そう。
超有名もので、小さな塩ビカップに入った「サワーヨーグルト」というものがある。薄っぺらい木のヘラですくって食べるものである。実はこれはヨーグルトらしいのであるが、私は長い間これを「生クリーム」だと思っていた。
いまは1個50円から100円するが、「10円ガムボール」というものもあった。
先日、100円ショップで、昔の大きさの半分ほどのものが10個くらい小袋に入っているガムボールを見つけた。安いのだが、あまりに小さすぎる。その点が非常に残念だった。
なんか、話が一向に「ポケットマジック」に近づかない。
夜店専用商品の話題に移りたいと思う。
夜店といえば、「金魚すくい」であろう。私は出来ない。恐ろしくヘタなのだ。
金魚によい思い出がないので、むしろ「亀」や「ひよこ」、「うさぎ」のほうがマシだ。
だが、一般にミドリガメはともかく、「ひよこ」や「うさぎ」の末路はどうなっていたのであろうか。祭りの時は後先を考えない者だが、考えるとチョット頭が痛くなる。
ヘタだったといえば、「輪投げ」や「射的」もヘタだった。全然当たらないのである。
よく何度も挑戦して気の毒になったのか、最後に商品を分けてもらっていたくらいだ。
夜店の「焼きトウモロコシ」、「たこ焼き」、「お好み焼き」の匂いは大好きだったが、これらを買うことができることはまれだった。悪友とお店の焼き方を手伝って、売れ残りをもらうということの方が多かったような気がする。
食べ物系では綿アメというものあるが、ザラメのベトベトした甘さは昔からNGだった。
むしろ、水飴の中にイチゴを入れて割った割り箸を突き刺したイチゴ水飴のほうが、お気に入りだった。水飴はOKだったのだ。しかしこれも最後は、口の周りがベトベトなり気になった。
えらい長い前置きになったが、夜店で売っていたもの。その「ポケットマジック」である。
その「ポケットマジック」とはじつは、開けるたびに見える絵が違う絵本のことである。
製品名がそのままポケットマジックなのだ。そのお値段、105円。
ペラペラの正方形の紙が縦横3つ折りにされており、真ん中の1マスに覗き窓がついている。正方形の紙の裏にはキャラクターが描かれており、折り方によって覗き窓に見える絵が違うというだけのものだ。
最初にこれを、探し出した復活一銭店屋で見かけたときは驚喜した。もちろん即買いした。
だが帰って試してみると、何かが違うのである。私の欲しかったものは、厚紙のようなもので出来ており、特定の順番と方向(縦横)でしか開けないのだ。このことは、私をかなりガッカリさせた。しかし今回話題にしたのは、この「ポケットマジック」をチョット自慢したかった。
それと同時に、望みのものを入手できなかったことを、非常に残念に思っているのである。
ご存じ方、是非にご一報あれ。
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