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面白本大好き
はじめて本らしい本(つまり、絵本やマンガ本でない本ということ)を買ったのは、いつの日だったか。
中学1年の夏だったのは覚えているが、何を買ったのかというと、記憶がおぼろげだ。
ノースウェストスミスシリーズの"大宇宙の魔女"(ハヤカワ文庫)か、テクニカラータイムマシン(ハヤカワ文庫)か、08滑走路(ハヤカワ文庫)のどれかであることは間違いないのだが...
その時から、自分がいい本に引き寄せられるたぐいであることを知った(もっとも、自分でそれを認識したのは社会人になってからであるが)。
たくさんというか、膨大な数の本が並んでいる中から、どういうわけか、いい本だけを選び出すことができる。
もちろん、全部をチェックして選び出すのではない。表紙やタイトルだけを見て、適当に選び出すと、それがいい本なのである。
ジャンルは、SF・旅行記・料理本・エッセイ・社会派ドラマなどだ。対象が哲学や文芸作品では、この能力は発揮できない。
期間限定本などを見繕うのに、この能力は威力を発揮する。買い逃しをすることが少ないからだ。
テクニカラーマシンは、モンキー・パンチ先生画が気に入って買ったものの、作品が大きすぎて半年くらい本棚で眠っていたような気がする。
その頃の私は、まだ長編小説−たかだか350ページくらい作品だが−を読む自信がなくて、5ページくらいの中に展開が見られないと、飽きてしまうのだった。
だから書店の棚に、ノースウェストスミスシリーズを見つけたときには驚喜したものだった(本当は松本零士先生のエッチな挿し絵に惹かれて手にしたのだが)。
短編の中に、起・承・転・結がびっしりと詰まっていたからだ。
その頃の私のSF作品に対するイメージというと、限りなく理屈っぽくて、意味もなくやたらと長いというものだったので、それと正反対のこの作品には本当に感動した。
つまり、エッチで、ワイルドで、ファンタスティックで、ミステリアスで、アクションだった。
ハヤカワ文庫を読む人で、C・L・ムーアのノースウェストスミスシリーズを知らない人はいないだろうが、読んでいない方は必読だ。
人によって好みは様々だろうが、私は"シャンブロウ"と"真紅の夢"がお気に入りだ。
そうそう。テクニカラータイムマシンはどうなったか。
本棚で眠り続けたわけではなかった。
08滑走路を読破して自信をつけた私は(この作品は、そんなに長いものではない。せいぜい200ページくらいだ)、その勢いをかってそのテクニカラータイムマシンも読んでみた。
ちょっと見には分からなかったが、よく読んでみたらとんでもない傑作だったのである。
ともかく面白い。キャラクタ設定、描写背景、セリフが最高だ。最初から最後まで面白くて、あっという間に読み上げてしまった。
その後もコメディ系をいくつか読んだが、やはりこれが一番面白い。
アーサー・ヘイリー先生の作品との出会いは、その08滑走路だったが、それは小遣いがないときに、本屋で一番安くて薄い本だったからだ。
だが、これも当たりだった。
会話文が、まるで映画でも見ているかのように、頭の中に流れ込んでくる、そういった本だった。
文体が明快で、よどみがないのである。
1時間半もあれば読み終えてしまうようなものなのだが、読み終わった後で、「もっと続きはないのか?」と、いいたくなるような作品だった。

ここで、最近見つけたお気に入りの本を紹介したいと思う。
まずは、エンタ本「博多のススメ」(双葉社)だ。
博多という場所は、数々の芸能人が出ているところで、さまざまな文化がある場所だというイメージが強いが、この本はその博多という場所を、食と様々な文化という視点から追って紹介している本である。
この本でも、挿入している挿し絵の果たしている役割はかなり大きい。
もちろん、肝心の文章も絵に負けないほどの出来である。
都市紹介本(そんなジャンルがあるのか)のファンの方は、是非読んでいただきたい。
はやみねかおる先生は、すでにこのシリーズで170万部を売っていらっしゃるらしいが、私はつい最近読んで知った。
そう、知っている人は知っている、夢水清志朗シリーズの一作目「そして5人がいなくなる」(講談社)である。
貧乏ものぐさ天才名探偵 夢水清志朗と三つ子の姉妹が遭遇する数々の失踪事件。
このたぐいのストーリーは、ともするととかく死人が出たりして嫌なものだが、この作品ではとても爽やか、軽快テンポである。しかも、軽薄でない。
挿し絵も、昔の"学習"に出てくるような、濃淡のある絵なのだ。キャンディキャンディを描かれていた絵描きさんらしい。
これは、シリーズで追ってみるのも面白いだろう。
最後は絵本である。「インク・ヴァンパイア」(ソニーマガジンズ)だ。
血を吸う代わりに、ストローで本の活字を吸うヴァンパイアにかまれた少年のお話だ。
ヴァンパイア=暗いというイメージにとらわれない、ポップな挿し絵がまことにブラボー!
最新刊では、ヴァンパイアのいとこの少女と恋仲になって、さらにワクワクなお話しが展開しているようだ。
子供のお昼寝に聞かしてやれば、二日くらいで読み終えてしまうくらいに薄い本なのだが、1000円では安すぎるくらいの出来映えである。
今回は最後まで挿し絵にこだわったが、やはりいい絵を持った本は、その文章も最高なのだ。
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