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マンガ今昔(後編)
今回はアクション/スポーツ/シリアス系の一部をご紹介したい。
たがみよしひさ先生の作品に初めて出会ったのは、「GREY」だった。ガンダムとはまた違った、ビッグドールと呼ばれるたがみ先生独特の搭乗タイプロボットの戦闘が描かれたアクション作品であった。
ストーリーは、戦って敵を破壊してなんぼ(ポイント制)の世界で、その支配律に疑問をいただき始めた主人公「死神GREY」が、世界を支配してるシステムそのものを破壊するまでのお話しだ。
緻密な描画が、登場する美形キャラをもり立て、軽シンのりのシニカルなセリフが、なぜか臨場感をかもし出している。そんな作品だ。
先生のスポーツアクションもの、「ウォン」も素晴らしい出来の作品だ。こちらはスポーツもの。ビリヤード、つまりプールバーが舞台だ。
物理教師をしている「綿部」は、夜になると本来の顔、凄腕ビリヤードプレイヤー「ウォン」となって、とあるプールバーに現れわれていた。
巧妙に化けていた彼だったが、徐々に正体を暴かれ、次々と彼を負かそうとする挑戦者たちが現れる。そして最後に彼の前に現れたのは、彼が唯一負けた天才プレイヤーだった。そして彼らは... という、お話しである。
キャラの吐くシニカルなセリフが、「ウォン」では「GREY」よりも臨場感を盛り上げている。現実にモデルがいて、本当にそういうセリフを吐いていたのではないか、とも思われるようなノリなのである。
スポーツマンガ、シリアスマンガファンは必読の一冊であろう。
シリアス系マンガの元祖といえば、「夏子の酒」を避けては語れないであろう。これを読んで、ハマってしまう方が少なくないようだ。
広告会社に勤める夏子は、兄の意志を継いで、親が経営する佐伯酒造をつぐ決心をする。そこで夏子の目指ざしたのは、種籾の龍錦1350粒をもとに吟醸を作ることであった。夏子は兄の残した吟醸Nで、全国品評会で幾度も金賞を受賞しいる美泉を越える吟醸をめざす。というストーリーだ。
このマンガの色々な設定の影に、現実にモデルがいるというのがまた凄い。これを読んで、マンガで初めて泣いたという方も多いようだ。
コミック版はデラックス版となって再発売されているので、読んでいない方は今すぐ書店に突っ走るべきである。
「緋が走る」「美咲の器」は、原作ジョー指月先生、漫画あおきてつお先生の陶芸ロマンマンガだ。
父の残した緋の器の完成を目指して、大学生の美咲は陶芸での鬼の道を進むことを決意する。緋をめざす道で、彼女は数々のライバルたちと巡り会い、競い合いながらその道しるべを得ていく、というものである。
信じられないことに、原作者のジョー指月先生は、例の「夏子の酒」を目にして、ご自身でもそのようなシリアスストーリーを作りたくて、「緋が走る」を書かれたそうである。
「夏子の酒」のようなマイナーなストーリーは、一般には好まれないないだだろうと思っていたが、こういう分野の方も読んでいらっしゃると知って、なんだか嬉しくなってしまった。
焼き物の好きな方は、是非読んでみていただきたい。
「マスターキートン」、これは浦沢直樹先生の作品でアニメにもなったので、ご存じでない方はいらっしゃらないかもしれない。
ちょっとだけ全般的なストーリーをご紹介すると、考古学研究に身を置く平賀太一は、生活のために探偵業にも身を置いているが、実は彼には元SAS曹長という経歴があったのだった。彼は、訓練生からマスターの称号で呼ばれるほどの凄腕だったのだ。その経験と技術を生かして、キートンは数々の難事件をこなしていく。その果てに、彼は自分自身の居場所を見つけるのだった、というものだ。
浦沢先生は「YAWARA」のほうが有名かもしれないが、その全29巻はあまりに巻数が多すぎて集められない。
私のお気に入りのエピソードは、「屋根の下の巴里」、「小さな巨人」、「身代金のルール」、「チャーリー」、「ノエルの休戦」、「白い雪とノアの箱船」、「化け猫荘の人々」、「アザミの紋章」、「出口なし」、「シャトーラジョンシュ1994」、「特別なメニュー」、「雪山の審判」、「永遠の楡の木」、「空へ」、「靴とバイオリン」などがある。殺伐としたものがダメなもあるが、娘 百合子や父親 太平が出てくるエピソードは、なぜかいいものが多いような気がする。
あんまり他のサイトで取り上げられていないようであるが、「風にヨロシク!」も私はスポーツ系マンガの傑作だと思っている。
ストーリーは、勉強大嫌いゴルフ大好きの夏海が、高校を中退してプロゴルファーを目指す。厳しい現実の中でつまずきながら、徐々に成長して仲間や先輩たちを巻き込むながら、ビッグプレイヤーになっていくというものだ。
私は初め、この作品は先生の他の作品のように、チョットエッチなマンガではないかとチョット購入を躊躇していた。
だが1冊読んでビックリ。とんでもなく面白いのである。
先生のボップな絵が、元気いっぱいの夏海のキャラに非常にマッチしている。しかもセリフもストーリもよく考えられている。
すでに絶版になっているようだが、この面白さは中古で購入してでも、絶対に味わっておきたいものの一つであることは間違いがない。
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