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"面白本大好き" "ヘッドフォン論2(中編)"
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ヘッドフォン論2(前編)
つい最近、SONYのNudeの代わりとして新しいヘッドフォンを購入した。
1年前、1万円以下のヘッドフォンは使い物にならないことを訴えたが、感情移入しすぎて、1万円以下のものと具体的にどう違うのか、何が違うのかといった点で分かりにくい部分があったので、今回はその最近購入したものも含めて、各種ヘッドフォンを特定のモバイル音源で色々なソースがどのように聴こえるものか、レポートしたいと思う。
単品購入したもので5000円以下のものは、全て論外としか評価できないことは自明であるので、今回購入価格が6000円以上の単品購入したものというように限定した。
エントリされたヘッドフォンと主な特徴は次のとおりである。
1.ソニー MDR−E888(購入記憶価格 6800円)
   インナータイプのなかで、現在ソニーでハイクォリティ商品以外で単品発売されている
ものでは最高級品である。たしかに、4000円ものと比べると1ランクか2ランク上の音
がする。
   2000円モノと比較すれば、3ランクから4ランクは上であろう。
   しかし、クラッシュシンバルはシャーンとは鳴らずショーンと鳴るし、ライドシンバルも
チンとは鳴らずにションと鳴る。
   つまり、12000H以上の帯域が恐ろしくカットされた音なのである。一応それなりの
周波数特性表記はされているんだけど...
   もちろん、低域にもあまり期待はできない。バスブーストをONにしないと、スピーカー
で聞くような音にはならない。
   一応、ソースがよければそれなりに追従するタイプではあるが、追従が遅いというか、
抜けがよくない。いやいやながら追従するというような鳴り方をする。
2.ソニー Nude(型番分からず)(購入記憶価格 12800円)
   もはや売ってない。高域の切れ、ミッドレンジの抜けなど、高級ヘッドフォンに引けを
とらないインナータイプ。ソースがよければいいだけ反応する。追従は速い。
   ただし低域だけは弱く、バスブーストをかけないと、スピーカーで聴くような音にはなら
ない。低音が弱いので聞き取りにくいが、バスドラとベースは分離して聞こえる。
   MDR−E888より2ランクは上の音がする。以下、Nudeと呼称する。
3.ソニー MDR−D66(購入記憶価格 10500円)
   軽量密閉型。インナー方ではなく、オーソドックスな耳あて式。購入価格はNudeより
も安いが、音は本格的で、Nudeを2ランクくらい超えている。
   ソースがよければ追従はするが、高速追従型という音ではない。高域の切れ込み、
ミッドレンジの充実、低音の歯切れのよさという点では申し分ない。
   低音をバスブーストしなくともある程度聴けるが、スピーカーで聴くような音にするに
は、バスブーストをONにする必要がある。低音は柔らかく、バスドラとベースは分離し
にくい。低域から中域にかけて複雑に音が絡むと、再生しきれずに(つまり音像を分解
できなくなって)、音がモコモコし始める。厚みのある音で、あっさりとした音は苦手。
   普通に音楽を長時間楽しむには最高。
4.オーディオテクニカ ATH−EM9R(購入価格 15000円)
   買ったばかり。耳かけヘッドフォン。オープンエアではなくて、密閉型の方。
   まだエージング中なのであるが、Nudeよりも2ランクくらい上の音がする。
   全域にわたってNudeよりも上かというと、そうでもない。このヘッドフォンでは、低音
をバスブーストしなくとも、スピーカーで聴くような低音が出る。バスドラとベースは分離
しにくい傾向だが、Nudeよりも明らかに2ランク上。しかし、中域の分解能は、Nude
と同じ程度かあるいは落ちる。パート演奏などの目立つ演奏では気にならないが、オー
ケストラ演奏などでの複雑に絡み合った中域でのオーボエやフルートの再生は苦手の
ようだ。低音量時の中低域の再生性に落ち込みがあるようだ。
   高域は素直に伸びて上品。Nudeより2ランク上だ。総合的に、MDR−D66と同じか
1ランク上くらいであろう。携帯型であることを考慮すればしかたない。
5.オーディオテクニカ ATH−M77(購入記憶価格 22000円)
   いわゆるモニターヘッドフォン。密閉型で耳あて式。
   他のヘッドフォンから付け替えただけで、明らかに次元の違う音がする。
   ATH−EM9Rよりも2ランクから3ランク上の音がする。
   切れ込みがどうとか、抜けがどうとかいうレベルではもはやない。
   そんなものは全てクリアしていて、同じソースでも別の音に聞こえる。
   もちろん、バスブーストなんてものは必要ない。そんなことをしなくとも、ソニーの
Nudeでバスブーストを3重にかけているような音がする。
   ソース中のあらゆる音を余すことなく再生するタイプ。
   音像定位、音場の広がりなど最高の部類に属するが、この上の3万5千円くらいの
ものでは、これよりさらに2ランクくらいの上の音が聴けるはず。
   このヘッドフォンは危なっかしい音だなあという点がほとんどないが、3万5千円クラ
スでは感動のあまり、一瞬呼吸が止まってしまう可能性があるので注意しよう。
   好きな人は、一瞬金縛りにあったようになって、次の瞬間お金を取りにキャッシュコー
ナーに駆け込んでいるはずだ。
   とにかく最高の音。だが、耳が疲れるので、30分以上の鑑賞には向かない。
   連日長時間聞いていると、難聴に鳴るのは確実。

なんと、ヘッドフォンの紹介だけで今回は終わってしまった。
次回は、そのテストに使用するモバイルプレイヤーと、ソースのお話である。
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